最初の英雄2
ミステル・アーデストが産まれて8年の月日が経過した、両親や兄の愛を一身に受けすくすくと健康に成長していたある日の午後。
午前の座学を終え、最近始めた楽しみの一つでもある兄との剣術の鍛練時間だ。
「グロウ兄さん今日もよろしくお願いします!」
「ああ今日も励むんだぞミステル」
簡素な布の服装の上から革の軽装を身に纏い木でてきた鍛練用の剣を片手に担ぎ笑顔を見せる兄に向かい一礼をする。
兄であるグロウ・アーデストには10の歳の差があるため昔からなついていた。
グロウは若干16で王都ほ騎士団に所属するほどの剣の才能に秀でていた、そんな兄を誇りに思いまた尊敬していた。
「昨日はどこまで教えたか覚えているかミステル」
「はい、騎士派の型の構えを教えていただきました。」
騎士派というのは王都の騎士団では主流派の近接戦を得意とする流派の事だ
速度を生かし片手で自在に剣を操るその流派は王都最強を名乗るに相応しい騎士団の代名詞でもあった。
「そうだな、ではその騎士派において大切な事はなんだと思う?」
「大切なことですか?やはり剣を扱うための筋力や技術力でしょうか。」
「確かに筋力や技術力も大切だ、だがそれを維持するための力がまず身に付けないといけない。」
「維持する力ですか、では持久力ということですか?」
「そうだ、ミステルはまだ8つだ型や筋力をつけることも大切だがまず持久力を身に付けよう」
そう言うと走り込みの指示を出しゆっくりと一緒に走り出す、たまに足をかけ転ばそうとしてくる兄をかわしながら徐々にペースを上げていく
1時間ほど走り体力が尽き果るとその場にへたりこむ。
「こら、こんなんでヘバってたら騎士にはなれないぞ。」
そう言いつつも少し休憩をとってくれるあたりが優しいが、いや8つの子供に1時間も走らせるなら優しくはないか。
「ハァハァ、、、グロウ兄さんまだまだ行けます。」
「そうか、ミステルは根性があるな。俺が8つの時は1時間も走らされたらもう動けなかったぞ。」
そう目を細目ながら嬉しそうに微笑んだ兄は綺麗な母様似の金の短髪もあいまってとても優しく見えた。
「よしもう少し走ったら型の稽古をしようか。」
「わかりました!」
それから30分ほど走り型の稽古に移る
まず剣先を下に向け空いた片手を前に少し突き出す、そこから1歩踏み込み剣を上げ鋭く振り下ろすこれが型の基本型だ。
「いいか、まずは基本の型を身体に染み込ませるんだ。全ての技は基本が出来てからじゃないと教えられないからな。」
「はい、わかりました。」
「じゃ型の素振りをしていてくれ、俺は親父と少し話してくる」
そう言うと2、3回ほど素振りを見て父様のいる屋敷のほうへ向かってしまった。
「よし、グロウ兄さんが戻ってくるまでに少しでも多く振るぞ。」
言葉にだし自分を鼓舞すると練習を再開した。
読みにくいなどあったら申し訳ないです。