表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

#5「終焉」

実はこれプロットなし、それどころかキャラ設定もしていないんです。


 もうすぐだ。今日を頑張れば明日で冬休みになる。

 短い日数だが、貴重な休日だ。

 ヒナの家に行ってから、僕は忠告を守って菜花梨紗に話しかけなかった。

 なのに、菜花梨紗とはまだ関わっている。

 あの日以来、菜花梨紗の方から話しかけてくるようになったのだ。

 それも親しげに、だ。

 あまりの急変ぶりに、つい友達になってしまったくらいだ。

 いや、友達というのには語弊があるか。

 顔を合わせれば世間話をする程度の仲にはなった。

 相変わらず、何であの魔導書を読んでるのかは、教えてくれないのだが。

 ヒナには報告していない。まあ、大丈夫……なはずだ。

 重大なことなら理由を言うだろうし。

 終業式が終わると、やはり菜花梨紗が会話を仕掛けてきた。


「話があるんだけど」

「どうしたの?」

「明日、時間ある?」

「あるけど………」

「何時まで?」

「条例違反になるまで」


 条例では確か六時以降は中学生は出歩けないことになっている。

 とはいえ、六時以降まで遊んでいる奴らはたくさんいる。

 というわけで大体七時くらいだ。

 ま、家は言ってれば何時まででも良いわけだけど。

 補導されなければね。


「じゃあ、深夜零時までは無理?」

「うーん。どうかな。やろうと思えば出来るけど」


 悩んだふりをしていると、菜花梨紗は僕の耳元で囁いた。


「来てくれたら面白いもの見せてあげるよ」

「面白いもの、ってなに?」

「だから、来たらそれを教えてあげるって言ってる」


 なにその作戦。古いやり方だ。

 だが、効果的。

 特に僕みたいな人間にはね。

 そんなこと言われたら気になって夜しか眠れない。

 だけど深夜十二時ってのはなぁ。

 流石に却下されそうだ。

 しかし、言うだけタダだし、試してみるか。


 その日の夜、僕はお母さんに直談判をした。


「明日、夜の十二時まで外で遊ぶ約束をしたんだけど、良い?」

「だめ」


 無理だった。

 だが、もうちょっとだけ粘ってみよう。


「来月のお小遣いなくていいから」

「お年玉いらないの?」

「あ、いる」

「じゃあ、ダメ」

「いや、でも――」

「大体、そんな時間まで何して遊ぶの?」

「さぁ、知らん」

「なにそれ」

「知らないもんは知らないし」

「とにかくダメなものはダメ。冬休みだからって弛みすぎ」


 ひどいなぁ、全く。

 ちょっと遅くなるくらい、いいじゃん。

 よし、こういう時はヒナに相談しよう。

 困った時のヒナ頼み。

 さながらプラモやラジコンの製作が得意ないとこに頼むように。

 あの人ならきっと一秒で新しい意見を作ってくれることだろう。

 とはいえ、忙しい人だからな。

 嘘も看破されそうだし。

 こうなったら…………抜け出すしかないか。夜中にこっそりと。


 僕はその旨をメールで菜花梨紗に送った。

 数十分待っても返信はこない。

 おかしい。だけど、何か返信できない理由があるかもしれない。

 だが、もしかしたら。送る相手を間違った可能性もある。

 送信履歴を見ると、さっき送ったメールはヒナ宛てになっていた。

 うわ、まずい。どうしたものか、どうしようもない。

 とりあえず同じ文面のメールを菜花梨紗に送った。

 今度は間違っていない。

 間違っていなかったので、返信が来た。

 絵文字一つすらない質素なメールだ。見易くていい。

 内容は次の通り。


「抜け出そうと許可されようと来れるなら何だっていい。

明日の深夜十二時、北原公園で待っている」


 なんだか果し状みたいだ。

 口調、変わりすぎだろ。


 さて、翌日の深夜十一時四十分。

 玄関から靴を持ってきて、僕は夜の街へと飛び出した。

 少し、というか、かなり寒い。

 冬だからね、仕方ないね。

 北原公園に急ぐ。


 北原公園には、妙な笑い方をしているヒナが居た。

 何ていうか、とても怖い。

 ある意味菜花梨紗の顔より怖い。


「さて、と。なにか言うことは?」

「無いよ。僕が誰と遊ぼうと勝手でしょ」

「お母さんには反対されなかったの?」

「メールで見たはずだよ。僕がどうしてここにいるのかはね」

「……ま、ちょうどいい機会だし、許してあげるよ」


 なんだろう。

 ヒナからは今にも決闘が始まるかのような雰囲気が感じられる。

 と、そうこうしているうちに、菜花梨紗が来た。

 菜花梨紗は僕を見て、続いてヒナを見た。

 それから悟ったような表情で、言った。


「へぇ」


 何が「へぇ」だ。

 いいから説明してよ。

 なにこの状況。

 これが修羅場?

 モテ期到来?


「殺しに来たってこと?」

「いや、裁きに来たんだよ。殺しには来ていない」

「同じこと。簡単に殺される気は無い」


 訳が分からないよ。

 僕を置いてけぼりにしないでおくれ。

 菜花梨紗がヒナをこの世のすべての憎悪を込めて睨んだ。

 その殺気は僕にまで伝わってくる。

 思わず冷や汗をかいてしまった。


「今は十一時五十五分。あと五分で、私が勝つ」

「させないよ」


 なんでこうなったし。

 僕のミスだよ。

 メールを送らなきゃよかった――ていうか忠告をちゃんと守ってればよかった。


「先手必勝――!」


 ヒナが菜花梨紗に手のひらを向ける。

 そこから、太い光線が放たれた。

 いきなり始まる超能力バトル。

 僕はそのうち考えるのをやめた。


「これだから無能の神に仕える奴は……」


 菜花梨紗の眼が真紅に染まっていく。

 ちょうど今出ている月の色と一緒だ。


「『血の瞳(ブラッドムーン)』――発動」


 途端に、ヒナが呻き声を上げた。


「これくらいで……『神星弓矢(サジタリウス)』」


 ヒナの指先から、白色の弓矢の形をした何かがビュッと発射された。

 それは直線を進んで菜花梨紗へと迫る。

 あと少しで突き刺さる――僕がギュッと目をつむった瞬間だった。

 わめきたてるような声が空中から聞こえた。

 見上げると、そこには、謎の赤い物体が浮かんでいた。

 赤く光る物体は触手のようなものを僕に伸ばしてきた。

 一秒と経たないうちに触手は僕に触れ、僕の意識はそこで途絶えた。

 最後に見たのは、崩れゆく地上だった。

 積み木のように現実空間は崩壊していった。

 あとに残るのは何か。それは、僕が知る由ではない。

 僕は恐らくあの物体に取り込まれ、その中で永遠を生きるのだろうから。



やはりプロットなしはキツイですね。

これからは地道に努力することにします。

今回のテーマは――存在していません。書きたいから書いた。ただそれだけです。

だからこんな手抜きなんですね。

言い訳ばっかりで失礼しました。それでは皆さん、またこんど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ