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17話 ドタバタ銀級冒険者

 現在、『水面の祠』の5階層。 

 俺達は森の一角を切り開き、木々を床の代わりにして野営の準備をしていた。

 

「思ったよりも順調なんだけど......手応えが無いわね」

 

 確かにな、元々の『水面の祠』は6階層。モンスターも強くなり始めると思ったんだけどなぁ。

 

 現れるのは相変わらず熊猪鳥。

 

 風景も変わり映えしない、泥と木々だけ。

 

 変わり映えしないダンジョンにモンスター......気が滅入るな。

 

 アレから交代で休息を取ってはいるけど普通では考えられない変わり映えの無さに先に心が参りそうになる。

 

 そんな俺を見かねたのかミリシアがバックパックから様々な食材を取り出した。

 

「ほら! 辛気臭い顔してないでゴハンにするわよ!」

 

 ミリシアが透明な袋の破いて開ける。

 

 湿気対策で個別の袋に入れられていた香辛料、ハーブやスパイスの香りが広がる沈んでいた気分が昂揚していくのがわかる。

 

「狐堂で売ってたでしょ、えっと......かれー?とかいう新しい料理の素らしいわよ」

 

 あぁ売ってたな! コレは楽しみだ。

 

 俺は手に入れた魔石を加熱の魔工具の中へセットしながらフォクシーさんの説明を思い出した。

 

 彼女が言うにはケーキとか色んな料理を開発してる人みたいだから味は間違いないし、材料を入れて煮込めば良いから野営の料理としては適しているとも言っていた。

 

 ただ匂いが広がるから、そこだけは注意だとも言っていたけれど......。

 

「ふーん、材料を鍋に入れて煮込めば良いのね? レオスのバックに鍋入ってたわよね」

 

 バックパックにしまった小型の鍋を渡す。

 

 ミリシアは手馴れた手付きで鍋の中へ水と日持ちのしない食材を一口サイズに切り魔工具の上へ乗せてスイッチを押して起動させた。

 

 そいえば魔工具も新作かな? 前より一回り小さい気がするけど。

 

「そうじゃない? 今度のは火加減も調整できるみたいだから便利ね」

 

 魔石に残った魔素を燃料に火を起こす『コンロ』を作った魔工師は天才だと思う。

 

 少し値が張るけれど、周囲の状況に左右されずに火を起こせるのは画期的だ。

 

 火が通り用意されていた『かれーの素』を入れて鍋をかき混ぜるのを見ているとフォクシーさんの言っていた事を理解した。

 

 見た目は正直良いとは言えないけれど、その香りは暴力的なまでに芳しい。

 

 無意識で溢れ出る涎を飲む。

 

「ほらほら、もう少しで出来るから待ちなさい」

 

 あっあぁ! 皿の準備しておかないとな!。

 

 すぐに食べれるように木を切り出して作った皿を用意して待っているとミリシアが先に気付いた。

 

 少し遅れて俺も気づく。

 

 何かが揺れるような、雄叫びのような声が。

 

『なんだーこの匂いはー!』

『ヒャハー、メシだー!』

『オレ メシ クウ』

 

 切り開きバリケードにしていた木を飛び越えてきたのは......。

 

 肥大化したマッシュボアに乗った3人の青年だった。

 

「は?」

 

 もう一度言おう。

 

 服などはなく、樹木の葉と蔦を恥部へ巻き付けただけの服とも呼べない身なりの青年達が.....。

 

 マッシュボアに乗って現れたのだ。

 

「まさか!」

 

 まさか!。

 

「全滅したはずの冒険者!」

 原住民!。

 

 ミリシアに睨まれた。

 

 まさかロイドくんのお兄さんのチームか!。

 

 驚いている間にマッシュボアを乗りこなした青年達が勢いよく飛び上がり俺たちの側へ着地した。

 

 ちなみにマッシュボアは逃げるように去っていった。

 

 俺達の前には『かれー』を凝視する青年達。

 

 目は血走り、口の端からは涎が滝のように溢れ出している。

 

「キノコ以外の食べ物だ!」

「ヒャハー! 文明の香りだ!」

「オレ メシ クウ」

 

 鍋を囲んで謎の踊りを始めた3人にさすがのミリシアも怖気付いている。

 

 流石にこのままでは話は出来そうにないな。

 

 まずは落ち着かせるのはが先かと、俺は3人分の皿を用意してミリシアへ目配せをした。

 

 意図に気付いたミリシアはオドオドしながら声をかける。

 

「あっあの......食べますか?」

 

 まぁその後の顛末は語る事ないよね。


 ただひとつ。

 

 俺も『かれー』を食べたかった。


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