カナと図書室 2
灯りの一つもない、闇に覆われている絶極城の図書室を利用する者は、ごく僅か。
とてつもなく広い上、本棚も高い。いくら一億を超える書物があるといっても、悪魔のわからないことは、この世界にどってほぼ必要ないこと。その理由故に、カナが“とある本”を探している現在も、図書室の中はおろか、近くの廊下でさえ、悪魔の姿を見ることはなかった。
もちろん、独りで暗いところにずっといる恐怖は終始離れず、小さな物音がする度にカナは肩をびくつかせていた。
「絶極城全貌地図」を手に入れ、カナは恐る恐るそれを開く。
「……ふむぅ」
見開きに、小さい箱が敷き詰められている地図らしきものが載ってある。おそらく絶極城全体の地図だろう。恐ろしく広い範囲を記すその地図を見ていると、カナは自分が足を踏み入れた場所が、全体の五分の一にも満たないことに気付く。どうやらこの城は、私が想像しているものよりはるかに大きいらしい。
それぞれの部屋の名前の上に、そこを紹介したページの番号がふってある。
「図書室、図書室……と」
地図の一番端っこに、図書室と書かれた部屋があった。不思議なのは、その部屋が明らかに実際より小さく書かれていたのだ。比べてみると、自分の部屋である、『十五代目 〈選出〉者 室』とほぼ同じ大きさで表示されていた。
しばらくそのことについて考えていたカナであったが、考えても良い答えが生まれることはないと思い、“本”探しに意識を戻す。
「図書室……15298ページ……」
果たして、この「絶極城全貌地図」がそこまでページ数多い書物なのか、と疑問に思ったカナであったが、ぺらぺらとページを捲っていく度に納得していく。
「この本、すごいページ数……」
誰に聞かせるわけでもなく、カナは呟く。
どうやらこの図書室の本は、見た目が全てではないらしい。全部の本の分厚さが同じなのも、そのせいだろう。
カナはそんなふうに考えて、15298ページ目を開ける。
そのページから、図書室に関する文字でいっぱいだった。
「……で、私はどのあたりの本を探せばいいの?」
仕方なくなにか“ピーン”とくるページがないか、カナはページを捲り続ける。
「伝記、伝説、各地方言い伝え……。物語、法律、図鑑……。……この“らのべ”って、なんなの……?」
カナが聞いたことのない言葉も増えてきて、頭が痛くなってきたころ、15322ページの角が折れているのを見つけた。
そこには、
「アインさんの特殊絶対性理論の関連図書」
と書いてある。
これも全く聞き覚えのない語句だったが、その折れ目が何かをカナに言おうとしている気がしたので、カナはその棚に向かうことにした。




