連続する異常
深夜のコンビニでの出来事が日々の暮らしに影を落とし始めていた。雅人は再びそのコンビニに向かうたびに、店員の異常行動がさらにエスカレートしていることに気づいた。彼の不安が募る一方で、日常の中で異常を感じることが次第に日常となりつつあった。
ある夜、コンビニに入ると、店員は店内の商品の棚を一つずつ確認しながら、妙に親しげな態度で雅人に話しかけてきた。「今日はいい天気ですね。お元気ですか?」店員の声は一見普通だったが、その言葉にはどこか薄ら寒さがあった。
「はい、元気です。」雅人は無理に笑顔を作りながら答えた。店員の親しげな態度には違和感があり、その目線には無理に笑顔を作っているような感じがあった。店員はまるで友人であるかのように、雅人に対して少しずつ質問を投げかけてきた。仕事のこと、プライベートのこと、そして何より「今夜は何をする予定ですか?」という質問が続いた。
雅人は少し驚きながらも、適当に返事をしながら商品を選んでいた。しかし、店員の行動はそれだけに留まらなかった。時折、店員は店内のどこにもいないはずの相手と話をしているように見えた。目の前で誰かが話しているような仕草をしながら、まるで一人で会話をしているようだった。その姿を見た雅人は、店員が精神的に不安定なのではないかという懸念を抱くようになった。
雅人は再び友人の高橋にこのことを話してみた。「やっぱり、最近あのコンビニの店員、すごく変なんだよ。親しげに話しかけてくるし、誰もいないのに一人で話してるし…。」
高橋は再び笑いながら言った。「それ、きっと疲れからくる幻覚だよ。最近、睡眠不足じゃない?おかしなことを見てしまうのはよくあることだよ。」
雅人はその言葉を受け入れようとしたが、心の奥では納得できないままだった。友人たちが自分の話を真剣に受け止めてくれないことで、彼の不安はさらに深まっていった。
数日後の夜、雅人は再びそのコンビニに足を踏み入れた。店内に入ると、明かりがいつもよりも暗く、店員が妙に不気味な微笑みを浮かべていた。店内の雰囲気も普段と違い、どこか異様な空気が漂っていた。
「こんばんは。」店員が不気味に微笑みながら言った。その笑顔はどこか冷たく、視線には深い闇が潜んでいるように見えた。「今日は特別な日です。」
雅人は背筋に寒気を覚え、店内を見渡した。普段の明るい店内が暗くなっており、すべての商品が白い布で覆われていた。店内は異常に静かで、まるで時間が止まったかのような不気味な雰囲気が漂っていた。
「これ、何が起きているんですか?」雅人は恐る恐る問いかけたが、店員はただ微笑み続け、何も答えなかった。
その場の異常さに耐えられず、雅人は急いで店を出た。外に出ると、冷たい風が頬を打ち、現実に戻った感覚を取り戻した。しかし、その夜の出来事が頭から離れず、彼の心には深い恐怖が根を下ろすことになった。
次にコンビニに行くべきかどうか、雅人は迷いながらも、心の中に広がる不安が日に日に大きくなっていった。何かが、確実に変わり始めているという感覚が、彼をさらに不安にさせていた。