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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
43/473

42 作戦開始・・・潜入開始

 家族にバレない様にひっそりと出掛け、何気ない顔で電車に乗って目的地に向かった。


 午後11を回ろうとしている時間なために駅員さんがコチラを怪しんでいるように感じたので、そそくさと顔が見えないようにしながら目的地の駅を降りた。


 そして、夜で工場はほとんどシルエットしか見えないが、それを目印に朝来た道を辿り、工場に近づいた所で警察官が巡回してる所に出くわした。


 幸い、前の通りを横切るだけだったがドキッとしてしまった。


 フードを被り顔を遠くからは見えないようにして、慎重に工場へと向かっていった。



 純は体内マナを使い外の気配に感知が出来るように少しだけ使う。


「(さっきから、警察官がちょくちょく通る気がするんだけど・・・。

 あっ、また来た)」


 純は街灯の当たらない、暗い場所を意図的に沿って出来る限り同化し目的地に向かう。


「(・・・ふう。これで3回目かな?

 いくらなんでも多すぎる)」

〔もしかしたら、すでに何かが起こっているのかもしれません〕

「(えっ!?まだ時間までは30分近くあるのに?)」

〔いえ、あくまで推測ですが・・・。

 以前起きた事故のようにその場所に関連した問題がすでに起きているのかもしれないと〕

「(男が暴れたのは工場付近だったよね?)」

〔はい。それと同様の事なのかもと・・・〕

「(とにかく急ごう、まだ間に合うかもしれない)」


 純は体内マナを活性化し、急ぎ暗闇から暗闇の移動しながら工場に向かった。


〔っ!純、隠れてください!〕

「(えっ?・・・いきなりどうしっ!)」


 サポートに少し遅れて純が気づき急いで近くの工場に陰に隠れた。


 目の前には大勢の人が集まっていた。


 純は顔を出し少し覗き込むようにして見た。


「(・・・やっぱり、問題が起こったのか!?)」

〔・・・いえ、そうではなさそうです〕

「(でも、あんなに人が集まる事なんてないでしょ?)」

〔純考えてください。ここは工場地帯。

 数件、一般宅があるだけでそれ以外は工場の建物しかありません。

 その中を、工場関係者か疑わしい人たちがたくさんいるのです。

 あちらを見てください。

 明らかに純と同じ年齢くらいの子供が何人も居るでしょう?

 これは、明らかにおかしいです〕

「(確かに・・・っていうか、何で巫女さんがここに居るんだ?)」


 純は顔はハッキリと見えないが3人の巫女姿の人物を捉えていた。

 よく見ると、その近くに学生服の子供が何人も居た。


「(あれは・・・一体なんだ?)」

〔わかりません。

 ・・・純どうしますか?〕

「(え?何が?)」

〔このまま残りますか?、それとも別ルートを進みますか?

 最悪、撤退もありますが・・・〕

「(いや、撤退はしない。

 少し様子を見てから、俺たちは別のルートから入ろう)」

〔了解しました〕


 クリスは少しだけ話を聞こうと工場の隙間から縫うように隣の工場の陰に隠れて近づいていく。


 そして、微かに聞こえるくらいの位置にまで寄ったろ所で覗くのを止め、サポートの力を借りて、話し声だけを聞いていた。


 どうやら、ココに何かが来ること、召喚されることを知って、呼ばれた人たちに様だった。


「(なるほどねー。

 俺たち以外にも情報をキャッチする力を持った人がいるんだー・・・)」

〔何やら国の要請で戦う者たちのようですね。

 モンスター退治を生業にしているのでしょうか?〕

「(その辺りは判らないけど・・・向こうの話を聞く限り、100は現れるそうだよ?)」

〔その様ですね。

 人数が不足していると聞こえてきましたし〕

「(・・・じゃあ、俺たちはバレない様に動いた方がよさそうだね)」

〔さすがに1人で工場の中を出歩いてると怪しんでくださいと言っている様なものですからね〕


 2人は会話の内容からおおよその事情を知った。

 その上で自分たちがどう動くか方針を決めた。


〔どうやら時間のようです。

 私たちは別ルートから進みましょう〕

「(そうだな。

 じゃあ、カメラが無かった所から中に入ろう)」


 純はこっそりとその場を離れ、ぐるっと右に回り込むようにして垂直に3メートル以上ある壁の天辺に着地しそこから建物の構造上パイプが入り乱れている場所に飛び降り、周りの気配を探った。


 そして、ステータス画面からスライドしクエストの表記を確認した。



 【突発クエスト】まで


 諸毘志製鉄工場


 5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・


 カウントダウンが終わり、別の内容に変換された。


 その時、急に当たりの空間が変化を始めた。


「(?・・・これは?)」

〔独自の力場を確認。

 おそらく召喚が行われたのでしょう。

 今この場にいる者は外と空間が違うため見えない作りになっていると予測されます〕

「(じゃあ、この前の事故の暴れた人って・・・)」

〔おそらく何らかの力場に入ってしまいナニかが見えてしまったのでしょう。

 しかし、ここほどしっかりとした力ではないため周りの人も奇行が見えていたのでしょう。

 そして、対抗する術を持たず一部がそのナニかに取り込まれてしまったのではないかと〕


 そんな話をしていると、さらにその力場覆うように大きな幕が天井からこの工場を覆うように展開された。


〔今のは、おそらく先ほどの巫女による結界が張られたのでしょう。

 この力場とは違う、力を感知しました〕


 純たちは結界と異様に濃くなっていく独特の力場を見渡していた。

 その時、結界の幕の内側、工場の空、数メートルから地上から、下からと次々大なり小なりの黒い渦の中から赤く燃えるモンスターや巨大な二足歩行の牛や石像、顔が花のような植物、体が黒く頭から角を生やし紫のスパークを走らせている馬と、そんなものが純の見える位置から次々と現れてきた。


 モンスターが現れて数秒後、遠くの方から爆発音を聞いた。


 どうやら、戦闘が開始されたようだ。


 純もさっそくスリングショットを取り出し、指紋が残らない様に薄めだが、動かしやすい手袋をつけポケットからビー玉を取り出し近くに現れた下半身はツタで手も細いツタ、頭の部分は大きな花を咲かせている植物モンスター目掛けて30メートル以上離れた物陰から花のチョイ下、ツタの付け根という人間だと首にあたる部分に狙いをつけ・・・射撃。


「っ!・・・」


 首辺り吹き飛び何か奇声を上げる前に頭である花が地面に落ちた。

 貫通したビー玉は地面に小さなクレータを作り砕け散った。

 手のツタがかすかに揺れた後、力を失くし倒れ黒い粉塵とともに消えた。

 その場には結晶と一部のツタと種が落ちていた。


「(なんか、システンビオーネのドロップアイテムと同じだね?)」

〔システンビオーネとは違いますが、何らかの法則は同じなのでしょう。

 あの世界とは質が違うマナを検知しましたから〕

「(つまり、別の異世界から来たってことか?)」

〔はい〕

「(・・・この地球が異世界と繋がっていたなんて・・・)」

〔純の考えていた妖怪の世界も案外信憑性がありそうですね〕

「(可能性があるって言ったのはサポートだろ?)」

〔はい。しかし、あくまで``かもしれない``でしたが〕

「(これを見るとまるっきりないと断言も出来ないか)」

〔その通りです。・・・しかし、純。

 このモンスターに関して些かマナの運用が強すぎるようですが?・・・〕

「(念のためを取って、今日川でやった様に2割くらいで試したんだけど・・過剰すぎたようだね)」


 純は慎重を取って行った攻撃があまりに強くて、冷や汗を掻き自分自身で焦っていた。


〔しかし、今回のである程度の力は掴めたのでは?〕

「(う~ん、そう思いたいけど、さっきのは弱い感じがしたから・・・。

 多分、召喚された中でもかなり弱い部類なんじゃない?)」

〔・・・確かにそうですね。

 内包するマナは微弱でしたし〕

「(じゃあ、今度からはもっと慎重になっておいた方が良いかもっ。

 むしろ、ここで加減しすぎて、敵にもここに来ている人達にもバレるわけにはいかないし)」

〔分かりました。

 その方向で続けていきましょう〕

「(そうと決まったら戦闘開始!)」


 純はもう一度クエスト内容を見た後、こっそりとバレない様に動きながら討伐に参加した。



【緊急討伐クエスト】


 モンスターを殲滅、あるいは、統率者を倒し強制送還しろ


 ・・・残りのモンスター 84体・・・83体・・・80体・・・・・・・78・・・・・




「よしっ!次だ!」

「聡!陽!横にいる雑魚は任せる!」

「分かりました」

「実姫は白本さんを護衛しながら俺に付いてきてくれ」

「了解です」

「白本さんマズいモンスターはこの辺りにいるか?」

「・・・4級が二体こちらに接近中です。

 2級が一体こちらから見て11時の方向、コンテナの辺りにいます柴垣さん」

「分かった。

 聡と陽は二体を頼む、お前たちなら倒せるだろう。

 俺たちはコンテナの方に向かう」

「「了解」」


 返事をした後、近づいてくる二体のモンスターを確認した2人は走って行った。

 明石 聡(あけいし さとし)市宮 陽(いちみや はる)はそれぞれモンスターと対峙する。


 それを見送った柴垣たちはさっそくコンテナに向かって走り出した。



 残り58体



「は~うっとうしいモンスターですね~」

「じゃあ、ココは俺が片しておきますよ」

「あら、いいの?徹切?」

「まあ、ちょうど・・・少し新調した武器の調整がしたかったので」

「だったら、私も使ってみたかった術がありますので、ここに残ってよろしいかしら?」

「・・・分かりました。

 では、徹切と美代はここのモンスターを相当しなさい」

「了解」

「承りました」


 そう返事をするとさっそく武器を片手に敵陣に突っ込む渡井祢 徹切(わたいね てっさい)

 その後を続くように術を周りに纏わせ踊るように操り次々と敵を切り刻んでいった。

 呱々嘉瀬 美代(ここかせ みよ)は徹切の後に付いて前に出て行った。


「神橋さん、他のモンスターは?」


 そう言って、鏡花を守る様に傍に付きながら聞く厳崇史 武(げんしゅうじ たける)


「えっと、ココからだと・・・あちらに3級が4体と・・その近くに2級が一体です」


 鏡花は工場の建物のある一角を指差し2人に知らせた。


「は~3級の傍に2級ですか・・・少々面倒ですね・・・」

「花蘭さんどうしますか?」

「・・・このまま、他に人達に奪われて報酬を減らされるよりは良いでしょうね。

 2級は私が相手します。

 3級の4体は・・・武、あなた一人でも・・」

「問題ないですね」


 自信たっぷりに武は答えた。


「では、私たちはそちらに向かいましょうか」

「了解です」

「は、はい!」


 花蘭たちもそれぞれの場所に向かった。



 残り34体


「っで?私たちはどうするの?彰隆さん」

「う~ん、どうしようか?」

「俺たちに聞いてどうするんですか」

「いや、だってね。

 君たちがここら一帯のモンスター倒しちゃったし、他のメンバーの手伝いに向かわせようかと」


 芽木白探偵事務所のメンバーは担当場所の敵をほぼ倒してしまっていた。

 思ったよりも担当したモンスターが弱くてあっさりと掃討してしまい暇を持て余していた。


 そして、

「これでラストっと!」


 最後の一体を翼が倒し、周辺のモンスター討伐は完了していた。


「澪奈ちゃん他にモンスターは居る?」


 それは、ジーンズを履き上をジャケットでカジュアルに着こなしたラフ姿の女性の声だった。


「待ってください、楓花さん」


 そう言って澪奈は目を閉じ、何かを探っているようだった。

 園喜美 楓花(そのきみ ふうか)は黙って澪奈の返事を待つ。


 少しすると。


「この辺りのモンスターは全滅しました。

 ココから近いモンスターはあちらの方角になります」


 澪奈が差した方向はパイプが大小入り乱れた工場と専用施設が重なっている場所だった。


 そして、現在純が向かっている場所でもあった。


「・・・あっちか。

 あそこには何体居るの?」

「・・・正確には判りませんが・・・少なくとも10体以上は居るのではないかと」

「?・・・10体だけですか?」


 確認もかねて朱佐紀 佳胡(あけさき けいこ)が問いかける。


「・・・はい、ただ分かってるだけで2級が4体、1級が3体は確実にいます。

 それにもしかしたら・・・」

「あそこに初段がいるかもしれない・・・か」


 澪奈の話の続きを斎藤 芳守(さいとう よしもり)が答えた。


「強い気配はするのですがそのせいで・・・」

「弱いモンスターの気配が見えづらいと」

「はい・・・ごめんなさい」

「いいのよ~澪奈ちゃん。

 澪奈ちゃんのおかげで~私達、楽させてもらってるんだから・・・ね?翼ちゃん」

「・・・ええ、そうね」


 非常に不服そうに思いそっぽを向く古野宮 翼(このみや つばさ)と少しほんわかした声で返した蓮奏 來未(れんそう くみ)だった。


 話を聞いた芽木白 彰隆(めぎしろ あきたか)が方針を決め指示を伝えた。


「・・・わかった。

 とにかく様子を見よう。

 楓花、佳胡、芳守、澪奈ちゃんは向こうに行って倒せそうなら倒してくれ。

 ただし無茶は厳禁だ。

 澪奈ちゃんに危険なこともさせるなよ?いいな」


 楓花たちが頷いたので続きを話す彰隆。


「翼、來未の二人は柴垣の所に手伝いに行ってくれ、連絡は俺の方でしておく。

 俺は凱洞たちの方に向かう。

 ・・・そして、殲滅次第、楓花たちに所に向かい全員で初段モンスターたちを掃討する分かったな?」

「「「「「了解」」」」」


 メンバー全員が返事を返した後、さっそく行動に移りそれぞれがバラバラに散って行った。





【十時影 純】 15才 人間?(ぽっちゃり)

 レベル 1

 HP 1 MP 1

 STR 1

 VIT 1

 INT 1

 RES 1

 DEX 1

 AGI 1

 LUK 1

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