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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
112/221

クオが弱い

 これまた流石というべきか、このラヴィの部屋には時計が置いてある。

 街の中心部にある時計塔以外では、学園の本校舎の屋上にでかいのが一つと学園長の部屋に小型のものがあったのを見たくらいだ。

 その三つ以外では見たことなかったが、この部屋にはそれが置いてあるのだ。


「そろそろ皆さん来始めたみたいですわね。少し席を外させていただきますわ。」


「分かったよ。いってらっしゃいラヴィ。」


 外から賑やかしい声が聞こえ始めた。

 ラヴィは来たであろう人たちを出迎えに部屋を出ていった。


 時計は俺も欲しいと思ったので前にエマに聞いて見たことがあるのだが、正直買えないこともない値段だった。

 だが、それは色々と大金が入ってきたからであって金銭感覚が狂ってきている今でもおかしいと思える値段なのでやめておいた。

 この世界は鐘の音で行動する人が多いので、基本的に地球よりも時間にルーズなところがある。俺も最近はそれに慣れてきた感じがする。


 そして今は十一時である。

 宿を出たのが八時頃だったので三時間近く、話したり、勇者様が伝えたと言われる様々な遊びをやったりで時間を潰していた。

 話の内容はたわいもない世間話から、俺への質問攻めまで様々だった。


 そして勇者様の伝えた遊びというのは、まあ知っているものがほとんどだった。リバーシに将棋、トランプ、俺はルールを知らないんだがチェス。有名どころは網羅されていた。


「こういうのもあるんですわ!」


 と次々出して来るが一気に出しすぎである。


 さらにいくつかは聞いたこともないものがあった。

 その中でも他のは俺が聞いたことがないだけ、という可能性もあると思う。だが、これだけは絶対、というものがあった。


 その名もエクスプロージョンクライシス。

 パッと見、ただのボードゲームで、中身も一点を除けば普通のボードゲームである。

 しかし、その一点がかなり重要なのだ。

 形式的には人生◯ームとほとんど同じだ。クルクル回して出た数だけ進むのだが、そのマスにはそれぞれ色々なピンチの場面が書いてある。

 それを最初に配られる二十枚のカード、これのどれかを使って解決するという内容になっている。そのカードに描かれているのは魔法名とその図柄。

 つまり、その局面に対応できそうな魔法を手札のカードから選んで出していき最も先に進めた人が勝ちというゲームなのだ。


 しかし、考えてほしい。このカードには左上に魔法属性、右下に魔法名、真ん中に関連する図柄がえがかれているのだ。魔法名だけならまだしも属性に分けて書いてある時点でこの世界で出来たものだと思えるのだが、極め付けはこのウィンドボールのカード。

 ウィンドボールで何が解決できるんだよ!なんてのは置いておくとしてこの球体、緑である。

 もっと風っぽく流れるように描いているならまだわかる。

 丸に塗り潰されている。


 勇者が作ったということなのか、誰かが勇者の名前を借りたのかは知らないが、俺はこのエクスプロージョンクライシスはこの世界で出来たものだと思うのだがどうだろうか。


 因みにだが、このゲーム名にもなっているエクスプロージョンは、各プレイヤーに一枚ずつ配られるジョーカー的なカードだ。どのマスであってもこのカードを出せば突破できるという、謂わばパスカードと言ってもいい。


 ただ、このエクスプロージョンだが、昔の高名な魔法使いが世界を救った時に使われた魔法らしく、俺があるマスに止まった時にネタで使ったら変な目で見られてしまった。


「五だな。えーっとここか。なになに?トイレに行きたいがここのトイレは全て人が使っている。しかし、もう我慢できそうもない。」


 さっきテレポートのカードを使わなければ良かったと思ったと同時に、我慢できないならエクスプロージョンしてしまえ!と使ったのだ。

 その例えがまずかったのかはわからないが、変な目で見られる程度には駄目だったのだろう。

 俺はこのマスがダメだと思うがな!だってこれテレポート以外で解決方法ないだろ!


「ラヴィが戻って来るまで何をしますか?」


「みんなで出来るのがいいよな。トランプとかか?他のボードゲームもあるけど時間かかるからな。麻雀四人だし。」


 それに麻雀はルール知らない。あの麻雀の超能力だろ!と言いたくなるアニメは観たけど役とかも嶺上開花ぐらいだな。

 それに麻雀はこの場に似つかわしくない。

 俺の偏見に偏見を重ねた意見だろうが、女の子の部屋で、俺以外女の子しかいない、さらに誰も麻雀にハマっているわけでもない。そんな時に人数も超過しているのに麻雀は選ばないだろう。


「トランプですか。何をしますか?」


「そうだな。ここら辺ではどんなのがあるのか知らないんだ。教えてくれないか?」


「有名なのはババ抜き、神経衰弱、ブラックジャックなどでしょうか?」


「じゃあ、ちょっとの時間潰しだしババ抜きにしようか。」


 というわけで始めたんだが、クオが弱い。

 一回、二回、三回と連敗を果たし、四回目で流石に可哀想に思えて来たので顔に出てるぞと教えてやったらそれでも敗北。五回目に至っては幻影魔法でポーカーフェイス(仮)を作っていたが大事な局面で幻影がぶれてしまい敗北。

 もう勝つのは諦めた方がいいんじゃないだろうか。

 因みに五回中四回はレティの勝利に終わっている。やはりというか強すぎる。

 因みにだが、クオ以外は魔法を使ってないので悪しからず。


「あー!これはもうダメだよ。よし!これは今後の課題にして違うのにしよう!次だよ、次!」


 諦めてしまったようだ。仕方ない。クオが勝てる可能性を示してあげよう。


「じゃあ、ジジ抜きはどうだ?あれならババ抜きほどの心理戦にはならないだろ?」


 ジジ抜きとは、山札の中からランダムで一杯カードを抜いてそれをババ抜きでいうジョーカーにするという、他はババ抜きと変わらないゲームだ。

 ババ抜きはジョーカーがババだとわかっている分単純だが、ジジ抜きはジジはどのカードか終盤まで分からないので心理戦的には高度になるかもしれない。だが、顔に出てしまうのはババが誰か分かっているからだ。分からなければ顔に出ようも無いというもの。


 ティア達はルールを知らなかったみたいなので説明してからジジ抜きを始めた。

 すると、思惑通り終盤のジジが判断できるまでは顔にでることはなくなった。

 だが、分かってからは顔に出てしまうので、勝機は顔に出る前の最後のお互いのカードが二枚、一枚になり、尚且つジジを判断できていないあの瞬間だけだろう。

 そして二回目でやっとその瞬間が来た。一回目はクオの高スペックが祟ってその瞬間の前にジジを判別してしまったのだ。

 相手はリル。リルも少し顔に出てしまう節があるが、クオが酷すぎる。

 そして…


 ガチャ


「みなさん揃いま」


「やったぁーーー!コータ、クオ勝ったんだよ!ありがとね!」


 すまんクオ。その世紀の一瞬をラヴィが帰って来たのに気づいて振り返ったので見てなかった。

 でも、大変嬉しそうなので心の奥にそっとしまっておくことにしよう。

 リルは項垂れてしまっているが、一度くらいクオに譲ってやってほしい。その二人の最下位争いがどれほどのものかは分からないが。

 それにクオ。勝ってないぞ。負けてないだけだ。

 ババ抜き、ジジ抜きとは順位制のゲームなことを忘れてないだろうか?

 二位ですら勝ちと言っていいか疑問である。


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