プロローグ1
はじめまして。
誤字脱字がございましたら、報告よろしくお願いします。
俺は今、美少女と二人で草原にいる。
右を見れば高々と聳えたつ山々が連なっている。どの山も昔見た富士山より高く、その存在感は圧倒されるものがあるな。
その手前には比較的浅い森があるが、それも連なる山々が奥に見えるからであって、迷わない自信が無い程度の深さはある。
そして左には、少し先のほうに道のようなものがみえる。ただ草が生えていないだけというもののようだが。その道のようなもの、道なんだろうが、左前方に続いている。
後ろにも続いているのだが、鬱蒼とした森になっており、そこでぱったり途切れている。なかなか深い森のようで、こちらはどこまでも深い印象を受ける。樹海と言われても信じてしまいそうなほどには。
最後にそれらに挟まれるように前方、そこには草原が広がっている。ど真ん中で寝転べば眠気を誘うだろうし、気持ち良さそうだ。
こんな視界一面人工物のない場所は初めて来た。
これが視界に広がる景色を見て思った最初の感想だ。それと同時に自分の語彙力の低さに落胆もさせられたけどな。
もっと他にあるだろ!と自分に突っ込みすら入れてしまったほどだ。心の中でだが。
そして、俺がなぜこんな場所にいるかというと、話は多分数時間前に遡る。
だってあの場所との時間の概念が同じとは思えないからな。
気付いた時にはそこに立っていた。
目の前には、溌溂としていて、しかしどこか物憂げで、それでいてどこかおっとりしていそうな、そんな不思議な感じがする美少女、美女とどちらとも取ることができるような女性がいた。
そして、どこか神々しかった。
「ここはどこなんだ。なぜここにいるんだろうか?」
俺は目の前にいることに気づきながら、わざと独り言のように周りを見回しながら口を開いた。
今の状況にこの言葉は鉄板だと思ったのもあるが。
「ここはどこでもない、だけどどこにでもあるそんな場所。その中でも一番といって差し支えのない特別な場所」
鈴の音のような、だけど力強さも感じさせるそんな声が聞こえてきた。
どこかで聞いたことのあるような言葉だったけど。
「なんか特別な場所って感じがするな」
俺はまた独り言のように呟いた。
いや、ね。聞こえてるよ。聞こえてるけど、初対面の女性、しかもとびっきり美人な女性と話せるほど俺のコミュ力は高くない。
俺のコミュ力は、初対面だったら年下の男ですらへりくだった敬語になるくらいのコミュ力だ。
どうだ、すごいだろ?こっちがへりくだって敬語を使えば使うほど何を勘違いしてか、思い上がって強気になってくるのとか思い出しただけで悲しくなる。
何を考え込んでいるんだか。また悲しくなってくるじゃないか。
「無視…ですか。姿は見えないでしょうが聞こえているはずですよ?」
少し怒りの垣間見える声音だな。
まぁ、あからさまに真似てやったからな。そのうえで無視されたんだ、怒って当然だろう。
しかし何を言っているのだろうか。見た目は完璧なのに中身残念系なのか?姿が見えないって見えているじゃないか。
最初に感じた神々しさや曖昧さなんかの印象はなぜか感じなくなっている。
だが、黒く艶やかな腰まである長髪に、すべてを見通し、すべてを魅了しそうな思慮深い印象を与える瞳、血色のいい唇は妙に色っぽさを感じる。全体的にスラっとしている印象は受けるが別にない訳ではない。ほどよくある。どことは言わないが。紛れもない美女だ。
そんな美女が目の前にいるのだが…
これは幻覚なのだろうか?だとしたら、童貞を拗らせすぎて遂におかしくなったんだな、うん。