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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
110/221

それでもおかしい

 ほぁー。貴族が凄いのか公爵が凄いのかその両方かは分からないが、この規模の屋敷で別荘だとはな。


 庭広いなぁ。しかも隅々まで手入れが行き届いている。俺だったら草生やしまくってるな。

 あ、これは決して俺が面白いとか言っているわけではない。某アニマルの森でもラフレシアを拝まない日はないほどだったからな。


 そんな俺にも品の良さを窺わせるこの庭は絶景だと思う。

 でもなんだろうな。あの蔓薔薇を使ったアーチで囲われた道を進んだ先の草垣。あれを見ると迷路なのか?とか思ってしまう俺は残念なやつなんだろうか。


「綺麗な庭だな。薔薇が結構目立つけど好きなのか?」


「ありがとうですわ!もちろん私も好きですけど、この庭はお母様の趣味ですわ。お父様にプロポーズされた王都に昔あった薔薇園を再現したかったと聞きましたわ。」


 外縁部に作られていた薔薇園は年々の人口増加で縮小化の一途を辿り、今でも存在はするが過去の面影は殆どないらしい。

 それにここはなかなかの完成度なんだとか。その薔薇園に思い出のある貴族が遊びに来たりもするらしい。そのおかげで交流を持てた貴族家もあると生々しい話も聞かされた。


「ロマンチックな人なんだな。でも、言っちゃあなんだが迷いそうだよな。」


 だって迷路…。アトラクション完備とかやるな!薔薇園。

 子供から大人まで楽しめる場所なんだろうか。子供は動を楽しみ、大人は静を楽しむ。みたいな感じか?

 冗談はともかく、広過ぎて庭で遊んでいたら迷って帰りが遅くなるみたいなことが起こり得ると思う。


「そうですわね。小さい頃にここに来た時は一日で何度も迷ったりしてましたわ。その度にセバスが見つけてくれるので面白くなって、途中からは隠れんぼ気分でしたわ。」


「コータはすぐに迷いそうですね。私と初めて出会った時も迷っていましたし。」


 ぐっ。確かにすぐ迷子になりそうだな。


「土地勘なかったから仕方なかったんだよ。うん。」


「コータ君は好きなお花とかあるの?エルフは自然の中で生きてるから私はお花好きなんだよね。」


「うーん。言われてパッと思いつく花はないけど、昔一度だけチューリップは見に行ったことがあるな。」


 昔一度だけ父さんと二人で旅行に行ったことがあった。長崎のハウ◯テンボ◯に行った時の一面なチューリップは数少ない良い思い出の一つだ。あれ以来旅行なんて行ってないな。


 家族といるのが嫌だったし、地球に殆ど未練がなかったとはいえ、何も言わずにこっちに来て父さんを心配させているだろうな。

 早く力をコントロール出来るようになれば会えるとはいえ、百年単位の時間が掛かるらしいからな。強くなることが最優先だけど、父さんにもう一度会うためにこれも頑張ろうかな。


「チューリップってどんな花ですの?見たことないですわ。」


「たしかこの花がチューリップって言ってたわよね。」


 そう言って耳元のイヤリングを触るリル。

 それは前にプレゼントしたピンクのチューリップのイヤリングがある。

 リルの言葉にずいっと顔を近づけるラヴィ

 突然の行動にリルは顔を赤くしている。側から見ればリルの横顔を至近距離で覗くラヴィ。そして顔を赤くするリル。なんとも百合百合しい光景だ。


「あ、ごめんなさいですわ。これがチューリップですのね。可愛い花ですわね。私、薔薇も好きですがこのチューリップも好きですわ。」


「アールブの森でも見たことない花だね。」


 この世界の住人が見たことない花がなんでアクセサリーとして売っていたのかは分からないが、ここら辺には咲いてないだけなのか、はたまた勇者がフォルムだけ伝えてそれが一部で伝わっているのか。

 でも、まあ。


「気に入ったならどこかで見つけたら持ってくるよ。」


 うちに植えていたチューリップは一つの球根で何年も咲き続けていたからな。

 冒険者として外に出ることも今後あるだろう。その時に見つけたら持って来てもきっと咲いてくれるだろう。それに球根だけ持ってこなくてもクオの空間魔法なら時間を進ませずに保管もできるから花ごとでも大丈夫かもしれない。


「期待してますわ。さあ、玄関に到着しましたわよ。まだ皆さんが来るまで時間がありますので私の部屋に案内いたしますわ。」


「ラヴィニア様おかえりなさいませ。お客様方もようこそお越しくださいました。」


 どこからか見ていたのか俺達が扉の前に着いた瞬間に開かれる扉。

 そこから出て来たのは如何にも執事ですと言わんばかりの老齢の紳士だった。


「ただいまですわ、セバス。皆さんが来るまで自室で時間を潰しますわ。飲み物の用意をお願いしますわ。」


「承知しました。お茶請けはクッキーでよろしいでしょうか。」


 その後、飲み物は何がいいか聞かれたのでみんな紅茶を頼んでいることだし俺も紅茶と言っておいた。


 部屋までの道中は外から見た屋敷の広さから予想できる通りかなり長かった。

 そう考えると学園の転移陣は偉大である。


「あの学園の転移陣のありがたみがよく分かるな。家を買ったら転移陣を各部屋に一個ずつ完備だな。」


 すでに暇な時間と並列思考、刻印魔法に圧縮魔法、色々なスキルを総動員して完璧な転移陣は作成済みである。危険性を排除するために行き来で二つに分けてあるタイプにしているが、圧縮魔法で場所も取らない優れものだ。さすが俺!

 人間は楽をするためなら努力を惜しまないとは言うが、全くもってその通りである。


「また妙なことを言いますわね。そんなの公爵家の財力があっても厳しいですわ。そこにお金を使うくらいなら他に回した方が有意義ですわよ。」


 偉い!あの便利さを体感してもそんなことが言えるなんて!


「違うんじゃない、ラヴィ。どこかの誰かさんなら自分で作ったりしちゃうんじゃないかな?」


「そんなこと不可能…やりそうですわ。」


 その犯罪を犯しそうみたいな言い方やめてくださいませんかね。

 確かにそのつもりですが。


「コータなら持ち運び式の転移陣なんてものも作ってしまいそうですね。」


「うぐっ。」


 冗談のつもりだろうが、作ってしまっている俺からしたらバツが悪い。

 それつけてるのかよ。

 俺が前に居場所がわかるようにと渡したネックレスを見ながら言うティア。

 守るという目的の為にも丁度いいものだったし、あの時は別行動したから渡しただけの見た目普通のネックレスなんだが。

 メイドのメアリーさん曰く、結構な値段になるそうなのだが片手間に作れるのでそこまで大したものじゃないと思っている。


 そういや、あの時以来メアリーさん見てないな。まあ、学校内でメイドを見るっていうのはおかしな話だが、王族ならありえなくはないと思ってしまう。


「まさか本当に作ってしまっているんじゃないんですの?その反応怪しいですわね。」


「私が言い出したことだけど、そこまで出来るかなぁ。」


 ラヴィがとある扉の前で立ち止まる。おそらくここがラヴィの部屋なのだろう。


「着いたんですわ。お好きなところでくつろいでいただいて構いませんわ。」


 落ち着いた感じの部屋だな。結構な量の本が目立つけど、ラヴィは勉強熱心な感じはするな。だからこの量の本も不思議ではない。

 ただ広い。すごく広い。俺だったら一人だと落ち着かないぞ。この量の本があって圧迫感を感じさせないなんてどうなってるんだか。


 好きなところにと言われたが、離れて座る必要もないので、テーブルを囲むように備え付けられているソファに好きなように座る。はずがラヴィとディアナ以外誰も座らない。

 何してるんだこいつら。なんで俺の方を見てるんだよ。

 まあ、いいか。じゃあ、俺はここで。


「あー!それは一番ダメなところだよ!」


「そうですよ。どういう思考回路を持つとそこに座ろうと思えるのですか?」


 なんだよ。好きなところにって言われただろ。

 だから俺は三人用と一人用とあるソファの一人用の方に座ったのだが、盛大なブーイングである。

 分かってますよ。

 でもだな、君たちジャンケンして勝った負けたで隣に座るとかだけならいいが、膝の上に座ろうとしたりするだろ。人様の家でそんなことさせません。

 誰か座れないとかなってそうなるなら、最初から人数分の座る場所があるのだ。問題が起きないようにここに座るのが正解だろう。


 ある程度文句を垂れたところで諦めたのかレティが俺の正面の一人用、クオ、リル、ティアが三人用のソファに座ることになった。


「それで丁度いいしティア、そのネックレス貸してくれないか?」


「返してくれるなら渡すのも吝かではありません。」


 渋々渡してくれたネックレスの緑の半透明の水晶部分を見る。

 突然こんなこと言い出したが、別に脈絡なくというわけではない。

 さっきの持ち運び転移陣の話だ。

 この水晶部分の魔法陣を崩壊魔法のブレイクダウンで消し、新たな魔法陣を刻印魔法で刻む。


「少し魔力を流してくれないか?」


「分かりました。」


 ティアに渡して魔力を流してもらう。


「え?ですわ。目の前で見ていても何が起こったのか理解できなかったんですの。」


「私も分からなかったよ。土属性でもないみたいだし、隠し球が本当に多いねコータ君は。」


 そりゃ分からないだろうな。

 どんな天才でもこの魔法だけは分からないだろうからな。


「これでよろしいですか?」


「ああ、これで完成だ。そのままつけていていいよ。」


「どんな効果があるんですの?」


「前までついていた居場所がなんとなくわかるという効果を強化した。周りの情報もある程度分からないとあまり意味がないってこの前分かったからな。


 この前は近かったからなんとかなったが、もう少し離れていたらどうなっていたことか。


「それと一度だけ俺、というよりもこの対のネックレスを装備している人物を強制的に自分の下までテレポートさせる能力も付与しといた。」


 一度だけなのはイタズラで使われても堪らないからな。後から回数のリセットは出来るし。


「本当に作ってしまったんですの。言っていいのか分かりませんが、少しおかしいですわよ。」


「片手間で作ってしまうなんてどうかしてるよ。」


 酷い言われようだ。それに、


「片手間で作れるわけないだろ。俺がここ三日間の暇な時間をみっちり使って作り出したんだ。頑張ったんだから褒めて欲しいくらいだな。」


「それでもおかしいですわね。」


「うん、充分おかしいよ。」


 えー。泣きたい。

 並列思考総動員してるから、考えているよりは長い時間だと思うぞ!


 因みに魔力を流してもらったのは、個人認証の為だ。

 他人に使われないようにセキュリティも完璧である。




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