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ふたつの鼓動  作者: 入山 瑠衣
第十章 アインガルドス帝国皇帝
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百十八回目『文句あるか?』

 平和な雰囲気を醸し出す若者たちを眺めながら、地面に寝そべる青年に声をかけた。


「体を揺すって起きない気か? 隙をついて俺を殺そうとしているのが見え見えだぞ」


 チッと舌打ちをしてつまらなそう表情を浮かべながらヴァスティは立ち上がった。服についた土を払いながらため息をつく。どうも何か腑に落ちないことがあるようだ。


「ため息をつくと幸せが逃げるらしい」


「ケッ……あんたには言われたくないな」


 それをバルフィリアに聞こうとするも先に冗談を言われてはぐらかされる。


「ため息がどうとかはどうでも良いんだよ。あんたなら知ってるんだろ、俺がまだ生きてる理由が。俺は確かにミカヅキ(あいつ)の槍を受けたはずだ。なのに何でまだ……」


「訊く必要はないと思うがね。自分で理解しているだろうに、良い加減素直になりたまえ。君は彼に、彼らに負けたんだよ」


「……。そうか、俺は負けたのか」


 呟いて俯くヴァスティ。

 見事なまでの完全な敗北だった。それはつまり、ミカヅキたちの勝利である。


 “殺さない”を貫き通して、『雷光の剣聖(ヴァスティ・ドレイユ)』相手に彼らは勝利をその手に掴んだのだ。


 こんな妙な感覚は生まれて初めて抱くものだった。


「変な感じだ。負けたってのに、悔しいどころか嬉しい気がする。あいつになら負けても仕方がないって納得している自分がいるんだ。ふぅー、本当に訳のわからん奴だ」


「そうかい? 俺はヴァスティ()ミカヅキ()は似てると思うんだがなぁ。まあいずれわかることだろう。意図せずとも人を惹き付ける者はいるものだよ、彼やマリアンのようにね。君だって一応その素質はあるんだけど、普段の態度がなぁ……」


 これでもかな訝しげな表情を顔を上げてミカヅキたちを見据えるヴァスティに見せつける。


 イラッとして殴るも残念ながらその拳は虚しく空を切る。


「俺とあいつの何処が似てるってんだっ。全く似てないっての!」


「ほら、そういう頑固なとことか――と、その話はさておきだ。敗者になった君はこれからどうするんだい?」


 音速を越える拳を難なく躱わし、悪戯な笑みを浮かべながら尋ねた。正直に言えば訊かなくてもわかりきっていることだが、声に出して宣言させるために“あえて”訊いたのだ。


 ヴァスティもわかってるくせに、と心の中で悪態つきながらも意図を理解していた。故に気が乗らなかったが、非常に気が乗らなかったが答えることにした。


 数分ほど表情筋を鍛えていただけで、ちゃんと団長の問いに返答したのだった。


「あんたの手の上で踊らされてるようで腹立たしいが……」


 それでもある意味自分に正直になってしまうのが彼らしいと言うべきだろう。


 バルフィリアも彼のこの態度は今に始まったことではないので眉一つ動かさない。微笑みを浮かべたまま返答を待っている。

 若干、口角がピクピク動いているのをヴァスティは無理やり見逃した。


 理由は明白。せっかく数分の時間があったのに一瞬で無駄にしたのだから、笑ってしまうのは無理もない。と言うか見る側からすれば、あれほど次々と豊かに変化する表情を見せられて、笑うなと言う方が酷なものだ。


「俺は――ミカヅキ(あいつ)と共に皇帝をぶっ倒す。文句あるか」


「バカだな」


「何だとぉ?」


 率直な罵倒に目上の立場のバルフィリアに睨み付けるヴァスティ。


「おっと、いやすまない。文句はないよ、文句は。ただバカだなと思っただけで」


「バカバカ言うんじゃねえよ。……あんただって気付いているだろうが。今の皇帝は俺たちの知ってる皇帝じゃない、まるで別人だ。その原因を、あいつといれば解決できる気がするんだ。それに……皇帝と一回戦ってみたかったしな」


 それが一番の理由だろうに、とバルフィリアは苦笑しつつ頷いた。


「良かったよ、君がやっと自由になれたようで」


「自由、ね……。たぶんそうじゃない。覚悟を決めただけだ、失う覚悟をな。あとは、あいつの子どもみたいな夢を叶えられるかどうかを見たくなった」


 彼が子どもみたいな、と称するのは当然だろう。

 戦場に立つこと、それは即ち敵を殺すことに等しい世界で誰も殺さずに終わらせようって言うのは無茶を通り越して無謀だ。


 だが、そんな馬鹿げたことをバカ真面目にやろうとしている夢見る少年に、いつかの自分を重ねてしまうのも必然なのかもしれない。


「さてと、じゃあ俺は行ってくるぜ団長。あんたのことだ、どうせ後から来る連中の相手をするんだろ?」


「もちろん。マクトレイユが魔神王として覚醒したらしいしな。相手をしなければ損だろう」


 ヴァスティの問いにバルフィリアは笑って返した。


 彼の返答を聞いて、以前からドルグに耳にたこができるほど釘を刺されたことを思い出す。エクシオル騎士団団長――アイバルテイク・マクトレイユには手を出すな、と。


 ふんぞり返ってドシドシと音を立てる勢いで前を歩くヴァスティに視線を向けていたが、ふと、背後の帝都の方で何かを感じ取ったのかちらりとだけ視線をずらした。


「これは氷の、魔法……?」


 そう呟いて面白いことをすると微笑みを浮かべながら前を歩く剣聖の後ろをついていった。

 帝都の中では、ドーム状に透けた何かが広がって形を造っているのが見えたが、それに気付きながらも彼は気にしないことにしたのだ。



 ――本当はヴァスティだけのはずが、「実は俺も用がある」とかでバルフィリアも一緒にミカヅキ一行のもとへと赴いた。


 警戒するミカヅキたちに対して、


「心配するな、俺は決闘でお前たちに負けた。勝者の条件は守るさ。ただ……」


「何を照れてるんだ、気持ち悪い。コラコラ、暴力はいけないな雷光の剣聖」


「あんたがいちいち余計な一言を言うからだろうが! 話を戻すと、俺もお前たちに同行する」


 あらぬ提案にミカヅキたちは仲良しの子猫たちのように同時に首を傾げた。


 彼らのこの反応は至極当然だ。ついさっきまで「殺す!」とか叫んでた相手がいきなり一緒に行動するなどと言ってきたのだから。


「まあ、簡単に言うとミカヅキ()の強い決意に胸を打たれたんだよ。笑えるよね?」


 と隣に立つヴァスティを惜しげもなく嘲笑うバルフィリア。さすがにこの光景にはミカヅキたちも苦笑で返さざるを得ない。下手に刺激するわけにはいかないからだ。


 現状、今の彼らでは束になってもバルフィリアには勝てないことを理解していた。


 故に本心だとしても、罠だとしても良好な関係を築こうとしている以上、無下にするのは得策ではないのだ。


「あなたが私たちに同行して、こちらは心強い戦力を得られるメリットがある。だけど、あなた自身のメリットは何? 単にミカヅキに心を打たれただけで味方になるなんて、雷光の剣聖たるあなたが言うわけがないわ」


「ミーシャ……」


「ミカヅキ、姫さんの言う通りだぜ。エイン(こいつ)の時はレイディアって言う後ろ楯があったから信じられた。それでも完全には信用してなかったが……。だが、今回は話が違う」


 突っぱねるミーシャを迷いながらも止めようとしたミカヅキに対して、レイも彼女に同意すると口にした。


 確かに彼らの言い分が正しい。そんな易々と敵を信じるほどお人好しなら、既に命を落としているだろう。


「お前たちの言うことはごもっともだ。俺自身バカげたことだと未だに考えている。だがな、俺はこの国を元の平和な国にしたい。民が笑って過ごせる国にな」


「……どういうこと?」


「それについてはボクから説明するよ。一応君たちの信頼を勝ち取ってるらしいからね、ボクがした方がいいでしょ」


 ヴァスティたちが歩み寄ってきてから沈黙を守っていたエインが、ここに来てようやく思う口を開く。


 それはアインガルドス帝国の実態であり、衝撃的で簡単には信用できないほどの事実だった。




 ーーーーーーー




 バルフィリアとマリアンに背中を押され、アインガルドス帝国の帝都――ケルサスに足を踏み入れたレイディア。


 失っていた魔力は弾丸で補充したのだが、体力の回復に少々時間がかかった。強者との度重なる戦いが、確実に彼の全てを消耗させていた。



 事前の情報収集で知っていたとは言え、改めて目の当たりにするとやはり衝撃があった。と言っても、彼の場合は“目で見る”のではなく、周囲に展開した魔力によって状態を把握すると言ったものだ。


 一種の魔力感知でその能力をほぼ極限まで極めているため、目が見えない状態でも見えているのと同じ、またはそれ以上の周囲の情報を得ることができるわけだ。


 故に彼には幻覚が効かない。そのため、見せかけの張りぼては彼には通用しない。


「これが、世界最大の国の成れの果てか……」


 一見、何の変哲もない人々で賑わう街並み。喜怒哀楽のいろんな表情を浮かべ、それぞれの生活を謳歌している。まるで今が戦争中であるかなど忘れてしまいそうな平和な風景だった。


「酷い」


 もう一度言おう。レイディアには幻覚は通用しない。彼は見せかけの偽物ではない本物が“見えていた”。


 ……そう。賑わう街並みや、多種多様の表情を見せる人々が――既に朽ちているのが彼には筒抜けなのだ。


 あまりの惨状に胃から何かが逆流してきそうだった。


 ――建物は荒れ果て、辛うじて形を保っているに過ぎない。更には歩く人々はもはや生きておらず死人である者たちを人形のように操っているだけだ。


 レイディアが二年前に奴隷回収のために潜入した時はこんな有り様ではなかった。本当の意味で活気づいて、少なくとも外壁の中は神王国や王国などの賑わいと何ら変わらず栄えていた。


 それが今や見る影なし。周囲に広がるは廃墟と化した建物。街を歩くは表情を二度と変えることの叶わない死人たち。ある意味これも一つの国の形なのかもしれないなどとまで考えてしまいそうだ。


 偽物の世界なら誰も死なない、争いもない平和な国となるのだ。

 帝都全域ではないのがせめてもの救いか。


 深呼吸をして、一旦心を落ち着かせる。


「わかってはいたが、さすがに堪えるな」


 彼がぼやいたタイミングで、死人たちの動きがピタリと止まった。

 グリッと首だけが一斉にレイディアの方に向けられる。

 すると隠す必要がないからか唸り声を上げながら彼に飛びかかって攻撃してきた。


「ったく、はた面倒な」


 動く死人である故に、生半可な攻撃では意味がない。つまりは完全に身体を破壊、または消滅させるのが一番効果的である。


 いつもの彼なら迷わず凄まじい爆発でも起こして徘徊する死人なぞ吹き飛ばすことだろう。


 しかし、今日の彼はそんな派手なことをするつもりはないらしい。ため息をついてから、両手に腕から出た光の粒子が収束して形となったリボルバー式の銃を携えた。


「すまない、亡者たちよ。私にはこの程度しかやってやれん。凍れ、氷結弾」


 銃口から放たれた弾丸は、衝突するや否や襲い掛かってくる屍たちを次々凍り漬けにしていく。

 音に引き付けられたのか次第に数を増していった。


「なるほど、刀も特有魔法も無ければこんなに手こずるんだな……」


 自分を嘲笑うかの如く呟いた。


 確かに調子が出ていない、並びに彼らしくなかった。何か理由があるのか攻撃に迷いがあるとも思えた。


 走りながら撃っても弾丸は百発百中の命中率で、的確に一定の距離以上に迫った相手を優先している。冷静さを失っているわけでもなく、怒り狂っているわけでもない。


 彼が躊躇する理由は何なのか――。


「悪趣味な」


 狙っているとしか思えないほど、女性や子どもが数を占めていた。男性も来るには来るが、数の割合が圧倒的におかしかった。


 誰かが統率しているとしか考えられない、子どもを投げつけてきたりなど明らかにレイディアの感情を逆撫でしていった。

 更に襲ってくるのは死体だけじゃないのだ。生きている者も少ないが確実に混ざっていた。


「ふぅー」


 突然レイディアは足を止めて深呼吸をした。その間も容赦なく死人たちは彼に迫る。


「ソフィ、お主の魔法、使わせてもらうぞ。装填――」


 左手の銃の銃口をあろうことか自身の頭に向けて迷わず引き金を引いた。バンッと銃声が周囲に響き、レイディアは頭から血を流して倒れる――かと思いきや、血など一滴も流れていない。


 死ぬどころかむしろ生き生きしているようにも見える。加えて瞳の色が黒から水色へと変化していた。


 両手を広げ、銃を手離すと同時に二つのそれらは光の粒子となって彼の両腕に染み込んで消えた。


「ここに顕現するは何者も凍てつく世界。ここに存在を許されるは我のみ、世界よ凍れ――氷結せよ我が世界(アイシクル・プリズマ)


 詠唱が終え、その名称を口にした途端――彼を中心に世界が凍っていく。それは迫り来る死者も生者も建物も全てを呑み込んで凍らせた。


 周囲に広がるは氷の世界。そんな空気すらも冷えきった極寒の世界に立つことが許されたのはただ一人――レイディアのみである。


「オー怖い怖い。平然と人を殺せる男は本当に恐怖の塊だ」


 否。もう一人。

 サーベルを右の腰に携えた青い髪の青年が、パチパチと拍手をしながら皮肉のように言ってきた。


「……」


「おやぁ? 挨拶もできないのかなぁ? オレ様に会いたがってたんじゃなーいの、レイディア・D・オーディンさんよぉー」


 歯を食い縛り、拳を握りしめ、赤い滴が地面へと落下する。


「いやぁ、楽しかったなぁ、無駄なのに逃げ回るバカ共を見るのは」


 正面に立つ男を見えないながらも睨み付け、深呼吸をして胸の底から込み上がってくるものを全力で押さえつける。そうでもしなければ、今にも――殺してしまいそうだった。


「確かに私は貴様を探していた。恐らく普通ならこんな時、待ちわびたとか言うんだろうな」


 彼は天帝騎士団の副団長――クルーエル・キーディノス。


 レイディアがこの世界に転移してきて、一番最初にお世話になった村人たちを皆殺しにした張本人である。


 クルーエル一人のためにレイディアは世界最強の騎士団――天帝騎士団に単独で戦いを挑んだ原因こそ、一般的に存在自体知られていない人物である彼を犯人だと突き止めたからだ。


 だが残念ながらその時には力及ばず仕留めることはできなかった。そんな恩人たちの仇が目の前に悠然と立っているのだ、怒りが表に出るのは当然だろう。


「じゃあどうするんだね、オレ様を殺すのかなー? でも無理だよねー、オマエなんかじゃオレ様に指一本触れることすらできないね」


「戯れ言をほざいてんじゃねえよ、雑魚が」


 レイディアは挑発など気にせず、無表情かつ冷たい眼差しを向けて罵倒した。


 予想していた態度と違ったのか、クルーエルは眉をピクつかせてイライラしているのが丸わかりだった。


「オレ様が雑魚だと? アァ、良いぜ、調子に乗ってられるのも今の内だ。オマエの大事な人を一人残らずオマエの目の前でたっぷりと弄んでから残酷に殺してやる。オレ様の最強の特有魔法でな!」


 下衆に似合う気持ち悪い笑みを浮かべながら、声高らかに宣言しながら手を振り上げる。


 しかしレイディアは無表情のまま動こうとすらしない。


「今さら怖じ気付いても遅えんだよ! ケハハハハハ……ハ?」


 何が起きたのか理解できないクルーエルに冷たい眼差しを向ける。


 振り上げた彼の手首から上が何故か弾けて周囲に飛び散った。端的に言えば手が爆発したのだ。

 先が無くなった手首を見てようやく現実を理解し、激痛に悶絶の叫び声を上げた。


「どうしたんだい? 私は何もしていないぞ。雑魚は自作自演で敵を興じさせるのか?」


「クゥッアアアアアアッ! てめぇっ、何をしやがった!!」


「ったく、だから貴様は雑魚なのだ。確かに貴様の特有魔法は最強だろうよ。だがな、それがどうした? 一つ、貴様は忘れていることがある。――私を誰だと思っている?」


 クルーエルの背筋にゾクリと恐怖が駆ける。


 彼の特有魔法――『世界を我が手に(マイ・ワールド)』は自身を中心とした一定の範囲内の環境を自分有利なものへと書き換える魔法である。使いようによっては圧倒的な防御、反則的な攻撃も可能。


 なら、レイディアは指一本動かさずにどうやって無敵に等しい防御を突破したと言うのか。


「その様子だと本当に理解不能のようだ。簡単だ、貴様の防御網をすり抜ける攻撃をすれば良い。どうやら貴様は空気に関しては何も弄ってないからな、そこを突くのは当然ではないかね?」


 周囲に展開した魔力でクルーエルが来ることは事前に察知していた。

 故に先ほどまで使っていた銃で放っていたのは相手を凍らせる氷結弾と一緒に別の効果の弾丸も混ぜておいた。それを空中で滞在させて一定時間が経てば発射されるようにしていたのだ。


 ピンポイントに、クルーエルが手を振り上げた場所をだ。


「バカな! オレ様の……ウッ、特有魔法は団長すら詳細を知らない情報だぞ! それをなぜオマエのような薄汚れた田舎野郎が知ってんだよ!!」


「差し詰め、空裂弾ってとこか。……ああ、何故知っているかなど貴様なんぞには教えんよ。バルフィリアは気付いているようだが」


 怒りと恐怖と恨みを叫ぶクルーエル。血が止めどなく出続ける手首を反対側の手で押さえて止血しようとしているらしい。


 出欠多量の影響か、彼の顔色が徐々に悪くなっていき、息づかいも荒くなっている。


「死にそうだな。だが残念だったな、死なせる(楽にさせる)わけが無いだろ――亡者の鎖(デモンズ・チェーン)


「な、なんだ!?」


 レイディアが口ずさむと、地面から錆び付いた鎖が無数に伸びてクルーエルの身体を貫いたり巻き付いたりして拘束する。すると手首から溢れるように出ていた血の勢いが急激に弱まった。


「安心しろ、この鎖に繋がれている間は死ぬことは無い……決してな。さぁ、貴様に痛み、苦しみ、絶望、恐怖を私自らが教えてやろう、特別にな。貴様が与えたそれら全てを、その身で味わうが良い」


 途端に余裕一色だったクルーエルの表情がみるみる恐怖に染まっていく。


 もしかしたら無慈悲と言う言葉が似合うのは、レイディアの方だったのかもしれない。

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