表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】私は平民、あなたは公女  作者: みこと。@ゆるゆる活動中*´꒳`ฅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/7

2.次なる命令

 ◇


 枯草色の髪、日に焼けて出来たそばかすに、栗色の瞳。平凡な見た目しか持たない私、平民コニーと違って、公女エヴァマリー・カロッサ様はとんでもない美少女だった。


 光に透けて煌めく金髪、穏やかな湖面のように澄んだ碧の瞳。愛らしく瑞々しい唇に、形の良い鼻。そして陶器のように滑らかな白い肌。

 どこから見ても、芸術レベルで完璧に美しいお姫様。


 長く食事も運動も出来てなかったことから、お体に入った直後は大変だったけど──あと周り皆偉い人ばっかりだったので緊張して挙動不審になり、公女様の中にいる時は堂々としとくようにって叱られたけど──。

 毎日少しずつ栄養を摂り、ちょっとずつ身体を慣らして動かすうちに、あっという間に健康になった。


(これでいつでも復帰できますよ、公女様……!)


 そう思っていたら、「ずっとダンスをしてらっしゃらないので、カンが鈍ってはいけません」と、執事さんが教師(せんせい)を連れて来た。


「えっ、あ、あの、それは私のお仕事には、含まれてないかと──」


 食べるだけ、と聞いている。

 公女様の姿で美味しいものを食べて、コニーの姿で好待遇。何だか申し訳なくて、運動はサービスのつもりでやっていた。


 そのことを伝えると、執事さんが笑みを浮かべて言う。


「はい。ですが、コニー様は非常に優れておいでで、何でも一度で覚えられますでしょう? 健康のために始めた乗馬も、素晴らしい成績。せっかくなら、元のお身体では体験出来ないことを楽しんでもらいたい、と旦那様も仰せなのです」


 ダンスのレッスンは、楽しいことなのだろうか。大変そうに思えるけど。


 そもそも甘い言葉で飾られてるけど、エヴァマリーお嬢様の身体を慣らして、すぐ社会復帰出来るよう備えたい目論見もあるのだろう。


 とはいえ確かに、平民には体験出来ないことばかり。


(ここは乗せられておくべきかな? その方が心証良さそう? 何か失敗してもすぐ処罰される、とか防げるかも!)


 何といってもこちらは平民なのだ。

 本来なら、エヴァマリー公女様の髪を一筋、爪先一本、引っかけてしまっただけで、どれほど罰せられることか。


 そんなこんなで私は、気付くと礼儀作法(マナー)はじめ歴史に論理学に数学。どんどん授業を増やされて、公女としての教養を叩き込まれていった。


 一年半。

 私も公女様も十七歳を過ぎたけど、公女様はまだ、お目覚めにならなかった。


 その上。


「えっ、留学していた皇太子殿下が、隣国からお戻りになるのですか?」

「うむ。連絡が届いた。皇太子ユルゲン殿下は、エヴァマリーの婚約者だ。マリーは殿下のことを好いていた。婚約者の座を降ろされないためにも、殿下の帰国祝いのパーティーに出席せねばならん」


(帰国パーティーに出席? それって社交?)


 ひえっ、と肝が冷えた。


「待ってください、公爵様。私は本物の公女様ではありません。皇家の方を(たばか)ることになってしまいます」

「謀ることにはならぬ。その身体は正真正銘、カロッサ公爵家の血を引いている。嘘にはならぬゆえ、安心するが良い」

「でも、中身は私なんですよ? 一介の平民には荷が重すぎます!」

「貴族の務めである慈善事業にも励み、マリーの悪評をすっかり払拭してくれたそなたの手腕に感謝し、また期待しておる。コニーよ、そなたなら出来る」

「ですが……!」


 慈善事業に顔を出した時は、それはもう針の(ムシロ)のようだった。

 エヴァマリー公女様がビュルクナー前侯爵夫人に無礼を働き、結果、長く引っ込むことになったこと。いくら公爵家が口留めしても、魔塔も動き、皇家も動いて、貴族たちにはふんわり知られてしまっていた。


 けれど"心を入れ替えたら目が覚める"。

 そんなわけで新生エヴァマリーは以前に比べてまろやかになったのだろうと、周りも受け入れ、評価も変じた。


 入れ替えたのは魂で、肝心の公女様はいまだ目覚めてないことは、この屋敷内だけの秘密だけど。

(婚約者まで(あざむ)くのは、罪深すぎる……!)

 必死に訴える私に、公爵様は威圧的な声で命じた。


「決定事項だ。我が娘()()()()()()


 公爵様が私を"コニー"ではなく公女様の名で呼ぶ時は、公爵令嬢としての対応を求められる。


「……仰せのままに、お父様」


("父"と呼ぶ言葉が、こんなにも虚しいものだなんて)

 いくら公女様の身体であっても、公爵様は私の親じゃない。絶対的な雇用主なのだ。 

(私の身体は無防備にも、この公爵家で寝てる──)

 それが"人質"というものだと知ったのは、いろいろ学んでからだったから。


 私は震えを隠して、淑女の礼をとるしかなかった。



「こういうの好き」と思っていただけたら嬉しいな♪と思いながら書きました(ꈍᴗꈍ)

 お気に召していただけましたら、下記のお星様、ブクマなどよろしくお願い申し上げます\(*^▽^*)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良かったらコチラもよろしくお願いします!
短編が多いです!

・▼・▼・▼・▼・▼・
【総合ポイント順】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【新しい作品順】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【異世界恋愛+α】
・▲・▲・▲・▲・▲・

【最近の中編連載】

『私はまだ、何もしてなかったのに?』
『私に価値がないと言ったこと、後悔しませんね?』
『円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ