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【完結】私は平民、あなたは公女  作者: みこと。@ゆるゆる活動中*´꒳`ฅ


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1.おかしな仕事

(ななな、何が起きているのだろう)


 私の頭はパニック寸前だった。


 なにせ平民である私に、筆頭公爵家のご当主様が頭を下げておられるのだから。


「急に連れて来て悪かったね。だが折り入って頼みがある。どうか娘のエヴァマリーを救って欲しい」


「???、????」


 エヴァマリー……公女様?


「す、救えとおっしゃられても、私、医療の心得も神聖力も持っておりません。どなたかと人違いなさっておいでなのでは……」


 公爵様の執務室、とやらで、壁際に控える数人の人たち。

 誰も何も言わないので、恐る恐る自分で、震える声を振り絞る。


(直接お返事して良かったのかな? 下々の人間は、身分の高い方に口をきいてはいけないって、幼い頃から教え込まれてるけど)


 でもでも、絶対人違いだから、早く家に帰して貰いたい。

 その一心で私は公爵様に訴えた。


「いや、そなたで間違いない。国一番の魔術師に調べさせたのだ。我が娘、エヴァマリーと同じ魂の形をした人間を」


「たま、しい?」


 またも意味不明な話に、目を(またた)く。


「ここからは私が」、そう進み出たフードの壮年男性──たぶん魔術師さん?──が、詳しい話を聞かせてくれた。


 ずいぶん言葉を濁してあったけど、なんでも、このお屋敷の公女エヴァマリー様は、大層ワガママな方らしく。


 あちこちで好き放題に振舞って、問題を起こしていたのだそう。


 大抵は公爵家の権力でどうにか庇ってたけど、ある日、魔塔主を務めた経歴もある老婦人・ビュルクナー前侯爵夫人を怒らせてしまった。

 彼女の亡くなったお子の形見を壊したとか何とか……? なのに公女様は謝罪もせず、かえって馬鹿にしたみたいで。

 酷い!


 形見を失ったビュルクナー前侯爵夫人は、ショックで寝込んでしまわれた。

 そして病床から、公女様に呪いを飛ばした。


 心を入れ替えたら、目覚めることが出来る魔法。


 ビュルクナー夫人独自のスペルで組まれた術式。

 おまけに前侯爵夫人は、自分の"声"と引き換えに呪いを強化した。それほど怒りが深かったのだ。


 おかげで魔塔の魔術師が何人かかっても、公女様の呪いを解くことが出来ない。


 ビュルクナー前侯爵夫人は先代皇帝の妹だったため、公爵家でも大きく出れず、現皇帝陛下に執り成しを願ったものの。術の代償として、夫人は声を失っている。

 詠唱が出来ないため、解呪は不可能と突っぱねられたらしい。


 そのため公女様はずっと、眠ったまま。


「食事が出来なければ、エヴァマリーはこのまま死んでしまう。妻の忘れ形見ゆえ、つい甘やかした私の責任ではあるのだが……。私も娘も、やり直すチャンスが欲しいのだ」


「……はい……」

(お気持ちはわかるけど、でも私に出来ることなんてないですから)


「そこで魔塔を頼り、娘と同じ形の魂である、そなたを探し出した」

「はい……?」


「同じ形であれば、魔道具を使って魂を入れ替え、相手の身体を動かすことが出来るそうだ」

「は……?」


「頼む、コニーとやら。エヴァマリーの身体に入って、食事をしてくれるだけで良い。このまま衰弱する娘を見ているのが辛いのだ。娘が反省して、復帰するまでの間、娘の命を維持して欲しい」

「!!!」


 とんでもないことを!!

 頼まれてしまった!!


「何をおっしゃるのですか?! 私には無理ですっっ」

「無理ではない。そなたにしか出来ないのだ。もちろん、十分な礼はさせて貰う」

「でもだって、そんな、高貴な姫君のお身体に、私のようなものが入るだなんて」

「問題ない。どうか仕事のひとつと考え、引き受けては貰えぬだろうか?」


 雲の上過ぎる公爵様と会話してるだけでも卒倒しそうなのに、縋るような目で頼み込まれてしまうなんて、十六年の人生の中で初めてで。

 あわあわと泡を吹く勢いで、目を白黒させていると、さらに言われた。


「何もずっとマリーの身体に入っている必要はない。そなた自身の命も繋がねばなるまい? 普段は自分の身体で過ごし、食事の時だけマリーとして食べてくれれば良い」


 つまり。

 私は自分の身体と公女様の身体を行き来して、あっちでもこっちでもご飯を食べる、と。


 そういう前代未聞のお仕事らしい。


 期間中、私に何かあってはいけないので、コニーとしての私は公爵家の客人扱い。

 術を行使する魔術師さんも同様で、双方、住み込み食事つき。

 手厚く遇してくださるという事で、私は引き受けざるを得なかった。


 だって私の住む家も職場も町も、公爵様の気分一つで簡単に潰されちゃうくらい、圧倒的に身分が違うし。

 そもそも断れる道はなかったのに、むしろ頼み事というカタチで依頼してくれたのは破格の話で。


(それに娘のことをこんなに真剣に案じてるなんて……。お父さんってあったかい存在なのね)


 私の父は、私が生まれる前に亡くなった。母も数年前に他界して、娘として心配してくれる両親はこの世にいない。

 だから……。

 公女様の中にいる時だけ、私にもお父さんが出来ると思うと、その誘惑に(あらが)えなくて。


 公女様に入ってご飯を食べるお仕事を、引き受けることにしたのだった。



 お読みいただき有り難うございます!

 現在連載中の作品が止まっているので、「景気づけに短編書こう!」と気軽な短編を書き始めました。

 16,000文字を越えました。

 一度に読むには、文字数多すぎ?と、中編連載で出すことに。

 す、すみません。でもたくさん読んでいただけると嬉しいです♪ お付き合いよろしくお願いしますヾ(*´∀`*;)ノ

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