鳥
横断歩道を挟んであっち側の人も、こっち側の人も、ほとんどが、街路樹を見上げている。
街路樹の下の歩道は白く汚れている。1匹いっぴきは小さくて、うるさくもないけど、小さな個体が群れになると、結構うるさい。群が空を飛ぶとき、大きな1つの個体のようになる。形を変えて、うねって、通常の生き物ではできないような動きをする。
今日も疲れた。なんの成果もない毎日。努力しているつもりだけど、小さいポカをコツコツ積み重ねているような日々。しょせん つもり だからダメなのか。でもこれ以上どう努力したらいいかわからない。
小さい個体の集合体は今日もうるさく、形を変えながら大きな個体となってうねっている。
ああ、うるさい。緩急をつけて濃淡をつけてぐにゃぐにゃ形が変わる。でも私は頑張っている。淡くなってばらばらと樹にとまる。なんとか持ちこたえる毎日。
口をあんぐりと開けて、鳴き声と羽ばたきで賑やかな樹を見上げていた。
信号が黄色に変わる。
ここは時差式。
先に車が通る。
交差点を車がまがってくる。
ふと目をそらしたら、腕に白い生暖かいものが、べちゃっと音を立てて、飛び散っていた。
汚な
心の中で、おぞましい感情が渦巻いた。
どす黒い怒り。なんで。何したって言うんだろう。
うまくいかないときはとことんうまくいかない。
やり場のない気持ち。大したことないはずなのに、今日は許せない、まあいいやと思えない。
さっきまで形を変えて、ばらばらになっていた一つ一つの暗い気持ちは、一つにまた集まった。
もう濃淡はない。ひたすら濃く黒くなる。うねりはない。ただただ膨張していく。
もうどうでもいい。
まだ青になってない横断歩道に飛び出した。