391 打ち解けた会議
「教えてください。どういう事なのでしょうかっ?」「我々は信じたモノは偽物だったのですかっ!」「教えてください大司教っ。あれでは・・・。私が信じた教会とは何だったのですかっ!」「皆さん、どうか落ち着いてください。先ずはその心をお鎮めください。不安な気持ちは十分に分かります。我々も混乱しているのは同じです。ただ・・・今は皆様の安全を優先させていただきたい。この中央大陸は非常に浮島から近いのです。どうか・・・協力してくださる各国の皆様の指示に従って速やかな避難をよろしくお願いいたします」
創慧法国アルメラでは大混乱が起きていた。突然現れた浮遊大陸。そこからもたらされた天災とも呼べる力に不安を掻き立てられたのだ。そして何より大問題だったのは・・・映像の中にアルタナル枢機卿が映っていた事だった。その表情、佇まいには捕らえられた人質ではなく共犯者を思わせる様子が映され、大陸の者達や信者達がパニックに陥りかけていた。教会の一部では混乱と暴動にまで発展しかけていた。幸いだったのは冒険者ギルドなど独自の連携を取る中立の立場が間に入った事。ギルドマスターや看板となる冒険者パーティーや職員達の迅速な対応が最悪の事態を防いでいた。それはアルメラでも一緒であった。首都に在る大聖堂でも同じことが起きていた。
「ほら、いま大司教さんが言ってただろ。先ずはアンタ達の安全が優先だ。アンタらがここで揉めて時間を喰うだけ周りへの被害が増えるんだぞ?」「冒険者に何が分かるっ!」「分かるさ。不安なんだろう?だがな・・・そんな感情で周りに迷惑ばかりかけても何の解決にもならねぇんだよ」「っ・・・」「今はどこだって混乱しているんだ。冷静に・・・家族や友人、恋人がいるなら・・・そいつらの為にも、安全な選択を取ってくれ・・・。頼む・・・」「「「・・・」」」
どよめく住民達。お互いの顔を見つめどうしたらいいのか、まだ決めきれていないようだった。しかし、冒険者達や教会の神父やシスター・・・別の国から派遣されて来た兵士達の懸命な説得に少しずつ移動を開始し始める。誰もが不安な気持ちは変わらない。それでも誰かが動けば人々も次の選択を迫られる。結果としてアルメラに住む住民達は必要な荷物だけを持って、大陸から脱出するのだった。
「ありがとうございます」「いや、アンタらには世話にもなっている。こんな時はお互い様だ」「・・・」「アンタらもここを脱出しろ。名残惜しいのかもしれないが、俺達だけでは全部を庇い切れない」「・・・すみません」
いそいそと教会内に入り、彼等もまた人々と一緒に脱出の準備を始めるのだった。
「・・・大丈夫かよ?」「分からん。少なくとも冒険者ギルドは人々を守るために戦うだろう。ここで寝返る奴は、放棄する奴ら以上にひどい事になりそうだな」「ふっ・・・。あっちの方が勝ったりしてな」「自分の人生だ。好きにしたらいい。お前が向こうに付くなら問答無用で俺が斬ってやるよ」「はっ。笑えねぇ冗談だ」
軽く笑い合った冒険者達は肩を小突くとすぐさま移動を開始する。居残ろうとする住民達がいないかを見回りするために・・・。
・・・・・・
そんな灯台下暗しいう場所。ミルトニア大会に使われた会場の会議室に各国の代表連は集まっていた。周囲を兵士や一部の協力してくれている冒険者達が武装して見張りをしており、物々しい雰囲気を醸してしていた。今が人が少なく使われることもないからこそ、誰にも見つからず都合が良かった。
先に来ていたミゲイラとファーラン国王ゼテルク、宰相のカルダリは一緒に来ていたメンバーに少しだけ驚いて見せる。その顔が若干ニヤついている事がすぐに台無しになるが、関係なかった。入ってきた2つの国の代表と従者も少しだけ怪訝な顔になるがすぐに流す。
「・・・やあ。これは珍しい組み合わせだね」「はんっ。その顔・・・知ってたな」「今更驚く様な事ではありません」「あなたが元気で本当に良かったよ、女王。君とはちょっとした縁が出来ているからね。何かあっては困るかもと心配していたんだ。あっ、こんな口を聞くのはマズかったね・・・陛下」「・・・いえ。あなたにそんな事を仰られても、それこそ今更ですから」「(随分と軟化したな)それが君の本性かい?」「女性にそんな口の利き方は感心できませんよ?ミゲイラさん」「おっと、これは失礼を・・・陛下」
巌王毅レツガイス代表、ガオウ老師と部下のヨーチェとクォトン。星花オーラル代表、女王スメラルジザイアと部下のイザベラとアギラス。彼等は用意された席へと話し合いながらも速やかに座り始める。そうして残りの者達が来るのを待っていた。フと気になったスメラルがミゲイラに質問する。
「先ほど・・・あなたと縁があると言いましたがそれは・・・?」「ジンという君を襲った少年を覚えているだろうか?」「「「っ!」」」「安心してくれ。ここには敵対するものはいない。目下の問題は別になるからな」「・・・」
一瞬、緊張に当てられた兵士達と冒険者がハラハラしてしまう。「すまんね」と口に出しミゲイラが謝ると周囲から半眼の目を向けられた。お前が言うなといいたいが黙っているようである。代わりに話を持ち掛けるゼテルク。
「ちょっとガオウ老師が反応したのが意外だったが・・・彼と何かあったのかい?」「ふん・・・まあな」「・・・」「おいおい。良いじゃねえか?」「あの子がそれを望むのなら・・・考えましょう」「母ちゃんか」「クラレスが亡くなった以上。私はあの子の保護者になるつもりです。あの子の今後に関わる事を無視するわけないでしょう?」「ははは。すっかり教育母みたいになってるね。あまり束縛しすぎると嫌がるから気を付けた方がいいよ?」「っ!そうなのですかっ?・・・気を付けないと・・・」「その様子だと、彼に助けられたのかな?こっちも彼には恩があるんだ。だから安心してほしい」「・・・そうですか・・・」
柔らかく微笑むスメラル。それに驚くのはイザベラとアギラス、ガオウの以外の全員だった。目を大きく開け意外な表情に一瞬、考えていた事を停止させる。友達の代わりに本気で母親代わりをしようと考えているのか、すっかり室内の空気は寄り合いの雑談に変わり始めていた。
「・・・? 何か?」「ああ、いや。済まない。本当に随分と変わっていると思ってね」「クラレス達は少しだけ心配してたの。それが何となくわかる様な気がしたからね」「・・・。その様子だと他のフォーブライト家の兄妹も引き取る気かい?」「・・・ドレッド君はもう自立できるから問題ないでしょう。ロクサーヌちゃんは・・・あの子自身がまだ少し考え中かしら? プリメラちゃんは学園に通っている年齢だからこちらで引き取ってあげたいけど、本人達に任せるわ。私は全力でサポートするつもりよ。・・・ジルクト君はどこにいったのか私も──」「彼なら大丈夫だよ」「?」
目をしばたたかせるスメラルにゼテルク達は微笑む。何だ?とガオウ達も気になる。ゼテルクがミゲイラに振り返ると彼は黙って頷いた。
「今回の会議にはある者達も呼んでいる。次男君もそこに一時的にやっかいになっているそうだよ」「・・・そこは?」「もうすぐ来る。彼等なら君も安心するだろう」「・・・」「ふぅ・・・。勿体ぶるなぁ?」「まあまあ。少なくとも懸念が1つ消えたんだ。それで良いじゃないか」「・・・分かりました」「・・・。スメラルはそれでいいとしてよ~。ベルニカの大将はどうするつもりだ?すぐに臨時が用意できるとは思えんが・・・」「それもたぶん大丈夫だろう」「・・・何かやったな?」「酷い言い草だな~。僕はただ助言をミゲイラに頼んだだけだよ」「・・・お前等が組むと面倒が増えそうだな」「失礼な。こっちは減らしてあげてるんだよ。お互いが今を、共に生き残るために」「「「・・・」」」「・・・えっ?あれ?それって僕も?」
知っている者達から半眼の目で見られたゼテルク。他人事みたいに見ていたミゲイラにも視線が映り2人して心外だと抗議の声を上げていた。そこへジルベガン、モナメス・・・ベルニカ臨時代表の将軍と控えのドレッドが姿を見せた。
「・・・ドレッド君、久しぶりね」「ふ、お久しぶりです。そんな呼ばれ方もいつぶりでしょうか?」「お互い・・・事情があったものね」「・・・ええ。そうですね」「・・・お前、女王陛下とお知り合いなのか?」「あれ?知りませんか?母はオーラル出身でスメラル様の従者をしていたのですよ?」「まあ、立場上はね。・・・ふふ、どちらかいうと引っ張り回された記憶の方が多いわね」「それは初耳ですね。母はよく一緒に城を抜け出したとか・・・。その主役のほとんどがスメラル様だとお聞きしておりましたが・・・」「・・・。あの子は子供に嘘を教えて・・・」「ははは。いやはや、以前と違い、皆様すっかり打ち解けた様で」
雑談混じりに座っていく面々。将軍は女王のすっかり人が変わった印象とドレッドの雰囲気に心の中で少しだけ戸惑ってしまう。それはイザベラとアギラスも同様だった。首都の学園から特殊軍へと上る過程ではすっかり接点が断たれてしまい知らなかったのだ。モナメスの代表ユークリッドは皆の再会と空気に素直に喜ぶ。ドカリと堂々と座った鋼刀ジルベガン代表のガスフは何故か腕を組んでしたり顔で頷いていた。
「あの時は、色々とピリピリしていたからな。仕方なかろう」「君が言う事じゃないよ?娘に代わりを務めさせておいてぇ」「いやぁ~、すまんすまん。あんなチャンスを逃すのはドワーフのプライドが許さなかったんでな」「嘘吐くなよ。どうせのけ者にされるのが嫌だっただけの癖に・・・。奥さんに怒られると分かっておきながら・・・」「はぁ・・・(ガクッ)。あれは怖かった・・・」「その熱意は素晴らしいけどほどほどにしなよ?愛想尽かされても、僕達じゃ助けられないからね」「ちょっ、それは勘弁してくれよ。お前達のプレゼントに時間を割いて急いで作ってやっただろうが。その恩を忘れるなよ」「はぁ・・・。あの時は本気で危なかったですね」「・・・カルダリ君。そんな昔の話を覚えているのかい?君は律儀だね~」「その言葉、奥様に言っておきま──「申し訳ありませんでした」」
自国の宰相に平謝りする国王。各国を代表する者達とは思えない光景に将軍だけでなく、周りで見ていた関係者並びに兵士達が呆気に取られてしまう。
「・・・なんというか、会議というよりも社交場だな」「それが出来るだけ、僕達はまだ余裕を持てているし、諦めていないという事だよ」「・・・」
思わずそんな事を言ってしまう将軍にミゲイラが微笑んで答えた。雑談の空気が少しずつ切り替わり自然と静かになっていく。
「そういう事だ。手痛い先制を受けてしまったが、滅ぼす気である以上・・・こちらの選択は決まっている」
スッとゼテルクがユークリッドの方へ振り向くと彼は頷いて、控えにいる者へと合図を送った。理解した者が出入口の扉を開けて入ってくるように促す。受けた誰かが近づいて来る足音が響く。その数は複数人だった。最初に姿を見せたのは杖を付きどこか好々爺と思わせる老人だった。その後をレックス、メリリカ、グロッグが入ってくる。彼等はユークリッドの隣の席に腰を掛けた。
「彼等はパルジライトと呼ばれるレジスタンスの方々です。私の隣にいらっしゃる方が組織のリーダーを務める・・・」「コートル・ジ―ヴという者じゃ。此度の戦争。ワシらの方でも協力させていただきたい」
彼等を知らない者達がどういう事かと訳知り顔へと視線を向ける。代表したのはミゲイラだった。
「彼等はデッドグレムゲン・・・。暗躍するテロ組織撲滅のためにずっと戦っていた者達です。私も知りませんでしたが・・・その戦いは100年以上も昔から続いていたそうです。過激派、テロ組織・・・。盗賊集団、闇ギルドと・・・名前を変え昔から存在していたの奴らのその根幹・・・中心にいたのが、現在デッドグレムゲンと名乗る組織の総帥ミキラル・ジグ・ザザントという男です」「「「・・・」」」
途方もなく聞こえてしまう話だが、少なくとも代表者と部下達に驚く者はいなかった。
「私がここ数年集めた情報だけでも・・・彼の、あるいは彼に協力して起きた犯罪率は約5割にも上ります。これは世界各地での事件と関連した内容を調べた結果なので・・・ほぼ間違いないでしょう」「・・・そんな奴らと・・・」「レネッタの件もあります。誰が潜んでいるとも分からない以上、裏で戦う以外なかったのでしょう」「だろうな。数日前ならいざ知らず・・・。ここまで大きくなったという事は──」「そちらの代表さんの言う通りじゃな。奴もこの機会を待っていたのだろう」
コートルの同意にため息しか出ない将軍。
「奴らは・・・いや、ミキラルは、ずっとこの世界の混沌を望んでおった。現存するかもしれん神々を・・・あるいはその固まった思想の世界を破壊したかったのじゃ。自らがなりかわり好きにするために・・・な」「そんな事が・・・」
苦笑にも似た半笑いになってしまうイザベラに居合わせた兵士達が同意したい気持ちを持つ。だがレックス達やユークリッド達事情が知っている者は無言を貫く。
「はっはっは、そう思うじゃろう?じゃがなお嬢さん・・・。人というのはその大真面目な目標を掲げて動くと誰かが付いて来るんじゃよ。良し悪しは二の次。・・・カリスマとは得てして後から勝手に押し上げてくるモノなんじゃよ」「「「・・・」」」「よーく考えてごらんなさい。そこに誰かが得を見つければ・・・組織というモノは一気に拡大する。身に覚えが少しはあるんじゃないかね?」「「「・・・」」」
当たり前すぎて忘れている、あるいは流してしまっている事を改めて彼女等は考えさせられた。理由は二の次・・・確かに言い訳にも使えた事だった。一呼吸置きコートルは話を続けた。
「今回の奴の行動はそれに足る条件が揃ったのじゃろう。そうでなければ意味のない表舞台には興味を示さんからな。奴にとっての望みは無秩序じゃ」「自由気ままに好き勝手してぇってか。全く傍迷惑な連中だな」「そうじゃな。奴にとって、貴族社会も後退し始め、平民達が自由という名の安定した生活を送っていく世界は・・・毒が蔓延している様にしか見えなかったのじゃろう」「規律こそが悪だと・・・?」「(コックリ)恐らくな」「「「・・・」」」
これには口を挟んだガスフだけじゃなく、スメラルや他の代表達も頭を抱えたくなる気持ちだった。重い空気のまま放置するわけにもいかないとすぐにゼテルクが繋げる。
「今はその代表・・・元皇子ルグルット。テロ組織代表のミキラル。・・・そして、アルタナルが加わったわけだ。先ずはこちらも対策を講じなければなるまい。こんなに早く集まってくれたのは嬉しい事だが・・・残り4日。国の防衛強化と・・あの島にどうやって攻め込むかだ」「質問なんだがよぉ~?あの時映ったその教会のおっさんは・・・やはりあっちで間違いないんだな?」「(コクリ)だと思うよ?・・・何がそうさせたのかは不明だが・・・手配書に載ってしまった少年」
僅かに数名がピクリと反応を示すが黙る。
「彼に渡したとされる懐中時計を見たウガム司教が間違いないと答えてくれたよ。彼はまだ本心では信じたくはなさそうだったけどね・・・」「私の城に訪れた方ですね」「ああ(コクリ)。彼の話では小さな紫色の宝石が仕込まれていたらしい。裏組織がよく使う盗聴と監視用のアイテムだ。作った職人や手渡した者が仕込んだとは思えない。恐らくアルタナル本人が仕込み手渡したモノだろうね」「どうしてそんなモノを彼に?」「私も司教に聞いたよ。ただ・・・彼には時折、枢機卿が何かを感じ取り直感で動く事があったと言っていたよ。僕の心当たりだと大会だね。知らぬものも多いかもしれないが・・・大会にはデッドグレムゲンが参加していた」「なにっ・・・!」「それは本当だ。ウチのメリリカとグロッグがその場に居合わせていたからな」
レックスの言葉と頷く2人の反応で、既に疑う余地はないと判断できた。それは先ほどからもたらされる情報に虚偽をすることなく話しているからに他ならない。ゼテルクが話を続ける。
「まあ詳細は省くが・・・その時に、その手配の子も関わっていてね。どうやら・・・ベルニカの元化学者、レネッタからその情報を知らされた可能性があると私は考えている。司教の話を疑うわけではないが、こちらの方が僕には筋が通って見えるよ」
ユークリッドが知らない者達の為に将軍達の方へと質問を投げかける。
「元・・・というのは?」「奴は最初からベルニカを足掛かりに大規模な混乱を起こすつもりだったようだ。その目的の先が・・・例の浮島だ」「ベルニカだけじゃなく、僕達はずっと彼等の存在を知らずに振り回されていたんだよ。今回の戦争が起きるまで、ね」「「「・・・」」」
またしても重い空気になってしまった。半眼でミゲイラとカルダリに睨まれ、頭をポリポリと掻いてしまう。仕方ないと手を打ち、強制的に意識を切り替えさせる。
「少し逸れてしまったが、今後の対策を進めよう。現在ベルニカで捕まえた協力者の貴族達には他に何を知っているのか取り調べてもらっている」
視線を受け取ったドレッドが持っていた資料に書かれた情報を読み上げる。
「彼等は、この戦争で保身を掛ける代わりにどうやら領地の一部を貸す様に頼まれたそうです。調べた所、見つかった場所には特殊な施設が作られ大量のゴーレムが眠っておりました。旧式から最新式まで。かなりの数に上る事が判明しております」「あの映像に映ったのはほんの一部かよっ」「そうなります。今回の調査から推察するに、各国にも同様の施設が明け渡されていると考えられます。こちらで破壊した施設は14ヵ所。待機状態だったゴーレムが4382体になります」「「「っ・・・!!」」」
騒然とする一同。それでもドレッドは止まらない。
「どれだけの数を製造しているのか不明ですが、一刻も早く発見次第、破壊してください。このまま戦争が行われた場合。内外を警戒し数を著しく分散させなくてはなりません。冒険者達にも協力を緊急要請しております。人々の安全が確保され次第、すぐに探して破壊してもらうつもりです」「マジかよ」「お願いね」「直ちにっ!」「ああ。少しお待ちを・・・」「「「?」」」
コートルに止められた部下達が早くしてほしそうな顔をする。そんななか彼はゆっくりとレックス達に振り向いた。何かを知っているユークリッドが嬉しそうに表情をする。レックスが扉の向こうの通路に向かって大きめに声を掛ける。
「出来たのですね?」「(コクリ)ええ。そこまで予備と機能は期待しないで欲しいと彼は仰っておりましたが・・・」「お~い。入って来てくれ」
ガチャガチャと何か擦らせる音と荷物を運ぶ音に交じって数人の声が聞こえてくる。
「いや、僕はこういうのは──」「何言ってんのよ。あなたしか分からないんだからちゃんと前に立ってよ」「頼む。これがあれば心強い」「「「?」」」
不思議そうな顔をして出入口を覗き込む立っていた兵士達。そんな彼等を通り抜け姿を現した3人。その中の1人に数人が驚いた。
「「ジルクトっ」君っ」「え?あ・・・っと。その・・・お久しぶりです」
【ジン・フォーブライト(純、クリス)】8才 (真化体)
身体値 301
魔法値 314
潜在値 355
総合存在値 708
スキル(魔法):干渉、棒術 8、マナ零子 8、感応 MAX




