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番外編 龍宮 アルトの憂鬱  作者: 紅p
運命を変える者達
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005 ~頼る事と頼られる事~

 光の神殿に下立ったアルトだったがそこは惨状が広がっていた。

 だがそんな惨状が広がっているというにもかかわらず宝珠の国の皇女は光の神殿へ一人で突っ走る。

 すると、有ろう事か黒髪の女性がそれを追い掛け、赤髪の青年までもが追い掛けてしまったのである。

 その二人を追い掛けて光の神殿へ入ったアルトが目にした光景とは……。

 光の神殿で異変が起こりアルト達はイヴを追い掛け光の神殿がある島へと上陸した。

 だが、そこには動かない二人の男女が血まみれで倒れているといった惨劇が広がっており、

アルトは一目で倒れている二人が事切れている事がわかった。

(彼等は力の民じゃないか!? 彼等を殺せる者が侵入してるとでもいうのか?)

 力の民とは光の神殿付近の里、昴に住む他の人間より何十倍もの力を持つ特殊な人間の事である。

 その二人を見たアルトがこの惨劇を起こした犯人について考察していると、

宝珠の国の皇女が光の神殿へ突っ走って行きそれを黒髪の女性が追い掛けて行った。

「待つんだ!! そっちは危険だ!!」

 それに気付いたアルトはそう叫んだが黒髪の女性とそれを追い掛けた赤髪の青年は聞いてくれず、

光の神殿の中へ向かってしまったのである。

「ああーーっ!! 人の話を聞いてくれ!! 全く!!」

 そして、頭を抱えつつも、アルトはその二人を追い掛けた。

 そんなアルトが追い着いた先には救いの神子である花梨が見た事もない女性に襲われ、

イヴがそれを助け様としていた。

 花梨は黒髪を膝下まで伸ばし紫色の羽衣を羽織っている少女だ。

 だが、救いの神子である花梨は齢一二にしてダーナの最高位に立つ人物である。

 それは十六年前に起こった世界を滅亡に導く大恐慌を

古の救いの神子の末裔である彼女が生まれた事で終わらせた事に起因する。

 その大恐慌とは突如、アマテラスが光のマナを世界に降り注がなくなった事で起こり、

世界は病気、飢饉、災害等々で四年間も混乱し多くの人が命を落としたのだ。

 だが、花梨がこの世に生を受けた事を喜んだアマテラスは世界に光のマナを戻し、

世界は滅亡から救われたのである。

 そして、ダーナとは祈る事で多くの奇跡を起こせる者達の事で、今は十数人しかこの世界におらず、

ダーナは昴にのみ住み、力の民や水鏡の国と言った強者達に守られて暮らしているのだ。

(花梨様!? 良かった、御無事の様だ。

 しかし、誰なんだあの女性は? 彼女が力の民を殺したのか!? しかも、二人も……。

 だけど、もしそうだとしてもその殺戮はここまでだ! 姉上に成敗されるのだから……)

 アルトは静かに状況を見守る事にした。

 花梨を襲っている女性はブロンドの腰下までの髪を靡かせ、

色白の肌とスタイルを際立たせる露出が多めの服装で、身長はイヴより少しだけ低かった。

 そしてイヴより深みのある青色の瞳で妖艶な美女だったが、イヴより美女ではなかった。

「花梨様だって? じゃあ、あの方が?」

 すると、息を切らしながら緑頭の少年がやっと追い着いた。

「ああ、あの御方が救いの神子である花梨様だよ」

 その緑頭の少年に教えたアルトの前で花梨を襲っている女性が鞭を地面に叩きつけると、

グラグラと地面を揺らしながらいきなり巨大な土人形が生えてきたのだ。

(あれは、クレイドール!? 

 あれを操れるなんて、まさか、彼女は根の一族なのか!?)

 根の一族とは、古より災いある所にその一族有りと言われる一族である。

 そう言われている様に災いの裏で根の一族が暗躍し、それを齎してきたとされているのだ。

 だが、根の一族は何処にいて、どれぐらいいるのかわからない謎多き一族なのである。

 そんな中わかっている事の一つに土のマナを操り、

巨大土人形 クレイドールを従わせるという事があるのだ。

 そのクレイドールを見たアルトが警戒すると、アルト達の近くにも一体のそれが同時に生えた。

「ケレス、余所見すんな!!」

 すると、ぼさっとしている緑頭の少年に赤髪の青年が警告する。

(油断するなよ。あれは根の一族だ。恐らく、彼女が力の民を殺したのだから……)

 アルトは冷ややかな目でそんな緑頭の少年達を見ていた。

「お、お姉ちゃん、たぬてぃに影踏みを!!」

 だが、そのアルトの前で宝珠の国の皇女が思わぬことを言ったのだ。

(影踏みだって? それって、闇のマナを持った精霊のごく一部しか使えない技じゃないか!?

 あの猫の精霊が使えるとでもいうのか!?)

 その事にアルトの口が小さく開く。

「同じ手に引っ掛かるとでも思ってる訳?」

 そして、根の一族の女は不敵に笑った。

「クレイドール!! その目障りな黒髪の女を殺しちゃえ!!」

(何してるんだ!?)

 その根の女が叫んだ瞬間、アルトは目の前の光景に身震いした。

 何故なら、黒髪の女性は逃げるどころか自分の精霊を抱きかかえ守ろうとしていたからである。

(馬鹿じゃないのか!! 自分より彼女が大切なのか!?

 何なんだ!! あぁーっもう!! イライラする!!)

 アルトはイラついたが、それと同時に浦島にマナを与えていた。

 その後、両拳を振り上げたクレイドールはそのままその両拳を黒髪の女性に振り下ろした。

「ね、姉ちゃぁーーん!!」

「浦島、良くやった……」

 そして、土埃舞う中、緑頭の少年の嘆きの叫びが響いたがアルトは、ふっと笑う。

 すると、土埃の中に影が見えた。

「全く、君は何をしてるんだい?」

 その土埃に映る影を呆れながらもアルトが見ていると、

土埃は消え去り、巨大化した浦島に守られた自分の精霊を抱きかかえている黒髪の女性が現れたのだ。

「よぉーしっ、さすがはアルト!!」

 赤髪の青年はそんな黒髪の女性を助け出した。

「ジャップ、ありがとう」

「礼なら、アルトに言ってやってくれ」

 そして、やっと笑った黒髪の女性の前で赤髪の青年は腰に付けていた斧を右手で取り出した。

(また君は僕を呼び捨てに!? でも……、何だろう……。この気持ちは!)

 すると、アルトに今までにない感情が芽生える。

「アルト、頼んだ!!」

(全く、君って奴は……!)

 そんなアルトは何故か赤髪の青年の心がわかったのだ。

「何を頼んでいるのかわからないんだけど?」

 だが、アルトは首を傾げてみせる。

「お二人さん、連携がなってないんじゃなぁい?」

「それはどうかな? アルトは天才だぜ?」

 そのアルトの前で根の一族の女と赤髪の青年は互いに笑って余裕を見せた。

(どうして、君は僕なんかを褒めれるんだい?

 けど……。嬉しいよ、僕なんかを褒めてくれるなんて!)

 そして、アルトはジャップの期待に応えるべく浦島にマナを与え、

クレイドールより浦島を巨大化させたのだ。

 それからアルトの気持をわかっている浦島は後ろ足で立ち上がってクレイドールに伸し掛かり

その動きを止めた。

「そのまま抑えててくれ、浦島!!」

 すると、ジャップはクレイドールに飛びかかり、持っていた斧を一刀両断の如く振り下ろす。

 その後ジャップが着地するとクレイドールは真っ二つに割れ粉々に崩れ落ち、土山になった。

「ふう、一体、終わりっと!」

 その土山の前で笑いながらジャップは斧を腰に戻す。

「なんて馬鹿力なんだい!?」

 そんなジャップに目を見開く程驚いたアルトだったが、謎の達成感に満ちていた。

(まあ、こっちは大丈夫そうだ。後は姉上が根の一族を倒してくれる!)

 そして、アルトはイヴの方に目を転がす。

「アルト!! 姉貴達を頼んだ!!」

 だが、ジャップから勝手に押し付けられてしまった。

 しかも、ジャップはその場を離れてしまったのだ。

「何で僕が……」

 なので愚痴を言いながらもアルトは緑頭の少年達の傍に行く事となった。

 それからジャップは宝珠の国の皇女とクリオネと協力し、花梨を救出した。

 その後すぐにイヴが目にも留まらぬ速さで居合い抜きし、

二体のクレイドールをほぼ同時に破壊したのだ。

 そんなイヴをアルトは信じていた。

 イヴが負けるはずがない。

 そう信じ、アルトはイヴと根の一族の女の攻防を見守っていた。

「姉上さ。あの様な芸当が出来るのは!」

 イヴを信じきっているアルトは緑頭の少年にイヴの雄姿を教え、さらに期待した。

 そのイヴはアルトの期待通り攻防をどんどん有利に進めていき、

遂にイヴの長い刀が根の一族の女の鞭を弾き飛ばした。

 すると、その反動で根の一族の女は尻もちをつき、イヴはその根の一族の女に刃先を向ける。

(よしっ! 姉上の勝だ!)

 この時、アルトはイヴの勝利を確信した。

 だが、

「ギャオーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!!」

と、この一帯に奇妙な鳴き声が轟いたのだ。

「何だ!? この鳴き声は!」

 その声でアルトが辺りを見渡すと、

根の一族の女に自身の刀で斬り捨てられたイヴは自身の血の海の中へ沈んだ。

(今、倒れているのは相手のはずだ……。

 なのに、姉上は何をしておられるんだ……?)

 目の前の光景をアルトは信じられなかった。

「あーあ、きったないなぁ。まあ、いっか!」

 信じられない光景の中で根の一族の女は血を払いながら満面の笑みで笑う。

「あ、あ、姉上? う、う、嘘だ……」

 すると、根の一族の女の笑顔がくっきりと脳裏に焼き付けられたアルトの周りは真っ暗になった。

 そう、アルトは絶望と言う底無しの暗い闇の海の底へ突き落されてしまったのだ。

 その海の中でアルトが藻掻く事もあきらめた時だった。

  アルトの目の前を照らす一筋の光となる優しい声が降り注がれる……。

 次回【運命を変える者達 ~逃げた蝶とそれに集まる光達~】

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