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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
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244 疎外感とステータス

〔電圧・・・。魔法も仕組みは似た様な感じで、発動するのに必要な量を押し出す力がこれにあたります。

 電流・・・。マナを実際に注がれている量ですね。

 電力・・・。魔法を発動するために実際にマナがどれだけの機能してくれているか。構築し働いてくれているかを意味します。

 電圧は魔法の発動=電流はマナ量×電力は魔法の構築。発動条件を満たして、マナ自身がその役割をしっかりと果たしているかになります〕


 電圧、電流、電力という地球での解釈を魔法に当てはめ。何となくだが覚えてしまっている部分もありつつ、魔法の構成を説明してくれるサポート。


〔今回は、そのボルト(電圧)、アンペア(電流)、ワット(電力)がどうも違い過ぎているようです〕「?(魔法の発動量に必要なほどの働きをマナがしてくれていないって事?)」〔そう言う事です。ボルトの問題と切り出しましたが、正確にはそれら全てがどうやらこの世界と私達がいた地球。そしてクリスが居たシステンビーネという世界では違うようです〕「ん?・・・うん。ん?」


 あまり分かっているようでピンときていないのか何度も納得と首を傾げる事をベッドの中で繰り返すジン。


〔まあ、簡単に言えば私達が発動させて来れたのはシステンビーネで使われた常識と方法で構築したモノだったのです〕「(それだとこの世界では通用しないって事?)」〔おそらくは〕「(じゃあ地球は?違う星じゃん)」


 当然、疑問に思う所だった。


〔事情が事情でもありますが・・・地球で魔法を発動している者達と、私達では少々異なりまして・・・。私達が使っている魔法の形勢はシステンビーネで使っているモノだったのです。地球でも仕えたのはおそらくそれが通じる様な世界だったのでしょう。

 世界の存在するエネルギー。マナがジンの思いに答えてくれていたという事です〕「は・・・(その割には思っていたモノと違うようだけど)」〔そこはそれ。ジンの器などが上位へと向かって独自の昇華した結果でしょうね〕「(都合のいいこって・・・)」


 若干、呆れているとも言える気持ちで答え。寝返りを打ちつつ、ジンはもう一度掛け布団を首元まで掛け直した。


〔ですが、これなら納得です〕


 ジンとは違い何かが腑に落ちたのだろうサポート。その声は割とあっさりとしていた。当然、どう言う事か疑問に感じるジン。もちろん、その雰囲気に気付かない相棒ではなかった。


〔今回はこの世界の常識。理の元で私達も魔法を・・・いえ。マナを扱わないといけないわけです。原初の魔法言われている、私達が使う独自進化した事象の上書きは健在の様ですが。それ以外はこの世界のルールに従う、いえ引っ張られているとも言えますね〕

「それはこのジン君の体がそうだから?」

〔それももちろんありますが・・・。おそらく昇華する過程で、この世界のルールの下で独自のマナ構築させる為に取り込んだのかと。所謂、修行のための足枷の様な・・・〕「(・・・なんだそれ)」


 それが嘘偽らざるジンの本音だった。勝手にルールに従わされ、今までとは全く違うやり方を強制されれば、不貞腐れたくなる気分であった。


〔まあ。・・・私達がより上位の存在になるため。何者にも縛られない方法を確立させる為に必要な条件なのでしょう。

 ・・・今は誰かが介入したかもしれない存在の世界の下でそのルールに従って力を蓄えていきましょう。それが結果的に私達の存在。延いては家族や友人を守る力となるのですから〕「・・・」


 それを言われるとジンも黙って従う他なかった。少しだけ重くなりそうだった、空気を切り替えるため、明るい口調で話しかけるサポート。


〔それに・・・。私以外にも、このステータスボードもジンの為に力を貸してくれているのですから〕


 そんな相棒の言葉に頭の中で電子音がなった。まるで返事を返すようだった。


「(・・・なあ、コレももしかしてお前の様に意思が宿ってたりしないよな?)」


 少し冷静になって、今のステータスボードの返事?にも似た反応に、相棒に確認する。


〔・・・まあ、ジン専用というのもあって無くはないと思いますが・・・〕


 サポートとも回答に困ってしまう。


 それ以降、ステータスボードを表示させたところで、うんともすんとも何も反応を示さなかった。どうする事も出来ずただただ、困惑するジン達だった。


 ここでこの話は終了。


 答えの出ない話を延々と繰り返すことになると思い、ジン達は切り上げて寝ようとした。・・・かに思えたがジンはどうしても確認したいことが1つあった。


「(ねえ?・・・今回の転生・・・。弱体化してない?)」


 色々と身体強化にしても魔法の発動にしても、色々と鍛えてきた方法。ノウハウがあまり活かされていないからこその思いだった。


〔・・・まあ、器自体はしっかりと昇華されていますので・・・。それは成長といってまず間違いないわけであって・・・(ボソ)ただ、ちょっと今は弱体化しているとぃぇ・・・なくも・・──〕


 どうやらサポート方でも否定ができない事は認めているらしい。らしいのというのはそこに相当な抵抗と負け惜しみが入っている様子。それは声の雰囲気からも感じ取れるものだった。



 翌朝、食卓のテーブルでは元気いっぱいになってリエナ達に挨拶するミゲイラの姿があった。

 ジンには心なしか寝てない人が起こす妙なハイテンションにも見えた。


「「・・・」」


 それに対してリエナとパミルは無言で見て・・・いや、視線だけで睥睨した後、目の前の準備されていく食事を見ていた。

 どうやらまだ昨日の話が本心では納得できていない様子だった。


〔ここまで思ってくれるのは大変ありがたいのですが・・・。これではミゲイラが不憫でなりません〕


 サポートが気遣うほどにテーブルの一番偉い席でしょんぼりしているミゲイラは哀れでならなかった。

 さらに、そんなミゲイラに周りが特に気にした様子も見られない無かった。各々がそれぞれの席に着き、また朝食の準備に動いていた。それがより一層の孤独感を醸し出していた。

 ジンもサポートと同様、ミゲイラを不憫に感じ声を掛けようとするが、笑顔になって手と首で大丈夫とジェスチャーを送ってくれたのは他ならぬ奥さんのカルローラだった。


「(ボソ)たまにやるのよ、ミゲイラちゃん。まあ、今回はー、パミルちゃんやリエナちゃんの我が儘もあるけどー・・・。昔からたまに、あの娘達を怒らせるような事をしてこんな事を何度か起こしてるから。気にしないで♪」


 耳打ちでジンに教えてくれるリレーネ。最後にはウインクをして、自分の席に着いた。


 最初、食事の挨拶の後は少しだけ食器の擦れる音しかしなかった。がすぐに誰かの会話をキッカケに楽しい食事へと変わった。リエナもパミルも普通に戻っていた。


「(もう大丈夫なのかな?)」


 と、ジンが思ったタイミングでミゲイラが会話に加わってリエナ達の輪に入ろうとするが・・・。その瞬間とても冷たい淡々とした言葉が帰って来た。


「うん。だから難しいの」「その話は後にしてください」など、話題を振ろうと、入ろうと冷たくあしらわれてしまう始末だった。その都度、なのかナチュラルにメイドや執事、騎士が会話に加わったりするために会話自体が完全に消える事は無い。ものすごい疎外感が見えてしまう。


〔あそこだけ見えない壁がありますね〕「(・・・ああ・・・)」


 ジン(純)にも分かる気持ちなので、慰めたいがそれを止めようとする周りがいる。ミゲイラは今回は尽力してくれたはずなのに何とも悲しい食事会だった。


 一応、リエナとパミルの2人を除く皆とは問題なく話し合いが出来ているので、完全なのけ者状態にはなっていない。ただ、娘に嫌われている・・・。それだけ。だが、それが父親にとってはどれほどの精神的ダメージになるのか・・・・。


 ちなみにミゲイラの家庭ではメイドも執事も騎士も皆、一緒に食事をする事にしているそうだ。食事は皆で一緒に食べた方がいい、というのがミゲイラの考えのようだった。



「・・・えー、それではまずジン君。君には学園に入ってもらうために入試を受ける事になるんだが・・・本来ならキミはまだ学園に入るには幼い。だからそもそも受験資格そのものが無いが・・・今回は特別に私の友人を通じて受ける事を許可してもらった。ただ、出来るだけ試験は公平にするという話だから、その辺り──」「大丈夫です」


 ミゲイラの伝えたいことは大方予想が付いていた。


「もし落ちた場合は諦めろって事ですね。・・・まあ、その時はまた冒険者ギルドにでも、もう一度お願いしてみます」「あ、いや、そっちも」「難しいですけど実績の記録自体は残るってギルドマスターが・・・。カードは返しましたけど、``念のため``とかで・・・」「(ボソ)あいつ・・・」


 どうやら聞いていなかったのか、その顔は悔しそうだった。ジンの為に既に先手を打っていたギルドマスターのベングット。領主ミゲイラに振り回されたりする苦労人。彼の実務力の高さは、ある意味この領主のおかげ?でもあった。

 本人としては甚だ遺憾かも知れないが・・・。


 だが今回。そのベングットの行動力に一歩出遅れた形のミゲイラはとても悔しそうだった。


「(ボソ)まあいい。この子の実力ならまず合格するだろうから・・・。取り越し苦労だったな、ベングット君・・・」


 暗い笑みがとても負け犬感を見せていた。


「オホン。・・・っと、話の途中だったね。今回、リエナ達との出発まではまだ何日かあるからその間に君に、申し訳ないけど君の総合存在値を確かめさせてもらえないかな?」「総合・・・存在値?」


 オウム返しに聞き返してしまうジン。


〔ああ~・・・。そういえば今回のステータスにそんな表示が書いてありましたねー・・・〕


 サポートすらうっかり忘れていたほど、今回ジン達は自身のステータスを見ていない。というか、それほど何かが大きく変化することも無いだろうと高を括り、チェックをしていなかった。


「そう。君の今現在の数値。普段、君が出せる力さ。といってもあくまでも平均しての数値だから、それ以上のポテンシャル・・・。つまり可能性を持っているかもしれないよ?」


 少年心をくすぐらせようとする含みのある言い方をするミゲイラ。ウインクしている様がまた、リエナの父親でありエルフという見た目も若く、容姿が良い所がまたイケメン感と相まって、女性からキャーキャー言われるだろうなとジンは思った。


〔まあ・・・。それを見たカルローラとリエナの態度がどうなるかは・・・知りませんけどね〕


 何も言っていないが、ジンの思考が手に取るように分かったサポートが、その未来()の答えを言う。ジンは心の中でため息を吐いた。


「それじゃあ、付いてきたまえ」


 そう言ってミゲイラが先導の下、付いて行く。


「・・・どうして君達も来るのかな?」


 歩き始めて数歩。すぐに立ち止まってジンの隣に立つ2人の少女を見る。


「良いじゃない。私達も知りたいんだし・・・」「(コクリ)ん。確かめておきたい」「あのね・・・?一応、これはプライバシーに関わるから。パパとしては止めないといけないんだけど・・・?」


 困りつつもやんわりと注意するミゲイラに対して、そっぽを向いて拒否の構えを取ったリエナとパミル。やがて、その首をゆっくりと横にいるジンの方へと振り返る。


「そ・・・その・・・ジン君はダメ・・・かな?」「・・・イヤ?」「あのー・・・パパを無視しないでくれるとー・・・たすかる・・・かな?」


 ミゲイラの笑顔で話しかけるがガン無視。ジッと見るのはジンの方だけだった。

 悲しそうな顔をされた。それに対してジンの取れる選択肢は限られている。


「いや・・・。別に、特に俺は気にしていないけど・・・」


 あっさりと折れるしかないのだった。そもそも、特にそれほど秘密にしたいとも思っていなかったってのもある。


〔ジン(純)はもう少し、ノーと言える男になる事から始めないといけませんね〕「(姉さん達に対して勝てた試しなんてない)」〔それは勝負を避けているからでは?〕「(・・・。する意味が無かったからね)」


 負け惜しみに聞こえる言い訳を脳内でサポート相手に言うジン。果たして、最初から白旗を上げている状態に勝負という言葉があるのか。そう聞き返したい気持ちはあったが、何も言わないでおくことにしたサポートだった。


「うん、ありがとう♪」「楽しみ♪」


 そう言った2人はジンの手をそれぞれが掴んで、どこかへと連れて行くのだった。さりげなくリエナ達の護衛として付いてきていた騎士隊の隊長も3人の後を付いて行った。


「おーい・・・。パパを置き去りにしないでくれ~・・・」


 取り残され、情けない声を上げながらミゲイラはジン達の後を追いかけていくのだった。



 フォラウスト邸の地下1階。

 そこには騎士達の訓練様なのか様々な武具などが立て掛け、並べられ、整理されていた。


 その奥には広い長方形の空間が拡がっている。おそらくここで訓練・・・模擬戦などをしているのだろう。

 その手前。入口のすぐ脇を少し歩いた所には、円筒で先の丸まった細長いシリンダーの様な形のガラスケース見たいなモノが浮かんでいた。

 台座とその上に周りを囲う形で白を基調とした石で作られ、銀で文様が刻まれた台座だった。ガラスケースはその中で静かにクルクルとゆるやかな回転をしているようだった。


「・・・これは?」「存在標準表、鑑定表・・・。まあ、言い方はいくつかあるが、とにかく総合存在値。つまり・・・君のステータスを教えてくれるものだよ」


 そう言ってミゲイラが説明しながら、そのガラスケースの手前にある床から少し突き出た石に手を伸ばした。


〔操作盤でしょう〕


 サポートの言う通りミゲイラが手を置くと少しして、何かが起動。青いガラスケースの中に下から空気でも注がれた様に泡が立ち昇り、水色へと色が明るくなった。


「これが存在値の鑑定表さ。ここに触れて表示と念じれば自分の数値がガラスケースの手前。空中に浮かび上がってくる」


 そう言うとミゲイラの名前と数値が浮かび上がった。その下のスキルの欄は横線が引かれて何も表示されない。


「あっはははは・・・。いや~すまないね~。一応領主なもんでね。そう簡単にはここは見せるわけにはいかないんだよ」


 笑ってジンに謝罪するミゲイラ。それは仕方ないだろうとジンも分かっている。

 立場がある以上、そうそう公には見せられないものだ。もしテロリスト等に知られれば対策を取られ、無力化されてしまう。そうなればフォートレーヌが大惨事に巻き込まれかねない。延いてはリエナ達家族にまで危険が及んでしまう以上、見せる訳にはいかないのだ。


「さ。君も・・・。もちろん見せたくないのがあれば、表示と念じる時に総合存在値の事だけをチラッと頭に浮かべればいい。そうすればガラスケースが君の意思をくみ取り、表示しても良い部分だけが表れるから」「・・・」


 ジンは消えていくミゲイラのステータスを見ながら納得した。


「(自分の見せてもいい部分だけ表示してくれるのは便利だな・・・)」〔ですが、あまりに伏せられれば変に勘繰られそうですね。迂闊には使用できない人もいそうです〕「(確かに・・・)」


 腕を組んで黙っているジンの姿が周りには固まっているように見えた。


「・・・じゃあ、私から見せようか?」「え?」


 単にサポートと話し合いをしているだけだったのだが、リエナはジンが躊躇っているように見えたらしい。立候補して先に右手を石の上に手を乗せだった。






 【ジン・フォーブライト(純、クリス)】8才 (真化体)


 身体値 13

 魔法値 11

 潜在値 8


 総合存在値 12


 スキル(魔法): 硬軟緩衝

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