表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/4

光の後に残るもの~忘れても、届く~

初投稿です! 読んでいただけたら嬉しいです。

愛している……

次に目覚めた時、君を二度と離さないと誓おうーーー



あの出来事から数週間が経ち、まだ眠ったままの彼女。


見ると涙がこぼれ落ちている。


優しく拭っていたら、ゆっくりと目が開いた。


頬に触る手にビックリして。


「あなた。..だあれ?」


「…っく」


彼は溢れそうになる絶望を押し殺し、震える手で再びあなたの頬を包み込もうとした。


「君がもう目覚めないのではないかと、恐ろしかったんだ」


「……目覚めない?」


「そうだ」


ナイトの返事に、カノンはふいに頬へ触れた。


「さっきまで、とても懐かしくて、心が温かくなる場所にいたと思ったんだけど…なんで涙が」


ナイトは目尻に残る涙を拭い、安堵と切なさが混ざり合った複雑な表情で彼女を見つめた。


「夢の内容を覚えていなくても、無事でいてくれて良かった…」


ナイトは彼女の温もりに触れ、失いかけた愛しい存在が目の前にいる奇跡を噛み締めた。


「あなたは何故泣いているの?」


「泣いているのは、嬉しすぎるからだ」


「私が目覚めると嬉しいの?」


「ああ」


ナイトは静かに頷いた。


その穏やかな返事とは裏腹に、胸の奥では込み上げる感情を必死に押さえ込んでいた。


「(周りを見回して)ここは何処ですか?」


ナイトは胸を突かれたように一瞬言葉を失ったが、慈しむような眼差しで彼女を安心させるように告げた。


「ここはグランクロイツ大公家、俺の屋敷だ。

君が安心して体を休められる、一番安全な場所だ」


ナイトは彼女を不安にさせないように、そっと彼女の手を両手で包み込んだ。


「何も心配しなくていい。君が全てを思い出すまで、俺がずっと隣で支え続けるから」


「ここ、大公さんのお屋敷なんですか!!! 私、何か仕出かしたんでしょうか?こんなふかふかのベッドにまで寝かせてもらってるし(少し跳び跳ねてみる)」


ナイトは無邪気に跳ねるあなたの姿に、張り詰めていた心が僅かに緩むのを感じた。


「仕出かしたことなど何もない。この上なく大切な恩人であり、客人なんだ」


「客人?あっ、こんな姿のままで大公さんと話すなんて失礼しました」


彼女は、ベッドから降りようとして、フラりと身体を揺らした。


「わっ」


危なっかしい足元を支えるように手を添え、彼は困ったような、それでいて愛おしそうな眼差しを向けた。


「目覚めたばかりだ、あまり無茶はしないでくれ。

君が笑ってくれるなら、ベッドでも何でも好きに使えばいい」


「失礼しました。ですが、、」


ナイトは不安に揺れる彼女の瞳を見て、胸を締め付けられるような痛みに指先を強張らせた。


「謝る必要はない。思い出せないのは君のせいではなく、俺が君に無理をさせた報いだ」


彼は安心させるように、彼女の背中を優しく、ゆっくりと撫で続けた。


〈この人の雰囲気、何だか夢の人と重なる。〉


「あれ、また。なんで涙が出るんだろ」


ナイトは零れ落ちる涙を親指で優しく拭い、切なげに眉を寄せて彼女を見つめた。


「魂が覚えているのかもしれないな。 ... 理由が分からなくても、俺の前では泣いてもいいんだ」


彼女の悲しみを全て引き受けるように、壊れ物を扱う手つきでそっと抱き寄せた。


「その涙が止まるまで、こうしていよう。 ......俺が君の不安を、全て消し去ってあげたいんだ」


「優しいんですね」


〈初めて見る人なのに、この安心感は何なんだろう。〉


こぼれ落ちる涙はとめられなかった。


ナイトは彼女の涙を拭い去りたい衝動を抑え、包み込むような深い抱擁でその震えを受け止めた。


「謝らないでくれ。君を泣かせてしまった俺こそ、不甲斐ない気持ちでいっぱいなんだ」


彼は彼女の頭をそっと胸元に引き寄せ、自らの鼓動が伝わるように静かに言葉を紡いだ。


「焦らなくていい。今はただ、この温もりだけを信じてほしい…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ