カナとプリン 3
絶極城の、エントランスホールにて。
こあくま四人と魔王の叶偉は、カナ達が帰ってくるまで、何をしようかと相談していた。
「なんかゲームとか、ないのか?」
という俺の問いには、珍しく
「チェス!」
「トランプッ!」
「えーっと、オセロ」
「じゃあオセロ!」
と、意見が分かれた。
「オセロでもするか…」
と俺が言うと、チェスとトランプと言った二人が、四人目のこあくまを睨みつける。
四人目のこあくまは、にゃあにゃあと言って、唱えた。
「デ・デデスルノーン・カカスル・オセロ!」
ぴゅうわーん、という音と光に包まれて、俺達五人の周りにオセロが何十セットも現れた。
「もう…」
「個数制限しないから…」
「デ・デデスルノーン・オセロ・ブラウド・ツー!」
三人目が唱えた魔術により、オセロは二ですつだけを残して消えた。
「さて。オセロをしますか」
「私達、頭は良い方だから」
「ねえ、せっかくだから何か賭けようよ」
「にゃん!トーナメントしよう」
四人が口々に話す。
「じゃあ、こうしよう。トーナメントして、一位だった者が最下位の者に一つ命令できる」
俺の提案は四人に賛成されて、五人のトーナメントが始まった。
じゃんけんにより、シードは俺。第一試合は、こあくまの一人目対四人目と二人目対三人目。
「じゃあそれぞれ始めてくれ」
他人事の勝負を観るのがあまり好きではない俺は、床に寝転んで足を組んだ。
「終わったら、起こしてくれ」
そう呟いて、俺は目を閉じた。
「かーい」
「終わったよー」
「かい?おきてー」
「かいにゃん」
四人の聲で、目が覚めた。
「ううーんと、どうだった?」
俺が訊くと、四人はさっきまで戦っていたのだろうオセロのボードを持ってきて、見せた。
どちらも良い勝負で、角はなんとどちらも二つずつ取っていた。
四人の話によると、勝ったのは三人目と四人目。さすがはオセロを希望していただけある。
シードの俺は、どちらと戦うのか選ぶこともできる。
少し悩み、俺は四人目と戦うことにした。
「にゃあ、かいにゃん。黒か白、どっちがいい?」
「たしか黒が先攻なんだよな。じゃあ黒で」
「にゃあ、このゲームは引き分けを認めないから、石が同数の場合はこっちが勝ちね」
そう俺達は話して、三人のこあくまが見守る中、ゲームが始まった。
前の世界にもオセロはあった上に、俺はこのオセロが得意な方だ。そう簡単に負けるはずがない、そう思っていた。
しかし、俺はオセロのボードを見て、脳内に衝撃が走った。
10×10マスなのだ。
たしか前の世界、日本とかアメリカがある世界のオセロは、8×8マスだ。
慣れないマスで戦うのは、ずいぶんと不利に感じる。
「にゃははは」
こあくまの四人目が笑う。
「気づいた?」
「寝てたから、気づくのが遅れたね」
「この世界でも、オセロは基本、8×8だよ」
俺は、自分がしてしまったミスに気がつく。
10×10は、こあくま達ぐらいしか慣れていない。このオセロは、こあくまに有利なのだ。
ゆっくりと、俺は一手目を打った。




