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魔王生活っ!  作者: 山路みかん
1章 第15代目魔王 起床
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魔王叶偉と〈選出〉

 魔王生活が始まってから、4日目。

 この生活にも昼と夜があるのを発見した。

 もっとも、夜とは言えど、悪魔達は活動していたが。

 要するに、夜があるのは人間だけで、絶極城に夜は訪れない。

 周りはうるさく、独り悲しく寝るなんてスキル、俺は持ち合わせていなかったので夜にぐっすりと寝ることはできていない。

 居心地が悪いのだ。

 あぁそういえば、昨日の出来事を割愛していたので説明しておく。

 昨日の出来事といえば、魔王の部屋掃除士に昇進(?)したルーランタンが、なぜか正体不明の狂犬病のようなものにかかって、絶極城の一部が破壊されたこと。

 そして今日の一大イベントのために巨大な籤引きが作られ、その籤を誰から引くのかという根本的な問題を魔王である俺も入れて、2時間にもわたる議論が交わされたことぐらいだ。

 ちなみに誰から籤を引くのかというと、

 「早起きをした者から」

 である。

 説明をすると、こうなる。

 まず、人間達は今日の〈選出〉が籤引きだと知らされていない。

 だから今日、人間達はビンゴカードを用意して「公園」に行くつもりの筈だ。

 しかし、朝起きてビンゴカードに触れた瞬間、ルーランタンの広範囲魔術によってビンゴカードの10センチ上空に幻影__つまりホログラムのようなものが現れて、こう言う。

『今すぐ、「魔王運動公園」に来て下さい。あなた1人で、来て下さい。今すぐ、来て下さい』

 こう繰り返す。

 もちろん、ここまで言われても家族などと来る人もいるだろうが、正直「1人」に特別な意味はない。

 早く来てくれないと、できるだけ正確な「早起き順」にならないと言うだけの話だ。

 そして、「公園」に早く来た人から巨大な籤引きをすることになる。

 巨大な箱に、リレーのバトンぐらいの長さ、凧糸ぐらいの太さの棒が、人間(魔王側)の総人口である12万本入っている。

 1人目は、12万本ある内の1本を引くということだ。

 棒の先っぽが赤いもの、それこそが当たり__つまり絶極城の1人となる人間の誕生ということになる。

 オメデトーゴザイマス。


 そんな感じのルールにまとまって、今日そのイベントが開催されるとなり、魔王である俺は朝の3つ目鐘がなる頃に起こされた。

 魔王の部屋掃除士に起こされた。

 屈辱だ。

 なんだかんだいって起きた俺も凄いと思う。


 そして今、「公園」にいる。

 悪魔達と、「1人目」をかれこれ1鐘分ぐらい待っている。

 もうすぐ朝日が昇るというのに、人の気配もしない。

 俺らが起きたのが早すぎたんだよ。要は。

 ルーランタン達は、こういう「待つ」ことに慣れているらしく、ずいぶん長い時間と少しも動いていない。

 それに比べて俺は、座ったり、立ったり。

 退屈すぎて死にそうだ。

 そんなときだった。

『ふふ。大変そうだね、魔王も』

 あの、可愛らしい聲。

 俺の前には、どこからともなく少年の姿をした堕天使が現れていた。

「よぉ、ルシファア。退屈すぎて死にそうな俺の前に出てきてくれたのは優しさか」

 そう問う俺を嬉しそうに見て、ルシファアは笑う。

『 私も退屈だよ。籤引きでさえ退屈だというのに、いつ始まるのかも分からないなんて』

「分かった分かった。籤引きに変えて悪かったよ」

 そう言った俺は、本心ではない。

『そうそう、私が来たのには提案があって…』

 と、少年堕天使の可愛らしい聲は話し始める。

「提案?」

『今回、〈選出〉で選ばれた人間を、君〈魔王〉の側使いにすればどうかな。君はやっぱり人間がいいんでしょう?』

 なるほど。

 別に俺はその提案に異論はない。

 けれど。

「俺はいいよ。でもさ、勝手に俺の側使いに任命しちゃっていいのか?〈選出〉された人間のする仕事とか…」

『ふふ。いいの、いいの。君は〈魔王〉なんだから。それに、〈選出〉された人間がする仕事なんてないもん。この〈選出〉は意味を持たない、強いて言うなら行事だよ。悪魔の数が1つ増える。それだけの話』

 ルシファアがそう言うなら、と俺はその提案を承諾した。

 元人間の方が、ルーランタンより数十倍良いのは確かだ。

『…それにしても、遅いねぇ…』

「遅いねぇ…」

 2人で大きなため息をこぼす。

『ルーランタン達、ねてるじゃん』

「ええ?!寝てんのかよ、これ!目が開いてるから、てっきり……。…っていうか!そもそも悪魔ってめったに寝ないんじゃないの?」

 びっくり桃の木山椒の木、おまけに栗の木も、である。

『それぐらい退屈なんだよ。〈寝る〉方が楽しいぐらい』

 はぁ。なるほど。

『まぁ…悪魔達っていっても、あの子達は除くけれどね』

 そう言って少年の姿をした堕天使は指を指す。

 そう。あの子達は朝から、いやずっと元気いっぱい、そして今もこの場のBGMになりつつある。

 いや、なっていた。

「わぁ!あれ観て!」

「すごい!明かりが灯ったよ!」

「ふふっ。けいこうとうっていうんだよ!」

「にゃー!しゅごい!」

 俺達は、こんな感じのBGMをずっと聞いているのである。

 犯人はもちろん、こあくま4人。

 始めの方こそ、耳が痛かったが、もはや慣れてしまっている。

 この近くに住んでいる人間も、まだ起きていないということは、もうすごい事だと俺は思う。

 こあくま4人!もっと騒げ!

 人間達を起こしたまえ!

 …なんてね。

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