115 逃げちゃダメだ、と言えるかな? 逃げても役には立つのかな?
「・・・デルト・・・様?」
その声に一同が声の聞こえた方角を見る。
キュレスがいた。
「デルト・・・さま・・・デルト様ーーーーーーっ!」
転びそうになりながらも自分の主だったのであろうヘドロに駆け寄るキュレス。
「・・・アア・・・アアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ~~~・・・」
体を丸めヘドロを抱きしめる様に泣き叫ぶキュレス。
「・・・」
誰も何も言わない。
ただキュレスの泣きじゃくる姿を黙ってみていた。
「・・・あなたが・・・貴様がデルト様を・・・!」
怨念の籠った、怒りの形相で泣きながらクリスを睨みつける。
「・・・」
スッとクリスは目を逸らし俯いてしまう。
〔クリス・・・〕
「(わかってる。
こんな戦いがあるんだから、恨まれることだってあるって分かってた・・・。
こんな態度は良くないって分かってるけど・・・)」
いざ、自分が恨みを買われてしまう状況になると、怯んでしまうクリス。
「やめるんだ」
突如、別の方向から声が聞こえた。
聞こえた方向に睨むキュレス。
「もう・・・やめるんだ・・・」
ボールドが切実に答える。
「この戦いは終わった」
「・・・」
「こういう争いはどちらかが敗れるまで続く。
そして、お前の主は目的の為に妥協を許さなかった。
今回は我々の勝ちだったが・・・最悪、全員殺されていた。
お前も・・・そういう戦いに参加したのだから理解しているはずだ。
これ以上の争いに意味は無い・・・」
「・・・だがっ!」
「感情通りに動いても意味はねえぞ?」
トウジロウがカレンの肩を借りて、キュレスの傍まで寄る。
「お前さんの主を倒したのはそこの坊主だ。
一矢報いたい気持ちはあるだろうが・・・慕っている主を倒した坊主にお前さんがどうこうできるわけがねえ」
「っ・・・」
歯嚙みするキュレス。
状況を理解できるほどには冷静であった。
「そもそも命がけで戦ってんだ。
恨みつらみ、憎み憎まれなんて当然だろうが。
第一、お前達もたくさんの村を襲撃し殺してきただろ・・・」
「・・・」
「お前達が今回の騒動を起こさない限り、俺達と戦うことは無かったんだよ」
「・・・」
「今ここで、そこの坊主を責めても、お前の主人は帰ってこない」
あの時・・・侵入者に敗北し、無様な姿を見せたキュレスを労り、手を差し伸べた。
そして、キュレスのケガと周りへの被害を考え退避するよう命じられたことを思い出す。
「(あの時、少しでもお傍に控えていれば・・・)」
どうしても、後悔が頭をよぎる。
あの時、ああすれば、この時、こう言えば・・・。
「・・・すぐに納得はしなくていい」
イスカがゆっくりとキュレス達の傍に寄ってくる。
「だけど・・・考えて?
復讐だけが全てなのか・・・」
「・・・」
テス達も近づいていく。
キュレスにはもはや戦う気持ちは無かった。
「あの子が悪いわけではないです。
あの子は私達を守ろうとした。
ただ・・・その結果が・・・こんな結末にしてしまったのです。
申し訳ありません」
「・・・謝らないで。
・・・先に騒動を起こしたのはこちらなのです」
「・・・」
「・・・確かに、これが・・・結果です。
すぐに納得は出来ません・・・。
でも・・・」
何気なくとも、自分達を気に掛けてくれたデルトの優しさを思い出して・・・キュレスは少しだけ気分が晴れた。
そして、クリスを見る。
「これは、戦いです。
命を懸けた・・・。
あなたも今後、戦いに参加をし続けていくのなら・・・覚悟を持ってください」
「・・・」
クリスは顔を上げた。
そして黙ってキュレスを見る。
「いつか必ず・・・復讐とは違う気持ちで・・・もう一度、あなたと戦いたいです」
それはキュレスなりの決意・・・表明だった。
「その時まで・・・死なないで下さい」
それだけを述べるとキュレスは踵を返し、外へと飛び立とうとする。
最期に・・・もう一度だけ、デルトだったヘドロを見て・・・今度こそ遠くへと飛び立って行った。
どこかの薄明るい霧に包まれた空間。
「残念、あそこであんな子供と出くわすとは・・・しかし、これも運命・・・という事でしょうか?」
「なに、黄昏ておるのじゃ、デルト」
「こんな結末になっちまったが面白かったじゃねえか・・・」
「・・・我はもっと、あの剣士と戦いたかったがな・・・」
「・・・それぐらいにしましょう。
私達も行かねばならない所がありますので・・・」
「チッ・・・俺様のハーレムがよお・・・」
「諦めましょうギルフさん・・・」
「・・・時にトレマールさん。
ヨネーリさんはどうしました?」
「大将・・・あいつはゴースト・・・そう簡単には死にませんて」
「すでに死んでおるもんじゃしな・・・」
「彼女なら・・・また復活して・・・今度は悠々自適に過ごされるのでは・デルト・・・様?」
その声に一同が声の聞こえた方角を見る。
キュレスがいた。
「デルト・・・さま・・・デルト様ーーーーーーっ!」
転びそうになりながらも自分の主だったのであろうヘドロに駆け寄るキュレス。
「・・・アア・・・アアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ~~~・・・」
体を丸めヘドロを抱きしめる様に泣き叫ぶキュレス。
「・・・」
誰も何も言わない。
ただキュレスの泣きじゃくる姿を黙ってみていた。
「・・・あなたが・・・貴様がデルト様を・・・!」
怨念の籠った、怒りの形相で泣きながらクリスを睨みつける。
「・・・」
スッとクリスは目を逸らし俯いてしまう。
〔クリス・・・〕
「(わかってる。
こんな戦いがあるんだから、恨まれることだってあるって分かってた・・・。
こんな態度は良くないって分かってるけど・・・)」
いざ、自分が恨みを買われてしまう状況になると、怯んでしまうクリス。
「やめるんだ」
突如、別の方向から声が聞こえた。
聞こえた方向に睨むキュレス。
「もう・・・やめるんだ・・・」
ボールドが切実に答える。
「この戦いは終わった」
「・・・」
「こういう争いはどちらかが敗れるまで続く。
そして、お前の主は目的の為に妥協を許さなかった。
今回は我々の勝ちだったが・・・最悪、全員殺されていた。
お前も・・・そういう戦いに参加したのだから理解しているはずだ。
これ以上の争いに意味は無い・・・」
「・・・だがっ!」
「感情通りに動いても意味はねえぞ?」
トウジロウがカレンの肩を借りて、キュレスの傍まで寄る。
「お前さんの主を倒したのはそこの坊主だ。
一矢報いたい気持ちはあるだろうが・・・慕っている主を倒した坊主にお前さんがどうこうできるわけがねえ」
「っ・・・」
歯嚙みするキュレス。
状況を理解できるほどには冷静であった。
「そもそも命がけで戦ってんだ。
恨みつらみ、憎み憎まれなんて当然だろうが。
第一、お前達もたくさんの村を襲撃し殺してきただろ・・・」
「・・・」
「お前達が今回の騒動を起こさない限り、俺達と戦うことは無かったんだよ」
「・・・」
「今ここで、そこの坊主を責めても、お前の主人は帰ってこない」
あの時・・・侵入者に敗北し、無様な姿を見せたキュレスを労り、手を差し伸べた。
そして、キュレスのケガと周りへの被害を考え退避するよう命じられたことを思い出す。
「(あの時、少しでもお傍に控えていれば・・・)」
どうしても、後悔が頭をよぎる。
あの時、ああすれば、この時、こう言えば・・・。
「・・・すぐに納得はしなくていい」
イスカがゆっくりとキュレス達の傍に寄ってくる。
「だけど・・・考えて?
復讐だけが全てなのか・・・」
「・・・」
テス達も近づいていく。
キュレスにはもはや戦う気持ちは無かった。
「あの子が悪いわけではないです。
あの子は私達を守ろうとした。
ただ・・・その結果が・・・こんな結末にしてしまったのです。
申し訳ありません」
「・・・謝らないで。
・・・先に騒動を起こしたのはこちらなのです」
「・・・」
「・・・確かに、これが・・・結果です。
すぐに納得は出来ません・・・。
でも・・・」
何気なくとも、自分達を気に掛けてくれたデルトの優しさを思い出して・・・キュレスは少しだけ気分が晴れた。
そして、クリスを見る。
「これは、戦いです。
命を懸けた・・・。
あなたも今後、戦いに参加をし続けていくのなら・・・覚悟を持ってください」
「・・・」
クリスは顔を上げた。
そして黙ってキュレスを見る。
「いつか必ず・・・復讐とは違う気持ちで・・・もう一度、あなたと戦いたいです」
それはキュレスなりの決意・・・表明だった。
「その時まで・・・死なないで下さい」
それだけを述べるとキュレスは踵を返し、外へと飛び立とうとする。
最期に・・・もう一度だけ、デルトだったヘドロを見て・・・今度こそ遠くへと飛び立って行った。
どこかの薄明るい霧に包まれた空間。
「残念、あそこであんな子供と出くわすとは・・・しかし、これも運命・・・という事でしょうか?」
「なに、黄昏ておるのじゃ、デルト」
「こんな結末になっちまったが面白かったじゃねえか・・・」
「・・・我はもっと、あの剣士と戦いたかったがな・・・」
「・・・それぐらいにしましょう。
私達も行かねばならない所がありますので・・・」
「チッ・・・俺様のハーレムがよお・・・」
「諦めましょうギルフさん・・・」
「・・・時にトレマールさん。
ヨネーリさんはどうしました?」
「大将・・・あいつはゴースト・・・そう簡単には死にませんて」
「すでに死んでおるもんじゃしな・・・」
「彼女なら・・・また復活して・・・今度は悠々自適に過ごされるのではないでしょうか?」
「はっはっはっはっは・・・確かに、そうですね。
まあ・・・そんな人生も良いかもしれませんね」
どこか更に霧の濃くなる所へと消えていく者達。
しかし、突然、綺麗な景色へと変わっていく。
「・・・キュレスには悪い事をしました・・・」
「大丈夫だろ。
あいつなら、そのうち立ち直る」
「・・・そうですね。
彼女なら、私とはきっと違う道を歩んでくれます・・・」
とても綺麗で幻想的な景色、そして優しい風と草の踏む音の先の光へと・・・その者達は消えていった。
・・・・・・
・・・
「・・・とりあえず、依頼達成でいいんだよな、これ?」
「はい・・・一応、ココの主は倒しましたので」
「子供が・・・だけど」
「イスカ・・・!」
小声で注意するメルム。
「とにかくこれで依頼は終わりだ。
後は帰って報告する事だ」
「ああ゛~・・・やっと終わった~」
「ちょっ、先生!」
ボールドの言葉を聞いたトウジロウがカレンの肩から手を離し、大の字で寝転がる。
「・・・お疲れ様・・・先生・・・」
「おう・・・お前もな・・・」
「・・・はい」
屈託のない笑顔で交わす2人。
「・・・テス」
「うん・・・・・・クリス君」
プリムに声を掛けられ、テスは真っ先にクリスの傍へ寄った。
そして膝をついて、出来るだけ同じ目線で話すことにした。
「ありがとう・・・。
あなたのおかげで私達は助かったの・・・。
この仕事をしていると、こんな事にも合ったりするの。
誰かに恨まれたり・・・批難・・・悪口とかを言われたり・・・。
だけど、こんな仕事でも、誰かの助けになる、幸せにすることが出来る・・・その事だけは忘れないでほしいな~・・・。
君がもし冒険者を続けていく自信が無くなっても・・・君のおかげで、確かに救われた命がある。
その事だけは決して忘れないで・・・ね?」
「・・・大丈夫です。
ただ・・・あんなにハッキリと怖い顔をされることに慣れてなかっただけです・・・」
嘘・・・ただ、恨まれることに恐怖を覚えてしまっただけだ。
だが・・・クリスはそれすらも受け入れる覚悟が必要になると自覚していた。
ただ・・・ほんの少し・・・ほんの少しだけ、気持ちに整理が必要だった。
「・・・そう」
優しく微笑み、抱き寄せて頭を撫でるテス。
クリスはただ・・・されるがままだった。
時間が少し経ち、徐々に回復のおかげか意識を取り戻していくメンバー達。
「・・・ケイトちゃん・・・良かった~」
「ううん・・・テト・・・?」
先に起きたテトに抱きしめられ泣かれるケイト。
「うっ・・・うう」
「・・・起きた?カイル」
「イ、イスカさん!」
至近距離で覗き込むように見るイスカに驚き、上ずった声で起き上がりに叫ぶカイル。
「~~・・・静かにしてくれ・・・頭に響く」
「すっ、すみません!」
トウジロウの文句に、即座に謝る。
「・・・私の仲間はあなたと違って、繊細・・・。
言葉に気を付けて・・・」
「はっはっは、わりいわりい」
手だけ上げてヒラヒラさせるトウジロウだった。
「・・・もう大丈夫ですか?
ヘレン、ゾッド?」
「ええ、体はまだ痛いけど・・・」
「僕も大丈夫です・・・。
しかし・・・大変な仕事でしたね・・・?」
「ちょっとした、お手伝いのつもりが危うく全滅・・・」
「笑えませんね」
プリムの言葉に苦笑するゾッド。
「でも良かった・・・。
みんな無事で・・・」
「ええ・・・全員で町に帰られますね・・・」
ゾッドが言った言葉にテス達はそれぞれ自然と口元を綻ばせる。
服も装備もボロボロ・・・生き残っているだけで御の字の様な、死闘だったのだから4人の気持ちが自然と明るくなるの当然だった。
〔クリス・・・今のうちに回収を〕
「(あ・・・うん)」
クリスはそれぞれのパーティが自分達のメンバーと喜びを分かち合い、話し合いに華を咲かせている間に目的の灰の宝石の回収に移った。
「(確か・・・胸のあたりで光っていたから・・・中心か?)」
そう思いゆっくりと近づいていく・・・。
すると・・・宝石同士が共鳴する様に淡く輝き出し、ひとりでにヘドロの中から灰の宝石がクリスの所までフワフワと飛んでくる。
そして、みるみる小さくなり、クリスのペンダントの中に入っていく。
花びらに1つの新たな色が加わった。
「(回収完了っと)」
ペンダントを覗きこみ、確かに色が変化したことを確認するクリス。
〔残りはシェイミ―達の家宝の緑の宝石を除いて4つ〕
「(何の色になるんだろう?)」
〔赤はもちろんとして・・・手に入れた色からして・・・紫とか、橙・・・後は・・・黒がありますので・・・反対の、白でしょうか〕
「(それで全部で9つか・・・あの封印されていた女の人と関係ありそうなのかな?)」
クリスは、2日前に上ったミカルズの塔の頂上で現れた異界の扉。
その中に封印された女性のことを思い出す。
〔単純に考えるならそうでしょうね〕
「(全部集めれば封印が解けるってことなのかな?)」
〔すべてを集めないといけないのかは分かりませんが強力な封印でしたし・・・誰かの作為を感じます〕
「(悪さして封印されたのか・・・それとも生贄なのか・・・)」
今回デルトの宝石への渇望。
そこからくる宝石の危険性が今一度クリスに集めることの意味を考えさせる。
「(あの時は生贄にされたんじゃないかって思ったけど・・・)」
〔人は見たいようにしか見ない〕
「(・・・)」
突然のサポートの言葉に驚くクリスだが・・・ゆっくりとその意味を理解していく。
「(本当の事を知りたければ・・・集めるしかないって事か)」
〔それが私達にとって必要な事ならば・・・〕
「(うん・・・そうだった。
ありがとう・・・)」
〔私達も受け入れる覚悟が必要です〕
サポートの言葉が何を言わんとしているかは分かっている。
逃げたい気持ち・・・たとえ、それが恥でも経験として役には立つ。
だが・・・自分のしたい事が目の前に来た時・・・全力で立ち向かう事から避ければ・・・受けるダメージは恥では済まなくなる・・・。
その事を、クリスは少しだけ・・・分かったような気がした。
【クリス】5才 人間(変化)
レベル 19 → 23
HP 224 → 279 MP 201 → 265
STR 89 → 112
VIT 80 → 101
INT 92 → 107
RES 81 → 102
DEX 84 → 109
AGI 88 → 120
LUK 56 → 63
『マナ性質:レベル 1 → 2 』『強靭:レベル 1 → 2 』『総量増加:レベル 5 → 6 』




