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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
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6 性能の差がすべてじゃない

思いつくままにどんどん書いていきます。

 町から孤児院に帰ってきたクリス達、そこに冒険者として仕事をして孤児院に先に帰ってきていたアーシュ達が出迎えてくる。




「おう、お前ら。

 おかえり」

「ただいま、アーシュ」

「アーシュ兄ちゃんただいま!」

「ただいま」

「おかえりみんな」

「帰ったよモルド兄ちゃん」

「あ、おかえり」

「キリカおねえちゃんただいま」


 とみんな思い思いに返事を交わす。


「モルド兄ちゃんたちは仕事どうだったの?」

「今日はいい仕事だったよ」

「俺はまだまだいけたんだけどなぁ」

「アーシュ。

 お前はそう言ってこの前、危うくケガするところだったろ?」

「そうだよアーシュ兄ちゃん。

 モルド兄ちゃんが気づかなかったらモンスターに囲まれるところだったんだよ?」

「うっ。

 わ、わかってるよ!」

「もう、アーシュ兄ちゃんはー」


 そう言って、孤児院の子供の最年長のモルドと一緒に仕事についていったキリカに注意されていた。

 モルドはこの孤児院の最年長の11才で孤児院の生活費を稼ぐために冒険者になったHランクのハンター、おとなしくも面倒見の良さと孤児たちを支えてくれる事からみんなにとっての頼りになる兄貴分だ。

 冒険者の依頼も少しずつ着実にこなしてきたその評価に近々Gランクに昇格するそうだ。

 モルドは獣人族で狼種に近い犬種らしい、髪と目がグレーで、ちょっとツンツンした髪形をしている。

 もう一人は女の子でキリカ。

 控えめな性格で、どちらかというと危ないことはしたくないタイプ。

 今回はお手伝いとしてモルドの仕事の手伝いで一緒に同行していた。

 おそらく後方で何かを手伝っていたのだろう。

 セミロングのプラチナブロンドから覗く同じ色の困った瞳が、この子が争いごとを好まないとすぐにわかってしまいそうだ。

 ミィナの髪がハッキリした金髪なのに対し、キリカの髪色から明るくも少し透明感があるところがなんとも二人の性格を表しているようでなんとも・・・。


「クリスー、何か言った?」

「ううん、何も」


 勘が鋭い。

 いくつでも女の感はすごいと改めて再確認させられた。


「あら、みんなお帰りなさい」

「あ!クレア姉ちゃん!」

「クレアお姉ちゃんただいま」

「今、帰ったよクレアお姉ちゃん」

「ただいま」


 各々、孤児院から出てきたクレアに帰ってきた報告をした。


「おかえりなさい、みんな。

 モルド、仕事はどうだった?

 みんな怪我はしなかった?」

「大丈夫だよクレア姉ちゃん。

 あれくらいで俺がケガなんてするもんか」

「もう、アーシュ、あなたはこの前もそんなこと言ってケガしたじゃない。

 気を付けないとだめよ?

 心配するんだから」

「うふふ、ほら、言われてるじゃないアーシュ気を付けてって」

「ダメよアーシュ気を付けないと」

「ちぇっ。

 みんなして言わなくても」


 クレア、ミィナ、キリカとみんなに言われ若干拗ねてしまうアーシュ。

 そんなこんなとこうして1日を過ごしていった。



 夜、ご飯を食べ、お風呂に入りそろそろ寝る時間になってきた時間、モルド達やクレア、シスター長たちに今日のお出かけをミィナとロークが話していた。


「へ~。

 じゃあ、クリスの良く言ってる疲れたっていうのは身体強化を無意識に使っているからなんだな?」

「たぶん、そうなんじゃないかってミミさんが言ってた」

「なるほどねえ。

 ですから、クレアの回復魔法の効果が効きにくかったのかもしれないですね」

「そうなのかもしれません、彼に早くまともに回復魔法が使えたら無くなってる右腕と左足が治るのに。

 そうすれば、義手に使っている微量なマナ消費を抑えられますのに・・・」

「落ち込む必要はありませんよクレア。

 あの子は頑張って今を生きています。

 あなたが悲しめばそれに気づいたクリスが悲しんでしまいます」

「・・・はい。

 シスター長」

「クレアお姉ちゃん、悲しむことないよ?

 だってクリス、マナが何に使ってるかわかってから、なんかもっとやる気になってるんだよ」

「そうだよ、ミミに聞いてからすごく楽しそうにしてるから」

「だって、クレア姉ちゃん。

 今日一緒に行ったミィナとロークが言うんだから問題ないよ」

「それに、あいついろいろ冒険者になってどっか行きたいってこの前言ってたし。

 気にすることないってクレア姉ちゃん」

「・・・うん!

 そうだね。

 ありがとう、みんな」


 そんなことが孤児院の食堂広間で会話がなされている中、当のクリスは。


 集団で寝る寝室のベットで横になりながら、すでに寝かしつけられた数人の孤児の子供がいるなか一人ぶつぶつと独り言を言って、頭の中を整理していた。


「無意識の使ってMPを消費してるってことはわかった。

 問題は俺のMPというかステータスの低さがネックだな。

 できれば消費量を抑えてそれと同時にレベルを上げて現在のステータスの底上げをしないと今のところどうしようもない。

 まずは、スリングショットもどきを作るか、アーシュが言ってた簡単に倒せる雑魚種のリンスらってやつを倒して経験値を稼がないと。

 ん~、しかしどうするか。

 3才の年になってレベル1、しかもこのステータスで倒せるのかがわからん。

 生きていく上では自然とレベルは上がってくと言ってたけど、それまでここでせっかく異世界にきて異世界らしいことができないというのも嫌だ。

 生きる上では今のところ不自由はしてない。

 ここに来れたのも運がよかったとしか言いようがない。

 今後もこれが続くとは限らないし、いざ何かあったときにこの状態だからってのは避けたい。

 ・・・・・よし。

 思い切って行動してみるか!」


 そんな決意を決め、眠りに入った。



 翌日、さっそく行動開始。

 まず今日も仕事に出かけるモルドとアーシュに頼んでステータスを見せてもらった。


 この世界では鑑定の能力はある程度は結構みんな持っていたりする。

 ランクの高いモンスターだって割と普通に持っているらしく、これを使ってわずかにでも情報を手に入れて戦ったりするのは普通らしい。

 しかし、鑑定で見れるのは名前、種族、レベル、能力の一部あるいは特性くらいだそうだ。

 レベルの差があれば能力の大半が見ることができるらしい。

 しかし、ステータスや固有(種族ではない)の独自で身につけた専用スキルは見えないらしい。

 なぜなら、ステータスは実際の力に反映はするがあくまで1つの目安でしかなく表面的な部分にもなっているため、そのものの本来の力の一端でしかなかったりするかららしい。

 だったら見えたっていいだろうとは思うが、どうも能力と同様ステータスの表記にそれぞれ微細に違いが出るため正しい判断基準が難しいらしい。

 かつて、あまりにレベルが低くそれなのにスピード昇格をしてBランク冒険者になった人が何人か過去にいたそうだ。

 そして、あまりにも早く昇格するため文句を言ったり難色・・・まあ、ぶっちゃけいちゃもんを付けた輩がいたらしい。

 その輩による決闘や不意打ちで金で買収して高ランクレベルの冒険者に寄生したり、似たようなことで自分は働かずパーティーを組み、高レベルのび冒険者に任せモンスターを討伐してもらうパワーレベリングという行動をとって、強くなった奴のステータスはレベルに対して体というか心が育っておらず、実際の強さと能力に差ができ、ある程度実力があるものが挑むと高確率でボコボコにされ真実があっさりと世にバレるらしい。

 逆に貴族は開き直っているというべきか、自分の存在と権力という力を誇示するために多少は力を持っている必要があるらしい。

 と、こんな話を、酔った冒険者のお兄さんや長年、仕事をしているおじさんたちに聞いた。

 権力は強いが、その力で気に入った女性冒険者に持ち掛け、それを拒絶してきたときに、裁判や法律、軍を使うバカな貴族もちらほらいるらしい。

 しかし、冒険者は世界を旅し、困っている人たちの依頼で動いたりもする仕事、自由奔放に勝て気ままにと毎回するわけではなかったりする。

 そのため、ギルドは国に所属はせず世界をまたにかける代わりにそれぞれの地方や村、大都市に至るまで、その地元の人々との信頼関係を気付いて出来上がってきた実績と信頼がある。

 それを下らない貴族のために、大切な仲間を毒牙にかけようものなら制裁を加えようと動くこともある。

 だから、たいていの貴族はどこかで線引きして、持ちつ持たれつのような間を作る。

 たとえ、入ってきた新人の子を貴族が気に入って何とか手に入れようと手を出したらこの制裁が加えられたりする。

 過去にその事例があるらしい。

 大抵は、貴族の息子あたりがそれを知らなかったりして、女冒険者に歯牙にかけずフラれるか、強硬に出て返り討ちに合うらしい。



 さてちょっと話を戻そう、スピード昇格で本当に実力を持っていた時はどうなるか。

 それは、レベルの差が昇格したものがたとえ30,40以上、差が開いていようとあしらったり出来るらしい。

 そんな場面をよくギルドで飲みに来ているおじいちゃんが見たことがあるらしい。

 ここ最近でも、わずか12才くらいの子供がCランクのベテラン冒険者10人ほどが一斉にかかってきて、ほとんど一瞬で片がついてしまったらしい。

 ベテランのCランク冒険者は周りの奴らも含めて(当時おじいちゃんも鑑定したが)平均が180レベル以上あったらしい。

 中には210もいたらしいが、そのBになったばかりの子供、女の子らしいが、170にもなったばかりだったらしく明らかに力が足りないとみていた者も思っていたが見事に裏切られたと語った。



 そんなわけで、鑑定は情報を手に入れる貴重な力であると同時に、ある意味自身の見極める力が問われる試練のようになっていたりもする。


 こんな鑑定だがしっかりと調べてもらう方法いくつかある。

 1つ、ギルドにある特殊な板にマナを読んでもらい鑑定する方法。

 1つ、似たようなやり方で教会、もしくは王国が持つ水晶から鑑定してもらう。

 1つ、専用も特殊な薬による情報の開示。

 ほかにもあるが、大抵はこの3つ。



 ただし、ギルド、教会、王国で使っている鑑定は特殊なもののためか古くからあるが昔の要素である部分が大きく、読み取る方法はわかってもなぜそれを読み取っても、全員の表記に違いが出てるのかは不明のため、いまだに数が決まっていたりする。


 少なくはないが、一度、ギルド、教会、王国で見つけた板や水晶は、機能自体が登録されて固定してしまったのか、ギルドはギルド、教会は教会、王国は王国でしか使えなくなった。


 ギルドで手に入れた板を試しに王国で使用してみようを試みたが何も起動しなかったらしい。


 しかしギルドに持ち帰れば通常通り使用は可能になったらしい。


 これは教会も含めて例外がなかったらしい。


 ある学者の説によれば、昔誰かがそれを手に入れ最初に登録してしまったのが原因ではないかということらしいが昔のことなので記録が残っているわけもなく不明。


 最後の特殊薬に関してはある歴史学者が長年の研究の末、情報を読み取る構造を何とか抽出できないのかをもとに調べ、そして、やっとのことで抜き出せたのが名前、年齢、種族というところまでだった。


 今の普段使う鑑定の劣化版みたいだが、これの利点は十分にある。


 それは、体の部位だけが残っていたり、原形がとどめていないもの、または判別の難しい遺品などを家族、関係者に知らせ届けたりするために使用する。

 なぜなら、生身で亡くなった人を鑑定したとき、わかるのが名前、年齢、種族のいずれか一つしかわからないから。

 最悪、何もわからず``死体``と表記されるだけの場合もある。

 そのために使用される。


 ただ、その学者、変わっていたのはあくまで亡くなった場合に調べるに制限をかけた結果調べることが可能になったと報告したそうだ。

 実際、生きている人間にかけても表示されないらしい。

 それは、モンスターにとして現れるゾンビ系だって例外じゃないらしい。

 何らかの保護か見られたくない、あるいは知る必要がないことではないという暗示なのではという都市伝説のような噂まで出てくる始末なんだそうだ。



 謎は深まるばかり。

 とにかく、まずはこれでモルドとアーシュのステータスを見せてもらおう。

 考えるのはそれからだ。それからだ。

修正は後からまとめやっていこうかなと考えたりしてます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アーシュって今7歳前後だから、仕事は難しいのでは? 小さいモンスター倒してお小遣いもらうのかな?
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