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番外編 龍宮 アルトの憂鬱  作者: 紅p
運命を変える者達
7/11

007 ~アマテラス降臨 そして、浮かんだ謎~

 ラニーニャに『アルト』と呼んでもらい、今までにない不思議な気持ちでいるアルトの前にアマテラスが

降臨した。

 そのアマテラスは吸い込まれる様な漆黒の瞳でアルト達を見つめる。

 そして、その瞳にアルト達は身動きを封じられるが、ある者の叫びでそれは解消されるのだが……。

 アルトの願いが叶うと水鏡の泉の上で舞っていた光が渦を巻く様に一点に集まり、

ある姿へと具現化する。

 その姿は白銀に輝く数メートルの大きさの羊で、美しさの中に恐ろしさが共存していた。

あ、アマテラス様!?」

 その白銀に光輝く羊を見たアルトは思わずそう叫んだ。

 そう、アルト達の前に姿を現したのは精霊神の長、アマテラス神だったのだ。

 アルトは一度もアマテラスの姿をその目で見た事はないが、

今まで見てきた文献にのっている通りの姿だったのである。

 だが、そのアマテラスの瞳の色は吸い込まれる様な美しい漆黒で、

白銀に光り輝く毛から零れ落ちた光の粒は金色に変化する。

 その金色の光の粒が漂うとアマテラスの姿の美しさはさらに増した。

 この様なアマテラスの文献以上の美しさにアルトは身震いする。

 そして、アマテラスの神々しさにアルト達は動けなくなったが、

「アマテラス、来たのか!」

と、花梨のアマテラスを呼ぶ声で動ける様になった。

 その花梨は他の者達を引き連れて来た。

「アマテラス、わらわの願い、きいてくれ!!」

 そこで花梨は願った。

 アマテラスの加護がクリオネの宝珠へ与えられる事を……。

 その宝珠とはクリオネの首元に生えている紅色の丸い水晶の事で、

朱雀達には形は違えど全員、この様な紅色の水晶が生えている。

 この水晶は太古の昔、アマテラスから朱雀一族へ授かった宝珠とされ、

精霊神から力を授かり、蓄える場所となっているのだ。

 それから花梨の願いは届いたのである。

 そう、白銀の羊毛の光の強さが増したアマテラスから零れ落ちたスパンコールの様な金色の光達が

一つの玉となり、クリオネの首元に生えている水晶に吸い込まれていったのだ。

 こうやって無事にアマテラスの加護がクリオネの宝珠へ授けられると、

アマテラスは風景に溶け込む様にその姿を消した。

「ミュー、やったの!」

「どういう事何でしょうか、花梨様。私、アマテラス様に認められたのでしょうか?」

「当然じゃ! アマテラスからの加護、しかと宝珠へと伝授されたぞ!」

 そして、願いが届いた花梨はこの様に歓喜の声を上げ、

宝珠の国の皇女はこの様にアマテラスの加護を享けた事を信じられない様子だった。

「そんな凄い神器を持ってるクリオネは、よく今まで無事だったな!

 てか、宝珠に、加護って、どういう事なんだ?」

 そんな中、ケレスは相変わらずな無知な発言をする。

「君はそれで良くアカデミーにいくなんて言えるね。

 いいかい? 君達の国、宝珠の国の宝珠とは、彼女の種族が持つ水晶の事を言うんだ。

 そして、残りの三種の神器は僕達の国、水鏡の国と、剣の国にそれぞれ一つずつあるんだ。

 さらに教えてあげると、三種の神器とは何事もないと、ただの、玉、剣、それに鏡だ。

 それ等に特に力なんてないんだ。

 でも、アマテラス様の力が宿るとそれ等は強大な力を持ち、

その神器は持ち主を択ぶと言われている。

 まあ、簡単に言えば、アマテラス様の力を頂ける事が加護を享けるという事で、

択ばれた者が神器を持つという事になるんだ」

 なので、興奮冷めやまぬアルトは色々と説明した。

「はぁ、さすがアルト。博識。でも、強大な力って、どんな力だ? そんな力なんて、いるのかよ?」

「さあね。だが、さっきの奴みたいなのがいるから、何れは必要になるかもしれない。

 それに、一六年前の様な事だって起きる可能性はあるよ」

 それから色んな反応を示したケレスにアルトは冷静に教えていく。

「じゃあ、また一六年前の様な災いが起こるのか!?」

 すると、ケレスはすっかり怯えきってしまった。

「そうならない様に、私達がいるのです」

 そこにイブが話に入り、まだケレスは何かを聞きたそうにしたが、

バタンと何かが倒れる音が聞えたのである。

 そして、その音の方をアルトが見るとそこにまさかの光景があったのだ。

「先輩!?」

 そう、そこにラニーニャが倒れていた。

 そして、アルトは急いでラニーニャに駆け寄り、ラニーニャを呼んだ。

 だが、青白い顔のラニーニャは意識が無く返事をしなかったのである。

「早く、龍宮家へ戻りましょう!!」

 それからアルトがラニーニャを浦島へ運び、光の神殿にいた者達は浦島に乗り込んだ。

 その後、浦島は龍宮家へ向け、全速力で泳ぎ出した。

「先輩!! しっかりしてください!!」

 アルトは龍宮家に着くまでずっとラニーニャを呼び続け、無事を祈った。

 だが、ラニーニャは何かに魘されており、全くアルトの声が、願いが届いていない様だった。

 そんなラニーニャは龍宮家の前の湖に着くとやっと目を覚ましたが、

虚ろな目で何処かを見つめており反応がなかった。

「先輩! 良かった。大丈夫ですか? 僕がわかりますか?」

 そんなラニーニャにアルトが呼び掛けてもラニーニャはぼうっとしていた。

「早く先輩を龍宮家で休ませましょう!!」

「大丈夫よアルト。ごめんね。ちょっと疲れてたにたい」

 そしてアルトは提案したが笑ったラニーニャから断られ、アルトの眉は下がってしまう。

「ですが、先輩。まだ、顔色が悪いです……」

「本当に大丈夫だから! それに早く帰らないと明日も仕事あるし。

 私でもいないと先生が困るんだ」

「姉貴、それは大変だ!? 早く、帰ろう! 目的も達成したしな!」

 そんなアルトにラニーニャはにこっと笑ってくれたが、そこに透かさずジャップが入る。

「そ、そうですか。では、僕がちゃんと送り届ますから……」

 そして、そう言うしかなかったアルトは肩を落とした。

 すると、ふふっとイヴの笑う声が聞える。

「アルト、しっかりと送り届けるのですよ?」

 その後に聞えたイヴの声はその顔同様、とても優しかった。

「はい、姉上。任せてください!」

 なのでアルトは明るく、凛々しく、顔を上げて言えたのである。

 そして、帰りの飛行艇の中でアルトはラニーニャと色々と話した。

 と言っても、アルトが一方的に話を振る形となったが、

ラニーニャは自身の精霊、たぬてぃとずっとそれに笑顔で付き合ってくれていた。

 だが、

「なあ、アルト。お前等いつからそんなに仲が良くなったんだ?」

と、そこにつまらなさそうに見ていたジャップが水を差す。

「いつからだっていいだろう? そして、いい加減に君は僕を呼び捨てにしないでくれるかな?

 何度言ったらわかるんだい?」

 そんなお邪魔虫なジャップにも眉間にしわが寄る事なくアルトは普通に接した。

「ふーん。まっ、いいけどな。アルト?」

 すると、悪戯な顔になったジャップは返し、二人は永遠に終わりそうにないやり取りを続けたが、

それをラニーニャは嬉しそうに笑って見守ってくれていた。

 それからアルトはラニーニャ達を無事に宝珠の国まで送り届ける事が出来た。

「アルトお坊ちゃま、お疲れ様でした」

 イヴの命を達成し充実感に溢れたアルトが自分の屋敷の自室で寛いでいると、

メイサが点てた茶を運んで来た。

「ありがとう、婆や」

「どうなされましたか? 本日はとても良い顔をなされていますよ?」

 そして、アルトが穏やかな笑顔でそれを受け取ると、

まるで少女の様な顔のメイサから話を聞きたそうにされた。

 なのでアルトは今日あった事を全て話したのである。

「……ほう、その様な事があったのですか」

 それから話を聴き終わったメイサの顔は穏やかなものに戻る。

「そうなんだ。ちょっと生意気だけど、あの緑頭のケレスって者も結構良い奴でね。

 まあ、先輩がいるから呼び捨てにさせてあげたんだ!

 それからあの赤い髪のジャップはさ、呼び捨てにして良いって言ってないのに、

僕を呼び捨てにするし、気安く話し掛けてくるんだ!!

 全く彼は何なんだろうね。でも……」

「でも、良い方、なのですね?」

 それでも話足りないアルトがふっと笑うと、ほほっと笑ったメイサから続きを言われてしまった。

「さすが、婆やだね!」

 そんなアルトはまた、ふっと笑ったが、ふと、ある事が気になったのである。

 そう、ラニーニャの治癒術だ。

 アルトはラニーニャがイヴに治癒術を施していた時 目を背けており見た訳ではないが、

ラニーニャの治癒術は一般的に言うそれをはるかに超えたものだったのである。

 だから、普通の治癒術ならイヴは助からなかった。

 だが、ある一つの力だったら、それは可能だったのである。

「でも、先輩のあの力は……」

 ある可能性が頭を過ぎったアルトはそう呟いたが、

(まさかそんな訳、ない……)

と、心の中で自身にそう言い聞かせ、その先を言葉にしなかった。

 次回【茶の味の心得……それは人を思う心!】

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