カナとプリン 2
「さて…。集まりましたね…?」
ルーランタンの聲が、絶極城のエントランスホールに響く。
カナが提案した、《プリン作り》の参加者は、初めは三人だったが今は、カナ、ルシファア、こあくま四人、前代の〈選出者〉というサネ、指導者ルーランタン、そして魔王叶偉の八人となった。
なんでも、この《プリン作り》は材料から採りにいく企画らしい。
自動的に、絶極城の外に出ることは決定され、今から玄関を開けるということである。
また、カナと俺はどちらか片方が城を出ると、もう片方は城に残らなければならないので、二グループに分かれることになった。
「では。今からAグループのカナ、サネ、ルシファア様、そして私ルーランタンが人間のテリトリーに行きます。ルートや目的地は私が全て決定済みですので、全て私にお任せください。Aグループが帰ってくるまで、Bグループの魔王様、クソこあくま野郎はおとなしくこのエントランスホールで待っていてください。…まあ、そうですね……五時間ほどで帰ってきます」
ルーランタンはここまで言い切ると、くるりと体の向きを変え、絶極城の玄関、どでかい扉を睨んだ。
「それでは。魔王様、行ってきます」
ルーランタンの後ろに、カナ、サネ、少年の姿をした堕天使が並ぶ。
「いってくるねー…」
カナがそう言うと、前〈選出者〉と名乗ったサネが会釈する。
そして、俺とカナにしか見えないルーシェルが、俺の方を向いてこう言う。
『女の子四人と一緒だからって、襲ったりしちゃ駄目だからねー』
カナは顔をしかめてルシファアを睨んだ。
カナはまだプリンを食べたルシファアを許していないらしい。
俺は苦笑しながらいってらっしゃい、と小さな声で言うと、ルーランタンは魔術を唱えた。
「デ・カムノーン……」
大きな音と共に、大きな扉が開く。
「デ・デデスルノーン・ルーア」
そのとたん、ルーランタン達は眩い光に包まれ、高い音と共にその姿を消した。
「いいなあ、魔術。まだ俺、教えてもらってねえよ…」
そう俺は小さく呟いた。
「まじゅつ?」
「まじゅつかあ?」
「まじゅつ!」
「にゃじゅちゅ!」
やっぱり四人目の「にゃ」が難しい。
そう俺は思ったが、こらえる。
「お前らはできるんだろ?」
そういう俺の問いをを聞いて、こあくま四人はふふふと笑う。
「デ・カカスル」
「デ・カカスル!」
「デ・カカスルッ!」
「デ・デデスルノーン・アム!」
三人目までの魔術は、それぞれエントランスホールにあった白銀を甲冑を動かした。
しかし、四人目は。
「にゃあぁぁ!」
その聲だけを残して、姿を消した。
「ああ」
「嗚呼」
「個人移動魔術…」
前から、四人目は天然だと思ってたんだが、どうやら大正解だったらしい。
四人で無言の相談をしていたが、しばらく待っていると。
「にゃあああ!」
という聲を上げて帰ってきた。
こあくま四人は笑顔で俺を理由なく見つめていたが、俺は「デデスルノーン」の方の魔術を自分から唱えないことを心の中で誓った。




