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魔王生活っ!  作者: 山路みかん
1章 第15代目魔王 起床
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カナとサネ

 私が悪魔達に連れられたのは、絶極城に入ってすぐの部屋だった。

 そこに私が入ったのを悪魔達は一瞥すると、何も言わずに部屋から出て行った。

 しばらくその部屋に1人にされた私は、何もせず、突っ立っていた。

 部屋を見回す。

 私の家の部屋の何倍かある広さを持つ、その部屋は、朱い床は考えられないほどふかふかで、壁には赤々しい宝石が散りばめられていた。

 全体的に赤いその部屋を見ていると、目が痛くなって、くらくらしてくる。

 しかたなく瞑目する。

 そのとき。

 ががーん、と部屋のドアを開けて入ってくる数人の人達がいた。

 若い女性、おばあさん、おじさんくらいの年の人や、私よりも年下に見える少年まで。

 実に、様々だった。

 その人達は、私の前に整列した。

 しばらくして、一番に入ってきた若い女性が口を開けた。

「こんにちは。私の名はルラです。そして、私達は歴代の〈選出〉によって選ばれた者です。私達〈選出〉者は、歴代の魔王に仕え、その魔王が御隠れになったとき、私のように〈悪魔〉に限りなく近い存在となるのです。…あなたも、例外なくね」

 ルラと名乗った女性は、横の男性に囁いた。するとその男性から、1人1人名乗り始めた。

「私は2代目〈選出〉者、ガナノラム」

 ガナノラムから、13代目まで色々な格好、色々な容姿をした人が順番に名乗る。

 そして、14代目。

「ぼ…ぼくは、サネ。14にんめの、せんしゅつしゃです。きみの、師匠…となってきたいろいろおしえるのは、ぼくです」

 小さな少年のようなサネは、可愛らしい聲でそう言うとお辞儀をした。

 つられて私も会釈を返す。

「一応、言っておくけれど、ここにいるあなた以外は〈選出〉された時から、容姿は変化していない。だからそこにいるサネも、年を言えば36になる」

 そう言う1代目〈選出〉者ルラは、果たして何歳なのだろう。

 そんなことを考えていると、ルラは続けて話す。

「最後に、君の名前を教えてくれないかな」

「カナです。父が昔から好きだった樹の名前を付けてくれました」

「カナか。いい名だな」

 そう言ってルラは、じゃあいくぞ、と号令をかけてサネだけをおいて部屋から出て行った。

 サネは私に近づくと、「師匠」っぽい感じで話し始めた。

「じゃあ、カナ。初めに〈選出〉者について一通り説明しておくね」

 サネは先ほどよりもはっきりと、大人になったような口調で話し続けた。

「〈選出〉者っていうのは、人間だった者が〈選出〉によって悪魔のような存在になった者のことを言います。だから君もぼくも、〈選出〉者」

 かはは、と何故かサネは笑うと、私を直視して言う。

「〈選出〉者の特徴の1つに『永劫不変』っていうものがあって、それは〈選出〉された時から容姿も、身体能力も、着ている服でさえ、変わらないってことなんだ。そこが、悪魔達との一番の違いかな。あ…でも、〈魔術〉の能力だけは変化するよ…なんでだろうなぁ…」

 しばらく首をひねっていたサネだが、まぁいいや、と呟くと何事もなかったかのように続けた。

「…えーっと、あと〈選出〉者ってなんで必要かというと、実はその代の〈選出〉者は魔王が死ぬまでの間、『堕天使長ルシファア』のことが見えるんだ。要は“魔王だけじゃ信用できん”ってことなんだよね。だから今の君には“あの”堕天使長が見えて、ぼくにはもう見えないってこと」

 私はある程度は理解できたけれど、あまりインプットできていない感じが残った。

 そんな私の心中を理解したかのようにサネは言った。

「まあすぐ理解できる人なんていないから、今すぐ理解しろとはいわないよ。だからゆっくり、理解すればいいさ」

 またサネはかはは、と笑うと続ける。

「次は、〈選出〉者の仕事についてだね。基本的には“雑用”全般や、得意分野の仕事に配当されるんだけど…」

 そこまで言って、サネは言葉を濁す。

「君の場合、『魔王勅命』が出ていて“魔王の側使い”になるらしい」

「え…っと……私だけ?」

「まあ、これまでの魔王がこんな勅命を下したのは初めてらしいから、君だけってことになるんだとおもうけど…」

 サネは言いにくそうに私に言うと、少し笑顔になって言う。

「まっ、別に大変な仕事じゃないと思うし、他の仕事も君だけしなくていいってことはずいぶんラッキーだとおもうよ」

 ちょっとしたフォローが入る。

 サネはその調子で続ける。

「…ってことで、君はもうすぐ…できたら今すぐ『魔王』のところに行った方がいいと思うんだ。だから…その……ぼっぼくについてきて!」

 そう言うが早いが、サネは部屋のドアに向かった。

 その後を、まだ少し混乱ぎみの私がついていくのだった。

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