1 辛いのは最初だけ?
徐々に書く技術が上がってくれたらいいな~
さて、歩いているけど・・・本当に大丈夫か?
そんな思いがずっと続いていた。
騎士たちが去った方向とは逆に、反対の北の方向へと歩き・・・もう3日目になるだろうか。
お腹の空き具合は、もはや痛みが出てくる状態になっていた。、
手持ちのメスシリンダー入りホルダーケースの、中身の飲み物も空になってしまった。
念のために道すがらに水の音を聞きつけ、そこで流れている川を発見。
飲んで空になったシリンダーに水を補充してから、再び歩いてきた。
補充ついでにちらっとだけ、自分の顔を覗き込んだ。
というか、水に反射して顔が見えてしまった。
垂れた目、そばかすの多い顔、つぶれた鼻のような平ぺったい感じだった。
髪は白く、目は鈍色だ。
チラッとのつもりが鮮明に記憶に刻まれてしまった。
異世界にきて、少しはかわいい感じをイメージしたが・・・いや期待してしまったが、現実はそう甘くはなかった。
とりあえず、水だけ補充してその場を去った。
食べ物?・・・そんなもの、どれが食べても大丈夫かなんてわかるわけがない。
それに・・・食べれそうなものを探すタイミングを失って夜になり、それどころではなかった。
夜になったら周りなんてろくに見えず、騎士が言っていた事が本当なら、モンスターがいる中で探すしかない。
そんな余裕なんてあるわけがなかった。
夜は満足に眠れず、寝ては起きる・・・浅い眠りを何回も繰り返していた。
幸い、騎士の1人に馬車を壊される前に、咄嗟に長いローブっぽい服を掴み、持って隠れた物が、布団代わりになった。
また、気温が春のような少し肌寒いくらいの安定した場所が良かったんだろう。
風邪をひいたりすることも無く、とりあえずは・・・寒さには対策はとれていた。
しかし今日・・・もともと今日の天気は曇り空だった。
雨が降りそうな雲行きだった為、嫌な予感がした。
だから、念のためにと周囲を見ながら、周りに雨宿りができそうな大きな木を探してみたがが・・・見つからない。
そんな時・・・不安は的中した。
雨が降り出した。
仕方なく、先に村か町があるのを期待して雨の中歩き続けた。
・・・・・・
・・・
どれくらい歩いていたのか・・・精神的にもピークはとっくに過ぎて何も考えられなくなり、ただ足だけを動かしていた。
ふと、遠くに・・・疲れと雨ではっきりとは見えないが、塀のようなものを見つけた。
(助かった・・・)
自然ばかりの景色の中、ようやく人工の物を発見した。
淡い期待を胸に塀の見える場所に向かって歩き続ける。
たどり着いたそこには・・・4階建ての学校の屋上くらいの高さのある塀と、5メートルはあろうかという門・・・そして門の前に2人の兵士が門番として立っていた。
「・・・あ、あの・・・たすけて、くだ・・・さい・・・」
体力もすり減り、またイジメられていた事から苦手意識が出てしまい、他人とろくに話すことも満足に出来なくなっていた。
自然と言葉が徐々に尻すぼみになる。
「?、なんだ?このガキ?」
「さあな」
「それにこの格好・・・チッ、ボロボロでうす汚ねえ」
「おい、見ろよ。こいつ足と腕が片方ないぞ」
「ふん・・・大方、どっかでモンスターにやられて逃げて来たんだろう・・・」
「よく生きて逃げられたもんだな~」
「あ、あのっ・・・」
「で、どうする?」
「ほっとけ、俺達には関係ないだろう。
・・・どうせこの有様だ、助ける意味がない」
「それはひどくねえか?」
「だったらお前が面倒を見るか?」
「・・・」
「お願いします。助けてください」
助けてください・・・現代で普通に生活していたらあまり聞かないだろうワードだろう。
聞くとしてもそんな場面はそうそうないはずだろう。
あってもフィクションの中だけだろう。
自分で言ってて少し変に感じる。
でも実際・・・現在の状況はシャレにならない。
しかし・・・。
「・・・邪魔だ。どっかに行けガキが」
「こんなところで命乞いなんていい迷惑だ」
払うような手ぶり、ジェスチャーをして追い返そうとする兵士。
「!?ま、待って」
縋ろうと咄嗟に近寄り手を伸ばしたその時。
ガンッ!
1人の門番が腕を横に力強く振り払い、吹き飛ばされ盛大に倒れてしまった。
「んん!・・・ふぐっ!」
ぬかるんだ地面に倒れ、汚れてしまうが・・・起き上がる気力は残っていなかった。
「おい、あまりやりすぎるなよ」
「いや、そんなに力は入ってなかったんだが・・・」
「はぁ・・・面倒ごとを起こされる前にサッサとどかそうぜ?」
「そうだな。・・・おい、起きろ!」
無理やり持ち上げられると、門のそばから離され、平原の地面に放り捨てられた。
そして、兵士は何もなかったように持ち場に戻っていく。
「・・・ぅぐっ・・」
立つ気力もなく、吹き飛ばされた時に、杖代わりにしていた木の棒はどこかに投げ飛ばされてしまった。
それでも何とか動かなきゃと、這いずりながらもゆっくり・・・少しずつ動こうと頑張ったが、限界だった。
「・・・」
朦朧とする意識の中・・・自分の今までを走馬灯のように思い出していた。
イジメられて苦しめられて生きていた生活。
そして、異世界に転生してもこの仕打ち。
もういっそ死んだ方が楽になれるんじゃないかと思えてきた。
雨音がやけに大きく聞こえる中、ゆっくりとその目が閉じていく・・・。
そこで・・・意識をなくした。
ザーーーーー
雨の勢いが一層増してくる。
「・・・・・・の君・・・!
ねえ・・・君、大丈夫!!」
誰かが近づきながら声をかけていた。
・・・
・・
・
「・・・・・うう・・・」
ゆっくりと目を開ける。
(・・・?、ここは・・・?)
起き上がり、周りを見る。
ベットの横の窓からは明るい光が入ってきて部屋を照らしていた。
簡素な机、タンス、柔らかめの布団の敷かれた堅そう木のベット。
机の上に何か四角いオブジェ、数冊の並べられた本、その横には・・・何かの絵。
地図なのか、記号なのかよく判らない。
入り口近くには、子供が描いたであろう絵が数枚、壁に貼り付けている。
全体的には、そんなにものがあるわけではなかった。
いや、決して質素だとか水ぼらしいということではない。
ただ・・・少し、生活感の少なそうな部屋というだけだ。
そこは勘違いしないでほしい。
部屋を出ようと動いたタイミングと同時に、部屋のドアが開かれ、一人の黒髪ロングの(シスターっぽい?)女性が入ってきた。
「あ!よかった。目が覚めて」
柔らかく明るい口調で話しかけてきた。
「ずいぶん衰弱してたから焦ったよ。もう大丈夫?痛いところはない?」
優しい声で話す。
「ねえ?・・・君のお名前は?年はいくつ?」
いきなりな質問攻めにあい、ちょっと困惑してしまう。
「ああっ、ごめんね。いきなり話してもわからないか」
彼女は居住まいを正し、自分の自己紹介を始めた。
「私は、ここの教会兼孤児院のシスターをしてるクレア・ミール。
つい最近シスターになったばかりの者です。
あなたはこの町の近く、フソルヌ・ゴーマン伯爵の門の近くで倒れていたんです。
たまたま、隣の村から帰ってくる途中に通りかかって。
倒れたあなたを発見したので、この孤児院まで連れてきました」
と、軽く内容を説明してくれた。
最近シスターになったということは・・・おそらくこの異世界が昔の地球と似た感覚でいけば10代、もしくは見た目から考えても・・・そんなに予想から外れてないだろう。
エメラルドのような瞳、左目の泣きボクロ、目じりが下がり温和そうな感じ、腰まである黒髪、身長は・・・160ぐらいだった。
物腰が柔らかく、スタイルは・・・言わずもがな。
おっと、彼女の話は続いていた。
「ねえ?・・・それで、あなたは何か思い出せたかな?自分の名前とか」
名前?・・・。
・・・困った。
日本名で言ってもおかしいだろうし、それにここでの自分の名前は・・・
「(・・・ステータス)」
心の中で言ってみた。
それに応え、表示はされたが・・・。
【ク●☆=8ん&Q
×✖ス~&1Rk’
… _¥+ード
・・・・・・・
・・・・
・・
・】
と、どうもノイズばかりで安定しない。
しかし、このまま黙っているのも気まずいし、偽名をいうのも気が引ける。
今回は表示された文字から、適当な名前をくっつけて名乗らせてもらう事にした。
「・・・クリス」
「そう・・・クリス君っていうのね?・・・年はいくつ?」
近づきしゃがんで目線の高さに出来るだけ合わせるようにして彼女は話しかけた。
「・・・知らない」
「そう」
端的にしか言わないクリスに対し彼女は、深くは聞かずに優しく聞き入れてくれた。
「どこから来たとか、わかるかな?」
「・・・わからない・・・気づいたら道に居た」
「・・そう」
嘘は言ってない。
しかし、このまま追求され続けるとすぐにボロを出してしまいそうだった。
彼女もこれ以上の事は、クリスも本当に分からないのだろうと思い、追及はしなかった。
そして話題を変えた。
「そうだ、クリス君。
お腹すいてないかな?
君がここに来て・・・2日も眠ってたんだよ?」
それを聞いて初めてここ数日食べていないことを思い出し、体がそれに反応する様に。
「(くぅぅ~)」
とお腹の音を鳴らした。
「・・・ふふふ、じゃあ一緒に行きましょうか。
下でシスター・・・ミリアーゼシスター長達がお食事の用意をしているから」
そういうと彼女はクリスにしゃがんだまま背を向けた。
どうやらおんぶして連れて行こうとしているらしい。
(いや、さすがにちょっと・・・)
見た目がいくら幼くても中身は、思春期真っただ中の中学生。
こんな美人なお姉さんとかなり密着するのは緊張してしまう。
その結果、どうしようか迷ってしまい躊躇っていた所、待っていた彼女が肩越しに振り返り、どうしたの?と顔に書いたような表情を見せる。
「ほら、大丈夫だよ?こう見えて、私も結構力持ちなんだから」
そう言って乗るように促してくる。
(・・・・・・)
それでも迷っているクリスだったが、最後には自分の右腕と左足がない状態の体を見て、諦めて甘えることにした。
(はあ・・・。名前もない、体も満足に自分では動けない・・・。
こんな状態で、クレアさんにも迷惑をかけて・・・本当にこの先やっていけるのか?)
その時。
「・・・え?」
「ん?」
「ううん。何でもない」
つい口に出てしまった。
【クリス】3才
レベル 1
HP 3 MP 2
STR 1
VIT 1
INT 1
RES 1
DEX 1
AGI 1
LUK 1
『欠損』『衰弱:小』
さっきまで名前すら文字化けして安定していなかったステータスが、はっきりと見えるようになっていた。
「あら、クレア?良かったわ、そろそろ呼ぼうと思っていたところよ。
・・・その子が倒れてた子ね?もう起き上がっても大丈夫なのかしら?」
「はい、シスター長。この子・・・どうやらお腹をすかせているものですから、こうしてテーブルまで連れてきました」
「それは良かったわ。いま料理を運ぶところだったのよ」
「クリス君、いいタイミングだったね」
「え?、あ、はい」
ステータスのことを考えていたためテキトーに返事を返してしまう。
「じゃあ、ここで座って待っててね?私はシスター長たちを手伝ってくるから」
そう言ってクリスを長椅子の1つに座らせ去っていった。
じーーーー・・・。
料理が運ばれてくる中・・・クリスは、同じように長椅子に座って待っている数人の子供たちに見られ続けていた。
特に横の・・・自分と同じくらいの女の子と前に座る男の子がこちらをただじっと見つめている。
どうしたらいいのかわからないのでクリスは黙っていた。
すると向こうから1人の男の子が話しかけてきた。
「お前誰だ?新しく来た奴か?」
急に距離間を詰めるように話しかけられた。
(・・・まあ、子供って結構余所行きの・・・敬語っぽいしゃべり方をするほうが違和感があるから、これぐらいは普通かな?)
そしてクリスはそこで気付いた。
「(ああ・・・。気づけば、2、3年くらい前から・・・転生前の自分は、必要最低限の話以外、家族ともまともにしてなかったかもしれない・・・。)」
そんなことをフと思い出した。
「おい、聞いてるのか?」
思い出して、少し考え事してたら無視をしたと思われちょっと強い口調で再度、男の子が聞いてきた。
「う、うん。気づいたらここに・・・」
「・・・ふ~ん」
返事を返すとそれ以上は興味がなくなったのか、すぐに自分の席に帰っていった。
「(何だったのか・・・)」
去って行く少年を目で追いながら・・・内心、どうすればよかったのか戸惑うクリス。
・・・疑問は残るが、シスター達が料理を運び終えるてテーブルに付いた為、クリスも一旦その事は意識から追いやった。
そして食前の祈りを全員でして、食事に入った。
食事が始まるまで、横の女の子と前の席の男の子はずっとこちらを見つめ続けていたが、クリスはその事には触れなかった。
食べ物は、少し硬いが大きめのパンと野菜がたっぷり入ったコンソメ味に近いスープ。
お肉の団子が数個ずつ人数分と皿の中にスクランブルエッグと一緒に盛り付け、少量のカットされたフルーツ?が入っていた。
孤児院であり教会と言っていたから、そんなに食事は良いものを望めないと思っていたけど・・・。
だって異世界の孤児院だし貧しいとばかり思ってしまった。・・・偏見だな。
「(ごちそうさまでした)」
何日も食べていなかった状態で急にたくさん食べると胃がビックリすると思っていたクリスだったが以外に食べられ驚いた。
「(よっぽど餓えていたのかな?)」
それに、3才の体にしてはかなり食べられた。
「(とにかく、おいしい料理を作っていただきありがとうございます)」
心の中で感謝と手を合わせる。
実際は片手しかないから謝っているような感じに見えてしまいそうになるが・・・。
食事を終え、食器を厨房へ運び終え戻って来たクレアが、クリスに話しかける。
「そうだクリス君・・・。この後、教会のほうに行ってみない?」
「え?教会?」
「うん。私、クリス君をここに連れてきた時、簡単な回復術しか使ってなかったから。
だから、教会に行って、クリス君に回復魔法をかけようと思うの・・・」
じっと見ていた子供は果たしてこの先活躍できるのか?
気ままに書かせていただきます。
メンタルが弱いので優しいアドバイスによるご指摘をいただけると嬉しいです。
とにかく今は自分の書きたいものか気が済むまで書ききるつもりで頑張っていきます。