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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
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166 好奇心は猫をも殺す・・・・・・。 字の通りに行くのはほどほどに。

「姉さん達。今日はちょっと買い過ぎじゃない?」「そう?・・・。まあ、たまには良いんじゃない?」「(コクン)。こういう時でないと、こんな場所にはあまり買いに来ない」「・・・。こう言っちゃなんだけど。意外だね。姉さん達なら友達と買い物とかに来そうなのに・・・」


 現在、純、美月、紅百葉の3人は大型ショッピングセンターに買い物に来ていた。

 服や靴はもちろん化粧関係やおしゃれ関係・・・。はては冗談交じりで女性下着の取り扱いのコーナーに純を連れていき、どれが好きか聞いて遊んでいた。もちろん普段の日用品なんかもこの時ばかりと大安売りをしていたりするので見ては物色しと・・・休日のお出掛けを満喫していた。

 そして。純がそんな中、こんな話を振ると2人の姉は悩むような、どう答えたらいいのか困る反応をそれぞれしていた。まあ、純も何となくは分かった。

 通り過ぎる年齢バラバラの、特に男達が、美月と紅百葉を見ていたりするからだった。当然、ここにはたくさんの家族もいるので、そこまで極端に目立つことは無い。別に姉達は芸能関係者というわけでもないからだ。ただ・・・その容姿を羨ましく思う女性達も少なくはなかった。

 しかし、ちょくちょく家族連れの父親や子供までも、2人を2度見を見てしまったりすることが先ほどから何回も見受けられた。その時、気付いた家族や恋人が注意する様と声を、微かに聞くこと数回ともなれば・・・嫌でも気づく者であった。


 当然、姉達よりも綺麗な人達は世の中にはたくさんいるわけで、そういう意味では目立つわけではない。目立つわけではないが注目を集めてしまう矛盾・・・。


「たまに来ることもあるけど・・・どうしてか、私のコーディネートの仕方とかを聞きながら・・・。その・・・恋人がいるとかそういう話を聞いて来るのよ。昔から一緒にいるから分かってるくせに、ホントは隠れて出来てたりしてとか、ここぞとばかり聞いて来るし・・・。ま、コッチは冗談みたいなもんなんだけど・・・」「こういう人が多い所に来るのはイヤ」「?」


 不思議に思っていると。微かに何か純達の方向へと不審な気配がサポートとの繋がりで、たくさんのごった返した人だかりの中から感知した。そしてちょっとずつ人垣をかき分けて近づいて来る男性が数名。それに気付いた美月と紅百葉のあからさまなため息。純もどうしようかと考えた時だった。


〔心配ありません。純、美月と紅百葉を連れて、そこのベンチへと移動してください。ちょっと休憩しようとか話を付けて〕「(?わかった)・・・。姉さんちょっと、歩き疲れたしそこで休憩しない?」


 純はベンチの方角を指差し、姉達を連れていく。しかし、姉達は近づいて来る男達がもうすぐそこまで接近してくるために、そんな場合じゃないと困ってしまう。


「ほら。はぁ・・・。俺、ちょっと疲れたよ」「あ、ちょっと純!」


 美月は純が勝手に近くのベンチへと移動していくことで焦って追いかけた。紅百葉も同じく付いて行った。そして、ベンチに座る純を見て、どうしようかと紅百葉が美月に顔を近づけて困っていた。


「(ボソ)・・・仕方ない。純にちょっと無理させすぎちゃったからね。アッチは私達で何とかしましょ?」「(ボソ)・・・仕方ない」


 そういって諦めた所へ、男達が声を掛けようとした瞬間。目の前を警備員数名が通って、純達の側で立ち止まった。そして、辺りを見回しながら、ショッピングセンターの見回りの順番と班別けを話し合っていた。忙しいといっても、こういう時のための増員と、そして念のためなのか、それとも何かトラブルでもあったのか制服を着た警察官も近くに居るために、男達は顔を背け、そそくさとその場を後にするのだった。


「ふう、助かった」「面倒は御免」


 警備員と警察官の姿を何ともタイミングよく見た美月と紅百葉も驚いたが、それに気付いた男達が去って行くことで緊張してきた気持ちを落ち着けるのだった。


「姉さん達も疲れてたんでしょ?だったら一度休憩しないと」「・・・そうね」「うん」


 少し変な顔をしながらも口元を笑わせ、仕方ないと純の意見を賛成して休憩する美月と紅百葉であった。そこで・・・近くのカフェで小休止しながら雑談する3人。


「・・・改めて思うけど買い過ぎだよ」「今日はちょっと多めに買っておきました」「安く売ってたし色々と欲しくなるものも多かったから」「・・・でも、これ全部持っていくのって」「もちろん純よ?・・・って、行っても流石に多過ぎちゃったから少しは私も持つわよ」「こっちは私が」「・・・。それ。姉さん達が買った服だよね?」


 純の足元に置かれた商品から自分の服の入った軽い袋を1つ、2つと自分の足元に持っていく姉達。


「ふふん、ちょっとこのデザイン気に入ってたのよね~」「落ち着く感じも悪くないと思うけど」「(ボソ)日用関係は全部俺持ちか・・・」「何か言った?」「純はこの服どう思う?」


 義姉達は自分の袋の中を開けて中のデザインを改めて確かめて楽しそうにしながら純にその感想を聞いて来る。


「はぁ・・・俺に聞かれてもな~。・・・。姉さん達ならその服だけじゃなくて他の服もきっと似合うよ。むしろ変に目立つ衣装をしない方が姉さん達には、きっと似合ってる」「「・・・」」


 純の言葉に姉達は純を見ながら黙ってしまう。


「な・・・何?」「ううん。何でもない。・・・ふ~ん。へ~、・・・そう」「・・・ふふ」「何?」

「「何でもない」」


 2人は嬉しそうに自分の買った服の袋を掴んで口元を緩ませていた。


〔なるほど・・・。純は意外とこういう事で・・・〕「(えっ、何が?)」


 困った純はどう反応していいのか分からず聞き返してしまう。そんな純をサポートは黙って放置するのだった。少しの間、ニヤけていた姉達はすぐに普段通りに戻り、会話を再開した。


「しっかし純・・・。あなた、ホント痩せたわね~」「ん。ビックリ」「そ・・・そう?」


 美月に振られ、それに同意する紅百葉。純は最初、確かに異様なほど痩せた事に内心冷や汗が出てしまうが・・・すぐにその気持ちは無くなった。

 それは2度目の転移?転生?から帰還を果たした時、特に体重が激変したわけではなかったからだった。それを思い出した為。それほどの焦りは無くなったのであった。かれこれ約1ヶ月ほとんど見た目が変わってないと純は思っているが、周りはそうではなかった。


「ねえ、純・・・?今って体重何キロ?」「え?・・・ああ、さあ?実家に引っ越してからそういえば量った事ない」「私達の家にいた時は?」「え?・・・。え~と、最高が100キロ越えてたかな?それ以降は、もうそんなもんなんだくらいしか見てない」「最後に量ったのは?」「卒業する前だったかな~?ああ、いや身体測定が最近あって・・・確かその時が・・・70ぐらい・・・だったかな?」「「70!」」


 驚き、2人して食い気味に入ってくる姉達に椅子の背に仰け反る様にして沿って後ろへ下がる純。


「う・・・うん。確かそれくらい・・・だったと思う・・・よ?」


 一瞬、怖くなった純は最後の方は声が小さく、弱弱しい声になっていた。


「「・・・」」


 前のめりになっていた美月と紅百葉は同時に元の席へと落ち着いて座り直し、自分の飲み物を1口。傍から見ればとても美しい1枚の絵にもなるかもしれない自然の雰囲気。しかし先ほどまでの状況を見ていないことが条件。いや、一部の男性達にとっては、そんな光景、記憶から消去されてしまっている可能性もあった。


「・・・マイナス30キロ」「・・・大変身」「普通、そこまで痩せてたら、かなり見た目も変わっちゃうから何かしら思う所はあるはずなんだけど・・・」「平常運転」「だよね~?・・・。ストレス痩せって感じじゃないし・・・運動?」「すると思う?」「あ、それは無理か。いや、隠れて頑張る事だって・・・」「そうした事が無かったとでも?」「じゃあ、やっぱり違うかあ」「あの・・・そういうのは本人の前でハッキリと言わないで欲しいんですけど・・・」


 2人の姉はお互いを見合って話し合い。時折、純を見ては首を振って、違う案を出す。しかし、すぐに否定される。そして、また純を見て考える。


「・・・まあ、痩せたのは良いことだし・・・悪くないじゃない」「うん・・・。丸々した感じも良かったけど、痩せた感じもカッコ良く、なってるんじゃないかな?」「身長は・・・」「このまま、痩せていってくれると良いね?」「そうね。体のため、健康のためにね」


 義姉達2人はチラッと純の身長を見て、そこにはサラッとお互いスルーしたのだった。しかし、その目線と急に切り替えた話で分からない純ではなかった。


「・・・分かってるよ。俺の身長が小さいことくらい」「あ、あははははは。ま、まあこれから!これからだって」「純もまだ高校1年。成長の可能性は残っている」「希望は持ち過ぎない程度に何とか伸びる努力の方もしていきましょ?うん」「そのままでも可愛いから私は良いけど」


 そっぽを向いて最後は力強く頷く美月。純を見て笑い成長を気長に待っていると言う紅百葉。

 それは誰のための頷き?それは希望を持っていいという期待の目でいいのかな?


 と、そんな事を思ってしまう純だった。




「まったく~。私達が美人ってのが罪なのかな~?」「そうね、翼ちゃん」「・・・一応、私達とは知り合いじゃないって事にしてるんだから。悪目立ちは避けてくださいよ?センパイ」「まあ、流石にどういう知り合いかって聞かれてしまうと・・・危険に飛び巻き込んでしまいそうでしたからね~」


 現在、翼、來未、澪奈、鏡花の4人はとある廃ビルや工場周辺に来ていた。不審な人影が見かけられたという報告と肝試しという事で不法侵入して目撃したかもしれないという学生達の情報を掴み、調査を木下達に依頼されたからであった。


 そして探索中にそんな話を澪奈達から聞く翼と來未。


「って言ってもな~。別に良いんじゃない?その辺りは自己責任でしょ。巻き込むつもりはないけど、首を突っ込んだのが悪いんだから」「う~ん・・・。まあ、そうなんだけど~」「そういう問題ではないでしょ?」「私達は平和な世界を維持するために戦っているのですよ?流石にそれは・・・」


 事務所側のフリーな立場と、組織にいる立場の違いからくる考え方の違いから出る言葉であったが・・・。來未もそこは翼の意見に全面的に肯定は出来なかった。まあ、その辺り。翼も分かっていて冗談で言っていた。

 なにより、自分達が良い意味で注目されるのは悪い気分ではなかったのもあったからだ。どちらかと言えばそれが強いため、本当なら澪奈の言葉にもう少し食って掛かるはずが。今回はスルーして謝罪までする結果になった。


「ごめんごめん冗談よ、冗~談。あんた達の立場もあるしそういうワケにはいかないのも分かってるわよ」「まあ、それでなくても私達はちょっと彰隆さんに怒られてしまいましたからね~」「・・・何したの?」「あの人が怒る事ってあまりない・・・というか注意されている方が目立つ印象なのですが・・・?」


 何気に失礼な事を言ってしまう鏡花。しかし、その辺りの行い自体は当の本人である彰隆のせいでもあるため何とも思っていない他の3人。


「まあ・・・何?ちょっと生意気に脅しを込めたナンパまがいな連中をちょっと痛めつけただけよ」「あれくらい当然です。確か木下さんの聞いた話では、何人か犯罪に手を染めていたそうですし~」


 2人の悪びれない感じ。しかし、その目と両手を打ち付けた翼。笑っているが目が別の意味では笑いつつもそれ以外が冷ややかな來未を見て・・・。ナンパ、という言葉の中身を知って澪奈と鏡花は理解したうえでむしろよくやったと言わんばかりの反応を返す。


「じゃあ、仕方ないわね」「問題ない(・・・・)程度・・・ですか?」「ええ、まあもうちょっと足りなかったかもしれないけど」「流石に止められてしまえばどうしようもありませんしね」


 鏡花も少し誇張した言葉をすぐに理解し、返答した翼と鏡花。


 傍から聞けばなかなかバイオレンスな少女達にしか映らなかった。


「さてと、話を戻して・・・。人影なんだけど・・・」「幽霊とかの類でしたら私達は専門外かもしれませんよ?」「そういうのってあなた達の担当でしょ?」


 廃ビルの1つの大部屋らしき大きな空間に来た翼達は立ち止まり周囲を見回しながら、澪奈達に振った。彼女達はココまで、誰かの目にバレない様に多少は気を付けながらビルの中へと入り。そこからは澪奈と鏡花の力を使って、巫術で札に明かりを灯し、4人の周囲を一定間隔で囲んで周りを照らしていた。そのため澪奈達の周囲は明るい。


 だからこそ見えるのは、ボロボロになって黒ずみだらけになった部分が多い壁、どうやってなのかコケが端っこには生え、壁にはヤンキーと肝試しに参加した集団達であろう落書きがチラホラとあった。そして当然、そういう連中には常識なども通用しなかったりする。お菓子屋、ペットボトルなどが散乱していた。


「わざわざ、こんな所で肝試しに来る気持ちってのが分からないわ」「まあ、テレビの心霊特番で見る分には面白いんですけどね」「あ~。それなら分かるかも。來未ってそういうの好きだもんね」「あ~いう、いかにも作り物感が面白いんですけどね~」「「・・・」」


 鼻から息を吐き、肩を落とす澪奈と若干、苦笑交じりの鏡花。翼達の会話を聞いてどこかの誰か(星天珠のトップ)を思い出したからである。彼女もまた似た様な反応を示しそうであるからだった。


「その割には結構、驚いてるわよね~」「そういうのが良いんじゃないですか~。そういう翼だって悲鳴上げたりして、彰隆さんにからかわれてるじゃないですか~」「ああ、あれは・・・ちょっとタイミングが悪くて・・・。ちょうど、その瞬間を狙って彰隆が驚かしてくるからよ」「ああ~。あの後、ボコボコに殴ってましたね~」「「・・・」」


 なにやってるんだと思いながらも、似た様な事して秋夜に叱られている美華を思い出した2人。自分自身も怖がっているのに、からかえるタイミングを逃さない様に近づいて秋夜を驚かし。ちょっと驚き飛び跳ねた秋夜が見て笑った美華。ゆっくりと能面になって美華の方へ振り返った時は・・・まさに背後に般若を思わせるリアルホラーがそこにはあったと記憶している澪奈と鏡花だった。


「まあ、そういう一面は誰にだってあるわよね」「ええ。あまりやり過ぎれば。後で帰って来るのは自分自身になることを理解しておきませんと」「・・・いったい、あなた達に何があったのよ」「アタシ達というか・・・」「ウチのトップの子がちょっと・・・」「どこにも似た人はいるもんですね~」


 そんな風に周囲を探りながら話し込んでいると、不意に奥の真っ暗な通路からカチンという甲高いような軽い音が聞こえてくる。


「「「・・・」」」


 すぐさま4人はお互いを見合って後、戦闘準備に取り掛かる。そして澪奈が1つの明かりの灯った札を奥へと飛ばす。札は徐々に奥へと消えていく。そして何かにぶつかったのか大きく弾けて強い光が奥からこちらにまで届いてきた。


「「「ボアアア!」」」


 何か叫び声がしたと後、すぐに4人の方へと駆けて来る足音が3つ近づいて来る。そして巨体な図体を通るために無理やり四つん這いの獣の走り方で澪奈達のいた大部屋へと入ってくる。


 ドガアアアア~ン・・・!


 しかし、3体もの巨体が無理やり走って早く通路から大部屋に出ようとした結果。入口辺りの壁が吹き飛び、破片と埃を撒き散らしながら入場であった。


「ッ!・・・無茶するわね~。って、わあ!あの飲み物、中身入ってるじゃない!」


 コンクリートの破片とほんの少し自分達の所まで届いた煙に口元を隠していた翼は、同時に飛んできたペットボトルが中身の液体ごと放物線を描いて飛んできたのに気付いて慌てて退避した。來未、澪奈、鏡花も気付いてすぐさま退避していた。


「・・・あれが、話に聞いていた異形のモンスターですか~」「どうやら、そうみたいね・・・。っていうかこんな所で戦うの嫌なんですけど!」「そうも言ってられないわよ?」「私達を見逃す気は無いようです。木下さんに連絡を」「必要ないわ」


 鏡花が連絡しようと裾の下を探っていた時。翼からのハッキリとした待ったがかかった。


「これぐらいなら、問題ないでしょ?」「でも、彰隆さんや楓花さんが1人、1体ずつあたった相手なんですよ?!私達では」「それは、純粋な戦闘技術の勝負ですよね~?だったら、こうすればどうでしょう~?」


 そう言って、來未が手に込めた魔力を3体の巨体に当てた。すると、元々ゆっくりと翼達を観察しながら近づいてきていたモンスター達の移動速度が更にゆっくりとなっていた。


「それに~。これも、オマケです!」


 そう言って反対の手からも別の色を纏った魔法の何かを放ち、3体に攻撃を加えた。すると急に体を苦しみ出したように、しっかりと立っていた姿が徐々に腰を折る様に背が曲がっていくモンスター。


「何をしたの?」「一種のデバフって奴よ。まあちょっと弱体化する程度だからそこまでの効果も持続時間も無いけどね」「本職の澪奈さん達に比べれば~。ちょっと遅くする程度ですが~。これが意外と使い勝手が良いんですよ~。まあ、効果時間が相手によって短いのは難点ですけどね~?・・・うふふふふふ」


 マナという性質は用語の一種でしかない。だが、1番マナという言葉が情報体を表す時には近い言葉と言える。


 しかし、それがこの地球の解釈で言えば、バラバラだ。使いモノが似た様なものでも人によっては巫術、霊力、魔法、魔力、超能力と色々である。


 したがって澪奈達や翼が使っているモノは性質に多少の違いはあれど、根幹の流れている部分はほとんど同じだったりする。あとは自分にとってしっくりくるかどうかの感覚の違いだったりする。


 今回、來未がおこなった魔力は自身が持つ魔力を使って魔法の様に相手に飛ばし、相手の体内マナを少しの間、かき乱すようなモノであった。その結果、異形のモンスターは弱体化という現象を引き起こしていた。逆に言えば耐性や、ある程度のコントロールする力を身に付けられると効果がかなり減少してしまう。


「よし、動きが鈍った事だし・・・あたしが2体、相手しよっか?來未が残りの1体・・・」「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!それじゃあ、アタシ達は・・・!?」「う~ん・・・補助?」「まあ、間違ってはおりませんが・・・」「翼。1体は2人に任せましょ~?私達~。この相手と戦うの初めてなので~」「・・・うん。まあ、そうね。って事だから、あっちの1体お願いね」


 作戦も何もなく、翼は澪奈と鏡花に左端の1体を頼むと、真ん中の堂々と歩くモンスターに歩いていく。そして歩きながら体内のマナ。翼にとっては魔力を生み出すと、なにも無かった手の平に手首から順に指ぬきグローブが具現化する。黒色のグローブに、手の甲の真ん中にはきらりと光るオレンジ色の水晶玉が付いていた。


 そして、ゆっくりと接近して、仁王立ちで止まり、相手と自分の距離が1メートルという所まで待った。


「では~・・・。ワタシも~」


 そう言って來未は魔力を溜めて、手に何かを掴む動作をすると、下から上へと何もない手の中に棒が形成され、そして途中から形を変え、槍の形へと変化していく。手元は銀色、刃の部分は黒く、そして柄と穂の間の部分には白い水晶が光っていた。


「それじゃあ、あなたの相手はワタシが~・・・」


 ニコニコと目を細めて近づいていくと、來未の攻撃射程の前で止まる異形モンスター。


「・・・やっぱり・・・。話には聞いていましたが、相手のスタイルに合わせて待つようですね」「どうしてそんな事をするのかしら?」「様々なモンスターを何かして融合させた結果なのではないかって美華ちゃん達は言っていましたが・・・詳細は、分からないみたいですし」「鏡花、私達も」「はい」


 澪奈と鏡花はお互いに巫術の込めやすい様に札を持ち。もう一方の手で、澪奈はシンプルなピンクの扇子にザクロの花の絵が描かれた物を持ち。鏡花は水色とサクラ模様の波打った絵の入った扇を持って。大きく迂回する様に歩いて来る、澪奈達から見て左の1体の異形モンスターと戦うのだった。


「・・・さあ、始めましょ!?」


 翼が構えると、相手のモンスターも鏡の様に反対にファイティングポーズを構えた。來未が槍の穂を下げて構えると合図とばかりに、相手も半歩前に足を出して攻撃の態勢に入った。


「「ッ!」」


 翼、來未がほぼ同時に動く。それに追いつく様にモンスターも動いた。來未の弱体化を受け、動きが鈍っているのにも関わらず、喰らい付いていた。そんな2人に遅れて、澪奈達も攻撃に転じようと札を飛ばした瞬間、モンスターが避ける様に動きながら澪奈達へと襲い掛かる。


「やるじゃない!」「うふふふふふ、面白いわ~」


 ガキガキガキドガバキガキドゴドコドガドガバゴ。


 鈍い音と武器の鈍く弾かれる音の乱舞が繰り広げられる。翼と來未はほとんどその場から離れず、相手と打ち合っていた。対する澪奈と鏡花は札と扇子や扇に込めた巫力という霊力を込めて相手の攻撃を弾いたり、そこに巫術を乗せて攻撃を加えたりして近、中、遠距離と2人して上手く立ち回り戦っていた。


「っ。やっぱり硬い!」「澪奈。相手の足元へ!」「了解!」


 鏡花の指示で火の巫術を放ち、相手の足元を攻撃。踏み込むはずだった足を狙い、バランスを崩し有利にさせない立ち回りでお互いにフォローしあいながら戦う。


「ほらほらほらほら・・・!どうしたの!」「もっと苦しんでくださってもいいのよ~?」


 拮抗していた戦いも翼の乱打と來未の払いからの回転付きのラッシュでどんどんと傷を負っていく異形モンスター。


「「・・・ッ!」」


 モンスターは自分が徐々に先ほど以上に体の自由が失われて行く事に焦りが見え始める。しかし、まだまだ気持ちなのかは不明だがどこか余裕のある態度だった。そんなモンスターと違い、戦闘で圧倒し始めているように見える翼と來未は、言葉とは裏腹に息が上がり始めていた。


「(ちょっと待ちなさいよ!硬すぎじゃない。っていうかコレ!ダメージ効いてるの?!」「(流石に疲れてきましたわ~?さっきから刺しているのに思ったよりも動きが鈍っていないし~。う~ん、どうしましょ~?)」


 翼達は気付いていない。目の前の相手が強い事で本来よりもハイペースで自分が保有している魔力を消費し続けていることに。そして何より、弱体化してなお自分達の攻撃速度について来る相手の身体能力の高さに。2人の戦いやすいペースなどそこには無く、追い詰めるつもりが追い詰められていた。・・・そして。


「あ」「(やば!)」


 魔力の配分などあったモノではなかった結果。思ったよりもモンスターを弱らせることが出来なくなり。当然、來未の魔力による弱体化の効果は急速に無くなってしまった。本来の能力を取り戻したモンスターは、2人の攻撃を避けて少し後ろへ下がった後。体を少し探る様に手を広げたり、閉じたり。刺された箇所を触って確かめていた。そしてお互いを見て・・・。翼達の方へ。


「「ボ」」


 大きな口元をニヤつかせ、1声すると、一気に加速して攻撃に飛び掛かった。


 バギイィ!ゴギィ!


「(重っ!・・・(ハッ)ぐふ!」「(手が・・・)!、あ゛あ゛!」


 翼は1撃はガードしたものの、あまりの重さに次の動作が鈍り腹部に1撃を受けて壁奥まで吹き飛んでしまう。來未も同じく槍でもガードした手が痺れた所へ横から殴られて横の壁奥へと消えていく。


「!2人共!」「翼さん、來未さん!」


 2人が急に吹き飛ばされた事で、目の前の相手だけをしている余裕が無くなっていく澪奈と鏡花。しかし、2人の戦いはこれまでの実践と訓練。連携のおかげか堅実に相手の行動を封じ、ダメージを与え弱らせていた。


「・・・ッ~・・・ゴ・・・」


 モンスターも体に若干の震えが出るほどにダメージがハッキリと出ていた。しかし倒すには攻めきれなかった。


「・・・っ。仕方ない。鏡花!」「待って、澪奈!それをしたら澪奈まで!」「このまま殺られる時間を待つよりはいいわ!時間を稼ぐ。その隙に木下さん達に連絡を!」「澪奈!」


 澪奈は鏡花の歯止めも聞かず、腰の帯に差していた小さなアクセサリーの様な形の破魔の矢に手を添えて霊力を高める。


「ダメ!」


 鏡花が止める間もなく、どんどんと力が高まっていき、1本の光る刀が形成されていく。


「・・・。鏡花・・・行って!」「・・・澪奈」


 それだけを言うと、澪奈はモンスターに斬りかかる。ダメージを与え、弱らせることには成功したといってもそれも限度があった。第一それは、來未による弱体化の効果もあってだった。


「・・・ボ」


 ニヤっと大きな口の端がつり上がり、モンスターも澪奈へと高速で移動して攻撃へと入る。


「っ!(ウソ!!)」


 驚愕で目が開かれる澪奈。しかし澪奈とモンスターの距離はすぐに無くなりぶつかり合う。


「(ダメだ・・・)」


 スローモーションで流れていく中を直感で、この攻撃は砕かれると感じ、諦めてしまう澪奈。そう感じるほど相手から感じる力が強いと分かってしまったからだった。重なり合った瞬間、目を閉じてしまう澪奈。


 ・・・しかし。


「ボアア!アアアアアア~~~~~っ!!」


 絶叫し、暴れまわるモンスター。体が碧色に燃え盛り苦しんでいた。更に斬られた腕はボロボロと崩れて消えていく。しかし、澪奈はぶつかった手応えがあまりにも感じれらず、モンスターが叫び上がるまで目を閉じていて分からなかった。


「・・・え?」「・・・なんですか?」


 澪奈、鏡花も分からずじまいだった。そしてそれは同じく翼、來未と相対していた異形モンスターも同様だった。暴れまわっていたモンスターを見て、どうすればいいのか分からずおろおろしている様子だった。


「アアアア・・・アアア・・・ああ・・・・・・」


 叫び声をやがて消え、体が内部から気泡の様にごぼごぼと膨れては弾けを繰り返し小さくなっていく。そして、シュウシュウと煙を上げて消滅し、この世から消えて無くなった。


「・・・澪奈。一体何を?」「え?いや、これ・・・アタシ?!」


 鏡花も声に頭の中がこんがらがる澪奈。澪奈とは別の意味で仲間が死んだことに驚き、澪奈に脅威を感じるモンスター。


「澪奈。その刀」「・・・?、なにコレ?」


 破魔の矢に込めた霊力で生み出した光る刀は碧色の蒸気を纏っていた。そして心なしか、刀にはうっすらと翠色まで入っているように見える。今までの破魔の矢の力では見た事が無かった為に、戸惑う2人。しかし、その光を見たモンスターが後ずさる様に1歩踏んだ時にペットボトルを蹴ってしまい。大きな音を立て、澪奈と鏡花に存在をアピールしてしまった。


「っ!澪奈、よくわかりませんがその力なら相手に通用するみたいです。時間がありません今の内に!」「わ、わかった!」


 鏡花はすぐさま、モンスターの逃げようとした方向へと巫術の風と火を使って道を阻み逃げ道を塞ぐ。そして、澪奈もすぐに2体のモンスター目掛けて走っていく。


「「ゴゴ!!」」


 鏡花の巫術などを無理矢理でも問題ないとばかりに飛び込もうとした瞬間、壁の奥に消えていた少女2人が戻ってくると同時に殴り突けるようにして舞い戻って来た。


「逃がすかあ!!」「ジッとしなさい!」


 油断した所への攻撃でモロに顔面をクリーンヒットし、飛ばされてしまうモンスター。そこへ澪奈が起き上がるモンスターを切り裂き、焼き払った。


「「アアアアアアアアアアアアアア~~~~ッッッ!!」」




「な・・・何とか倒したわね~」「はぁ・・・。予想外だったわ」「ええ。疲れました~」「もとはと言えばあんた達のせいでしょ!」「誘き出す結果になったのは、私達ですが・・・。本当は木下さん達が来るまで時間を稼ぎながら後退するつもりでしたのに・・・」


 へなへなと倒れる様に座ってしまう4人。もうこの廃ビルが汚いとかそんな事言ってる気力が無かった。それでも一応、汚れた箇所は最低限避けたが、それでも起き上がる気力が回復するまでは休憩が必要だった。特に鏡花を除く3人は。


「木下さんには連絡しましたので、拾っていただきましょう」「そうね・・・流石にあの力の後じゃ疲れるわ」「・・・そういえば。アンタ・・・あの力は、何なの?」「それ~、私も気になります~」


 翼と來未はシュウシュウ言ってボコボコと気泡を上げ、残ったモンスターだった残骸が消えていく方角を見て澪奈に質問する。


「・・・。分かんない」「はあ?」「どういう事?」「知らない間になってたんだもん。分かんない」「はあ~・・・?!」


 翼、來未に聞かれても。澪奈の答えは、鏡花に聞かれた時と同じく、自分でもよく分かっていないとしか言いようが無かった。しかし・・・なにはともあれ、4人で3体の異形モンスターを無事、倒すことに成功したのだった。






 【十時影 純 (クリス)】15才 人間・・・かな~?(進化)

 レベル 5

 HP 25 MP 22

 STR 17

 VIT 14

 INT 12

 RES 13

 DEX 18

 AGI 21

 LUK 5

『マナ(情報体):レベル 1 』『波鋼:レベル 1 』『総量拡大:レベル 8 』

『魔法: 水、風 』

「なあ?」〔はい?〕「以前、俺の家族に何かあった時に対処するとかどうとか言ってなかったっけ?」〔はて・・・?〕「ほら。もし、姉さん達に危険が迫った時に上手くそれを回避する様にとか・・・」〔・・・ああ!そんな話もありましたね~〕「何、他人事の様に言ってんの。・・・で、どうなの?」〔何がでしょう?〕「本当に対策を取ってるのかって話」〔・・・一応・・・〕「一応?」〔あれは、あの時、純を勇気付けるための言葉の綾みたいなものですよ〕「・・・。つまり、それは。もし、姉さん達に危険が及んでも何も出来ないって事?」〔いえ、そんな事はありませんよ?一応、本当に危険な時は上手く思考誘導の様に直感を働かせて促すことは可能ですよ?〕「どうやって?」〔マナを通して、純とは別に些細ながらも皆さんの体内マナのおおよその流れはキャッチしていましたので、そこから微弱電流が脳を駆け巡る様に、ちょちょっと〕「それだけだと、周りは?警察とかに巡回させるとか言ってたのは・・・?」〔あれは、純の家族1人1人を発信源に電波を送る様な感じですね。一応、それくらいは私達が出会って間もなくの頃に出来るようになったのは把握しておりましたよ?〕「ふ~ん・・・」〔なにか?〕「いや。・・・その割には姉さん達、ナンパがしつこいって言ってたな~っと」〔まあ、美月も紅百葉も2人共、美人ですからね~。いえ、可愛いのでしょうか?まあ、2人にとってはどちらでもよろしいと思いますが〕「・・・」〔まだなにか?〕「アレ・・・。俺達が出会った後も何度もあったと思うんだけど・・・」〔・・・・・・〕「・・・」

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