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転と閃のアイデンティティー  作者: あさくら 正篤
158/473

155 まさにホラーでダークな世界・・・。

 影の世界へ入って1時間・・・。


 光りの柱はもう目と鼻の先まで来ていた。


「・・・いよいよか・・・」


 巨大な光はその規模からとてつもない存在感を際立たせていた。


〔・・・中の地形が見えませんね〕


 サポートの言う通り、巨大な光ということ以外は何も見えない。


「・・・とりあえず来てみたけど・・・。

 これからどうしよう?」

〔それは・・・まあ攻略ですから・・・。

 入ってみる・・・とか?〕


 サポートも良く分からないために疑問で返してしまう。


「・・・」


 そう言われた純は改めて正面の光を見る。


「・・・大丈夫・・・なんだよ、ね?」

〔一応、純の体に大きな影響は無さそうですよ?

 調べてみた感じですと・・・影の世界に入った時の様に、どこかへと運ぶ装置みたいなモノでしょうか。

 マナの流れを感じます。

 しかし・・・何処に繋がっているのかまでは・・・〕

「はぁ・・・。

 結局、行き当たりばったりか」

〔行動してみない事には何もわかりませんから〕

「そりゃ、そうだけど・・・」

〔安心してください。

 先ほども申し上げた通り、純自身には影響はありません。

 問題はその光の先です。

 何も見えないのは・・・この近くではない事と、この影の世界でも、また独立した空間である可能性があるということです。

 つまりは以前、純がシステンビオーネで入った異空間ダンジョンと同じように別の階層に入る様なモノだとお考え下さい〕

「ああ、そういう事か・・・」

〔確かあの時は、入っても危険な場所にはすぐには出てこなかったと思います〕

「まあ、だからと言って、今回もそうかと言うと・・・」

〔疑う気持ちもわかりますが・・・おそらく大丈夫では?〕

「え?どうして、そんな事を?」

〔周りを見てください〕


 サポートの指示で純は改めて周囲を見回した。

 そこにはいくつものシュウシュウと音が聞こえてきそうな感じに体から黒い霧の煙を出し倒れているモンスター達が散乱していた。


 純が襲い掛かって来たモンスターを返り討ちにして放置したものだ。


〔ココを縄張りに守っているともとれますが・・・光の柱には近づいてはきません。

 あくまでその周囲にしかいませんでした〕

「傍には近づいてはこないのか・・・」

〔はい・・・。

 この場所が何らかの理由でモンスター等には近づけさせないのか。

 あるいは、区切らせて彼らには関与させていないのか・・・。

 理由は定かではありませんが、とにかくここへは入っては来ないのです〕

「・・・生息地みたいだな」

〔みたい、ではなく。

 おそらくそう作られた空間なのでしょうね〕


 純はまるでゲームの様に分かり易く区切られているこの場所に不思議な気持ちになった。


「自然に作られた場所ってわけじゃなかったか・・・」

〔誰が作り出した空間かは分かりませんが、こんな状態にはならないでしょう〕

「・・・確かにな・・・。

 ・・・よし、入ってみるか」


 純は改めて目の前にある光の柱に向かって意を決して前へと歩んでいく。


 手を伸ばせば触れられる距離になった時、一瞬だけ躊躇ってしまったが、すぐに気を持ち直し前へと進んでいく。

 特に抵抗感とかもなく、あっけなく中へと入っていく。


 外はとても明るい光の柱だったが、中に入った途端、光量は抑えられ、濃い霧に包まれていた。


「・・・足場は普通にある感じ・・・かな?」

〔やはり影の空間へと入る時と同じですね〕


 純は周囲を見回しながらも歩くのを止めず、前へ。


 ・・・すると。


 境目を潜ったのか、急に辺りが薄暗い空間へと出てきていた。


〔随分と・・・淀んだ空間に見えますね~〕


 サポートの言う通り、辺りは空が薄紫になるくらい翳り、地面も周囲に見える木々も黒ずんでいた。

 そして妙に生ぬるい風がどこかから微かに流れてくるだけで、ココに生物が生きているという感じがまるでしなかった。


「・・・なんか、オバケが出てきそうな感じ・・・」


 自然と景色とか関係なくキョロキョロと周囲を警戒する様に見回す純。


〔純・・・。

 オバケが怖いのは分かりますが・・・出てくるとしても今の私達ならすぐに気づきますよ?

 一応、霊体と呼ばれるような存在もマナを宿していたりするので・・・〕

「え?そうなの?」

〔お忘れですか?

 システンビオーネで受けた依頼で古びた古城に向かった時、ゴーストの女性と会いましたよね?

 ほら、倉庫でテス達が戦った相手ですよ〕

「・・・ああ」


 思い出したのか、分かり易く手を打つ純。


「いや、でもあれって、ゴーストって言うけど・・・モンスターみたいなものじゃない?

 こう・・・心霊というよりは、動物的と言うか・・・ちゃんとその場にいる存在って言うか・・・」

〔・・・異世界だからそんなものだろうと判断したのですね?

 ふぅ・・・いいですか?

 そもそもこの世界、ひいては宇宙では私達がマナと言っているモノはありていに言えば情報体です。

 それは様々な形を成して形成されています。

 そこに実物、幽鬼など例外はありません。

 あるのは情報の量と質だけです。

 地球だから、幽霊は何とも近寄りがたいとか思っているのは純が勝手に決めたルールに縛られているだけです。

 それでしたら、異世界でだって以前の様にゴーストが現れてしまった時にはどうしようもなくなるではありませんか〕

「・・・確かに・・・」

〔まあ、多少怖いのは仕方ないとしても、純の場合、怨霊の呪いであっても撥ね退けてしまいますよ〕

「・・・どゆこと?」

〔あれもある種の魔法による見えない攻撃の様なモノです。

 間接、直接・・・方法に多少の差異はあっても純を苦しめ殺せるほどの力を持った怨霊はおそらく一般にはいませんよ〕

「いや、そもそも幽霊って信じる者が勝手にそうだと判断してるとか、いるいないで論争しているようなモノなんだけど・・・」

〔いますよ?

 それはもう大量に〕

「えっ!」

〔・・・ああ、忘れてました。ついうっかり・・・。

 純にとって不要な情報だと勝手にシャットアウトしてました。

 以前から何度もすれ違ったり、ついて来ようとするナニかとは遭遇していましたよ?

 もちろん、邪魔なので排除していましたけど〕

「・・・・・・何時から?」

〔う~ん・・・私が純の中で生まれて間もなくでしょうか?

 純に対して近寄ってくる変なモノがいたのを退けようとした時に初めて知覚できるようになりましたね〕

「・・・その頃からずっと?」

〔はい。

 純という存在がどんどんと変化していく度に、花の蜜に群がる様に、ゾロゾロと・・・〕

「・・・」


 余計な想像をしてしまい、少しだけ青い顔になってしまう。


〔安心してください。

 そもそもマナの質が高くなっている純に近づいてしまうと、不埒な気を持っている者達は純のマナに中てられて、勝手に消滅します。

 ・・・この場合は浄化と言うんでしょうか?〕

「いや、知りません」


 つい、勢いが乗ってツッコんでしまう純。


〔まあですから、純やその周りに勝手に近づいて不幸をもたらすようなモノはかなり少なくなったのではないでしょうか?

 流石に不用意に近づくモノはいなくなりましたよ〕

「そ、そうなんだ」

〔っと話が脱線しましたね。

 つまり、純は体内マナを自在に使えるために・・・例え、一般には幽霊として認識され触れられない存在であっても、簡単に干渉、排除が可能です。

 テス達の様に武器に性質を宿して効力を上げる必要もありません〕

「そうなんだ・・・。

(でも出来えば、会わないのが一番だt)」

〔戻ったら見れるようにしましょうか?〕

「いえ、結構です。

 十分です」


 苦手意識が残る純に荒療治でも慣れさせようとするサポート。

 しかし、すぐさま拒否の言葉を返すのだった。


「とにかく、向こうから一方的にこちら側に干渉できるわけではないって事だよね?」

〔・・・そんな急いで体内マナを活性化させなくても〕

「ね、念のためだよ、念のため・・・」

〔・・・そこまでなのでしょうか?〕

「お前は分からないのかもしれないけど・・・急に目の前に理解できない気味の悪い存在が現れたら・・・パニックになったり、固まってしまうのが普通だから」

〔・・・地球の霊にだけ特別視して様な気もしますが?〕

「いやだって・・・。

 向こうはモンスターみたいなもんだって意識があるし・・・」

〔向こうもこちらも人かナニかだという事は変わりませんよ。

 そこに何らかのマナの集合体がある・・・それだけです〕

「・・・そうきっぱり、切り分けられたらな~」


 明後日の方向を見ながら呟いてしまう。

 しかし、既にその時には、先ほどまでのおどおどした挙動からは幾分か落ち着いていた。


 やはり何も出来ないという状況から、マナを使えば太刀打ちできると分かった事で少しは安心が出来るからだった。


〔純。・・・純もそろそろ落ち着いてきた所ですし、散策を再開しましょう〕

「と、そうだった」


 純はサポートに催促されるように、歩を進めた。



「・・・なんだろう?ココ。

 地面が若干ぬかるんでいる感じ」


 歩くたびにグニュと少し沈んでしまう感覚を味わいながら地面を見る。

 しかし、全体的に暗く、また地面が黒い土のために見づらい。


〔一応これでも、地球に帰って来た時と同じように視覚にも連結(リンク)して視やすくしているのですが・・・。

 ここ全体が湿った場所なのでしょうか?〕

「なんか魔女とか出てきそうな空間だよね」

〔絵本の表現に出てくる分かり易い悪い魔女が住むような場所、ですね〕


 純がデコボコとした地形を上ったり、下ったり、大きな木や壁を迂回する様に先へ進める場所を探して歩き回った。


〔?・・・。

 純、この先に大きな屋敷がありますよ?〕

「どこ?」

〔この先、目の前の崖を迂回して上った先です〕


 サポートは純にも伝える様にリンクし、頭の中にその場所を示す。


「・・・いかにもな洋館。

 柵はボロボロだし・・・。

 あれって・・・敵?」

〔だと思います〕


 リンク(連結)したサポートの視界にはゆらゆらと動く大きさが様々なマリオネットが洋館の中と外にいた。


「徘徊って見えなくもないけど・・・巡回かな?」

〔・・・どうやらその様です。

 一定周期で反転して動いていますので・・・。

 奥にナニかがあるのでしょう〕

「・・・行ってみますか」


 純は事前に循環していた体内マナで一気に崖を上っていく。

 そして木の頂上付近まで上り枝に足を掛け着地。

 腕でも枝を掴んでしゃがみ込んで目の前に見えるようになった洋館を見渡す。


 カタカタカタカタ・・・・・・。

 ギッ、ギシ・・・ギッ・・・ギ・・・。


 そんな音が聞こえてきそうなほどぎこちなく動きながら周囲を巡回するマリオネット達。


 分かり易くパーツ毎の関節部分がハッキリとしてる構造。

 顔の部分にはギザギザの口があるだけで後はこれといった特徴が見えない。

 むしろ大きさと体型に違いがあるだけのよくわからない存在だった。


「(モンスターっぽいのは分かったけど。

 何なの?アレ?)」

〔・・・この空間、もしくはあの洋館独自のモンスターと言う事でしょうか?

 噴き出しているマナからはそれほどの強さは感じられません。

 移動している間隔も均一な所から察するに、集団で動いて事にあたるタイプではないでしょうか?〕

「(う~ん・・・。

 一気に攻められるのは面倒っぽいな~)」

〔では秘密裏に行きましょう。

 幸い、今の巡回ルートから、他のモンスターと接触しない独立した箇所が何個ともあります。

 そこから崩していきましょう〕

「(武器が無いんだけど)」

〔石や何かだと気付かれてしまいます。

 接近して、最小限の音に抑えて制圧していきましょう。

 今の純なら問題ないかと〕

「(・・・分かった)」


 サポートの作戦を採用して、すぐさま行動開始となる。


 カサカサ。


 草の擦れる音が聞こえた近くに居るマリオネット達は、一斉にそちらへと振り向き戦闘態勢に入ろとしていた。

 どこから取り出したのか手には剣、槍、弓、杖など持っていた。


 しかし、一斉に近くにいた者達が振り向いたことによって、離れていた者達もその場で停止、各々が振り返ったりと戦闘態勢に入った。


 カサ。

 ビュビュッ!


 再度聞こえた箇所へ矢を射ってくるマリオネット。


 バキン、ガン・・・。


 音が聞こえた箇所から最も離れ、警戒意識が薄れていたマリオネット2体が倒される。

 片方は首を無理やりねじ切られ、もう一方は首をもぎ取られた。


 ガシャンガラン。


「!!!」


 側にいたマリオネット数体が音に反応し振り返るが・・・そこには倒れた仲間しかいなかった。


 カ、カタ・・・ギッ・・・。


 側にいたモノが近づいていく。


 ガシャン・・・カラン。


 遠くで軽い音が聞こえてくる。


 別の側にいたマリオネットが反応した時には、仲間が破壊され倒れた姿しかなかった。


 そして・・・。


 ガササ・・・ガサ。


 遠くでハッキリと何かが聞こえた時、マリオネットの弓持ちは矢を射り、杖持ちは魔法を放った。

 それが戦闘開始とばかりに音が聞こえた方向へ複数体が走っていく。


 しかし、それと同時に起こした衝撃と爆発音によって、遠くにいたマリオネット達も振り返りつつ、複数体が走っていく。

 その事で徐々にだが、多少なりとも連携が取れるポジションにいた者達の陣形が崩れ孤立する者が目立ってくる。


 そこへ、音に注意を払いつつ動く者がいる事など知る由もなく・・・。


 ガシャン・・・ガラン、カラン、ガシャン、バキッ。


 次々と破壊され再起不能になっていくマリオネット。


 しかし感情が無いため、倒れた仲間など無視して、聞こえてくる音だけに反応する。

 次々にいくつも同時に聞こえてくるため、連携はまるで取れず、各々がそれぞれの方向へと振り返り戦闘態勢に入ってしまう。


 そこを突かれ、孤立していく者から破壊されていくが焦る素振りが無いため、次の行動が緩慢になり被害が増えていった。


 ・・・・・・

 ・・・


 戦闘開始から数分・・・。


「・・・ま、こんなもんか」

〔はい、外に敵の反応はありません。

 ・・・しかし、なにも全てを相手して破壊する必要はないのでは?〕


 周辺に散らばるマリオネット達を見て、サポートが純に言いたくなった。


「・・・まあ、そうなんだけど・・・。

 ああいうのって、一度こっちを発見すると見失うまで追いかけて来そうだったから・・・」


 無数に倒れたモノから、純は手ごろな剣か槍を物色するが、少し手に持ち考えた後、手放した。


「う~ん、どれも簡単につぶれそうな物ばかり・・・」

〔力技でいく純にはそうでしょうね。

 マナを使えばすぐに粉々です〕

「だからネットで武器の使い方とかを学んでいたのに・・・」

〔一般人には十分使える物でも・・・あなたでは心許ないですね〕

「・・・はぁ」


 純は諦めて立ち上がり、洋館へと振り返る。


「ここまで大きな音が出てしまったけど・・・誰も出てこないな」

〔・・・。

 ここは見た目以上に中の構造が広いようです。

 たとえ外で何が起ころうとも出てくることは無かったかもしれませんね〕

「・・・・・・入ってみるか・・・」

〔気を付けて進みましょう〕


 純とサポートは少しだけ気合いを入れつつ、壊れかけの大きな鉄柵の扉を開け中へと入っていった。







 【十時影 純 (クリス)】15才 人間・・・かな~?(進化)

 レベル 1

 HP 1 MP 1

 STR 1

 VIT 1

 INT 1

 RES 1

 DEX 1

 AGI 1

 LUK 1

『マナ(情報体):レベル 1 』『波鋼:レベル 1 』『総量拡大:レベル 8 』

『魔法: 水、風 』

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