パーティ
昨日気がつくと感想が二件もきていました!
これで四件目です!本当にありがとうございます!
誰かから感想をもらうというのは、大変励みになりますし、勉強にもなります!
なので、応援の感想でも、辛辣な感想でもお待ちしています!
皆様のご意見を活かしていければと思います!
「これは伝統的な行事じゃ。………儂も試練を………あの頃はまだブイブイ言わせとったのぅ。…」
ナゲェよ!段々爺さんの昔話になってるじゃないか!関係ない話は控えて欲しい。
「………じゃからして、皆も励むように。」
「以上、学園長からでした。次に今日の予行訓練の説明をルロイ先生にしていただきます。ルロイ先生、お願いします。」
この司会している生徒はBクラスの何とかさんで、生徒会書記らしい。
生徒会といえば、生徒会長は魔の六侯爵の一翼の跡取りらしいからな。
グリターパイセンだったか?噂によるとかなりの爽やかイケメンらしい。かっ。
「ここに来る前に大まかには聞いていることと思いますが、午前は探索行動に際しての基本指導を。午後は魔物との戦闘が予測されるのでその指導を伴いながらの模擬戦闘という予定になっています。」
カルディナ先生が言っていた通りだな。
「午後の説明はその時に詳しい話を行います。今からの詳しい説明を行いますが、まずこちらが事前に組み分けをしている四人又は五人一組に分かれてもらいます。パーティは探索ひいては戦闘の基本ですので。」
もう分けてあるのか。三人以外と行動するなんて新鮮だな。
「そのあとは役割分担です。前衛後衛というよりも索敵や荷運び、指揮を誰が執るかなどを決めてもらいます。」
そりゃ魔法学園って名前から分かる通り前衛なんて…と言いたいところだが、教師を見ても生徒を見ても少なからずいらっしゃるっぽいな。
「決まった後は教師が二、三組ごとに指導していきます。三年生が各パーティに一人ずつ付きますので分からなければ教師か先輩に聞くといいでしょう。」
ほうほう。三年生のパイセンが一人ついてくれるのか。イケメンじゃなければオッケーだな!
「では、組み分けをお願いします。」
「はい。まず一組目、Aパイロ、Bガス……」
書記くんが次々発表していく。
「…四組目、Aクオ、Aラヴィニア、Bカイル、Cマット。五組目…」
お、クオの名前が出たな。俺も知ってる奴と一緒だといいんだけどな。
次々と名前が上がっていく中、七組目にリル、十三組目にレティの名前が。
はぁ。意図的に外されてるんだろうな。まあ、A、B、Cごちゃまぜで組まれているのだから一緒になる可能性は低いだろうけどな。
「二十組目、Aセレスティア、」
へぇ、王女様でもお構いなくか。こういう公の場だからこそかもな。一部がピクってなっていたが書記くんは気にした様子もない。
「Aコータ、Bラディック、Cキャロル。二十一組目、」
おー、俺の名前がやっと出た。
ティアと一緒か。今になって考えるとこれは学園側の配慮かもな。学園側というか爺さんの。
誰か一緒にいないと約束守ろうにも守れない。で、この四人から五人という縛りの中では同じクラスの人間はせいぜい二人まで。
俺たち四人の中で誰を入れるかってなったら、約束を交わした俺になるのも頷ける。そこらへんは爺さんの前でも話してるからな。
「一緒のパーティですね!頑張りましょう!」
ハイテンションだな。
頑張るって言われてもな。趣旨を完全に理解した上で竜化した竜族を間近で見たことあるどころか乗ったことさえあるのだ。この試練を受ける意味があるのか甚だ疑問なのだ。
それに、俺は百歩譲って受ける側の人間だとしても、リルの場合は苦笑いしか出ない。最早、里帰りである。
まあ、でもせっかくやる気を出しているのだから水を差す必要もないだろう。
なんのやる気なのかはさておき。
「そだな。頑張ろう。」
俺にはそのテンションが維持できそうもないので、返事が雑になってしまった。
「お前、試練を舐めてるのか?お前みたいな奴が真っ先に泣いて逃げるんだよ。醜態を晒したくなければ今のうちに家にでも引きこもってるんだな。」
「んあ?誰だお前。」
呼ばれたらそのパーティごとに集まっているので俺とティアもそれに従っていたのだが、急に横から高慢そうな男が突っかかってきた。
違うな。俺が伝統を舐めていそうな態度を取っていたから怒っているのかもしれない。そうなのだとしたら高慢は間違いだな。
「セレスティア様、どんな危険に陥っても俺が貴方を守ってみせます!」
「え?大丈夫ですけど…」
無視かよ!ていうか、ティアと俺に対しての態度の差だろ!
即拒否って、ティア…
「ええ、大丈夫です!俺に任せてもらえればかすり傷一つ負わせることはありません!」
そして話の通じない奴。
まあ、ここまでくればこいつが誰だかわかるな。こいつがBクラスのラディックって奴だろう。
「ょ、よ、よろしくおねがいします。Cクラスのキャロルです。」
「うおっ。よ、よろしく。俺は光太だ。」
いつのまにか背後に女の子が立っていた。この子がキャロルか。
なにかビクビクしてるな。人見知りとか、人付き合いが苦手とかだろうか?
「私はセレスティアです。よろしくお願いします。」
「俺はラディックだ。基本何でもできるから頼ってくれていいぜ!」
だったらなんだBなんだ?とかいう面倒なツッコミいれない。
ティアは放っておくことにしたようだ。まあ、そうだよな。話通じてなかったもんな。偶のティアと同じだ、妄想が暴走している時とかの。
「イタッ」
「なんでしょうか?言いたいことがあるなら聞きましょう。」
突然二の腕あたりに痛みを感じたと思ったらティアがそう言う。
なんでどいつもこいつも嫌なところで鋭いんだよ!
「なんだよ、妄想王女!」
「も、妄想⁈な、なるほど、コータは私のことをそのように思っていたのですね。」
つい口が滑ってしまった。
まあ、この際いいだろう。これを機に少しでも自制してもらおうじゃないか。
「そうだな。時々手がつけられない時があるから少し自制してもらえると助かるな。」
「なっ、そ、そうですか。まさか開き直るとは。そうですね、では私も。」
私も?嫌な予感がする。こういう時は素直に謝っていた方が良かった時だ。
くそっ、失敗したか?
「たしかに王子様がどうだと妄想ばかりしていたかもしれません。しかしです!コータと出会ってから、あの約束をしてからは、もっぱらコータに変わっています!それ以外の人物は出てこないのでご安心下さい。」
な、なんてこと言いやがるんだ、この王女様は!
今回は完全に俺が悪いな。人前で言うようなことじゃなかった。
毎回毎回なんで人前なんだか。いつもと違って今回は大部分が俺のせいだからな、気をつけなければ。
「わ、悪かったよ。だからその辺で勘弁してくれないか?」
「勘弁ですか?事実しか言っていないんですが何のことでしょうか?」
く〜っ!ここぞとばかりに!
「ど、どういうことですか、セレスティア様!この男とどういうかんけ」
「守っていただく関係です。少し静かにしていてくださいませんか?」
なんだ、このティアは。怖いぞ。
「で、コータはどうなんですか?私で妄想したりしないんですか?」
「な、なにを急に。するわけ」
「しないんですか⁈私はこんなにも夢想し、妄想し、空想していますのに…しくしく。」
あ、しくしくって言いやがったぞ!
「分かったよ、俺が全面的に悪かったから。許してくれ。」
「そうですね。今、私とキスをする妄想をしていただけるのなら許しましょう。」
「何言ってるんだよ。この前、実際にしてきたのはティアの方だろ?」
「頬ではなくマウストゥマウスです!」
なんだよ、妄想くらいなら別にいいけど。
とその場面を想像してみるとあの日のキスの感覚が蘇ってきた。
ティアとは口ではしていないので、クオ達のではあるが。
急に恥ずかしさがこみ上げてくる。
「これでいいだろ。ほら、目立ってるから向こう行くぞ。」
別にこの場で座っていてもいいのだが、視線が気になるので端に行こうと促す。
「今、私じゃない女性のことを考えましたね!酷いです!」
「あーっ!分かったから!ほら、端に行くぞ!」
何で無駄に鋭いんだよ!
ティアの手を引っ張って端の方に移動する俺。その後ろをキャロルはトコトコついてきているが、ラディックは何か打ちひしがれていてついてこない。
変な空気になってしまっているが放っておこう。




