271 焦っているからこその一息。
シャボン玉の弾力性を高め、何十、何段にも重ね掛けして勢いを殺そうと試みる。しかし思った以上の効果と大きさが維持できない。
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン・・・・・・。
落下速度に少し遅れる様にシャボン玉の割れる音が付いて来る。
〔体内マナです〕「っ!」
咄嗟に出された指示に全力で体内マナを循環、開放させる。
ダアアアアアアアアアンンン~~~・・・・・・!!!!
着地した床が大きく凹む。その周囲もその勢いに耐えきれずクレーターを作り出す様に内側へと斜面を作り出していたのだった。
「っ~~~・・・!!」〔大丈夫ですか、ジン?〕「は・・・はい゛い゛い゛~~・・・っ!!」〔どこのおじいさんでしょうか?〕
掠れた声を吐き出しながらジンは全身の伝わってくる痺れに耐えていた。
「~~っ・・・!・・・ああぁ。・・・ふぅ~・・・キツかった~・・・」〔今度はどこかの武道家みたいな声ですね〕「いや~・・・流石に、ワクワクはしねえぞ~・・・」〔戻ってませんよ〕「あっと」
あまりの緊張感だった事で変なスイッチが入ってしまったジン。咳払いを一つして、自分が落ちてきた上空を見上げる。
サポートによる力の恩恵で、かなり周囲が明るく見えているが・・・。
「・・・見えん」〔相当深くまで引きづり込まれましたからね〕「ほとんどクッションも出来なかったしね」〔何かに引っ張られていましたね。重力・・・いえ、アレは魔法の一種でしょうか?〕「珍し・・・分からないの?」〔一瞬でしたし、あれだけマナを乱されると判断が難しいですね。この世界が起こす不思議現象というには、少し何か意図の様なモノを感じ取りましたので・・・〕「という事はやっぱり引き寄せられた?」〔のでしょうか?・・・まあ、その辺りもこの先にいるであろう何かが教えてくれそうですね〕
ジンと話しながら自分の中の考えをまとめていくサポート。
現在立っている大きな空洞から、先を示す様に微かにマナの粒子を操ってジンに進む道を誘導する。
「操れるの?」〔正直、あまり・・・ですね。ここまで制限を掛けられるとは予想外です。ジン、体内マナは外にあまり漏れないように内側だけで〕「りょ、了解」
いつもの余裕がない相棒に、ジンも慌てて指示に従う。
そして循環しているマナの調子を確かめ、問題ないと判断したら、もう一度天井を見上げて見る。
「・・・何メートル落ちたんだ?」〔分かりません。少なくとも何かしらの引力も加わったのでおそらく5000メートル以上は落下したのかと〕「えっ!それって大丈夫?!」
あまりの数字に驚いてしまうジン。色々な意味を込めてサポートへと質問してしまう。
〔まず、ジン(純)の器が昇華していたのが幸いですね。全身に痺れが走る程度など、この世界にいる者達でも耐えられる人はほとんどいないでしょう〕「確かに・・・。ベラール達が言ってた申し子とか寵愛者って人なら耐えられるのかな?」〔無傷とはいかないでしょうが・・・〕「バケモンだな」〔それをあなたが言いますか・・・〕
呆れてしまうサポート。だが気を取り直して話を続ける。
〔次に、この鉱山、空気に関してですが・・・。この深さの空洞・・・昔からあるようですね。地震も過去には起きたでしょうが町にその影響がほとんどない事から何らかの魔力による地盤の固定化がなされているのでしょう〕「フォートレーヌと同じか・・・」〔ですね〕
サポートの話を聞きながら、改めて周囲を見回すジン。どこかの一本道の通路に出たようだが・・・あまりに規格外の広さに感覚が掴みにくかった。
すぐ目の前に見える巨大な壁までの距離でも、歩くのに10分以上は掛かりなほどだった。
通路の先に関しては、流石のサポートによるマナの世界の視界でも先までは見通せないほどだった。制限を掛けられている上に果てしなく遠くに見える。見えない先が真っ暗の様に見えるのがそれを如実に表していた。
〔空気に関しても問題ないのでしょう。先ほどの風は私達が墜ちて来た空洞の中を行き来していたのでしょうね〕「(タイミングが悪かったか・・・)」〔どうでしょう・・・。最初の方はそうかもしれませんがロロナを助けるために跳躍した瞬間は違うはず。微かに意図があったと考えられますね〕「それで落とされた側はたまったもんじゃないけどね」
ジンは周囲の地面を見回す。そこには随分古いが微かに鈍く輝くと言っていいのか疑問だがアクセサリーが数個ほど転がっていた。思わず拾い上げるジン。
〔誰かが投げた・・・。あるいは落ちた・・・〕「落とした可能性もあるけど・・・。考えても仕方ないか。これはとりあえずギルドかどこかに渡そう」〔ですね。身元が分かるかもしれませんし〕
ジンとサポートは見える範囲、分かる範囲で残っていた小さなアクセサリーの小物類を拾い集め。落とさない様に、持って来ていたズボンに引っ掛けて繋ぐタイプのポシェットの中に詰め込んだ。
ギュッとジンの体に近い場所に押し込んでいく。
「(もしもの為・・・っと)」〔それがあっては私としても困りますがね〕「そういう事言わないでしよ・・・」〔ん・・・やってしまいましたか?〕
サポートが自分で言ってて反省する様に微かに誘導したマナの粒子の先には巨大四足歩行のトカゲやモグラ・・・。そして綺麗なフォルムをしたゴーレムが数体現れた。
「・・・(モンスターは何となく理解できるんだけど・・・)」〔ええ。あのゴーレムだけ明らかにオカシイですね〕
動き自体はぎこちない。だが、それは少し錆びて動き辛そうにしている程度と見て判断できる。それよりなによりも気になるのは・・・そのゴーレム。全体的に流線を描いており、ガタイの大きな存在というよりも機能美の様な印象と感じさせる。
「(遺跡に眠る何とやら・・・)」〔亡者でない事を願いましょう。・・・来ます!〕
ギィヨォアァアアアアアアア・・・!!!!
モンスターが鳴いたのかそれとも流線系のゴーレムの何かの駆動音なのか。混ざり合った音は空洞の中を響かせる。そしてモンスター達は迷わずジンに向かって襲い始めた。
「っ・・・!」
ジンも手元にマナを集め、専用の武器である棒を生成する。白い棒には青と緑のライン線とその中に光が何度も流れる様に行き来していた。
この暗闇では、ちょっと目立つ光とも言えた。
「・・・でああっ!」
バゴオン・・・!!
それに釣れらるように真っ先にジンに飛び込んで来たのはゴーレムだった。四足歩行のモンスターの上を飛び越え一気に殴り掛かって来たのだった。しかし、ジンもすれ違いざまに飛んで、振り下ろしてきた腕を横から棒で叩きつけ、破壊する。
バゴン!ドゴン!・・・ドガ、ドガ・・・ガガ~ン・・・!!
流れる様にモンスターとゴーレムに向かって回転しながら棒を叩き込む。側面、足、頬、腹、前のめりになった所を顎と叩き込み。次々と破壊して、モンスターとゴーレムを倒していった。
「・・・案外脆い?」〔ジンの能力の向上に武器も対応して強くなっているのかもしれませんね〕「(成長してるって事か・・・・でも・・・)」
チラッと見るのは、たまに出てくる先端。光の刃が出現する棒の先だった。
〔何らかの条件かやはりジンの意志でしょう〕「(あるいは粒子化か)」
ジンの戦闘音に反応したのか、ナマズの様なモンスターが空洞の壁に空いた小さな穴から出てくる。と言っても距離的に小さく見えるだけで、実際近づいてきたモンスターは巨大だった。
〔先ほどの鳴き声。周囲のモンスターが聞きつけたのかもしれません〕「(縄張りを荒らしたと思ったのか・・・)」
面倒な、と考えるよりも先に微かに伝わる振動。
〔数・・・139・・・まだ増えそうです〕「(あれを倒すのか?)」
微かに見えるのは徐々に大きくなっていくシルエット。ナマズ、モグラ、ネズミ、ハリネズミ、コウモリ系・・・そして恐竜みたいなモンスターとガタイの大きいゴーレムだった。
〔このまま逃げても構わないかもしれませんが・・・〕「(戻ってくる可能性もあるよなぁ・・・?)」〔遺跡の先に出口が無ければ・・・〕「・・・はぁ」
ジンはため息を1つ吐くと、気合いを入れ直し、モンスター達に向かって飛び出していくのだった。
・・・・・・
ジンがモンスター達と戦っているその頃。彼を救出に向かうと決めたユティ達は、来た方向の左側にあった別の穴の先へと駆け込んでいた。
「・・・ユティ!この道で合ってるのかっ・・・?」「そんなの分かるわけないじゃない」「でも、モンスターパレードの時、通常より強いモンスターだったってガイタスさんが言ってた。そんなモンスターがあんなに大きいのならきっと下・・・。この降った先に通じている」
バッツ達が追い付けるスピードに抑えて走っていたユティ達。あてずっぽうの彼女に呆れそうになるナルシャだが、それを横からロロナが口を挟んだ。
「分かるのか?」「俺とこいつは森に行って狩りもした事あるから・・・」「(コクリ)・・・人が通った後と一緒に少しだけ引きずった様な尻尾と深い足跡が残ってる。たぶん、合ってます」「ね!」「・・・勘も当たるもんだな・・・」
ユティの得意げな一言に、呟くように感心してしまうナルシャだった。
下り、曲がっては少し上がって・・・ちょっと細道を通ってまた下る。それを繰り返すこと数回。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
バッツとロロナは必死にユティ達に付いて行ったが限界だった。
「っとユティ、止まれ・・・!」「何?・・・あ」「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」」
止まった彼女達に遅れること数秒。ようやく傍まで来た時にはバッツとロロナはフラフラとしていた。
「急ぎ過ぎたようだ・・・」「そうね・・・。昼間のクエストとロロナちゃんは矢の生成で魔力を消耗してるし・・・。いったん休憩にしましょ」「そうだな」「ま・・・待って・・・」「先ずは呼吸を整えろ。話はその後だ」「はい・・・」
バッツとロロナは悔しい思いをしながらもゆっくりと腰を下ろし休憩に入るのだった。そこへユティが近づいてしゃがみ込む。
「安心して、ここであなた達を引き換えさせたりしない。ここはもうモンスターの縄張りの中だから。それにここで少し時間が掛かっても、あの子ならきっと無事だから・・・ね?」「「・・・」」
最後に笑顔まで見せるユティに張り詰めた表情をしていたバッツとロロナは和らいでいく。
根拠は無い。だけど何となくそんな気がする。それがユティの中にあった。
しかし、それはバッツ達も一緒だった。共に授業を受け、実技の受験でも助けてもらった時に見た圧倒的なまでの差は簡単には覆らないと実感させられるほどだった。
近くで見ているからこそ、それを肌で感じ取るバッツとロロナ。実戦という狩りの経験があるからこそジンという存在の底力が見えなかったのだ。
「「・・・」」
徐々に息を整いつつある2人は自然とお互いを見てしまう。そして、思わず口角を上げてしまう。
「(ああ。アイツなら大丈夫だよな)」「(うん。きっと)」
言葉に出さなくても通じる気持ち。いつの間にか焦っていた気持ちが落ち着いて行くのだった。
それを見計らったようにユティが助言する。
「いい?ここから更に下りるけど・・・。おそらくあなた達じゃあ魔力はほとんど使えないから注意して?」「「?」」
理由が分からないと2人の表情が訴えている。
「私もユティと同意見だ。見てくれ」
バチチ・・・。
「あ・・・」「小さい・・・」
100メートル以上は明るく照らしてくれていたナルシャの紫の電気の光が、今は何かに抵抗しているのか大きさまで不安定になっていた。
「阻害効果が強くなってるの。私とナッちゃんは走ってくる途中で少しずつ魔力の流れが妨害されたり上手く練られないのに気付いたの」「ああ。だから本来なら、ここで君達を連れて帰るつもりだが・・・。今回はこの休憩を使って、急ぎで申し訳ないが君達には魔力の流れを感じ取って、多少だがコントロールを身に付けてもらう」「身に付ける?」「さっきの矢みたいなって事ですか」「ちょっと違うかな?今回はもっと基礎的な所」
少しだけ眉を下げて困った様な笑顔を見せるユティ。
「見てて?」
そういうと彼女は手の平に上に向けて魔力を集め出した。今度はその力を手から魔力だけを上へと次上げる様に移動させる。そして、グニグニと魔力を動かすと今度はロロナと同じように矢の形を出現させた。
「ここからイメージを固めて魔力をさらに流し込んで生成するのが矢。つまりさっきロロナちゃんが言ってた事ね。今回、あなた達に身に付けてもらうのは今見せた、魔力の塊」「塊?」「生物にはマナが宿る。それは分かっているだろう?」「はい」「ああ」
ナルシャが一歩、バッツ達に近づくと体内に宿るマナを分かり易く外へと放出する。
彼女の周囲には薄く紫の膜が張られその先や周囲にスパークが走っていた。
「普通の人はここまで開放したり、操るのには苦労する。しかし君達学生は少なからず、その時間が短縮できるだろう。この力は体に流れている、または保有している魔力を意図的に操作する事による身体強化だ。初等部の学生達もいずれは授業で訓練させて身に付けてもらうが、今回はその工程を無視して覚えてもらう」「ど、どうやって・・・?」
困惑するバッツとロロナ。そんな2人の手を取ってユティが魔力を流し込んであげる。
「感じたかしら?」「はい・・・。なんか暖かくて、軽くなった気がします」「ああ。なんかさっき疲れたのに・・・」「あなた達が魔力を消耗させていたのが良かったわね。今、少しだけ私の魔力を2人に渡したの。この時に流れてきた感覚は分かる?」「「・・・」」
お互いを見たバッツとロロナは、スッと目を閉じて体に流れる魔力の流れを知覚しようと試みていた。それは直感の様な行動だったが、マナをコントロールする意味では感じ取り易い方法だった。
「初等部や低ランクの冒険者は自分の持っているマナをただ使っているだけ。使えてはいるけど、持ってる力をそのまま流しているだけなの」
ユティの説明が不思議と上から降りそそぐように聞こえてくるバッツとロロナ。
2人の精神は今、体内の中で流れている魔力と共にその言葉を実感する様に駆け巡っていくという不思議な体験をしていた。
「だが本当に操作できる者は、少量の魔力で持って巨大な魔力をねじ伏せる子も出来る。それはちゃんと自分の魔力をコントロールして・・・扱うという知っているからだ」
そっとユティの手が離れる。彼女から伝わって来た魔力の流れが無くなる。しかし、自ずとゆっくりと呼吸をし始めた2人。そして、それに呼応するように体内のマナは目覚め始めた様に徐々に体の外へと溢れ出してきたのだった。体内マナの循環である。
「(うむ。本当に筋がいい・・・もう自身の魔力を知覚できたか)」「(あの子の友達ですものね。何となくだけど・・・分かる気がするわ)」
腕を組んで、しっかり頷くナルシャ。少し微笑ましくも、どこか微妙な表情のユティだった。
そんな2人の事など知らないバッツとロロナはゆっくりと目を開けていく。
「・・・ああ、何となく分かった」「うん・・・」
まだまだ目覚め始めたばかりで安定しない魔力。しかし、2人の意思に応える様に所々に動いて行く魔力。
「少しだけ集中して・・・?今は、まだ不安定だけど、それを体内・・・体の内側だけに押し留めるの。今度は解放ではなく必要な体内の中だけで魔力を流していく感じよ?」「意図的にだ。流れていく感じを感じ取るだけでも構わない」「っ・・・」「ん・・・」
少しだけ力むように力を込めてしまうが2人の魔力はその意思に従いやがてゆっくりと体から消えて行く。
「そう・・・。その状態で呼吸して・・・?」
ユティの言葉に従い、ゆっくりと体内に流れている魔力を感じながら呼吸していく。
「この状態に慣れて初めて、魔力の知覚・・・基礎となる」
ナルシャが締めくくる。それを合図にユティも2人から離れて行った。
「もう、大丈夫だな?」「「・・・はい」」
立ち上がった2人にはこれまでにない感覚が合った。
「これは基礎だけど、扱い方の差によって、本当に実力にも差が生まれやすいから忘れないようにね?」「・・・すげ~・・・」「不思議・・・。ここに来た時とはなんか、体の感じが・・・」「少し浮いた感じがするだろう?体内に眠っているマナが目覚め始めたからだ。少し経てば、魔力が慣れてくるから我慢してくれ」「性質にはイシが宿るって言われているモノ。あなた達のスキルや力がいい方向に向かってくれることを願うわ」「イシ?」「思いや信念みたいなモノだ。今はあまり気にしなくてもいいだろう」
そう言うとナルシャはユティの傍へ・・・。
「(ボソ)なかなか筋がいい子達じゃないか。とてもHクラスの生徒とは思えんぞ」「(ボソ)でしょ?先生方も今年の下位クラスの生徒は質が高いって驚いてたよ。まあ・・・特にあの子のクラスがその代表格の様だけど・・・」
ナルシャに返しつつ、自分の体を確かめているバッツとロロナを微笑ましくユティ。
「(ボソ)下のクラスの対抗意識か・・・。良い方向に転がっているようだしコレが上位クラスに──」「(ボソ)出来たら苦労はしないでしょ?なまじ、貴族じゃなくても能力が高い子達が集まっちゃうんだから・・・」「(ボソ)学業と実技、両方を持ち。おまけに才能まで眠っている・・・はあ~何とかならないのか、生徒会長?」「(ボソ)学生の本分を超えてま~す♪」
いつも通りになって来た親友を喜ぶべきか、何とも難しい表情をするナルシャ。しかし、お互いに冗談交じりの会話が出来るほどに心に余裕が生まれてきたのは素直に嬉しかった。
「(ふふ・・・。私も焦っていたのだな)」
親友があまりにも驚いていた事で、そちらに意識が持っていかれ自分の精神状態まではナルシャも見えていなかったのだと、今更ながらに気付いたのだった。
「(ボソ)それで・・・?あの子は魔力の方は」「んー・・・。完璧というにはほど遠いのか。それとも、アレがその領域なのか・・・」「どういう意味だ?」
ナルシャの質問に考え込んでいたユティは首を振って、頭の中の考えを振り払い笑顔で返す。
「ごめんなさい。私も分からないの。でも安心していいから」
そう言うとユティは長い年月の間に出来上がった下るためのトンネルの先を見据えた。
「(ボソ)・・・彼の本当の魔力・・・マナを感じ取れたことが無いから・・・」「それはどういう・・・」
彼女が呟いた言葉が気になってしまうナルシャ。
「あなたも感じたかしら?・・・あの子の魔力」「・・・」「それが答え・・・」
明確な事を発現しないユティ。しかし、そこに見せた妖艶さを思わせる様な表情にはナルシャも覚えがあった。思わずほくそ笑んでしまう。
「・・・君に興味が湧いたよ」「ダメよ~。あの子は私の」「お前のモノというわけじゃないだろう。それと、勝手にモノ扱いするんじゃない」「んん~・・・っ。(ボソ)自分だって似た様な事しそうなのに」「何か行ったかね・・・?ユティ君・・・」「何でもないで~す」
少しだけ、のんびりとした時間の流れるひと時だった。
【ジン・フォーブライト(純、クリス)】8才 (真化体)
身体値 21
魔法値 17
潜在値 16
総合存在値 23
スキル(魔法): 硬軟緩衝、棒術 0、マナ精緻




