恐怖の終焉
雅人は再びコンビニに向かう決心をした。店内に足を踏み入れると、店員たちが儀式の準備を整えている様子が見えた。異常な光景が広がっており、キャンドルが静かに灯り、奇怪なシンボルが床に描かれていた。雅人は心の奥で恐怖を感じつつも、儀式の全貌を明らかにし、背後に潜む存在に立ち向かう決意を固めていた。
「今日は大事な夜です。」店員が冷たい声で言いながら、雅人を迎え入れた。「お前がこれから目にするものが、どれほど恐ろしいか、知ることになるだろう。」
雅人は勇気を振り絞り、店員に問いかけた。「この儀式の目的は何ですか?そして、背後にいる存在とは一体何なんですか?」
店員は不気味に微笑んだ。「この儀式は、我々が長い間守り続けてきた契約の一部だ。この店はただの場所ではない。ここで行われる儀式は、古い力を呼び起こし、その力を我々のものにするためのものだ。」店員の言葉には深い陰謀と恐怖が込められていた。
「古い力?」雅人は驚きと混乱の入り混じった表情を浮かべた。「その力が何をするというのですか?」
店員はその質問には答えず、儀式を進めるための動作を続けた。
その背後で、薄暗い影が蠢いていた。雅人は店員たちと共にその儀式の中心に立たされ、古い呪文が唱えられるのを見た。その声は空気を震わせるようなもので、店内の温度が急激に下がるのを感じた。
雅人は恐怖に苛まれながらも、なんとか儀式を阻止しようとした。
キャンドルを倒し、書物を投げ飛ばすなど、必死に抵抗した。
店員は彼の行動に驚きながらも、儀式を続けようとしたが、雅人の勇敢な行動によって、儀式の進行が次第に止まったのか周囲の空気は変わっていった。
その瞬間店員が突然変貌を遂げた。
背後にあった影が具現化し、その正体が明らかになった。
それは、人間の形を持たない存在で、目に見えないような、漠然とした恐怖を受ける何か。
その存在が店内に現れると、空気がさらに凍りつき、店の全体が暗黒に包まれた。
しかしその「なにか」はぐったりとした店員の周りに浮かぶだけで、動く様子はない。
雅人は恐怖にすくむ身体と心に抗いながらなんとか儀式の場を破壊していく。
床に描かれたシンボルのようなものをデッキブラシでこするとやっと店内の空気が変わった。
店内にあった除光液とサンポール等油性マジックが消せそうな洗剤をすべてぶちまけることで描かれたシンボルはほとんど原型を残すことなく消えてきた。
店内が徐々に元の状態に戻り、店員も普通の姿に戻り、まるで何もなかったかのように見えた。
「お客様~トイレの掃除用具もってこないでくださいよぉ~」
いつもとは全く違う、間延びした感じの店員の声が聞こえる。
その場にはデッキブラシを持った雅人だけがとりのこされたように立ち尽くしていた。
雅人はその後も深夜のコンビニに行くことがあったが、心の中には常にあの恐怖が残っていた。
店内の雰囲気や商品の配置が微妙に異なることに気づくことがあった。
かすかに感じる違和感が、彼に深い謎と恐怖を思い起こさせた。
コンビニが何か隠された秘密を持っているのではないかと、雅人は考え続けていたが、以前のように深入りすることは避けた。
このコンビニの奥深くに潜むさらなる謎と、解明されていない恐怖が残されている。
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