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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
155/221

通称

「ここの要塞亀は実際見たことないんだぞ。だけんど、要塞亀は基本三十メートルくらいの巨大な亀なんだぞ。」


「ほほう、まったく想像できないな。」


 俺の知る亀は、川とか池に異常繁殖していた緑亀ことミシシッピアカミミガメだが、ただでさえデカいと思っていたのに三十メートルなんて想像できない。

 あいつらかなりデカくなるからな。デカくなりすぎて飼いきれなくなって川に逃がすなんてよく聞く話だ。

 飼いきれないなら最初から買うなという話である。


 興味本位で飼い始めて逃したあなた!生態系破壊の一端はあなたのその行動がもたらしたものですよ!

 まあ聞こえの良い言い方をすれば、生態系もグローバル化していっているのだろう。

 日本が海外に染まっていっているように、川や海も外来種に染まっていってるんだろうな。

 それが良いか悪いかの違いはあるだろうが。


「通称要塞亀と言われるくらいにはゴツゴツした岩のような甲羅で、見た目通りかなりの硬度を誇るんだぞ。物理攻撃は殆ど通らないと思ったほうがいいんだぞ。」


「待て待て、通称ってどういうことだ?」


「ロックタートル、通称要塞亀なんだぞ。人族に伝わる有名な物語のロックタートルの影響なんだぞ。」


 そしてアルゴスがその物語とやらを聞かせてくれた。


「あるところに亡国の王子と…」


 話を聞き終わった俺の感想は、


「その物語の帝国って…」


「竜王国の向こうの帝国なんだぞ。あの時の戦いは覚えてるけんど、あのロックタートルは異常だったんだぞ。背中に要塞を携えたさらに巨大なロックタートル、土魔法しか使えないはずのロックタートルの背中からは多種多様な攻撃が降り注ぎ、為す術なく敗走する勝者たち。…」


 物語を纏めると、山向こうの帝国さんに敗れたとある王国の王子が救国のために立ち上がる話だ。

 この物語に出てくるロックタートルは、通常でも三十メートルとデカいのに、そいつは五十メートル程あったそうだ。

 聞くだけならそんなに変わらないとか思うかもしれないが、実際二十メートルの差はかなりのものだと思う。


「あれはあの王がいてこそだったんだぞ。あんなロックタートルがテイムできる人族なんてそうそういる筈もないかんな。」


「俺は普通のやつでもいいけどな。だってレベル上げれば大きくなりそうだし。」


 最初から最強ではテイムの面白さに欠けるからな。

 でも、そんなのは後からテイムしたスライムとかを最強に育て上げたりすればいい話なので今回は最強なやつでも一向に構わないんだがな。


「きっとここのロックタートルも準ずるくらいの大きさはあるんだぞ。おいが精霊紋を渡したから召喚魔法は使えるようになってるけんど、一日二日であの大きさのロックタートルがテイムできるわけがないんだぞ。」


「まあまあ、本当はダメだけど俺には秘策があるからさ。それに、召喚魔法のレベルって契約数なんだろ?この魔法のレベルがそれ以外に関係ないなら問題ないな。」


「なんでそんなことだけ知ってるのか問いただしたい気分だぞ。」


 アルゴス、こいつ俺のことどう思ってるのかこっちが問いただしたい。

 まあ、ここぞとばかりに色々と聞いているので、常識のないやつみたいに思われいても不思議じゃないがな。

 そんなことで怒りもしない。


 因みに、召喚魔法はレベル×10の数だけ契約でき、そしてLV.10になると今度は魔力の大きさに応じて契約出来る数が増えていくらしい。

 これはレティ談だ。

 まあ、レベルが上がれば上がるほど意思疎通が取りやすくなるらしいから関係ないわけではないんだが、そこは秘策最適化が火を吹けばいい話だ。

 竜との戦いでは使わないと決めたが、今回のレベリング期間中は手加減しない約束だからな。

 ちょっと言い訳がましいけど許容範囲内だろう。


「じゃあ、おいはもう止めないんだぞ。そのかわり危なくなったら無理矢理にでもおいが倒すかんな。」


「構わないよ。」


 聞けた話は、岩のような甲羅をした超巨大な亀で物理攻撃は殆ど通らない、ロックタートルは土魔法を使う、あとは人間を蹴散らせるくらいの速度では移動できるってことくらいか?

 だって物語では亀に乗っていた方が勝ってるわけだし。


「何か弱点とかないのか?」


「ロックタートルにめぼしい弱点はないんだぞ。物理耐性が高いから魔法耐性が低いとかいうこともないかんな。むしろ魔法耐性も高いんだぞ。」


 うん、嫌な情報ゲットだぜ!

 でも、仲間にすればこの上なく有用な情報だけどな。

 それが大変って話なんだが。


「ま、まあ、物理よりも魔法ってことだよな。あとは死角からチマチマ削ればいいだけだ。」


 それにテイムに関しては、最初の説得にさえ応じてくれれば戦う必要はないのだ。

 テイムは双方の合意があれば契約でき、魔物相手であれば相手に話し合う意思を生まれさせるために戦闘という手段を取らざるを得ないだけだ。

 なので、テイムする時は倒してしまわないように気をつけないといけないのだ。

 なので、逆の意味で神化は若干危ない気がする。


「それに亀の倒し方なんて昔から決まっている。」


「聞いたことないんだぞ。」


 浦島さんのことを言ってるんじゃないぞ?

 亀なんてひっくり返せば一方的なはずだ。あの丸い甲羅が弱点になると思うのだが、岩という部分が引っかかる。

 亀なんだから丸くあってほしいものだ。


「悩んでいてもしょうがない!よし、行こう!」


「自棄になってしまったらおしまいなんだぞ。」


 きこえなーい。

 もう考え過ぎても仕方ないので扉を開けることにした。

 そして近くに来ると圧倒される。

 黒く重厚で巨大な扉。それだけでも威圧感とでも言うべきものがあるのだが、そこに描かれた魔方陣は緻密で、一切の無駄がなく、一つの芸術品ですらあった。


「まあ関心に浸っていてもしょうがない。はい、バーン!」


 両手で思いっきり開け放つ。

 そして開け放たれた扉は揺らぐ空間の向こうに同じような森を写していた。


「行くぞー、アルゴス。」


「色々台無しなんだぞ。」


 扉をくぐった先は代り映えしないようで確実に違うものが二つ。

 まず、空が見えていること。さっきの広場は木で覆われていたからな。

 そしてもう一つ。


「おい、アルゴス。話が違うんじゃないか?」


「前代未聞なんだぞ。でも、これもコウタが森で暴れまわったせいだと思うんだぞ。」


 少しの森の先には青く輝く岩山。

 そしてその岩山は三十メートルなんて小さく思えるような、百メートルはあるであろう高さを誇っていた。

 俺には魔物じゃなくて、文字通り宝石の山に見えるんだけどな。


「なあ、俺の鑑定にはコランダムタートルって出てるんだけど、そこんとこどうよ。」


「おいは聞いたことないんだぞ。ちょっと火属性とか水属性を使うくらいの違いだと思うんだぞ?」


 俺もそう思いたいな。

 あー、変異種か上位種か知らないけど、わざわざ律儀にフラグ回収してこなくてもいいと思うんだ。

 それが俺の素直な感想だった。


明日は要塞亀の物語を閑話として挟む予定ですが、コランダムタートルのせいでちょっと薄いかも…

王子ごめん!

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