森を抜けろ
pvが少しあって感動しました。
これからも、見ていただけると幸いです。
結局盗賊からとれたものは銀貨2枚と銅貨12枚でした。
貨幣価値をナタリーに聞いてみてもよくわからなかったけど、このお金で2日くらいは凌げるみたいです。
「ナタリーお腹大丈夫?」
お腹を軽くさすると、いたそうな顔をしてるのですぐやめます。
「う…。まだ痛いかな。」
「なんとか撒けたようで良かった。もし、この力が無かったらどうなってたことか。」ぶるぶる
「男の人ってみんなああなんですかね…。」
「ボクの村の連中もあそこまではひどくないけど、あんな感じだったな…。」
ナタリーが遠い目をしている。これはそっとしておくのが1番かな?
「とりあえずこの森を抜けましょう!1番近くの町まであとどれくらいですか。」
「運が良ければ後4時間かそこらだよ。夕方までにはつけるはず。」
とりあえず進んでいくことにします。また猪が出てきましたが、鎖術を使えば倒すことができたした。今日のご飯ゲット!かな?
順調な旅路の中急にツーンと腐臭が鼻腔を通った。心が凍りつくかのような感覚が私たちを襲います。
「まさか…。」
「な、なに息が、苦し…い。」
呼吸が苦しくなってきました。黒い霧が森の中を覆ってゆきます。
「あれに、触れては、いけない!逃げて!」
「あ、あぁ…。」
「ーーーーもう逃げ場などない。この森に立ち入ったこと、後悔するがよい。」
その黒い霧が話しかけているのでしょうか。低く、男性のような声です。
怖い、倒せる気がしない。絶望しか感じないよ。
「我の復活の瞬間に立ち会えるとは、光栄なことだぞ、小童共。」
霧が収束し、ぼやけた騎士のような形をとる。その騎士が腕を振り下ろすと、黒い霧が私の体内に入ってきた。
意識が…、なくな…る…。
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「パパ、今日はどこにいくの?」
「なに、ただのピクニックさ。お弁当をママに作ってもらったよ。」
パパがにこやかに笑ってる
「ママはこないの?」
「ママは、病気でいけないんだって。さ、馬車にのって。」
パパに手を引っ張られ馬車に乗る。
幸せな家族の1シーンだ。ここで景色が暗転し、何故か宿屋のベッドの上だ。しかも、パパが裸で私の上に乗ってます。
なに、怖いよ。重いよ。痛いよ。助けて!ママ!!!
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-ナタリーside-
信じられないおとぎ話で聞いていた、魔王の四天王、水のヴァイスだ。常に腐臭を放つ黒い霧を噴出し、その毒霧や、幻惑術を用いる厄介な相手で勇者も苦戦したと聞いた。
あの、勇者と魔王のお話は実話だったの!?ありえない。
魔法なんて使える人はいないし…。
ボクなんかが相手をすべきではない。逃げるべきだ。
そう思った時だ。
ヴァイスが、シャーロットの口に霧を流し込んだ。まずい。
「これは、記憶の中の悪い出来事を想起させるものだ。この霧を自力で解く術はない。苦しんでる人とは見てて面白いものだ。そう思わないか?小娘。」
「こんな、こんなこと許せない!」
「何をするというのだ?…ぬ…?この娘、魔力を持ってるな。それも莫大な…。魔王様のよい器となるだろう。」
「器?」
「貴様が知る価値はない。これほどの魔力では抑えられるのもこれまでだろう。…ここは、一旦引くとしよう。さらばだ。」
なんだよ、いらつくなぁ。と思ってる間にもう消えたようだ。とりあえずどこかへ行ってくれて良かったよ。で、シャーロットだ。苦悶の表情を浮かべ寝ている。
「おきて、シャーロット。大丈夫?」
ようやく起きたみたい。
「え、あ、あぁ。ナタリーですか?…う、うぁ…。」
泣いてるみたい。肩を震わせ、怖がっているみたい。よっぽど怖い記憶だったのかな。
そっと、抱きしめて頭を撫でてあげた。
「そんなに怖かったの?大丈夫、ボクがいるよ。安心して。」
「うぅ、ぐす…。ナタリー、ありがと…。」
「あいつも、もういなくなったから。宿に行ってやすも?おぶってあげるよ。」
「はい、お願いします…。」
ぎゅっとしがみついて離さないシャーロットは子どもみたいでなんだか可愛かった。
霧が晴れたあとは簡単に町にいくことができた。コーリンドといって、港町だ。