一+一は二以上に
2月16日改稿しました。
「次は君の得意とする白い炎の魔法特訓だ。君の力を見せてくれ」
「よ、よし」
全身の力を溜める。
「うおおお、はっ!」
俺は中威力の白炎をアッサム様に放った。
ごうごうと向かって行く炎に対しアッサム様は微動だにしない。
そして手を前に出した。
ぎりぎりで右手で受け止めかき消して見せた。
「まだまだ」
全然効いてない。
ちょっと悔しかった俺はもう一発放った。
その後も何発も白煙の魔法をアッサム様に放つ。
「うおお」
一発ごとに込めた気迫が強まる?
しかしその度ごとに防がれ、また繰り出す。
自分の力の無さを知った。
「なかなかの威力だね」
「ありがとうございます」
ちょっとムキになっている俺に対し、明るくさっくりしたアッサム様だった。
「君に剣を教えるのは時間かない。ならば白炎魔法のプロになるんだ」
「白炎魔法に絞ると」
「後方支援だね」
「後方支援……」
その言葉はどこか引っかかる。
この前サージェント・パークに言われた「お前は仲間に守られ後ろから攻撃してるだけだ」と言う言葉。
あれが心にしこりを残している。
マーガスとフォルスターに守ってもらわなければここまで来れなかった。
その思いをよそにアッサム様は説明の続きをした。
「それともう一つは、その炎の正体は僕にも分からない」
「え?」
「ナターリアも言ったけどこの国の勇者の体内のエネルギーは皆緋色なんだ。でも君は違う。それが何故なのか分からないんだ」
「アッサム様にも?」
「うん。だからこれから僕自身も君の能力を解析していかなければならない」
そして解析の為でもある修行を再開した。
再度、白炎をアッサム様に撃つ。
「ぐんぐん伸びてるよ」
「ありがとうございます」
「一年も修行すれば魔王に勝てるよ」
「い、一年ですか? それを何とか一ヶ月位に出来ませんか?」
「うーん……やってみよう。ただし勝つ確率は百じゃなくなる」
俺が伸びている噂はお城にも届いた。
王様は
「国を挙げてバックアップする」
と仰ったらしい。
国民も踊った。
そして数週間プログラムは組まれた。
ただ勝ちが百でなくなるらしいけど。
「僕に当てるんだ」
「はい!」
「小・中・大の威力を使い分けるんだ。そして命中率と回避率も上げる。どんどん強力になって行く。短期間に比べ物にならんぐらいに。ひとえに君の素養だよ」
「この部屋はレベルアップが早く感じるのですが」
「うん。この部屋は特殊な魔法がかけられてる。でも一番の理由は君の才能さ」
気が付くとレベルは三日で四上がった。
剣は学んでないけど白炎が結構使いこなせる。
最初はどうすると出せるのかとか使い分けやエネルギー消費も分からなかったけど。
「今度はナターリアの憑依状態でナターリアの魔法が使える様にしよう」
俺もナターリアも言われるままやった。
するとこの前は駄目だった炎の魔法が少し出た。
「君達は一+一が二以上にならなければならないんだ。その為にはナターリアも成長する必要がある」
「え!」
「霊体状態で僕と手合いするんだ」
なんとアッサム様と離脱したナターリアの手合いが始まった。
アッサム様は半透明の相手に実体がある仮定で行う。
さすがナターリアの動きは凄い。
そうだな。一+一は二以上にならなければいけないんだ。 ナターリアも気迫がこもっていた。
「確かに私は霊体で成長できなかった。このままでは私が快人君の足を引っ張るかも」
アッサム様も霊体に合わせるって凄いな。
少し休憩した。
「前君が奥義を出そうとした時俺の体が耐えられなくて失敗した事気にしてたんだ」
「しかし、ナターリアは生き返れるかもしれん。今国を挙げて彼女の遺体を探している。そうすれば君自身の手で技が繰り出せるんだ」
「その時まで新奥義を開発したいわ」
「僕が教えると言うより君は自分で編み出せる」
「体が耐えきれないから俺は体を鍛えようと思ってたんですが、それはやらないんでしょうか」
「うーん。その修行までやると時間が足りない」
「俺は後方支援ですか」
「パークに言われた事気にしてるのかい」
「ほら、後方支援て『後ろで守られてる弱い人』みたいに感じるんですよ」
「そんな事はない。しんがりはじつは一番大事なポジションでもあるんだ」
そして再度白炎修行が始まった。
「はっはっ!」
「よし、隙が少なくなってきた」
「体力の減り方も少なくなってきました」
「今度は両手で出してみよう。それが終わったらもっと長距離から」
俺はアッサム様に言われるままやった。
これが続きまた休憩。
今度は俺は休みながらナターリアと話した。
「さっき、後方は嫌だって言ってた?」
「うん。前の人に守ってもらってるみたいでね」
「私個人だけど、前の人も後ろの人も差はないと思う。エースも縁の下の力持ちも。私が勇者になったのも皆が同じように幸せになる世の中にしたかったからなのよ」
「立派」
「後『一番立派な人は先頭じゃなく自らしんがりになる』んだって。聖書に書いてあるよ」
「そうなんだ。後勇者の光って普通緋色なんでしょ? じゃあ白の俺は何なのか理由が知りたいと言うか。何か自分が何者か分からなくて怖い気もする。人間じゃない恐ろしい存在だったりして」
「快人君は恐ろしくないよ」




