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幻想異変録  作者: 凍曇
8章 孤城落日
95/151

95:勇敢な人間さん

『……はっ!!』


 一条は呼吸とともに声を出し鎧武者の攻撃を弾く。

 鎧武者は次々と刀で攻撃を繰り出し、一条は槍で刀を弾きつつ距離を取る。


『くそ……肉体労働はあまり得意じゃないんだけどな……』


 一条は"目"で相手の行動を先読みし猛攻を耐えしのいでいる状態である。

 だがとてつもない集中力の為、自然と一条の体力はドンドン削られていく。


(右、袈裟斬り、また右)


 次々と一条は鎧武者の攻撃の軌道を読んでいく。

 最初の一太刀を体を捻り回避する。

 次の袈裟斬りはグングニルで弾く。

 そして次の右もグングニルでギリギリ弾く。


『ぶっは!くそ……』


(ダメだ……そろそろあの鎧武者の動きに追いつけなくなってきてる……。てかあの鎧武者よく見たら誰かの魂入ってるな!?)




-輝針城・松の間-


『あの人間よく躱すなぁ……。私が直々に操作してるのに……』


 アリッサは宙に映されている映像を見ながら呟く。

 輝針城にいる鎧武者。

 これらはアリッサの魔法で動いている自立型の鎧だ。

 そのため自動的に敵を見つけたら抹殺するように命令がインプットされている。

 だが一条が戦っている鎧武者はアリッサの魔法によってアリッサの思い通りに動いている手動型の鎧武者だ。


『ラジコン感覚よね。この魔法って。けど手応えがないからイマイチつまらないんだよね〜』






『はぁ……はぁ……ゲホッ』

『ようやく体が動かなくなってきたところかしら?』


 鎧武者から声が響く。

 内側から声が発生しているのか少しくぐもった声だ。


『流石余裕だね……。わざわざ声まで聞かせてくれるなんて……』

『あら、私と気付いてたの?』

『途中からだけどな』


 鎧武者はカシャリと鎧と鎧が擦り合う音を立てながら一条に近づく。


『ねえ、貴方……何の目的があって私達に逆らうの?』

『これから殺される人間にそんな事聞きますか……』

『いいじゃない。私はね、他人の言葉ばかりを鵜呑みにはしないのよ。自分の耳で、目で、肌で、聞いて、視て、感じて、その上で自分の答えを出すタイプなの』


 鎧武者の兜から赤い光が2つ灯る。

 その光は一条をジッと見据える。


『多弁ですね……。なに、簡単な話ですよ。助けを求めている奴がいた、それだけですよ』

『普通、他人の為にそこまでやるかしら?実際貴方は今殺される立場にいるけど後悔はないの?』

『ない。俺も貴女と同じタイプでね……自分で決めた結果だ。後悔なんてものはない』


 しばらく静寂が場を支配する。

 聞こえるのは一条の吐息だけだ。

 やがて、


『そう、ならサヨナラ。勇敢な人間さん』


 鎧武者は刀を一条の胸に差し込んだ。

 一条の細い断末魔が部屋に響きやがて何も聞こえなくなり、部屋は赤い液体で汚されていった。

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