表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
104/221

一生あなたについて行きます!

「この転移陣が一年生のクラスのある場所に繋がっています。転移陣を使わない行き方はクラスメイトにでも聞いてください。」


 転移陣超便利。

 学園長室は窓から外のぞいた感じ最上階だった。大体、四階か五階、もうちょっと上かもしれないがそのくらいだった。

 それが階段を使わずに一瞬で移動できる優れものだ。

 階段なんて言わずもがな、エスカレーターにエレベーターなんて比べるのも烏滸がましいくらいだ。


「もう俺の体は転移陣なしじゃ生きていけない体にされてしまった。クオ、こんな俺でも受け入れてくれるか?」


「何言ってるの、コータ。こんな欠陥だらけの転移陣よりもクオが魔法で運んであげるんだよ。」


「ほ、ほ、本当かクオ⁈じゃあ、俺はもうクオなしじゃ生きていけない体になった。に変更だな。」


 つまり、階段→エスカレーター→エレベーター→クオってことだからな。

 そう言ってしまっても間違いじゃないはずだ。


「クオだってコータがいないと生きていけないよ。同じだね!」


「そ、そうだな。ありがとう、クオ。」


 冗談を言っていたつもりだったんだが…

 割と真面目な顔で返されては反応に困ってしまうな。嬉しいんだけれども。


「アホなこと言ってるからそうなるのよ。ほら、立ち止まってないで早く行くわよ。」


「空間魔法が使えないからって嫉妬かー?可愛いなぁ、もう。大丈夫だ、リル。俺はリルもいないと生きていけない。」


「な、何が大丈夫なのよ。わ、私だって。」


「リルエルまでそうなったら先に進まない。止まらないで。」


 くっ。いつも話を脱線させるレティに言われるとは…

 俺がこんなこと言って立ち止まってるのはレティの所為だろ⁈


「レティに注意される日が来るとはな。それもこれもレティが朝不安になるようなこと言うからだろ!人のトラウマ…はっ。」


「トラウマ?」


 俺は恐る恐るリルの顔を見る。

 まさにギギギと表現するのにふさわしい動きなことだろう。


「光太が狸寝入りするのが悪い。それに私が話したのは日本現代話。光太のトラウマなんて知らない。」


「大体、なんで俺の昔のこと知ってるんだよ!」


「この前ロアにあった時にこんな紙なんてもらってない。」


 レティは腰のポーチから何やら分厚い紙束を取り出す。そのポーチにその紙の量は入らないだろ!なんて分かりきったことは言わないお約束。


「なになに?高橋光太、十六歳。父・光輝、母・愛梨の第一子として生まれる。出生地は………は、はぁ?なんだよこれ!俺の過去が赤裸々に書いてあるじゃないか!『トーチ!』


「予備ならいくらでもある。大丈夫。中学生くらいのところからしか読んでない。」


 なっ!そこからが一番やばいんですけど!

 トーチ、つまり着火の魔法でこの忌々しい紙束を燃やしてやったのに、またポーチから同じ紙束が出てきやがった。

 くっ。用意周到な奴め。レティにこんなもの渡したロアには今度何か仕返しを…やめとこう。うん。


「読む本がなかった時にこれを渡された。最近は暇つぶしに読んでる。」


「暇つぶしに俺の黒歴史が…ぐはっ。」


 あまりの衝撃に吐血してしまう俺。


「魔法の無駄遣いね。」


「あれは、トマト?何をしたのか分からなかったのですが、教えて頂けませんか?」


「いいよ。あれはね、トマトジュースを空間魔法で口に転移させたんだよ。」


「なるほど。確かに無駄遣いですね。」


 血ですー、トマトジュースなんかじゃありませんー。

 俺はトマトは持っていたって、トマトジュースなんて持ってないもんねー。

 トマト大丈夫だけど、トマトジュース嫌いだし。

 ウゲェ、まずっ。


「でも、コータはトマトジュースなんて買ってないはずだから転移させる前にトマトを魔法でどうにかして液体にしたんだろうね。」


「そんなことまであの一瞬で。無駄とはいえ末恐ろしいですね。」


「そこ!さっきから無駄無駄言わないでくれませんかね⁈演出は大事だと思うんです!」


 叫ぶ俺の口からはトマ…血が周りに飛び散る。

 しかし汚くはある。

 俺がやったことだし綺麗にしとこ。ブレイクダウン、ブレイクダウンっと。

 あたりに飛び散っていた俺の真っ赤なブラッドは何も無かったように綺麗さっぱり分解されていった。


「ちょっと他の汚れも分解してしまってまだら模様みたいになってるけど、綺麗になってるんだから許してもらえるよな。」


「逆に汚く見えるわね。その魔法って掃除に使うような魔法ではないと思うのだけど。」


「使えるんだからいいだろ。」


 掃除に使ったらこんな風に新品同然になるのか。いいこと知ったな。

 これで掃除も楽チンだ。


「あのー、そろそろよろしいですか?時間的にもギリギリですので。」


「言われてるよ、コータ。いつまでも座り込んでないで立つんだよ。」


 くっ。これが限界か。

 俺が起きなかった所為とはいえ、俺のトラウマ、もとい日本現代話で、上手くやっていけるか不安を覚えさせられたのだ。

 だからアホな事をやっていたのだが、時間稼ぎもこれが限界らしい。


「私達がいる。それにクラスにはティアもいる。」


「ちょっと違う気が…」


 なんだか男からは敵意しか向けられない気しかしない。


「あれがいるじゃない、ほら。ユウキがこの学園にはいるはずよ。私たちじゃ駄目ならあれじゃ駄目なのかしら?」


「あれって…」


 ここでは勇者と言えないとはいえ、あれ呼ばわりとは。

 聞いた限り何かあったみたいだからな。

 仕方ないのかもしれないけど、あれとか言われているやつでいいと思っているのだろうか?

 確かにあの一件で知り合い程度にはなったけど、友達かと言われると、まだ分からない。


「まあ、いつまでやってても仕方ないからな。友達が駄目なら全員俺の舎弟にするぐらいの気持ちで突撃してやる!」


「開き直ったのか、考えを放棄したのか、壊れたのか分からない。」


「でも、動く気になったんだから良いんじゃないかしら?」


「そうだね。気が変わらないうちに早く行こうよ。」


 対応が適当だな。


「では行きますよ。」


「今度は立ち止まらないようにするのよ?」


 そう言われたらなんだか…

 という事が起こる時間さえなかった。なぜなら、


「みなさんが今日から一年間通われる教室はここです。」


 なぜなら、転移陣部屋の目と鼻の先にある教室、一番手前の教室だったからだ。

 そうだな。クオの言葉じゃないが、気が変わらないうちに入ってしまおう。


 コンコン


「コータさん達をお連れしました。」


「どうぞ。」


 扉の向こうからカルディナ先生の返事が聞こえたのを確認してから扉を開けるルロイ先生。

 このスライド式の扉がなんとも教室というものを思い起こさせる。

 まあ、中は大学の講義室みたいになっているんだが。


「それでは、私はこれで。きっと楽しい学園生活になりますよ。」


 くぅぅ。一生あなたについて行きます!

 ルロイ先生の背中に敬礼をしてしまう。


「早く入ってこい!私を待たせるな!」


「ちっ。絶対カルディナ先生にはついていかないよな。担任のチェンジを要求する!」


「そうかそうか。コータは後で私のところに来い。それはともかく、早く入ってきて自己紹介なりなんなりしろ。」


 嫌ですー。

 カルディナ先生が立つ教壇のところまで歩いていく。

 ふーん。昨日見たメンツだな。

 教室の広さは人数に対して結構余裕があるみたいだな。

 男女合わせて三十人前後か。昨日はそんな事気にしてなかったからな。


「お前からでいい。時間もそんなにないから手短にな。」


「はいはい。名前は知っている人もいると思うけど光太です。好きな食べ物は肉全般と麺類。嫌いな食べ物はトマトジュースです。トマトは大丈夫なので安心してください。よろしくです。」


 食べ物と言ってるのに飲み物だろなんてことは自分でも分かっているので言わないでください。

 何が大丈夫なのかは俺も分からないので、逆に是非教えて欲しい。

 あー、自己紹介失敗した。

 俺の学園生活は終わったも同然だな。


 俺が落ち込んでいる間にも自己紹介は続いていく。


「クオだよ。好きなもの?人?はコータで、嫌いなものはコータの説教かな?よろしくね。」


「レティ。好きなものは右に同じ。嫌いなものは面倒なこと。よろしく。」


「リルエル・ユニストよ。竜族とか気にしないで接してくれると嬉しいわ。す、好きな人はコ、コ、コータよ!い、言っちゃった。」


 はぁ。揃いも揃って何言ってんだよ。そんなこと言う場面じゃないだろうに。

 い、言っちゃった\(//∇//)\じゃねぇよ!


「なに初日の最初から惚気ているんだよ。さっさと空いているところに座れ。」


「俺に言われても。ほら、リル。いつまでも自分の世界に浸ってないでいくぞ。あと、ティア。周りの人を他のところに行かせてもそこには座らないからな。」


 まったく。変なところで権力を振りかざすんじゃないよ。普段は優しいとか言われてたはずなのに。


「そうですか。残念です。」


「ティア、あなたが向こうに行けばよろしいのではないんですの?」


「それもそうですね!ラヴィは天才ですね!」


「移動してもいいが休み時間にしろよ。今は時間がないと言っているだろう。」


 ティアのやつこっちに来るつもりか?

 お、ここ空いて…やめておこう。

 ここでいいか。一番後ろだし少し煩くても迷惑にはなりにくいだろう。


「おし、決まったみたいだな。連絡事項もさっきので最後だ。じゃあ、今日も一日頑張れよ。」


 ガラガラ、バタン。


 少し急ぎ気味に教室を出ていくカルディナ先生。

 そういや、今から授業があるんだよな。


「おいお前!コータとか言ったか!」


「なんだよ。俺は今すこぶる落ち込んでいるんだから後にしてくれないか?」


「俺とけっと、ブァハッ!」


 あ、いけね。

 なんだか決闘とか言い出しそうな雰囲気だったから先に口を塞いでしまった。


「今の見たかよ。やっぱり詠唱してねぇな。あれ俺もできるかな?」


「至近距離だったとはいえ宙を舞ったぞ。」


「また見えない魔法よ?風魔法って言ってたやつよね?」


 あーあ。自己紹介に続いてまた失敗してしまった。

 リロコンだったかロリンコだったか忘れたが、俺がボッチ街道を突き進むことになったら許さんからな!


 その後すぐに始まった歴史の授業はまったく耳に入ってこなかった。

 リロコン?ロリンコ?どっちでもいいが、こいつは少しして起き上がった後にまた決闘などと言ってきたのだが、レティが静かにして。の一言で静かになって席に戻っていった。レティ強い。


 因みに完全記憶があるので忘れているわけではない。思い出そうと思えば思い出せるが、その労力を割く必要もないので思い出してないだけだ。


 あー。上手くやっていけるか不安が倍増したな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ