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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
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188 霧の向こうに立つ者

「ギギャ!」「ギギギ・・・」


 低空飛行で滑空しているモンスターの笑っている様な表情と矢と石・・・。またどこからか飛んでくる魔法であろう攻撃。それを搔い潜って攻撃を槍による突撃にあまりに鬱陶しく感じた純は塔を目指すついでに双剣で槍持ちを両断していく。


〔・・・その力で門を壊すというのは?〕


 至極尤もな意見。しかし純はすぐさま却下した。


「あの門が壊していいものか分からない。もしかしたら影の世界の持ち主の何かの可能性がある。開けられる方法があるならそっちの方が良いと思う」〔・・・確かにそうですね〕


 純の直感と思う、門からくる感覚に従いサポートも作戦を切り替えた。


〔あのモンスター達は、塔の内部から守っているだけでしょう。おそらく中にスイッチが〕「(ならば・・・)」


 最初に攻撃を仕掛けてきた右の塔目指して純は窓の弓兵達がいる場所まで飛んでショートカットして攻めて行った。


 ザシュザシュザシュ・・・。ガキン、キンキン・・・ザシュ・・・。


 階段には大量に控えたモンスター達がいた。純が攻めてくることも想定していたのか中には魔法使い。獣型の大型モンスター。アサシンタイプのモンスターなどが控えていた。純はその中に飛び込みまさしく一蹴していくのであった。次々と掃討されていくモンスター達。数が目に見えて減って行く度に、その声には恐慌とも言えそうな焦りと恐怖が純にも伝わって来た。必死に殺そうと躍起になっているが・・・。焦り、油断した者から次々と倒されていった。


 数分後・・・。


 隣の塔から駆け付けられたモンスターを含みほぼ右内部の塔にいたモンスターは掃討されてしまった。静かになった塔内部を走っていく純。


「(本来こういうのって下じゃないの?地下とか・・・)」〔どうやらモンスター共は上の方に集結していたようです。わざわざ遠距離タイプでも無い者達も大量に・・・。そう考えますと上に何かあると言っている様なモノでしょう?〕「(ああ・・・確かに)」


 純は少し急いで、塔の頂上へと目指した。そして隠れて奇襲を仕掛けようとしていたアサシンタイプと魔法使いのモンスターを倒し、閉じられた門を切り裂いて開けた。中には船の舵を切りそうなほど大きな取っ手があった。


「(これを引けばいいのかな?)」〔おそらくは・・・〕


 純は奥の方に向かって押し倒されていた取っ手を引く。入口側の限界まで引いた時、何かが嵌り固定されたような振動が手に伝わった。


 ガゴン・・・ギギギギギギギギ。ガチガチガチガチ・・・。


 どこかの滑車が重りでゆっくり落とされる太い鎖に絡まって回転を始める。するとゆっくりと他の滑車も回りだした。


「・・・これでいいのかな?」〔・・・起動を確認。しかし、まだ門を開けるほどの力は足りていません〕「それじゃあ。急いでもう1つも・・・」


 すぐさま引き返し、反対の塔目指して走っていく純だった。




「はい、完了っと」〔お疲れ様です〕


 左側の巨大取っ手も無事引き終え。門を開けることが出来た純はゆっくりと部屋を出て階段を下りて行った。未だに純によって倒されたモンスターの残骸は残っており。所々にシュウシュウと煙を上げている。窓まで到着した純はそこから飛び降り。巨大門の前に戻って来た。


「・・・反対側に窓があれば、いちいちこんな事しなくても良かったのに・・・」〔侵入者は前からしか来ないと決まっているのでしょう。リアルに考えた造りではありませんから〕「まあ、それもそうか」


 ゆっくりと上昇していく門。純は自分が通れるほどの高さまで昇っていったことを確認し歩き出した。


「は~・・・それにしても重厚な作り・・・。この鉄、何メートルの分厚さなんだか・・・」〔約4メートル弱・・・。純なら斬鉄出来る厚さですよ〕「いや、そこは別に知りたかったわけじゃないんだが・・・」〔しかし・・・。こうまでしっかりした門ですが・・・〕「・・・見えん」


 霧が更に濃くなったのか純の目では30メートル先が良く見えなかった。ただ橋だけが伸びているのであった。


〔進みましょう。ここから先、私達を襲ったマナの残滓が濃く残っています〕「と言っても・・・これは・・・」〔暗闇とは違って、純粋に霧で遮られてますから・・・。純の目では見え辛いでしょう。リンクを〕「ん」


 幾分か視界が開けた様な気がする。しかし、先へ進むたびに濃くなっていく為、あまり意味がなかった。歩く事しばらく・・・。いよいよ純は橋の両端が見えなくなるほど視界を遮られていた。しかもサポートのリンクしたマナの視界を介してでも、である。


〔純、気を付けてください〕


 サポートの声には幾分か緊張が伝わってくる。それを感じ取った純も双剣を出してゆっくりと歩いて行く。見え辛いが階段が目の前に現れた。純は足場を踏み外さない様に下りていく。その時だった。


〔純、来ます!〕「っ?」


 突然、サポートの声の後、大きな影を上空で見た気がした純。それはすぐに現れた。大きな手が純に向かって振りかぶっている所だった。しかし、霧が濃く、勇気を出して踏み出す一歩を躊躇ってしまい巨大な手に捕まってしまう。その手はあまりにも大きく純を包み込めるほどだった。


「ぐっ!」


 咄嗟に純はまだ指を丸め、しっかりと掴む前に掬い上げ押し出された手の平を蹴って、その場を脱出。階段の先、目掛けて飛び降りた。


 ゴガアアアアアアアアアアアンンン・・・・・・!!!!


 純がいた階段部分ごと盛大に橋は破壊されていく。吹き飛んだ橋の瓦礫等が霧の中へと消えていく。


「・・・ととっ!」


 着地には成功したが先がいまいちハッキリとしなかったために目算を謝り倒れ込みそうになった純。しかし、すぐに立て直すと走り出した。


〔これは・・・。あの手の大きさから推定・・・約50メートル級に相当します〕「今はそれよりどうするかだ!敵の姿が全く見えない!」


 走る純を追って巨大な手が振るわれる。そして純の後ろの橋を盛大に壊していく。あまりの衝撃でかなり先まで走っているはずの純の所まで振動が届く。


〔右です!〕「っ」


 咄嗟にスライディング。純の頭上を勢いよく手が通り過ぎた。その時の風圧で一部、橋の建造物が破壊される。


〔走って!〕「どこに!」


 純は橋がどこに続いているかもわからないままどんどんと加速して走っていく。しかし手もまるで純の速度を予想しているかのように先々に現れ、手を振るっていく。振る度にその勢いが増していく。深い霧の中から突然来るため、マナである程度予測は出来ても双剣での反撃までは出来なかった純。橋すら簡単に削り取る相手にこの場所は、あまりに不利過ぎた。回避する事、十数回・・・。


「しまった・・・!」〔やはり、そう来ますか・・・〕


 純の少し前、数十メートルくらい先であろう橋から突如振動がした。それを感じた時、瞬時に純達は気付いた。そして・・・後ろからも徐々に近づく気配。橋を次々破壊してくる手。


〔挟まれました〕


 そうサポートが口を出した瞬間。突如、純の体が浮いた。橋の下の支柱ごと、大きく振りかぶった手が破壊したのか純が立っていた橋は空中に投げ出されたのだ。


「・・・(くそっ)」


 純は体内マナを循環、更に活性化。更に横から橋ごと、純を掴もうとした手から逃れるべく前へと跳んだ。純の身体能力と体内を活性化したマナを使えば数百メートルは飛べるはずだったが・・・。


「・・・ないっ!」


 どこにも足場となる橋が無かった。支柱も無くなってしまったのか霧深い底へと落ちていくことに。


「~~~っ。ああああ~~~~~~っ・・・・・・」


 どんどんと自分の体に落下速度が付いて行くのを感じる度に恐怖感が募っていく。ここまで何も見えない中、無事に着地できるのかもわからない恐怖に耐えられるほど純の心は平常ではいられなかった。


「(やばい・・・。やばいやばいやばい!どうしよう!!こんな所でっ・・・)」〔落ち着いて純!〕「ぬああっ!」


 サポートがいつにもまして純の頭で大きく声を掛けた。あまりの大きさに咄嗟に耳を塞ぐ純。


〔大丈夫です。私も当然協力して体内マナを最大限上げて練っておきます。例え、先ほどの塔くらいの高さからの落下ならば耐えられます。それよりも・・・来ます〕「えっ?」


 サポートの言葉を理解できる間もなく、横から掴もうと大きな手が振られていく。


「ぐっ!」


 力任せに振られている巨大な手のせいで、本来の落下速度にさらなる変化を生んだ。横合いからの突風であった。投げ出された純が強風に煽られ空中でもみくちゃにされる。


〔純、捕まります。蹴ってください〕「っ!」


 突風から守るために顔と胸の前でクロス。目を瞑っていた純は目を無理矢理開けて向かって来た手を足に力を込めて弾く要領で蹴って逃れた。手も純の蹴りで大きく弾かれる。その反動で純の落下速度は一瞬にしてガクッと落ちた。更にその蹴った勢いでどこかに跳んでいた。自分が今どこにどういう風に飛んで落ちているのか全く分からない純。しかし上手く逃れたのか、巨大な手は純を掴んでくることは無くなっていた。


「ぐっ、んんん・・・」


 いきなり地面に着いたために。上手く着地出来ずゴロゴロと転がる純。


「ぐうっ・・・。っ~・・・」


 無理やり手を地面に付けて加速していた勢いを殺した純。ほんの少し放心する頭で地面を見ていた。やがてゆっくりと顔を上げ、回りを見る。


「・・・は~~~あっ・・・。助かった~~・・・」〔地面が土だったのも幸いしましたね。思ったよりも衝撃も少なく済んだようです〕「あの高さから落ちたんじゃコンクリートと大した違いは無いように思うけど・・・」〔そんな事はありませんよ?衝撃という値で計算すると結構変わるもんですよ?まあ、今回ので分かったのはおそらく純でもコンクリートの上での落下ならば・・・多少は怪我(・・・・・)をしてしまいそうだという事です〕「・・・多少?」〔はい少しです。まあ気絶していたり。当たる角度が悪ければ・・・大怪我をしてしまうかも?といった所でしょうか?〕「・・・はっ。そうですか」〔まあまあ。今回は何事もなく地面に着けた事を喜びましょう〕「・・・もう離れたくない」


 純は気持ちそのまま寝転んで地面に抱き着きたい気持ちだった。しかしそんな悠長な事ばかりはしていられないのも分かっていた。体を再確認し、どこかに違和感が無いかをチェックして立ち上がった。


「・・・地上だからかな?霧が薄くなってる?」〔のようですね~?それに・・・見てください〕「?」〔先ほどあの手が破壊したのでしょうか。残骸がチラホラと・・・〕「ホントだ・・・。さっきは気付かなかった」


 上空には濃い霧が見えるが、それでもかなり視界はクリアになっていた。見上げていた純は歩き回り、周囲を見て散策していく。どこに向かえばいいのか分からないがとにかく前に向かって歩いていた。先ほど襲って来た手が近くに居ればハッキリと目で捉えられるほど視界はクリアになっている為に余裕をもって散策も出来たのだ。


「しっかし・・・ん-・・・。こう急に静けさが生まれてしまうと・・・」〔はい・・・何かあると疑ってしまいそうになりますね〕


 純は橋の残骸が散らばる中を歩いて行く・・・。そして途中から残骸がぽつぽつと遠くに少し残っている程度になって来た時、本当に緩やかな土の坂(ちょっとした段差くらいの高さ)を上った時、遥か遠くにうっすらと光の柱を目撃した。


「(さっきまで無かった様な・・・?)」〔・・・行ってみましょう〕


 光りの柱に引き寄せられるように歩くと・・・。純の向かう先の所々に水たまりが出来ていた。心なしか先ほどよりも更に柔らかい土を踏みしめている様な感覚に包まれる純。


 ガサ・・・ガサ・・・ガサ・・・。


 所々に水草の残りがあった場所へと辿り着く。


「・・・」


 純は光の近くに近づくにつれ、双剣を取り出し戦闘態勢を取り始めていた。しかし歩くのは止めない。そうしてその中心地ではないかという所まで到着。


〔あの手は・・・あの者でしたか・・・〕


 腕、足には甲冑がシッカリと装着され。それは体の部分も同様。しかし首から上が幽鬼的で、体と腕、足が分離しておりくっ付いていなかったのだ。そして大きな頭には・・・肉体としてのモノがなく骨しかなかった。大きな骸骨の頭が目をゆらゆらと光らせながら純を見下ろしていたのだった。


「(体に反して腕の大きさが・・・)」〔何らかの過程で巨大化したのでしょうね〕


 純達とモンスターの距離は200メートル強。しかし相手の体が大きく、それだけ離れていても十分に見えるほどの大きさだった。全長30メートル。しかし正確には体の部位が離れている為に本当はもう少し小さい。そして骸骨モンスターの腕は自分の頭を簡単に包み隠せるほどに巨大だった。ゆらゆらと揺れている骸骨の目が純を見て激しく黄色とも碧ともいえる炎を揺らしていた。


「(これが・・・ボス?)」〔でしょう。準備はよろしいですか?〕「うん・・・」


 純が腰を落とし戦闘態勢にゆっくりと入っていった。






【十時影 純 (クリス)】15才 人間・・・かな~?(進化)

 レベル 33

 HP 586 MP 742

 STR 293

 VIT 265

 INT 321

 RES 303

 DEX 425

 AGI 389

 LUK 65

『マナ(情報体):レベル 8 』『波鋼:レベル 7 』『質量拡充:レベル 4 』

『魔法:水、風 』

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