異変の始まり
深夜の街を歩く大学生、鈴木雅人はアルバイトを終えたばかりだった。外は肌寒く、風が肌を刺すような夜だったが、雅人はコンビニで少し買い物をしてから帰るのが日課だった。通い慣れた道を歩き、いつもの深夜営業のコンビニに到着した。
店内はいつものように明るく、冷たい空気が漂っていた。雅人はレジに向かい、買いたい商品をカゴに入れていった。店員の姿は店の奥で見え隠れしており、商品の位置に不自然な変更がないかどうかを確認しながら、彼は徐々にその店員の存在が気になり始めた。
レジに到着すると、店員は無表情で、じっと雅人を見つめていた。目は感情をほとんど持たないような冷たい印象を与え、雅人は何か不安を覚えた。その店員の表情は、一見普通のものでありながら、どこか異常な空気を漂わせていた。
「お会計はこれでお願いします。」
店員の声は機械的で、どこか空虚だった。雅人は少し驚きながらも、特に気にすることもなく支払いを済ませ、商品を受け取って店を出た。
その夜は何事もなく過ぎ、雅人はその出来事を忘れようと努めた。しかし、数日後、同じ時間にコンビニに立ち寄った際、雅人は再び店内で違和感を感じることになった。店内の雰囲気が微妙に変わっており、商品の配置がわずかに異なっていた。さらに、店員の行動が明らかに異常だった。
店員は前回よりもさらに無表情で、まるで機械のように動いていた。目線は鋭く、雅人が商品を選んでいる間、ずっとじっと見つめられている感じがした。商品の棚にあるはずのアイテムが、奇妙な配置に変わっており、雅人はそれが意図的なものであると感じた。
この変化は一体何なのか、雅人は胸の奥に冷たい不安を感じながらも、特に深く考えることはなかった。しかし、心の奥には確実に不安の種が植え付けられていた。
レジで支払いを終えるとき、店員が一瞬だけ微笑みかけた。その笑顔は冷たく、無機質であり、雅人は一層の不安を覚えた。買った商品を受け取りながら、雅人は店を後にし、心の中で何かが変わり始めたことを感じ取っていた。
その夜、雅人は眠れぬままベッドで横たわりながら、コンビニのことを考えていた。普段は何でもない場所が、何か不気味なものに変わりつつあることを、彼は感じていた。そして、その不安がやがてどうなるのか、自分でもまだ分からないままであった。