弱点の牙
ナターリアは剣を抜いた。
「あの構えは!」
覚えてる。
マッギリールとの戦いで俺のせいで失敗した技。
ナターリアは狙いを定め腰を落とした。
ためが終わりナターリアは技を発動する。
「千麗刀突撃・改!」
俺達は驚いた。
「改!?」
「改良型って事か!」
「アッサム様との霊体状態トレーニングで学んだのか」
はたから見ても凄いパワーを感じるナターリアの新技はパークに避けられず見事に決まった。
「凄いエネルギーがここまで伝わってくる」
キルビルは言った。
「とてつもないエネルギーとスピードだ。俺が食らったら死んでただろう」
「キルビルも?」
「がああ」
しかしパークは効いているようなリアクションではあるが体には傷が付いていない。
「……」
ナターリアは動揺せずじっと見ている。
「凄い技だ、恐ろしい技だ。褒めてやる。だが俺の皮膚はそれ以上に硬いんだ」
「一体あいつの体はどうなってるんだ」
キルビルは言った
「しかし、少し弱ってるように、余裕がなくなってる様に俺には見える」
フォルスターは答えた。
「あいつ、変身後はこれ程の強さなのに何故すぐに変身しなかったんだ? と言う事は弱点が何かあるのか。寿命が縮まるとか時間制限があるとか」
俺も思った。
「あいつ確かにはあはあ言ってる。それと何て言うか『ナターリアにやられる事』だけじゃなく別の何かを恐れてるように俺には少し見える。考えすぎかもだけど」
ナターリアは冷静に剣を鞘に納めた。
そして手から光を発し徒手空拳でパークに何度も殴りかかる。
「あれ? 何で剣でなく手で攻撃するの? ひょっとしてやけになってる?」
「いや、この位でやけにはならないさ。あれは勇者が持つ聖なる光、と言う事は」
「と言う事は?」
「そうか、防御が高すぎて物理攻撃は駄目だから、聖なる光を送り込んで奴の内部の悪の気と心を消そうとする戦法か」
しかし、パークはこれでもなかなか倒れない。
しかし何故か動揺している。
「はあはあ、俺は死なんぞ」
と言いながら汗をかき息を切らしている。
「やっぱり様子が変だ」
ナターリアはパンチを止め、直接手を当て光を送り込もうとしている。
「あの方が一気に光を送れるからだ!」
俺は恐る恐るキルビルに聞いた。
「でもそれかなりエネルギー消耗が激しいんじゃ」
「そうだ」
「くっ!」
俺はいてもたってもいられなくなり後ろからパークを羽交い絞めした。
「快人君!」
「貴様!」
「速くエネルギーを送るんだ! でも全部使い切ったらだめだ」
「早く逃げて!」
「逃げられないさ、こんな時に。逃げれるわけないじゃないか、君が一人で戦ってるのに、ピンチなのに」
「うーん。私のエネルギーを全部送らないと倒せそうにないわ」
「え!」
「それにこの攻撃が効いてるのかも確かめられないの」
「で、でも何か弱点があるはずだ。うおお!」
俺は手を一旦外して渾身の火炎を浴びせた。
「ぐああ」
すると、パークの牙が点滅した。
「点滅してる! あいつ牙が弱点なんじゃ」
「くっ」
パークは知られたくない物を知られた反応をした。
さらに俺にはパークの牙の中や体の内部まで急に透視出来るようになった。
「やっぱりあいつ、牙が全身に防御エネルギーを送ってるんだ。俺には見える」
「何で見えるの!」
「勇者の力かな」
パークは叫んだ。
「俺が負ければ貴様らにも不都合な事が起こるぞ!」
明らかに様子がおかしかったが俺には意味が分からなかった。
「あの牙を折るんだ! 俺の炎を君の剣に乗せさっきの奥義を出すんだ」
「わかったわ」
「今は分離状態だけど、俺達のコンビネーションを見せよう」
俺は詠唱し自分がもしもの為に立っている力ぐらいは残し丸球型白炎を彼女の剣にあてた。
「頼む」
ナターリアは再度構えた。
そして力は溜まった。
「千麗刀突撃・改!」
白炎を帯びたナターリアの剣がパークの牙一転目掛けて切り下された。
周囲にも想像を絶するパワーが広まる。
「何てパワーだ。魔王も倒せるかも知れん」
パークの顔が白炎に包まれ、遂に牙を切り落とした。
「がああ! 牙が! 俺はもう終わりだ!」
本来なら、これで決めてやると言う状況なのにパークの慌て方があまりにも違和感を与えた。
負ける事を恐れてるみたいじゃないみたいだ。




