225 気付けば到着、フォートレーヌ
ジンは立てた2本の指を1本に変えた。
「1つは、この森。・・・2人はこの森がいつからこんなに深くて、いろんな形や葉やツタが伸びた木になっていたか分かる?」「え?・・・」「・・・?」
車窓から見える森を見て、お互いの顔を見て首をフルフル。
それもそのはずだった。リエナもパミルも、長旅が続くこの帰国。またこの手の移動に慣れている為に外を少し見た後は事前に購入していた本を読み始め、周囲の事など一切気に掛けなかったのだ。
「実は、この森に入ったのは港を出て山に入って10分かな?それくらいで到着したんだよ」「「ええっ」」
驚く2人。流石にそれは言い過ぎではと思うが、リエナとパミルはいつの間にこの森に入ったのか見ていないため、ジンに笑うことも出来ない。
「あ、見て」「「?」」
ジンが再び2人に外を見る様に仕向ける。
走っている森は相変わらず深い森の中、朝日が木の間から射し込む光景はとても幻想的だった・・・だが。
「・・・霧?」
そう。リエナが呟いたように、幻想的な光景には若干だが霧が入り。それが薄っすらと水が含んだものが射し込む光りに反射して幻想的な光景を作り出していた。
「多分、もう少しだけ濃くなったら、魔力を感じて見て」「「?」」
ジンに言われるまま、次第にうっすらと規模が拡がった霧を確認したタイミングで魔力を感じ取ろうと目を閉じた2人。その瞬間だった。
「「!」」
何らかの魔法が周囲へと波紋していくのを感じ取った。
そして、2人は外の景色を見る。最初は気付かなかった、違和感に気付いた。
「さっきと・・・違う?」「先ほどまであった木と種類が違う・・・」「そう」
正解とジンは笑顔で答え。逆に質問した。
「さっき何か流れてなかった?」「・・・さっき周囲に向かって」「何か・・・鳴った?」
その答えに2人が辿り着いた所でジンは答え合わせに向かう。
「正解。その波紋は2つ目、だけど。霧の中でも何か感じたでしょ?」「あ、なんか魔力が溜まり場みたいに」「・・・少し集まってた」
この森は深く、全体的に魔力が濃い。そこへ更に霧が発生した時溜まり場の様に更に一部だけ魔力が濃さを増したのだ。それを2人も感じ取っていた。
「1つはその霧で周囲の魔力がある程度の濃さになる事だと思う。2つ目は・・・たぶん隊長さんかな?その人がたぶん何かをしてるんだと思うよ」「・・・そうね」「あの位置だから・・・。たぶんそう」
リエナもパミルもジンの言葉を同意する様に頷く。
「その2つの条件が揃うと、距離までは分からないけど、空間を短縮・・・。つまりは──」「ワープが出来るってわけね」「・・・」
リエナは腕を組んでうんうんと納得した。パミルは少し考えているのか顎を親指と人差し指の関節部分で挟むようにして掴むとポーズをとって斜め下を向いていた。
理解したリエナはさっそく。騎士隊のリーダーを呼び出し、騎乗していた生き物から馬車に飛び乗って同席させる。そして先ほどジンが言った事をそのまま伝えた。
「・・・・・・よく・・・解りましたね。お嬢様・・・」
まさか、コレが分かるとは思っていなかったのかその声と表情には驚愕がありありと伝わってくるようだった。
「ふふん。私達も日々成長しているのよ」「といっても。分かったのついさっき。ジン君が教えてくれた」「っ・・・」
驚愕の顔のままジンの方を振り向く隊長。
〔その顔をスローモーションで振り向かれるとちょっと怖いですね〕
サポートの失礼な発言がジンの頭に響く。がジンは誤魔化す様に気持ち笑顔の表情でいた。
「い、いや。たまたまですよ?昨日からずっと外ばっかり見ていましたから」「・・・それだとしても驚きです。視界が多少なりとも悪くなるうえに、見慣れない土地。見分ける事も魔力を感じる事もなかなか難しいはずなのですが・・・」
流石にココまでしっかりと見抜かれては驚嘆するしかない隊長だった。そんな隊長の気持ちはさておきリエナは質問する。
「で?これでワープを繰り返していたのよね?」
隊長の観念したのか、潔く白状した。
「さようです。領主様より預かっているペンダントで短距離転移を繰り返しておりました。・・・本当は2人には黙っておくようにと言われていたのですが・・・。ここまでバレてしまっては、どうしようもないでしょう」
その言葉にどこか勝ち誇った様なリエナと、リエナほどではないが喜んでいるパミル。
「という事は、それさえあれば私達も」「ええ、一応は可能ですが。先ほどジン君が言ったように条件がございます。そして、この条件が合致しているのはこのファーランでも限られた場所だけです」「なんだ、そうなの・・・。ちょっと残念ね?」「・・・もう少し融通を」「無茶言わないでください。コレだって、領主よりお嬢様方の救助を命令させ、そのために下賜ンは立てた2本の指を1本に変えた。
「1つは、この森。・・・2人はこの森がいつからこんなに深くて、いろんな形や葉やツタが伸びた木になっていたか分かる?」「え?・・・」「・・・?」
車窓から見える森を見て、お互いの顔を見て首をフルフル。
それもそのはずだった。リエナもパミルも、長旅が続くこの帰国。またこの手の移動に慣れている為に外を少し見た後は事前に購入していた本を読み始め、周囲の事など一切気に掛けなかったのだ。
「実は、この森に入ったのは港を出て山に入って10分かな?それくらいで到着したんだよ」「「ええっ」」
驚く2人。流石にそれは言い過ぎではと思うが、リエナとパミルはいつの間にこの森に入ったのか見ていないため、ジンに笑うことも出来ない。
「あ、見て」「「?」」
ジンが再び2人に外を見る様に仕向ける。
走っている森は相変わらず深い森の中、朝日が木の間から射し込む光景はとても幻想的だった・・・だが。
「・・・霧?」
そう。リエナが呟いたように、幻想的な光景には若干だが霧が入り。それが薄っすらと水が含んだものが射し込む光りに反射して幻想的な光景を作り出していた。
「多分、もう少しだけ濃くなったら、魔力を感じて見て」「「?」」
ジンに言われるまま、次第にうっすらと規模が拡がった霧を確認したタイミングで魔力を感じ取ろうと目を閉じた2人。その瞬間だった。
「「!」」
何らかの魔法が周囲へと波紋していくのを感じ取った。
そして、2人は外の景色を見る。最初は気付かなかった、違和感に気付いた。
「さっきと・・・違う?」「先ほどまであった木と種類が違う・・・」「そう」
正解とジンは笑顔で答え。逆に質問した。
「さっき何か流れてなかった?」「・・・さっき周囲に向かって」「何か・・・鳴った?」
その答えに2人が辿り着いた所でジンは答え合わせに向かう。
「正解。その波紋は2つ目、だけど。霧の中でも何か感じたでしょ?」「あ、なんか魔力が溜まり場みたいに」「・・・少し集まってた」
この森は深く、全体的に魔力が濃い。そこへ更に霧が発生した時溜まり場の様に更に一部だけ魔力が濃さを増したのだ。それを2人も感じ取っていた。
「1つはその霧で周囲の魔力がある程度の濃さになる事だと思う。2つ目は・・・たぶん隊長さんかな?その人がたぶん何かをしてるんだと思うよ」「・・・そうね」「あの位置だから・・・。たぶんそう」
リエナもパミルもジンの言葉を同意する様に頷く。
「その2つの条件が揃うと、距離までは分からないけど、空間を短縮・・・。つまりは──」「ワープが出来るってわけね」「・・・」
リエナは腕を組んでうんうんと納得した。パミルは少し考えているのか顎を親指と人差し指の関節部分で挟むようにして掴むとポーズをとって斜め下を向いていた。
理解したリエナはさっそく。騎士隊のリーダーを呼び出し、騎乗していた生き物から馬車に飛び乗って同席させる。そして先ほどジンが言った事をそのまま伝えた。
「・・・・・・よく・・・解りましたね。お嬢様・・・」
まさか、コレが分かるとは思っていなかったのかその声と表情には驚愕がありありと伝わってくるようだった。
「ふふん。私達も日々成長しているのよ」「といっても。分かったのついさっき。ジン君が教えてくれた」「っ・・・」
驚愕の顔のままジンの方を振り向く隊長。
〔その顔をスローモーションで振り向かれるとちょっと怖いですね〕
サポートの失礼な発言がジンの頭に響く。がジンは誤魔化す様に気持ち笑顔の表情でいた。
「い、いや。たまたまですよ?昨日からずっと外ばっかり見ていましたから」「・・・それだとしても驚きです。視界が多少なりとも悪くなるうえに、見慣れない土地。見分ける事も魔力を感じる事もなかなか難しいはずなのですが・・・」
流石にココまでしっかりと見抜かれては驚嘆するしかない隊長だった。そんな隊長の気持ちはさておきリエナは質問する。
「で?これでワープを繰り返していたのよね?」
隊長の観念したのか、潔く白状した。
「さようです。領主様より預かっているペンダントで短距離転移を繰り返しておりました。・・・本当は2人には黙っておくようにと言われていたのですが・・・。ここまでバレてしまっては、どうしようもないでしょう」
その言葉にどこか勝ち誇った様なリエナと、リエナほどではないが喜んでいるパミル。
「という事は、それさえあれば私達も」「ええ、一応は可能ですが。先ほどジン君が言ったように条件がございます。そして、この条件が合致しているのはこのファーランでも限られた場所だけです」「なんだ、そうなの・・・。ちょっと残念ね?」「・・・もう少し融通を」「無茶言わないでください。コレだって、領主様よりお嬢様方の救助を命令され、そのために一時的に御借り頂いた物なのです。本来なら、他国へ持っていく物ではないのですから・・・」
焦る隊長に、2人は仕方ないと諦めた。
とりあえず、ジンとサポートが予想していた事は正解だったようだ。
時刻は夕方を迎える頃。
特定の霧が発生する場所を狙いつつ、目的地に向かっていた馬車は、短距離転移数回。その後、真っすぐに走り続けようやく深い森の山を下りた。
自然はまだまだ豊富な場所だが幾分か舗装された路面へと出る。また途中、数回の休憩を挟んでようやく目的地。
リエナ達の両親が住む街``フォートレーヌ``に到着した。
「んん~っ♪帰って来たー♪」「ん。無事帰国♪」
馬車を降り、体いっぱいで喜びを味わうリエルと、声も表情もそこまで大きくは無いが(本心はかなり嬉しいのだろう)パミルも喜びの気持ちを隠せないでいた。
フォートレーヌという都市は、この国``縁綾ファーラン``の中でも首都に続く大きさになる町である。人口が多い事もあるが、それ以上に、町自体の規模が大きい。
国の名前などに関してはリエナ達に馬車の中で色々と教えてもらった。
それは、森を抜けて開けた場所に出た山の上からでもハッキリと見えていた。視界いっぱいに広がる緑溢れる大きな町。見渡せる範囲だけでは全く収まりきらない規模の広さ。その中にジン(純)が初めてこの世界に転生した時に見た列車よりは型が古いが、この国に合わせた装飾がされた機関車が独自の技術を織り交ぜているのだろうか。産業、住宅などをひっきりなしに何本も動いていた。自動車?と言えばいいのか馬車はそれ以上にたくさんの場所へと行き交いしている。
人口が増えた都市という密集地では普通、緑っていうのは自然と少なくなっていくものだ。だがしかし、このフォートレーヌではそんな感じが全く見えなかった。ジン(純)からすれば寧ろ、偏見もあるが田舎の様に自然が町を覆いつくしていそうといった見方になってしまう。
溶け合っていると見ればいいのか。それともこれ自体がこの国では自然な事なのか・・・。
「それでは、早速領主様の下へ」「お願い」
騎士達のリーダーの声にすぐにリエナ達は再び馬車に乗って、帰宅へと向かわせる。
「それでは隊長」「ああ。頼んだ」
部下の返事をすぐに返すと、同行していた(拉致されていた)者達をひとまず家に送り届けるために部下達がそれぞれの家元へと馬車を走らせるのだった。
一旦、ココでお別れとなり、リエナとパミルも同行した者達も手を振って声を掛け合った。
隊長と他2名の下、ジンは都市の中心地にほど近くにある一軒の大きな屋敷へと到着した。
「ただいま~♪」「ん♪」「「「お帰りなさいませお嬢様」」」
皇国ベルニカ。その首都ベルニカでリエナ達が捕まっていたお屋敷もかなり大きい印象だったがココはそれ以上にデカかった。リエナの父が領主をしているらしいとは聞いていたが思った以上の広さ。そして出迎えるメイド達と執事達の人数に驚いてしまった。
「(・・・いったい何人ココで働いているんだ?)」〔・・・現在、メイド74。執事35人がココで働いているようですね〕
たった今、マナで周囲を探ったのかサポートからの報告が入る。
「(シェイミ―達の家とほとんど同じくらいじゃないか?)」
ちなみにシェイミ―は、純が2度目の転生で異世界システンビオーネに向かった時に助けた事がキッカケでお世話になった貴族の女の子だ。
〔あそこは辺境にほど近い所だったかと。この都市の様な文化の中心と比べますと、やはり規模が違いますから〕「(・・・どっちにしても、日本じゃそうそう・・・と言うかほぼ見る事はないな。こんなの)」〔ですね・・・。しいて言えば学校とかでは?地方の農業系になりますと規模もとんでもない事になると確か、クラスメイトの誰かがお話ししていたかと・・・〕
高校生活の時、サポートは純を支援する傍ら、周りから入ってくる情報をよく集めていた。それこそ久しぶりと言ってもいい友達が出来て、その友達が趣味としている情報集めの様に。その行動力には全く迷いを見せていなかった。
「(よく覚えてるな)」〔情報収集は大切ですから〕「(出歯亀の間違いでは)」〔それは心外です。以前も言いましたがこれは私達にとっても重要な事ですから。欠かす訳にはまいりません〕「(とか何とか言って楽しんでいる癖に)」〔否定はしません。どんな環境でも楽しむ、心のゆとりは大切ですから〕
驚きと呆れが混ざったジンの言葉に、特に気にすることなく平然と言ってのける答えるサポートだった。
色々と話があるのだろう。ジンは1人通された部屋(ジンから見ればどこも大部屋)でソファーに座って待っていた。
「・・・」
待っていたが正しいのは間違いないだろうが、この屋敷で初めて見る騎士達が部屋の入り口と角で剣の柄に手を添えて待機しているこの光景はどちらかと言うと、警戒されていると勘違いされるのではなかろうか?
そんな事をジンはチラチラと目で盗み見てはジッと前を向いて待つのだった。
複数の足音が聞こえてくる。それはジンが待つ部屋の前で止まると開けられた。
「?何をしている?」「は?」
扉を開けて中に入った所、剣に手を掛けている騎士を見て男が不思議に思い声を掛けた。しかし、騎士は何故声を掛けられたのか分かっていないのだろう。その表情には先ほどまであった警戒の色がなくなり、素の状態になっていた。代わりに別の男が割って入る。
「いえ、一応の警戒を・・・」「娘達が連れて来た客人にか?」「客・・・人?」
騎士達と入って来た男の間には、明らかに何か食い違いがあるのだろう。それを理解した男はゆっくりと息を吐いて説明した。
「・・・はぁー。娘達がどこにいたのかを知っているからだろうが、彼は全くの無関係だ。それどころか、寧ろ恩人ですらある。お前達の思ってくれる気持ちもありがたいが今は剣を収めてくれ」「は、ハハッ。失礼しましたっ」
返礼で返すと退出させる。そして男とここまで一緒に旅をしてきた騎士隊の隊長が入って来た。
男はジンの向かいのソファーに座る。隊長はその後ろで控えるように立つ。男はジンに向かって優しい顔になって話し始めた。
「ウチのリエナやパミルちゃん。それに同行した我が民達が世話になったようだね。ありがとうジン君。私はココの領主をしているミゲイラ・コン・フォラウストという」
【ジン・フォーブライト(純、クリス)】8才 (真化体)(サポート曰く、一応完了)
身体値 7
魔法値 7
潜在値 5
総合存在値 9
スキル(魔法): 緩衝




