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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
146/221

清閑な地獄絵図

「こんにゃろ!どこから湧いてくるんだよ、こいつら!もう少し魔物が生まれるプロセス勉強しとくんだった!」


 そこに何か攻略の糸口があったかもしれないのに!

 今のこんな状況じゃなきゃもう少し冷静に考えられるんだがな!このっ!


 スパッ


 この魔力纏わせるやつ聞いといて良かったな、ホント。切れ味も良くなるし、なんといっても血がこべりついたままにならない。

 これがなかったらとっくに剣が使い物にならなくなってたような気がする。

 魔法を纏わせるのとも何か違うんだよな、体の一部になるっていうか何というか。

 まあ簡単に言えば、魔力が循環している点が違うな。

 魔法を纏わせる場合は魔法という力を剣に固定する感じだが、魔力を纏わせる場合は剣に魔力を通す感じで流した魔力は俺と剣を常に循環している。

 これだったら魔力も減らないので便利だが、そのかわりこれを使っている最中は並列思考なしでは魔法が使えない。


「くらえ!『ウィンドプレッシャー(俺から離れろ)』!もうこいつら消しとばしてもいいかな、いいと俺の中の何かが囁いているような…」


 ウィンドプレッシャーはただの風圧で距離を開けるためだけの魔法だ。魔力を注ぐ限り持続するが殺傷性は特にない。

 俺の意思が魔法を通して伝わったのか俺を取り囲んでいるハイオークのアホみたいに多い群れは数メートル距離を取る。

 因みにハイオークはオークの上位種で体格もふた周りほど大きくなり、強さも五割増しくらいには強い。


「駄目だぞ、俺!森の中だし、過剰な魔法じゃ魔石が残らなかったからな。くそったれ!」


 さっき全く同じことをやったばかりだってのに!

 だから今神化を解いてるんじゃないか、それじゃ本末転倒である。

 少し戻ったところには広場が出来てしまっているが、今日のキャンプ地はあそこだな。


「あー!おい、そこのでっかいの!今俺の大事な魔石を踏み砕きやがったな!許さん!」


 グォォォオ!!!


 そうなんだよ、これも何回目か。

 倒した側から次々とやってくるから大事な魔石を踏み砕かれること何回か、きっと見えないところではもっとヤバいことになってるに違いない。


「はぁ、やっと出来たか。今すぐ殲滅してやるからな!」


 グォォ、グォォォオ、グォォォォォオオオ!!!


 まったくなにをいっているのかは理解できないが、それが段々と後ろは後ろへと伝播していき、それはもう近所迷惑な大合唱が始まった。

 っんだよこれ!もう倒した数だけで二百以上倒したってのに、まだ同じ、いやもっといるぞこれ。

 その大合唱と同時にウィンドプレッシャーで行く手を阻まれていたハイオーク共は力の限り突っ込んで来ようとする。


「今更もう遅い!『フライ』!」


 空を飛ぶのと同時にウィンドプレッシャーを解く。

 次々と前のめりに倒れて行くハイオーク。

 あれ一番前だったやつまだ生きてるのか?


「ほら、今お前たち用につくった魔法をプレゼントしてやるよ!」


 手に現れる光の弓。その弓には三本の矢が番えられている。

 俺は弓の弦を目一杯引きしぼり、空高くに打ち上げるように上へと三本の矢を放ちながら


「『マーシレスアロー』!早くくたばって下さい、お願いします!」


 俺の手元から放たれた矢は三本が九本に、九本が二十七本に、二十七本が八十一本に。

 矢が頂点に達する頃には二百四十三本になっていた。

 さあ、くらえ!正確無慈悲な魔石直撃、必殺必中の矢!


 ドドド………


「ふぅ。空間魔法と聖光魔法と風魔法まで使った複合魔法なんだ、全滅してろよ?」


 矢が落ち始めてすぐに空間隔離スペーシャルイソリューションの魔法を張ったから音も聞こえないし、土煙で周りが見えないんだよな。

 もう治っているからだと思うので、空間隔離を解きながら風魔法で土煙を晴らす。


 今回のマーシレスアローは特別製だ。

 最初は脳天直撃の必殺必中の魔法として使おうと思ったのだが、直前に気がついてしまった。

 この数のオークから魔石を取り出さないといけないのでは?と。

 うん、果てしなく面倒だ。

 ということで、光の矢を脳天ではなく魔石に直撃させ、直撃した瞬間に俺のストレージへと転移させる最強仕様に変更したのだ。

 魔石は同名の魔物ならばほぼ同じ位置に存在することは知っていたのでその点は苦労はなかった。


「魔石抜かれたら死ぬらしいからな。おぉ、多少森が傷ついてるけどこれはさっきと比べたら成長だな。」


 森の中で使えるようにするのに一番苦労した。

 空間魔法で敵の位置と周りの情報の取得、聖光魔法で攻撃、風魔法はハイオークの分厚い脂肪、筋肉を破るための鋭さ付与だ。

 あれだけ暗かった森がちょっと光を差し込んでしまったりはしているが、幻想的なので許してほしい。

 そうですよ、空高くとか言ってたが全くもって見えてませんでしたよ!


 あー、お日様が真上にあるってことは今はお昼時か。

 飽くまでも隙間から見えてるだけだから、ちょっと大きな穴が開いたりはしてないから!

 いいじゃん、ここにハイオークの亡骸がなかったらきっと幻想的だよ?いまだって上だけ見て鼻をつまんでいれば静かな森に一筋の光が差して心地の良い清閑な空間なように思えなくもない。

 首が疲れたその先は地獄絵図そのものだが。


「クオ達何してるかな。まだ何時間かしか経ってないのに早く会って癒されたい。夜まで長いな。」


 今朝のことを思い出す。

 俺は今日も変わらず剣の鍛錬から朝を始め、最近追加された朝風呂、スッキリした後はみんなで朝食だ。

 その朝食の席で




「なあ、二人共。食べづらいんだけど。」


「そう?なら私が食べさせてあげる。」


「じゃあクオも食べさせてあげるね?」


「それはいいからもう少し離れてくれないか?」


 クオもレティもくっつき過ぎである。


「今日くらいいいじゃない、大目に見なさいよ。」


「そんなこと言ってるけど、リルは今のうちにコータ成分補充しておかないで一週間耐えられるの?」


「そ、それは、だ、だって昨日あんなに激しかったから、ち、ちょっと恥ずかしくて…」


 をぉぉぉい!恥ずかしそうにクネクネしながらそんなこと言ったら、それ以上のことを誤解されるだろ!

 人少ないけど目立ってるから!


「もー、一週間だよ?あのキスだけで耐えられるの?」


「ん、ディープなのでもよかったと思う。」


 変なこと言うのやめろ!

 まだ今の俺には難易度高過ぎだ!そのせいで何回やらされたか。まあ、嬉しいけれども。


「もう離れなくていいからこの話題をやめてくれ。」


「何でやめるのよ!」


 いやぁ、何でそうくるのよ!と返したい。

 見てくれ、客の目もさることながら、あのエマの顔。

 今にも泣きそうだぞ。

 流石にあんな話をしてまだ日が経ってないのにこの光景はちょっとな。

 ん?レティがエマの方に歩いていく。


「いきなりどうしたのかしら?あぁ、なるほどね。」


 あ、連れてきた。


「あ、あの、コータさん!一週間も空けるって本当ですか?」


「ああ、ちょっと頑張ることにしたんだ。」


 魔物の森とか、レベリングとか言ってわざわざ心配させる必要もないだろう。


「そうなんですね。わ、わ、私も寂しいんですよ?」

 

「俺もエマと話せないのは寂しいけど…」


 なんて返せばいいのか。


「あとで部屋に来るといいんだよ。エマは遠慮し過ぎなんじゃないかな?色々な人に。」


「ん。もっと積極的になってもいいと思う。」


「う、うん、じゃああとでお邪魔するね。ありがとうレティ。」


「気にしないでいい。光太が悪い。」


 俺ってしょっちゅう悪いって言われるような気がするな。

 エマは裏に下がっていく。


「コータもまだまだだね。今も抱きしめるくらいしてあげなきゃだよ。」


「あの顔をさせた時点で人目を気にしてる余裕なんてない。」


 えー⁈あの顔をさせたのは俺なのか⁈

 いや、俺なんだろう。はぁ、難しいな。

 というか、誰があの顔をさせたとか関係ないんだろうな。

 あの寂しそうな悲しい顔は俺に向けられていたのだから。


「そうだな、謝らないとな。」


 エマのこともあるが、朝食の間に聞いておかなければならないことがある。


「それで流石に聞いておきたいことがあるんだけど、森の奥まで行こうと思うんだ。気をつけることとかあるか?」


「奥に行くに連れて魔物も強くなるわね。」


「うーん、単純に強くなるのもそうなんだけど単体で強かったり、ゴブリンとかオークの上位種とかは数も多かったりするかな。」


「光太剣を貸して。」


「ん?ほい。」


 腰から剣帯ごとレティに渡す。

 するとレティは剣を抜き、なにやら剣に纏わせる。


「これは一対多、特に殺し合いの戦闘においては必須の技術。魔力を剣に纏うことで色々と便利になる。覚えておくといい。」


「こんな感じか?あ、意外と難しいな。ありがとう、使ってみるよ。」


「あとは、奥に行き過ぎないことかな。負けることはないだろうけど、広過ぎて迷子にならないようにね。」


 朝食を終え部屋に戻り、少ししたらエマがやってきた。

 謝ったり、クオ達に言われるまま色々とやったりしていたらあっという間に時間が過ぎた。


「じゃあ、また夜な。」


「帰ってこなかったら許さないんだよ。」


「ん。その時は私から会いに行く。一緒にキャンプ楽しみ。」


「応援してるから、頑張ってきなさいよね。」


「ああ、頑張って来るよ。ちゃんと顔見せに来るから心配ないって。」


 俺も早く会いたくなるに決まってる。


「え?夜って?えぇ⁈」


 エマはたいそう驚いているようだが。

 あ、転移で町への侵入は基本ダメですので静かにしましょうね。

 そういや、エマに話とかないとな。

 夜部屋に転移して戻って来るって。

 そのあと顔を真っ赤にして怒られたのは言うまでもないだろう。

 その赤さが怒りからなのか、羞恥からなのかは置いておくとして。




 さてさて、


「こいつら倒し終えたらもう少し奥に行ってみるか。いや、一旦休憩だな。」


 少し休憩も入れとかないとな。

 残りを片付けたら俺製作の広場まで戻るか。

 二百四十三以上いたのだろう。マーシレスアローから逃れたハイオークがちらほら。

 こいつらって美味しいのだろうか?



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