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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
139/221

白熱の魔法議論

今年も今日で終わりですが、皆さま元気にお過ごしでしょうか?


私は昨日まで仕事で、今日からの大切な休みは出来るだけ自堕落に過ごそうと決心しています!

こたつでダラけながらのミカンの美味しさは卑怯だと思いながら執筆しているのは秘密です。


急な話題転化にはなりますが、読んでくれている皆さまには大変感謝しております!

今年ももう終わりますが、来年もより一層面白くしていきますのでお付き合いいただけたら幸いです。


それでは今年最後の「創造神の力で異世界無双」をお楽しみください!



 俺が使うには意味のない、というよりも考案される原点のスキルを所持しているので詠唱待機を有効利用できるかは分からないが、そんなことは使ってみればわかるだろう。


「でもなぁ、無詠唱までとは言わないけど、詠唱短縮が出来るだけでも今の魔法はかなりの優位性が生まれてるんだよな。」


「急に何、そんな当たり前のこと言ってんだよ。」


 俺が魔法学園に入学することにしたティア以外の当初理由を想起しながら目の前の光景への感想にラディックが答える。

 今は二回目の組みが終わり、三回目の組みが己の技術を競い合って自らの仲間に示している最中だ。

 俺たちは次だろうな。


 クオとレティという最高の師に教えてもらえたことは幸運だったが、いかんせん最高の師過ぎたのだ。

 完璧という言葉がこれほどまでに合う存在に教えてもらうということは一般常識から乖離していると言っても過言ではない。俺自身も神人族とかいう種族になったからな。

 その常識、魔法がどれくらいの範囲知られ、広まり、使われているのか、その一般的な常識を知るのが当初の目的だったのだ。

 クオとレティにとても感謝しているが、その常識を知らずに魔法を行使するのはマズイと思ったからな。

 実際入学して、今も目の前の長文詠唱で飛び交う小威力の魔法をみればその点において入学は正しい判断だったと言えるだろうな。


「あんな長文詠唱を行うならもっと高威力の魔法を狙うべきだよな。」


 まず、誰もが詠唱の最初に持ってくる『魔力よ』の一言は短縮できるはずである。

 その一言で自分の魔力をコントロールしているから魔力操作のスキルがレベルが上がらないのだ。常日頃から魔法を使っているのに詠唱に頼り過ぎているから上がるものも上がらない。

 次に『〇〇の××となりて』だ。〇〇で属性、××で形の意を持たせているのだろうが、形はともかく、属性部分は短縮できていいと思う。

 それに最後の『我が敵を△△せよ。』っていうのも思考性という意味ではありかもしれないが、単体魔法も範囲魔法もほぼ変わらない時点で意味がないと思う。


 結局何が言いたいかというと、学園の魔法理論の教科書と目の前の光景を照らし合わせてみた結果、みんな素直に教科書を暗記しすぎだと思う。

 使う魔法もほとんど同じ、詠唱は教科書とほぼ変わらない。


「大体、自分の魔法くらい自分で作って然るべきなんだよ。人と同じで上に行けるはずもないってのに。」


「魔法を学ぶのにも順序があるんじゃよ。詠唱は万人に使えるよう分かり易くされてあるものなのじゃ。」


「そんなの魔法陣の領分だろ。わざわざ詠唱に万能性を持たせたところで戦闘中に無闇な長文詠唱なんて出来るはずもない。」


 誰もが使えるように工夫された詠唱は必然的に長くなる。

 例えばだが


『炎よ、荒れ狂え』


 これだけでも魔法は成立する。ただし、思考性なんてあったものではないのでそこは自分の想像なりで補うほかないが、範囲魔法として使うならばこれで完成されていると思う。

 それを万人が魔力さえあれば使える詠唱文にするとなると、


『魔力よ、炎の波となりて、我が敵を殲滅せよ』


 みたいになる。

 炎が波のように迫っていく時点で殲滅も何もあったものではない。


 この詠唱の長さの差で生死が決まるのだ。

 魔法の最高峰でこれというのが不可解である。


「誰もがお主のように魔法を扱えるわけではないのじゃ。」


「本気で言っているのか?それを賢者と呼ばれる者が本気で言っているのならもう衰退しかないだろうな。」


 たしかに俺は例外なのかもしれない。だがこの詠唱に関しては間違いだらけだと思う。

 爺さんは魔法の本来の形を忘れているのだろうか?

 魔法に詠唱なんて必要ないのだ。だが、必要ないとはいえ完全に排除して魔法を行使するのは至難の技だ。

 だから詠唱が補助として生まれたのであり、どこまでいっても補助なのだ。

 想像だけでは補いきれないほどの大魔法を使うわけでもないのに詠唱を使っている時点で爺さんの言い分はおかしい。


「じゃあ例えばだ。あの男子が今使ったウィンドボール、『魔力よ、風の球となりて我が敵を討て』。ただの風球を創るのにこの長文いるのか?」


「最初だけじゃ。そこから徐々に短くしていけば良いだけのことじゃ。」


「違うな。もう詠唱を前提として考えている時点で間違ってるぞ。詠唱本来の役割を考えるなら、魔力操作が苦手なら『魔力よ、我が想いを形と成せ』くらいの方がまだ好感が持てる。」


 所持属性が多過ぎて魔法を行使するときに困難が生じるのなら属性だけを詠唱で補えばいい。

 緻密な操作性、思考性が苦手ならそこを詠唱で補えばいい。


「一から十まで詠唱っていうのは無駄ってものじゃないのか?」


「ではコータ、お主だったらどういう風に教えるのじゃ?」


 そうだな…


「まずどんな小さな魔法でもいいから想像だけで魔法を使ってもらう。それを見て発動速度が遅いとか、狙いが甘いとか、威力が思ったよりも出てないとか問題点がある部分を詠唱で補わせるな。あんな長文詠唱させるくらいなら、キャロルみたいに魔法陣を使う方が利口ってものだ。」


 魔法陣は形にして決めてしまっているが故に融通が利きにくかったりはするが、一定威力は保証されるので攻撃が苦手なキャロルでも決まった威力は見込める。

 自分の苦手なことを受け入れ、それを補うことを考えていたキャロルは、引っ込み思案なところが解消されればかなりの才能が開花するのかもしれないな。


「詠唱を前提として考えてるから無詠唱スキルも発現しないんだよ。」


「なるほどのぅ、お主の考えは理解できたのじゃ。儂ももう一度、魔法というものを一から考え直してみるとするかの。」


 と俺と爺さんが二人並んで観戦しながらの魔法議論を白熱させている背後では、ニコニコと笑顔のティア。この笑顔は私を差し置いて楽しそうですねという意味が込められているような気がする。

 そして褒められた、どうしよう、とアワアワしているキャロル。少し落ち着け。

 ラディックは俺に得体の知れないものを見るような目を向けてきている。うん、全力勝負が期待できそうだな。


「そろそろコータを返してもらってもよろしいでしょうか、学園長。」


「すみませんな。セレスティア様を差し置いて会話にふけってしまって申し訳ないのじゃ。」


「おい、俺は俺のものだからな!返してもらうって表現はやめてもらおうか!」


「またまた冗談がお上手なんですから。」


「ははー、もし本当に冗談に聞こえているのならティアの妄想癖も行くところまで行ってしまったようだな。」


 度々勝手に人のものにされる俺だが、断じて認めないぞ!


「あ、あの、呼ばれてますよ。」


「ん?あ、次俺たちの番か。教えてくれてありがとな、キャロル。」


 書記くんが俺の名前を呼んだみたいだ。話している間にいつのまにか全て終わっていたらしい。

 しかし話によるとあの書記くんも一年生だろうに試練はどうするんだろうな。まあ、一年で生徒会に入ってるんだ。戦闘経験なんかもあるのかもしれないな。


「よーし、俺の百二十パーセントの力を見せてやる!」


「さっきと話が違う」


「頑張ろうな、ラディック!さっきのあの目忘れてないぞ!」


 俺たち仲間だからな、決して油断なんかしないぞ。

 俺の全力がラディックに通用するか楽しみだな!


「それはお前が賢者とまで呼ばれている学園長に、魔法を考え直させたりしてるからだろうが!」


「ん?何か言ったか?」


 俺の耳は時々、都合がいい感じに聞こえたり聞こえなかったりするからな。


「だから!」


「あ、何回言っても聞こえないから大丈夫だぞ。」


 だってそれに関しては俺悪くないからな。

 いいじゃん、今後はもっと良いカリキュラムを受けられるかもしれないんだぞ。感謝しろよな!

 俺もそれに応えて本気で応戦するからさ!


「よし!俺も詠唱待機使ってみるか!」


「そんな遊びに行く感覚で使うんじゃねぇ!」


 んもう、言葉遣いが悪いですねぇ。

 ちょっとコンビニ感覚で使ってみようとしているだけじゃないか。


 まあこんな冗談は置いといて、よく考えれば詠唱待機さえ使えれば無詠唱と並列思考とのトリプルコンボで今の倍から数倍の魔法が同時行使出来ることになる。

 俺にもかなりのメリットがあること請け合いだ。

 だから俺にもその技術が使えるのかどうか試させてもらおうじゃないか!



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