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スクランブル!  作者: 1輝
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死なない男と死ねない男

 男は、写真を手に歩を進める。当てもなく彷徨うように見えて、ある程度は予測をつけていた。死にたいなら危険がある場所、スラムの方だろうと。

「あのっ!サインくだしゃい!!!」

いきなり小さい子が男にサインを求めてきた。

「テレビ見ましゅた!でっかいビルの間を綱渡りをしゅたり、燃えた車に乗ってガソリンタンクに突入しゅたり、かっこ良かったですぐ!みんなは『怪我してないからウソだ』って言うけど、違いましゅよね?」

「あぁ、違うよ。本当に自分でやっつてるよ。ちなみに、テレビやサーカスじゃできないことも、()()()()()()()()()()

「凄いでしゅ!」

「あと、ウソっている奴にはこう言ってやるんだよ。」

そう言うと男は、書き終えたサインを男の子に渡し、右手の拳を高らかに掲げてこう叫んだ。

「《俺は神に愛されてるぅ!》ってね。」

「うん、言いましゅ!」

「ところでボウヤ、この人、見た事ある?探してるんだけど、なかなか見つからなくて。」

「知らないでしゅ。でも、侍とカウボーイなら見ましゅた。」

「???」

「見ましゅた!」

「そっかー……ありがとうね、気をつけて帰るんだよ。」

「ウンッ‼」

男の子は、男の方を見ながら駆けだした。そこに猛スピードでトラックが走ってきた。男はすかさず男の子を抱え込んだ。

助けるためではない。自分の強運を確かめるため為に。


キキィーーー!!!


トラックは、ギリギリで止まった。2人はこの世から消えず、きちんと生命体として存在していた。男は笑みを浮かべていた。ゆっくりとトラックの方を振り向きながら、お決まりのセリフを叫ぼうとした。しかし、笑みごとそのセリフは喉奥まで引っ込んだ。知らないけど見たことある人間が、自分とトラックの間に立っていたからだ。若白髪の多い青年だ。

「ハァ…………人の代わりに、事故に遭えば死ねると思ったんだけどな。」

青年は、己の悪運を再認識させられた。


トラックが通り過ぎ、男の子からお礼を言われた後、男は青年を追いかけた。すぐに見つかった。声をかけようとしたが今から殺す相手になんと声をかけるべきか、そもそも声を掛ける必要すら無いんじゃないかと思うと同時に、相手の強運がどれほどの物か確認したくなった。男は懐から投げナイフを取り出し、いつもの様に投げた。ただし、サーカスでは当てない様に投げるが、当てるつもりで投げつけた。気づいて避けるか、当たっても急所を外れるか。いろいろなパターンを想像していた。しかし、現実はどれも外れだった。

どこからともなく現れた、ハトに刺さったのである。


「はああぁぁぁーーー!!!!!!」


男は思わず叫んでしまった。今まで存在していなかった物に阻まれれば、誰でも叫んでしまうのは仕方がない事ではある。突然の叫び声に青年が振り返ると、男とナイフが刺さったハトがいた。意味が分からなかったので、叫んだであろう男に尋ねた。

「コレ、あんたがやったの?」

「あぁ?ああぁ……」

「理由は?どっかの組織の回し者???」

「違う。ただの同業者さ。お前の話を聞いて、興味が湧いたんだ。なかなかの強運の持ち主だそうだな。」

「強運なら、まだ良いよ。悪運というか、呪いって言葉の方が正しいから。」

「そんなのは、どっちでもいいよ。いやー、こんなヤツに会えるとは本当に、《俺は神に愛されてるぅ》!!!」

「なら、俺は[死神に嫌われてる]ね。」

「おしゃべりはこの辺にして、そろそろ殺りあおうぜ。理由は単純明快、どっちの運が強いかどうか、確かめようぜ。」

「良いよ、戦おう。」

「おっ、意外だな。死にたがってるから、乗らないかと思ったけど。」

「僕は死にたいけど、いろんな理由でダメだった。だから、確実に死ねて、かつ狙われるこの仕事を選んだ。大人しくしていれば殺されるだろうけど、きちんと相手しないと失礼だからね。」

「偉いなー。そして、嬉しいよ。」

「どうして???」

「俺が、君の最後の相手になれるからだよっ!」

男は先ほどと同じように、ナイフを投げた。異なる点は、3本という点。手持ちは減るが、確実性は増すことを考えての3本投げだが、無駄だった。3本とも、ハトの死骸を漁りに来た3羽のカラスに阻まれた。


「なぁっ!」


男が驚いている間に、青年はハトに刺さったナイフを引き抜き、男に目掛けてナイフを投げつけた。男は避けたが、通りがかったトラックの荷台にある、ガスボンベに命中した。ガスが漏れるだけならまだ安全だったが、急ブレーキでトラックが止まった拍子に、ガス管同士がぶつかり火花が散った。


ドカーーーーーン‼


ガスが漏れたボンベだけでなく、荷台の全てのボンベ、トラックごと大爆発した。大炎上の大煙幕。男は完全に炎に巻き込まれた。

「やっぱ、ダメか・・・」

ため息とともに立ち去ろうとした。

「いやー、流石にヤバかったぜ。」

男は煙の中をゆっくりと、青年に向かって歩き出した。無傷どころか、服さえ燃えていない。

「自分で強運と言うだけあるね。」

「だろ~。お前もなかなかだけどな。」

「アンタ、名前は?」

「名前は…………本名じゃないよな、通り名だよな。オレの名前は『死なない男』だ!」

「そっか。僕はそういうのが無いから、強いて言うなら、『死ねない男』かな?」

「ハッ、死ねない男か。そんな奴に会えるなんて、俺は《神に愛されてるぅ》!」

「僕はあいかわらず、[死神に嫌われてる]よ。」

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