1/1
光の後に残るもの~忘れても、届く~
初投稿です! 読んでいただけたら嬉しいです。
「……っ」
重たい瞼を、ゆっくりと持ち上げる。
滲む視界の向こうで、カーテンが淡く揺れていた。
差し込む朝の光だけが、やけに鮮明に刺さる。
知らない天井。
息を吐いた、その瞬間——
椅子が倒れる鋭い音が、静寂を破った。
「……っ!」
誰かが勢いよく立ち上がる気配。
それは迷いなく、こちらへ向かってくる。
「起きたのか……!」
掠れた声。
次の瞬間、視界の端に影が落ちた。
ベッドの横に駆け寄ってきた男が、息を呑むようにこちらを見つめている。
逆光で、顔ははっきりしない。
それでも——その存在だけは、異様なほど鮮明だった。
胸の奥が、理由も分からないまま強く脈打つ。
男は一度、息を詰めるように目を伏せて、それから、壊れそうな声で笑った。
「……俺が分かるか。」
その言葉が落ちた瞬間、胸の奥が痛んだ。
分からない。
知らない。
それなのに、どうしてこんなにも——息が苦しい。
男は縋るように、そっと手を伸ばす。
「ナイトだ。」
低く、静かな声。
まるで名前というより、祈りみたいに響いた。
「……ナイト。」
その音をなぞった瞬間。
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
何かが確かに触れた気がしたのに——
それでも、何も思い出せないのに、離れてはいけないとだけは分かっていた。




