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第3話

第3話です。

今回は三人目の仲間の女商人の登場です。


オマケスキット付きです。

クリスティア王国を出立してから早2日。

ガタガタと馬車に揺られながら竜騎とリーシャはドワーフの鉱山街を目指して進んでいく。

「一応順調なのかな?」

「この2日間、魔物にも遭遇していないから順調」

竜騎とリーシャはたわいもない会話をしながら旅を続けていた。

そんな時である。

二人の乗った馬車の前にでかい荷物を背負った女性が倒れているのを御者が発見した。

御者が馬車を止めた事に気付いた竜騎とリーシャは馬車から降りた。そしてリーシャは倒れている女性に近付くと竜騎を手招きする。

「どうした?」

「彼女の荷物をお願い。私じゃ持てない」

非力なリーシャでは彼女の背負う荷物を外せなかった為に竜騎を呼んだ様だった。

「分かった。って結構重いな」

等と言いつつヒョイッと荷物を女性から降ろすとリーシャは女性を何とかひっくり返し容態を見る。

「怪我と疲労。後、毒を受けている」

女性の顔色が青いのを見たリーシャは自身のポーチから緑色の液体の入った小瓶を取り出すとキュポンと音を立てて蓋を外し女性の口にゆっくりと含ませた。

コクッコクッと女性が液体を飲み干すとリーシャは再び小瓶に蓋を閉めポーチに仕舞う。

「今のは?」

「毒消し。タツキ、彼女を馬車に運んで。運び終わったら外で御者と見張り」

女性の服はボロボロで明らかに何者かに襲われたと気付いたリーシャは自身のマントを女性の身体に掛けて竜騎に指示を出した。

「了解」

竜騎は頷くと女性と荷物を抱え上げ馬車の中に運び女性を寝かせると外に出た。

「あの、この場から動いた方が良いのでは?」

御者が乗り込もうとするリーシャに提案するが、

「駄目。馬車が揺れると毒が廻る可能性が高い。安静にする」

と言って馬車に乗り込んだ。

「御者さん、森の方は俺が見てますから反対側をお願いします」

竜騎が地面に落ちている小石を幾つか拾いながら御者に言うと彼は頷いて見通しの良い反対側に廻った。

それを見た竜騎は森に近付くと持っていた小石を纏めて森に投げ込んだ。


ガスッ!


「ぐぎゃっ!?」

小石が勢い良く飛んで行った直後、何かに当たった音と悲鳴が響き森の中から三人の男達が出てきた。

三人の男の内、一人は顔を押さえている為小石はこの男の顔面に当たったようだ。

「てめえ、何で俺達に気づきやがった!?」

「殺気を感じた。隠れているつもりならもう少し殺気を抑えるんだな。阿呆」

竜騎は男達ーー身なりから盗賊ではなく冒険者と思われたーーを挑発すると、男達は殺気立ち剣を引き抜いた。

「冒険者っぽいけどどうせ、彼女の護衛を引き受けて襲おうとしたが逃げられたんだろ?お前等みたいなのを何て言うか知ってるか?クズって言うんだよ」

竜騎は男達を貶しながら右足を引き半身になると右手を腰に当て、左手を顔の高さに持って来て手の甲を男達に向け腰を少し落とす。

この構えは相手が刃物を持っていた場合、手首や心臓を守る為の構えだ。

「どうした?一人相手にかかって来れないのか?」

「っ!!舐めんなガキがぁっ!」

三人の内の一人、先程迄顔を押さえていた男が剣を構えて走り出し竜騎に向かって剣を振り下ろす。だが、竜騎は振り下ろされた剣を左手で左に払い落とすと右の拳を男の鳩尾に叩き込むと素早く右拳を引き元の半身に戻る。

「ぐげっ・・・・・・」

男は白目をむくとそのまま地面に倒れ込んだ。

「「シーズ!」」

「次」

竜騎は感情を殺した声で言うと残りの二人の動きを見る。


※今竜騎がやったのは左手で剣を払い落とすと同時に左手の勢いを利用して正拳突きを相手に打ち込むカウンター技の様な物である。


「おい!二人がかりで行くぞ!」

「おう!」

男達は同時に走り出すと一人は上段、一人は横凪ぎに剣を振るった。

確かにこれなら先程の払い落として突く事は出来ないだろう。

「お前等、一つ忘れて無いか?」

竜騎がそう呟くと同時に竜騎の背後から岩の塊が飛んで来て横凪ぎに剣を振るった男の顔面に当たった。

「ぐぎゃあああああああああっ!?」

「ビット!」

「はい、余所見厳禁命取りってね」

「しまっ!?」

仲間の悲鳴に思わず余所見をした男は竜騎の声に慌てて竜騎の方を向くが、男の目の前には既に竜騎の拳が迫っており直後鈍い音と共に男の意識は闇に沈むのだった。


「リーシャ、助かったよ」

最後の男の意識を刈り取った竜騎は馬車の近くで杖を構えるリーシャに礼を言った。

「タツキがわざと音を立てて奴等の意識を自分に集中させたおかげ」

リーシャはそう言うと杖を下ろし御者が持って来たロープを手に竜騎に近付くとロープを竜騎に渡した。

そう。竜騎は小石を投げ悲鳴を上げさせる事で馬車の中のリーシャに敵が来た事を知らせ、挑発する事で敵の意識を自分一人に向けさせたのだ。

これが最初に声を掛けて二人で戦っていたら、男達は二人で竜騎の相手をし、残る一人がリーシャに向かい人質に取り竜騎の動きを封じ、全員殺されていたかも知れなかった。

「今回は相手が単純で助かったよ」

男達を縛り上げながら竜騎はリーシャに言った。

「タツキは対人戦の経験有る?」

「有るよ。但し殺し合いじゃなくて試合や真剣勝負だけど。所でこいつらどうするの?」

「少し行った所に村があるからそこの警備兵に引き渡す」

後に判明した事だが、この三人は商人の護衛をギルドを通さずに引き受け人気の無い所で護衛者を殺し荷物やガルムを奪うと言う盗賊紛いの事を繰り返していたそうだ。

無論この三人はギルドから除名された後、処刑された。



男達を縛り上げてから暫くした後、女商人は意識を取り戻した。

「いや〜、危うい所を助けて頂いてありがとうございます!あなた方はあっしの命の恩人ッス!申し遅れました。あっしの名はレン・フォーゼル。見ての通りの流しの商人ッス」

レン・フォーゼルと名乗った女商人は竜騎とリーシャに深々と頭を下げた。

「御者が見つけてくれたおかげ」

「おぉ、御者さんもありがとうございます!」

リーシャがそう言うとレンは御者に向かって深々と頭を下げる。

「所で、お二人はもしやリーシャ・ヴァンゲイト様と今回選ばれた聖剣の勇者様ではございませんか?」

頭を上げたレンはリーシャと竜騎に向き直ると二人の正体をズバリ言い当てた。

「「!?」」

「ふふふ♪商人は銭と情報が命ッス。まぁ、実を言えばあっしの家フォーゼル家は代々クリスティア王国のお抱え商人でして、勇者認定の儀には父親の代理であっしも参加させられたんスよ。着馴れないドレスやら化粧やらで苦労したッス」

驚く二人にレンはネタばらしをすると照れ臭そうに笑いながら頭を掻いた。

「全くあっしみたいなブスを着飾っても見れたもんじゃ無いと思うんスけどねぇ?」

「・・・・・・貴女は今世の中の女性を敵に回す発言をした」

因みに、レンの容姿は長い銀髪を三つ編みにして赤い瞳に眼鏡を掛け整った顔付きをしており、体型もリーシャには及ばぬがかなりのナイスプロポーションをしている。

ドレスを着たり化粧をすれば間違い無く十人中十人の男性が振り向き声を掛ける程の美人になるだろう。しかし、レンは何故か自身をブスと思い込んでいるのだ。

「何でッスか!?」

「貴女がブスなら世の中に美人が居なくなる」

「いやいや、そんな事は無いッス!」

「・・・・・・御者さん、出発しよう」

「・・・・・・そうですね」

言い合う女性陣を余所に竜騎は御者台に座ると横に座る御者に声を掛けた。

御者も馬車の中で言い争う二人を見て苦笑すると竜騎に頷いて馬車をゆっくりと動かすのであった。


「んっん。話がずれたみたいなんで元に戻すッス」

暫くリーシャと言い争っていたレンは、ずれた話を元に戻す為に咳払いをする。

「タツキ、馬車の中に戻って」

「分かった」

リーシャに呼ばれた竜騎は御者台の後ろにある入り口を通り馬車の中に戻った。

「あっしの家フォーゼル家の教えに『銭の恩は銭で返し、命の恩は身命を持って返せ』と言う物があるッス。そこでお二人さえよろしければこのあっしをお二人の仲間にさせて頂けないでしょうか?こう見えてあっしは初級の魔法は使えますし、商人ですから物の目利きには自信があるッス。どうか命の恩人たるリーシャ様とタツキ様の為に働かせて頂きたいッス」

レンは姿勢を正すとそう言って竜騎とリーシャに対し懇願するように頭を下げる。

竜騎はリーシャに顔を向けるとリーシャは目で「タツキが決めて」と言って来た。

「兎に角頭を上げて下さい」

竜騎はレンに頭を上げる様に言うと、レンが頭を上げるのを待って切り出した。

「俺としてはレンさんが仲間になる事に異論は有りません。これはリーシャも同じでしょう」

竜騎がそう言うとリーシャはレンに向かって頷く。

途端にぱあっと明るい表情をするレンに竜騎は「但し!」と言う。

「条件が有ります」

「・・・・・・その条件は何ッスか?」

「俺とリーシャに様を付けるのは止めて下さい。これからは仲間なんだから他人行儀も無し。俺もこれからはレンに対して普通に話すからさ」

笑顔で言う竜騎にレンも笑顔で、

「分かったッス!このレン・フォーゼル、タツキとリーシャの為に頑張るッスよ!」

と言うのであった。

この後、レンは戦闘でも役に立つ為に魔法の勉強をリーシャに頼みリーシャはそれを快諾。

竜騎も戦闘時の身のこなし方や簡単な護身術をレンとリーシャに教える事になるのだった。









オマケスキット『年上のお姉さん』


リーシャ「所でレンは幾つ?」


レン「あっしッスか?あっしは22ッス」


竜騎「リクスさんと同い年!?」


レン「何ならレン姉さんと呼んでも良いッスよ♪」


リーシャ「それ、最初に私がやった」


レン「ありゃりゃ。二番煎じッスか」


竜騎「俺と同い年ぷりーず・・・・・・」


後に二人仲間が増えるが竜騎の願いは叶う事は無かった。


レンは私が秋雨さんの作品に投稿したキャラです。

LAN武が動かすとこんな感じになります。


因みに、道具の目利きに関しては天下一品です(笑)

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