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 ゴールデンウイークもあと一日で終わろうとしている。

 響はまたあの公園に行き、ベンチに寝転び目を閉じて木陰に差し込む日差しを浴びる。

「また、ここにいるのね」

 その声が御厨ミラノだということはすぐにわかった。

「こうしていると落ち着くんだ」

「邪魔しちゃ悪いかな?」

「いや、大丈夫だよ。ちょうど誰かと話したいと思っていたんだ」

「そ……そう。じゃあ、私が話し相手になってあげてもいいわよ」

「ありがとう」

 響は起き上がった。その隣にミラノが腰掛ける。

「何かあったの?」

「何も」

「何も?」

「そう、特別なことは何も。ボク自身が妖かしに繋がりがあること、ミラノさんが妖かしに憑かれているということ……そのくらい普通のことしかボクの周りにはないよ」

「それが普通のこと?」

「そう、ボクたちにとってはいたって普通のこと」

 ミラノは少し困惑するような表情をしたが、すぐにそれは穏やかなものに変わった。

「そうね、普通のことよね」

 そう言って、それ以上は何も話そうとはしなかった。

 それは特別なことなどではない。

 あの影の感情を、自分は知ることが出来た。

 それは外部からの情報とは違っている。あの感情は、自分の中から湧き上がってきたものだ。

 それが自分という存在で、それが自分の中にある力なのだ。

――私はね、人間の妖かしなのですよ。

 いつか伽音が言っていたことを思い出していた。ひょっとしたらあれは伽音自身のことでありながら、同時に自分に対しても言っていたのではないだろうか。

 それは自分たちにとって日常でしかない。

 そう自然に思える時がいつか来るだろう。


   了


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