お誘い
「はぁ。それで?ティア達は何しに来たんだ?」
「あ、そうでした。すっかり忘れていました。」
テヘッ、とでもいいそうな仕草で答えるティア。
可愛い、可愛いんだが、散々引っ掻き回してくれた後にそれをやられるとこの温厚で有名な光太様でも少々イラっときてしまう。
「コータは今日暇ですわよね?」
「なんで俺に限定しているのかは置いておこう。それに断言気味に言っているのも置いておこう。うん。」
そこまで暇に見えるのか、俺って。
しかーし!さっき予定決まったので暇ではない!
まあ、依頼を受けてみるという曖昧な予定なので、ティア達の話の内容如何によっては変わることは大いにあり得るだろうが。
た・だ・し!暇ではないことは分かってもらう必要があるだろうな。
俺が小さい男なんてことは前から分かっているのだ。
ち、小さいって言ってもあれだぞ!気構えとかの内面的なものであってだな!俺のエクスカリバーは約束された勝利の剣‼︎って感じの大きさだからな!本当だからな!
「急にどうしたのよ。一人で百面相しちゃって。顔芸ならするタイミング間違えてるわよ?」
急に顔芸なんかしないから!
「ゴホン。ただ小さくないってことを…こっちじゃなかった。一応は予定があるってことを言っておきたかっただけだよ。」
「小さい?そうでしたの。予定」
「だーかーらー!小さくはありませんから!むしろ大きいですから!」
ラヴィの言葉に掴みかからんばかりの勢いで答える俺。
仕方ないだろう。これは男の尊厳に関わる重要な問題なのだ。
「きゃっ、ですわ。そ、そうではないですわ。予定があることに対しての言葉だったんですわ。」
「もー、コータなんでムキになってるの?急に叫んだりしたら驚いちゃうでしょ。」
そ、そうだったのか。いやはや、早とちりで申し訳ない。
俺の顔は今、赤くなっているのを隠しきれてないかもしれない。
その取ってつけたようなですわ。に突っ込む余裕すらもない。わざととしか思えん。
「ん。それにそこまで大きくない。普通。」
お、おい。どこ見て言っているんだ、レティ!
クオとラヴィは分かっていないのかキョトンとしているが、リルとディアナは顔を赤くしているじゃないか!それにティア!その慈愛に満ちた顔やめろ!一番心を抉っているのはその顔だからな!
それにレティがそこに視線を送っていたら犯罪臭が…
すみません!そんなことはないです!
こっわ!今、確実に殺意的なものが飛んできたんですけど!
「私はどんな大きさでも気にしませんよ?コータであるかことに意味があるんです。」
「っんなこと聞いてねぇよ!」
いけないいけない。つい言葉遣いが汚くなってしまった。
トドメを刺しにくるのがいけないんだ。
俺のHPはもう消滅寸前である。まあ、ステータス画面のHPは全く減ってないわけですけどね。
「大体、なんでレティはそんなこと知ってるんだよ!見たことないだろ!」
「ロアから渡された」
「あ、分かりました。聞いた俺が馬鹿でした。」
はあ⁈そんなことまで書いてあるのかよ!
あの紙は人間すべてにあるって言っていたけど、そこまで網羅されているのか。
あの時は紙は世界を管理しているに等しいから、少々の情報を持っていても不思議ではないな。とか思っていた。だけど、まさか隅から隅まで書いてあるとか予想外過ぎるんですけど!
起きた結果が、客観的にみた事実がそのまま記載されているとか言っていたが、だとしたら本人の感情的なもの以外は全て書いてあるということなのか。
一度は諦めたけど、あの紙はどうにかした方がいいかもしれない。光太ガンバレ!
「もう!ですわ!なんの話をしているんですの?」
「ダメだよ、ラヴィ。ラヴィが知るにはまだ早いと思うよ?人には知ってはいけないことっていうものがあるんだよ?」
そんな子供に言い聞かせるように優しく言わなくても。
それにラヴィだって十五、十六だろ?
「そんな早いわけでもないんじゃないか?むしろ遅いっていうか」
「コータ君。ラヴィはまだ真っ白なんだよ?それをその黒い手で穢そうだなんて私が許さないからね?その時はエルフ族総出で対応させてもらうことになると思うよ。」
人のことを黒いとかいうのやめてもらえませんかね?
それに怖いこと言うのもやめてもらえませんかね⁈
「エルフ族総出って。アイリの拳一発であの筋肉伸びてたのに、総出ってどんだけなんだよ。」
「アイリ?もしかしてアイリーンおば…お姉様のこと?知ってるの?」
あいつらの教育はここでも行き届いているようだ。
露骨に言い直したからな。本人いないのに。
「あの三姉妹とはちょっとしたことから仲良くなってな。先輩冒険者でもあるから色々と教えてもらったりもしているな。」
「コータとアイリは耳友なんだよ。」
「エルフ耳突撃事件がきっかけだった。」
「おい!折角濁したのにわざわざ言う必要ないだろ!」
確かにあの時耳友って言い出したの俺だけど!あれは色々と状況というものがあっただろ!
「あ、そういえばこの前ベリルお姉様とセシリアお姉様が楽しそうに話してくれたような。あれはコータ君だったのね。」
「どんな風に伝わっているのか非常に気になるけど、話進まないから我慢だ俺。」
あいつら人に言ったりしてるのかよ!そういうのが変な噂をだな。あ、これに関してはあまり関係ないな。街中で堂々と行われているわけだし。
でも何か納得できない。
「ラヴィが駄目なら私を染めてくれてもいいですよ?」
「ティアは白じゃなくて真っピンクだろ?俺は黒らしいからな。変な色になってしまいそうだな。」
それはもうショッキングピンクのようだろうな。それに黒って。想像できない。
「そんなアホな事はさて置き、何か用事があったんだろ?俺たちの用事は取ってつけたようなものだし、悔しいけど暇にではあるからな。時間はいくらでもあるぞ?」
「また話が逸れるところでしたわ。コータは話を脱線させるのが上手いんですのね。」
いやいや!俺よりもうちの神二人は特別お上手ですから!俺なんてとてもとても。
確かに今回逸らしたのは俺なので反論し難いのが悩ましいところ。
「昨日、コータ達が帰った後にクラス全員で話しましたの。」
腹減ってたから途中で買い食いでもと思って速攻飛び出したからな。叶わなかったけど。
それにしても何を話したのだろうか?俺達の得体の知れなさとか?
駄目だ駄目だ。またネガティブ思考になっている。
「折角の新しい仲間ですし歓迎会でもと私達で提案しましたの。それでちょうど明日が休みという話になったんですのよ。今日は当日ですが主役のお誘いに来たんですわ。」
「会場はラヴィの家だよ。本宅じゃないけどかなりの大きさだよ。公爵家は伊達じゃない!すごいラヴィ!もちろん料理もそこら辺のものとは比べ物にならないからね。」
「私達とラヴィは言いましたが、提案したのは主にラヴィです。私とディアナは少し後押しした程度で。何人かは来られないようですが殆どが来るみたいですよ?」
驚きを隠せない。
まさか歓迎会のお誘いだなんて。その主役の一人に俺が入っているなんて。
さっきの話の後だからかなんだか目頭が熱くなってくるな。
「ありがとな、ラヴィ。今日この日のことを一生忘れないよ。」
「そ、そんな感謝されるようなことでもないですわ。あ、当たり前のことをしただけですの。」
その当たり前がすごく大きかったりするんだよ。
それにあの三十人近くの殆どが来るという。どんな理由であれ、俺達の歓迎会に足を運んでくれるんだ。
昔の俺だったら疑心暗鬼に陥るレベルかも知れない。
たが、今は素直に嬉しさが込み上げてくる。
ティアを含めた四人の優しい表情は少し恥ずかしくもあるけどな。
こうして急な休日の予定は嬉しい方に変更された。
キリのいいところまで話を進ませたら投稿している分の修正作業を入れようと思います。
先の話にはなると思いますが、その時は少し投稿を休ませていただくことになると思います。
失踪したりはしませんので、何卒ご理解いただければと思います。
評価や感想、ブクマも気に入ってもらえたらやって頂けると幸いです。
今後もこの作品を宜しくお願いします!




