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20話 ロリコン(社会的に)死すべし

『ふーん......まっいいや。なんかアレに邪魔されて遊ぶ気分じゃ無くなっちゃったし』

 

 自称兄弟の影がミリシアへの興味をなくして俺たちへ背を向けた。

 

 今なら攻撃できるチャンス......だけど、アイツが何を考えているか分からない以上は迂闊に動けずにいた。

 

 ミリシアも徐々に落ち着いてきて、白い影をしっかりと見据えている。

 

 それに気づいて巫山戯るようにケラケラと笑い。

 

『そんなに見るなよぉ、照れるぜ!』

 

 ワザとらしく体をくねらせて照れたフリを始めた白い影。

 

 よし、一発殴るか。

 

 俺が拳を握りしめたのを見て影が慌てて距離を離した。

 

『冗談冗談! ()ジョークだよ!』

 

 つまらねぇ事言うんじゃねぇよ。

 

『ちぇ、場を和ませようとしただけなのに冷たいなぁ!』

 

 そう言って白い影は俺たちに背中を向けたまま歩き始める。

 

 1歩。

 

『とりあえず、この下のゴミの掃除は任せたよん』

 

 2歩。

 

『あと......早く()を止めてね、レオス』

 

 3歩。

 

 白い影が初めから居なかったかのように消えた。

 

 音も気配も既になく、荒れ果てたダンジョンの惨状だけが今までの戦闘が現実だと主張していた。

 

 そう思った瞬間に全身から力が抜けた。


 コレで難所は乗り越えたかな......。

 

 既に祝福の鐘は鳴りをひそめ、ダンジョン内が静かになった。

 

「レオス!」

 

 どうしたミリシア? そんなに顔を青くして......アレ? 何でそんな傾いてるんだ?。

 

「しっかりして! 今手当するから!」

 

 あぁ、そう言えば我慢してたけど身体中が痛いな。

 

 ミリシアの体の温かさに安堵して俺の意識は闇の中へ飲み込まれていった。

 

 /////////

『キサマ! 冒険者風情がこの俺様に楯突いて無事で居られると思うなよ!』

 

 陽が完全に落ち、王都が寝静まり始める時間。

 

 王都から少し離れた屋敷、豪商で名を馳せた商人の別荘で薄汚れた鎧を身に纏った俺と華美な服に着られた小柄な男が対峙していた。

 

 男は突然現れた俺に気付くと侍らせていた少女を乱暴に押し退けると口の端から泡を飛ばして言葉を荒げた。

 

 コレは......昔の夢だ。

 

 各地で違法魔工具を売り捌き膨大な利益と少女......いや、幼女と呼んでも差し支えない子供を妻として侍らせ続けた男を追い詰めた時の夢。

 

『そうか......無事じゃスマねぇか』

 

 この時の俺は子供だったフォクシーさんや村の子供が犠牲になりそうだった事に腹を立て、後の事なんて少しも考えていなかった。

 

『ならよぉ、どうせ後がねぇなら! 徹底的にやらねぇと損だよな!』

 

 俺の顔と突きつけられた剣を見て失禁しながら壁にもたれかかる商人の男。

 

 名前は覚えていないし、この時も覚えるなんて発想すら無かった。。

 

『ひぃ! やっやめろ馬鹿者め! 護衛は! 護衛は何をしてる!』

『さぁな? 今頃は後悔してるんじゃねぇか? 自分が誰を敵に回したのかをな!』

 

 うわぁ、この時の俺の笑い方は凶悪すぎて獅子宮殿のみんなには見せられないな。

 

 まるで悪魔だ。

 

『なっ......いっ今なら許してやるぞ! 考え直せ! そっそうだ、今なら特別にお前を俺様の専属の護衛として雇ってやるぞ!』

 

 聞いただけでも吐き気を催す最悪な提案を夢の中の俺は乗り気で食いついた。

 

『ふーん、報酬は?』

『白金貨10枚だ! コレだけあれば冒険者を辞めても一生遊んで暮らせるぞ! 今なら俺様の女を与えてやる!』

 

 最高の条件。

 

『良いじゃねぇか、それを受ければ『ざまぁ』に近づけるかもしれねぇ!』

 

 笑顔で言い切る俺に商人が希望を見出して、顔を歪めて笑った。

 

 そう、最高の条件だ。

 

『けど要らねぇわ』

 

 悪人にとっては。

 

『そりゃ金は欲しいさ、あればあるほど良い......とまでは言わんが、あるに越した事はねぇ』

『何故だ! 何が気に食わない!』

 

『もしそれを受けたら、俺の隣で女が泣くって事だろ? ワリィがそこまで神経が図太くねぇんだよ』

 

 商人は理解のできないモノを目の前にし言葉が出ない。

 

 今まで商人の周りに居たのは金と女で動く奴だけだったのだから。

 

『だからよ、さっさとテメェを潰して子供達を解放する』

『ここのガキどもは全員親に売られて来たんだ! それを俺様が買い、平民では住む事すら出来ない豪邸に住まわせてやってるんだ! 貴様の偽善でそれを壊すのか!』

 

『そんなもん知らん、可哀想だとは思うが......俺がキレてんのは義憤とか正義とかとでも思ってんのか?』

 

 俺は商人の前へ歩み寄り嗤う。

 

『見知らぬガキを泣かして、フォクシーにも手を出そうとしたバカが気にくわねぇからだ』

 

『テメェが貴族と繋がってようが、俺がこの後に捕まろうがどうでも良いんだよ! 今ここで気にくわねぇお前を潰せればな』

 

『そもそも! テメェが発端だろうが!』


 拳を振りかぶり、殺さないギリギリで全力殴ると、男は潰れたカエルのような情けない悲鳴をあげて意識を失った。

 

 その姿を見て、改めて見ると凶悪すぎる笑い声をあげてスッキリとした表情に変わる俺。

 

『よし、スッキリしたぜ! 後は衛兵を呼んでおけば解決するだろ!』

 

 何故か高笑いをする俺の視線の先には怯えているのか、震えている幼女の姿。

 

 ここに来る最中にも生きる意志を失った子供達が数多く居た事を思い出して頭を掻いた。

 

 この時の俺は短絡思考で尚且つ『どうせ繋がりのある貴族に邪魔されんなら、貯めた金を使い切るか』とやけっぱちになっていた。

 

『テメェらの親はコイツに頭ん中を弄られておかしくなっちまってただけだ! 帰りてぇなら連れてってやるし、帰りたくねぇなら俺が面倒見てやる!』

 

『だから俺について来い! まとめて面倒見てやるよ!』

 

『そんで立派になって、そこの馬鹿に言ってやろうぜ!』

 

『ざまぁみろ......てな!』

 

 まぁ、この後に商人は貴族から尻尾切りにあって普通に捕まった。

 

 そんで俺は引くに引けずに全財産を捻り出して孤児院を建てる羽目になったとさ。

 

『ははは......金がねぇ、コレが『ざまぁ』ってやつか』

『ん 違うとおもう』

読んでいただきありがとうございます!

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