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幕間 レオスの長い1日

 暖かい微睡み包まれていると夢を見た。

 

 俺の原点......俺が村を追放された運命の日。

 

「呪われた子供め! またモンスターを呼び込んだな!」

 

 父親だった男に殴られた痛みは今でも覚えてる。

 

「お前が! お前がいるせいでサーシャが死んだ! お前が呼んだモンスターに殺されたんだ!」

 

 何度も何度も繰り返し殴られる。

 

 ごめんなさい。産まれて来てごめんなさい。

 

 鐘で呼ばれたモンスターは人は襲わず村を襲うことも無い。

 

 けれどそんな事は村人が知る事は無いし、子供の頃の俺も分からなかった。

 

 それに、この時はまだ前世の記憶に精神が引っ張られ、年不相応に大人びていたから村人に気味悪がられていた。

 

 だから忌子として疎まれて、何も持たされずに村を追放されても抵抗はしなかった。

 

 あんなに仲が良くて善良な人を変えてしまった俺が悪いんだから。

 

「本当にひどい人達ね、怪我は痛くない?」

 

 うん、ありがとう姉さん。

 

 父と村人に石を投げられて村を追い出された時もアリア姉さんが庇ってくれた。

 

 姉さんの方が痛いはずなのに俺の心配をしてくれる優しい姉さん。

 

 あれ?。

 

 ちょっと待て。

 

 俺がアリアさんと出会ったのは王都が初めてだったぞ?。

 

 あらあら、バレちゃった。

 

 /////////

 柔らかなベッドの上で目が覚めた。

 

 たしか......アリア姉さんとお茶を飲んでたら眠くなってそのまま寝ちゃったんだよな。


 何か夢を見ていた気がするけれど起きた瞬間に忘れてしまった。

 

 まぁ夢って奴はそんなもんだよなぁ。

 

 まだ体は怠いけれど体を起こして周りを見渡すと見慣れた自分の部屋だった。

 

 姉さんが連れてきてくれたのかな?。

 

 そう思ってベッドから立ち上がると机の上に一枚の紙が上がっていた。

 

 それを手に取り内容を確認すると非常に綺麗な字でこう書かれていた。


 私は先に教会での用事を済ませてきます。夕方までには帰るからレオスは疲れが取れるまでゆっくり休んでいてください。

 

 朗らかな口調とは裏腹に几帳面な文章を書く姉に苦笑いを浮かべていると扉が急に吹き飛んだ。

 

 何事かと身構えていると粉々に砕けた扉の中から筋骨隆々の小柄な男が飛び出してきた。

 

「レオス! ワシじゃ!」

 

 豊かな髭を蓄えたドワーフ族のマオが慌てた様子で扉の残骸に足を取られて転んでいた。

 

「ぬぅ! レオスよ、自分の部屋ぐらい綺麗にしとかんか!」

 

 うるせぇ! テメェが扉を壊したんだろうが!。

 

「なに? スマンな! 許せレオスよ、ガハハハ!」

 

 それで? 慌ててたみたいだけど何かあったか?。

 

「そうじゃ! ミリシアが!」

 

 マオが目を見開いて必死に形相で俺へと近づいてくる。

 

 なんだミリシアがどうしたんだ。

 

 嫌な予感がする......それもとびきりデカいヤツが。

 

「発作が......ミリシアの発作が起きちまった!」

 

 最悪だ。まさかこのタイミングで起きるか!。

 

「冒険者ギルドで辻斬りを始めたんじゃ!」

 

 あぁもう、清楚系狂戦士は今日も元気ですね!。

 

 //////

 疲れた。

 

 ミリシアが目をつけた相手は王都で流派を興そうとやって来た剣技系のギフト持ちの剣士だった。

 

 到着したら冒険者ギルドの訓練場が見るも無惨な姿になってるしミリシアも相手も激闘の末に半裸で斬り合ってるし、周辺で鼻の下を伸ばして野次馬してる野郎どもは居るしで収拾が付けられない状態だった。

 

 それをどうにか昼前までにケリをつけられて一安心だ。

 

 ミリシアがやらかした事への謝罪も弁償も終えたし少し休もうか。

 

「大変じゃぁ! レオス!」

 

 本日2度めの扉さん、さようなら。

 

 今度はなんだよ。

 

「ロディが! ロディが!」

 

 ロディがどうした!。

 

 獅子宮殿でデルタに並ぶ良心であるロディの身にいったい何が起きたんだ。

 

 以前の事件以降は明るい笑顔が増えてきたのにまた誰かが裏で動いてるのか!。

 

「酔っ払って王城の城門を持ち上げて遊んでるんじゃ」

 

 何してるのロディさん!。

 

 良心の一角の瓦解が早すぎないかな!。

 

 そんな事より、待て待て待て! 王城くんをいじめないであげて!。

 

「ワシがロディの注意を引くから捕獲するんじゃ!」

 

 そもそも何で昼間から酒飲んでるの! そんな子じゃなかったでしょ!。

 

「ミオハの馬鹿が飲ませたんじゃ!」

 

 さて今回はなんてアレスに謝ろうかな!。

 

 /////////

 疲れたよ。

 

 現場に着いたら笑顔で城門を開け閉めして遊んでるロディが居たよね。

 

 門番の人達もどうして良いか分からずに狼狽えてたし......いや、本当にすいません。

 

 俺が来た瞬間にミオハに唆されたロディとの鬼ごっこが始まった。

 

 コレはマオが俺を呼びに来るわけだと納得した。

 

 無駄のない身のこなしとギフトの有効活用で重さを感じさせない身軽な動きで逃げ続けるロディに思わず感心してしまった。

 

 なんでこんな場面で成長を見せつけてくるんだよぉ、泣くぞ。

 

 まぁすぐに捕まえてミオハと一緒に説教したけど。

 

 おのれアレスめ、俺の事を見て笑ってやがった。

 

 人の旋毛を見るのがそんなに楽しいか!。

 

 ......うん、俺はアレスに謝られたら笑うな。

 

 ハハハハ......はぁ笑えん、そんな事されたら奥さんに捻り殺されるな。

 

「......ん」

 

 椅子に座って呆けて居た俺の目の前に蒼い髪の少女が音もなく現れた。

 

 うわぁ! どうしたデルタ! 何か問題が起きたのか!。

 

 俺の叫び声に近い問いにデルタはゴーレム族特有の関節球体が見える手で持った、トレイを見せた。

 

 そこには様々な種類の食事が置いてあった。

 

「サンドイッチ貰ってきた......ゴハンたべてないよね?」

 

 瞬きひとつせずに俺を見つめながら首を傾げるデルタを見て目頭が熱くなった。

 

 あれ? おかしいな涙が出てきたぞ?。

 

「ん......どうしたの? かなしい?」

 

 いや、デルタは良い子だなぁって思ってさ。ありがとう、お腹空いてたんだよ!。

 

 デルタから料理を受け取り食べる。

 

 いつも食べている筈なんだけど凄く美味しく感じるよ。

 

 本当にありがとう、デルタ。

 

「ん......ねぇレオス?」

 

 どうした? 何かあったか。

 

「デルタもみんなみたいに問題起こせば構ってくれる?」

 

 あぁもうね、そんな事言われたらアレですよ。

 

 デルタを膝の上にあげて甘やかすしかないよね。

 

 表情こそ変わらないけれど、甘えるように後頭部を俺の胸に擦り付けてくる仕草は鼻血出そうになりぐらいカワイイ。

 

「ん......うれしい」

 

『朗報』獅子宮殿には可愛いの擬人化が居ました。

 

そりゃこんなギルドに入ろうとする物好きはいませんよね。

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