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神様



 ……私、現在神様と一緒にお茶タイム中です。

 ふわふわした神様が私の膝の上でゴロゴロ言ってます。……なぜこんなことに?



**********************



「よし、じゃあ取り合えずお前、神様に会いに行ってこい」


「……はへ?」


「神様はお前に会いたがってるって、さっき言っただろ。お前を何のためにココに連れてきたのか分かってるのか?」


 頭痛も止み、黄色い生物改め、ロルリーナと一緒に花で遊んでいた私に、凄いプレッシャーが掛かった。


「か……神様?」


「あぁ。ついて来い」


「えぇ……」


 紅緋色の瞳の少年改め、バンビは後ろも見ずにどんどん行ってしまう。


 バンビとロルリーナ。聞いたところによると、二人はここで神様のお手伝いをしてるらしい。神様のお手伝いと言うと、天使の仕事なんじゃないかと思うが、バンビみたいなガラの悪いやつが天使なワケないとすぐに思い直した。

 まぁ、このことについては後で詳しく聞いてみようと思う。



 宮殿の中は、広すぎて多分一人になったらもう二度と外には出られないんじゃないかってぐらい。天井も高く、どこまでも続いてるようだ。見た目はベルサイユ宮殿をイメージしてくれるといい。そんなところをバンビを頼りに歩く。


 15分ぐらい歩いて、大きな大きな扉の前に着いた。それはもう、私が30人いて肩車してもドアの一番上には触れないんじゃないのかってぐらいの。

 この宮殿は何もかもが大きいし広い。そんなに神様は巨大なのか?


「……ここ?」


「あぁ」


「ここに来たの久しぶりルリ」


「つーか、なにか大事でもない限り、神様ここから出てこないしな……」


 まさかの神様引きこもり発言?いやいや……。


「でも、どうやってコレ開けるの?」


 こんな大きなドア、人間が開けるのは物理的に不可能だと思うんだけど……


「大丈夫ルリ」


「任せろ」


 平然とした顔で言う二人。まさか、二人とも凄い怪力とか?そうは全く見えないけど。


「んーじゃバンビ任せたルリ」


「おう」


 バンビは、耳の金色のピアスを外した。……一体、何が起きるんだ?


 フッと金色のピアスは瞬く間に形が変化し、小型な杖のようなモノになった。


 一瞬だったから、よく分からない。マジックのように、あっという間に変わってしまった。瞬きして、次の瞬間には杖となっていた。

 『はぁ!?』といった感じで、呆気に取られてる私に構いもせずにバンビは続けた。


「リクール、神へと続く道を我がために開けろ」


 バンビがそう呟くと、一体全体どういうことだろうか。



ギィィイイイイイ……



 あの重たそうな扉がゆっくり開いて行くのであった。

 バンビは、扉に触れてもないのに。



「へ……は??!」


「いいから早く入れ、後で説明すっから」


「ははぁ……」


 今のは、手品とか自動ドアなのだろうか。うん。そういうことにしておく。何となく、魔法じゃね?って気もするけどね……


「じゃ、雨芽、頑張れルリ!」


「え……ロルリ?!ここまで?なの?」


「また、後でルリ!」


「あ……バイバーイ……」


 二人は私と一緒に神様に会ってくれないらしい。というか、かなり緊張するんだけど。神様に会うなんて。


 私が扉の中に入ると、扉は自動で閉まった。ここからは一人である。


「って、なにこれ!」


 いきなり視界が遮られた。扉の中は、白い煙か霧のようなもので周りの様子が伺えない。どうすりゃいいんだ。

 仕方が無いので、取り合えず前に進んでみることにした。


(神様ってどんな姿なのかな)


 てくてく歩きながら、様々な思いを張り巡らせる。私の持つ神様像は、やっぱりお爺さんぽい人。で、なんか白いヒゲとかついてそうじゃね?あ、それじゃサンタクロースか。つか、ホントにそんなのだったら嫌だな。

 せめて、女神様のがいいな。だって、普通そうじゃん。こういう異世界的な所で神様に会うったら。まぁ、私は女だから仮に神様がスタイル抜群の超絶美人でも、全く嬉しくないんだけどね。取り合えず、あんまり恐そうじゃない神様がいい。


 霧が段々晴れてきた。あと、少しかな?見渡しがよくなるにつれ、私の鼓動は大きくなる。ヤバイ、そろそろ緊張がピークに達しそうだ。……吐きそう。会った瞬間、睨まれたらどうしよう。マッチョなお兄さんの姿をした神様だったら、私はどうリアクションすればいいんだろうか。


ドキンドキンドキンドキンドキンドキンドキン……


「う……うわぁ……って趣味ワルッ……」


 霧が全て無くなり、私が見たもの。それは、洞窟のような部屋で、薄暗い。そして、何処までも奥に続く悪趣味な部屋だった。お面とか、置物とか、とにかくガラクタみたいなのが沢山ある。様々なお香の匂いがして、気持ち悪くなってくる。毒々しい色ばっかりで、これまた気持ち悪い。


「ぶへっ……埃っぽぉ……なにこの部屋……」


 こんな部屋に住んでる神様って、ホントどんなんだろ。せめて、話が通じる神様がいい。変なフラグが既に立ってそうだけど……。


「この方が落ち着くからさ」


「はふぇっ?!」


 なんじゃ、びっくりした。いきなり声かけられたから、変な声出しちゃったじゃん……。


「あー……神様?」


 姿は見えない。ただ、今私に話し掛けてきたのは神様だってわかる。声、スッゴい可愛かったもん。まるで、鈴が鳴るみたいな声だった。それで神様って断定する分けじゃないけど。


「…………」


 ……早く神様出てきてくんないかな。焦らしプレイ好きの神様なのか?一向に姿を見せてくれない。

 取り合えず、近くにあった黄色と赤のストライプ柄をした椅子に腰をかけた。


「……神様?この部屋凄いねー……何年も掃除してないんじゃない?」


話し掛けてみる。

……返答無し。


「……おーい……」


 反響した音がスローモーションのように聞こえる。私の声以外の音は全く無い。

 音が全く無いとキーンって耳鳴りがしてくる。 ……うん。静か過ぎて不気味だ。

 目の前にある鹿の剥製みたいなやつが私を睨んできてるようで怖い。しかもこの部屋妙に鏡が多いし。なんかイケないモノが映りそうで怖いよ……。


「はぎゃっ!?」


 今、鏡に映っていた猫の置物が動いて鏡の枠の外へ消えた。もう一度鏡をよく見てみると、後ろにあったハズの猫の置物が映っていない。


(……置物が動いた)


 恐る恐る後ろを見たけど、やっぱり猫の置物は無くなっている。

 得体の知れない恐怖が私を擽る。ダラダラ出て来る冷や汗。生唾。ダメだ、冷静冷静……


「……あ」


そして振り返ると……


「ニャァーー!!」


「はびゃっーーー!?」


ドダーン!!


 イスをひっくり返して混乱する私。


「あばばばば……化け物?」


「化け物違うよー」


あれ?この声。


「……か」


「神様だよ」


「……嘘」


「本当」


 まじまじと神様を名乗るその生物を凝視する。


「……猫じゃん」


「コスプレが趣味だから」


 ……悪趣味だな。猫の姿なのに喋ってるし。

 さっき動いた猫の置物って、神様だったみたいだ。

 あ、でもよく見たら凄い可愛い。


 透明感溢れるキラキラした黄金の瞳。フワッフワした真っ白な毛。まるで天使の羽みたい。首には深紅のリボンの首輪。それに加えて……金色の鈴。神様が動く度に凄い綺麗な音がする。背中には茶色の毛で天使の羽の模様。


 確かに、神様って感じがする。だけど……


「……なんか、もっと違う姿を予想してたんだけど」


猫て。裏切られた感が炸裂する。


「これは本当の姿じゃないのさ。実際は神様って皆とても大きいものだよ。こっちの方が動きやすいから」


神様は鈴の声でいった。


「つか、なんで脅かした……んですか……」


 ……今更だけど敬語使った方がいいのかな。神様だし。でも別に威厳無いしなぁ。神様ったら、もっとド迫力かと思ったよ。普通、神様登場シーンなら効果音が『ドドーン』でしょ。この神様『ててーん』なんだけど。


「お客さんが来るなんて、凄い久しぶりで嬉しいんだ!!だから脅かしちゃった」


「……はぁ」



 神様は、ヒゲのお爺さんでもなく超絶美人でもなく、ましてやマッチョのお兄さんなんてことは全くなくて、コスプレ好きの神様で猫の姿をしてました。


皆キャラ濃いなー……




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