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『王太子と結婚させたげる』とおっしゃいましたので

作者: すじお
掲載日:2026/01/27

私、リリアーナ・エルフォードは、昔から人の言葉をそのまま受け取る性格だ。

 含みとか、空気とか、行間とか。そういうものは、だいたい後から「そういう意味だったの?」と知る。


 だからあの日、侯爵令嬢セシリア様が、王妃陛下と連れ立って微笑みながらこう言ったときも、私は疑いもしなかった。


「あなた、王太子殿下と結婚させて“あげる”わ」


 ……そうですか。

 では私は、王太子殿下からの正式な求婚を待てばいいのですね。

 それから数日後。


「次のお見合い相手は、男爵家の三男よ」


「申し訳ありません。お断りします」


「ではこちらは?」


「王太子殿下ではありませんので、お断りします」


「こちらは伯爵家の次男で――」


「王太子殿下ではありませんので、お断りします」



 屋敷に押し寄せる見合い話は日を追うごとに増えていった。

 子爵、男爵、はては爵位すらあやしい方まで。


 でも私は全部、同じ理由で断った。


「私は“王太子と結婚する”と伺いましたので」


 ついに、王妃陛下が直々にお越しになった。


「あなた、選り好みも大概になさい」


「選り好みではありません。条件確認です」


「……条件?」


「はい。王太子殿下からのご結婚の申し出が、まだ届いておりません」


 その場にいたセシリア様が、扇子をぎりっと握った。


「あなたね! あれは“そういう意味”じゃないのよ!」

「では、どういう意味でしょうか」


 セシリア様は言葉に詰まった。

 王妃陛下も、目をそらした。



 ……なるほど。


 つまり「王太子と結婚させたげる」というのは、

 王太子ではない誰かと結婚させるかもしれない

 という意味だったのですね。

 それなら最初から、そうおっしゃってくださればよかったのに。



「私は、“王太子と結婚する”お話しか承っておりません」

「生意気な!」

「事実確認です」


 その後、私は「融通が利かない」「空気が読めない」と怒られましたが、


 王太子殿下からの求婚は、最後まで一度も来ませんでした。

 なので私は今も独身です。

 私は「王妃様に言われた通りの言葉」に従っただけですのに、どうしてでしょう?


 約束された話が、実行されていないだけですので。


 ――ああでも。


 最近、王太子殿下が「なぜか勝手に婚約者候補扱いされている令嬢がいる」と首を傾げていらっしゃると聞きました。


 それはきっと、誰かが勝手に言っただけの話なのでしょうね。

 

※私は関東育ちです

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