86:帰ってきた故郷
思いの外あっさりと跡地には着いた。
道中何かあるかと思ったが(アリスが危険とか言ってたから)全然何も起きなかった。
危険といえば霧の湖で道を見失わないようにするだけである。
しかし一条の頭には情報がインプットされているので心配する必要はないが。
『何にもなかったですね』
『面白いぐらい何もなかったな』
そんな会話を交わしながら歩くと地面が少し荒れている事にふと気付いた。
『?』
『どうした?』
『あ、いえ……。何でもないです少し考え事をしてまして』
あっそ、と言いながら魅魔は一条の後にふわふわとついてくる。
(やっぱりだ……。どこもかしも少し荒れてるな……。年月が経って地面がならされたか?)
『……見えてきましたね』
『ここが紅魔館……って瓦礫の山じゃないか』
一条達の目の前に広がる光景は文字通りただの瓦礫の山だった。
草花も1つも生えておらず所々には石畳があったのかその名残がポツポツとある。
所々の石畳は欠けていた。
『これじゃあ何も手がかりは得られそうにもないんじゃないか?一条』
魅魔は周りを見渡しながら一条に声をかける。
『……』
『一条?』
魅魔は一条の方へ振り返ると一条の視線の先には"何か"がいた。
具体的に言うと煙のようなモヤモヤしたものが一箇所に集まっている。
『魅魔さん、どうやら初仕事みたいですよ』
『みたいだな』
固まった煙のような"何か"は目のような光を2つ灯す。
『……来ます!』
"何か"は周りに飛び散り一条達を囲うように霧散する。
『はっ!常套手段だな!だが甘ぇ!!』
魅魔がいつのまにか手に出現させた独特な杖をふる。
すると一条を中心として暴風が吹き荒れる。
"何か"は吹き散らされるが消えるわけではない。
『魅魔さん!』
『なんだ!』
『相手の特性を全て把握しました!』
『……はぁ!?』
(戦って数秒だぞ!?さっきのやり取りだけで理解したのか!?……いや、一条の目に微かにだが気配がするな。何かしらの能力か……?)
『それで相手は霧状ですから物理攻撃は効きません!』
『だからどうした!なら物理攻撃以外の攻撃をすればいいだけだろう!』
暴風が吹き荒れているため互いに大声を出さないと声が届かない状態となっているのだ。
『もっと簡単な方法があります!この風を利用して周りに砂を撒き散らしてください!その後に特大の攻撃をぶちかましてください!!』
『……はっ!!なるほど!!了解だ一条、すぐに終わらせてやるさ!』
魅魔は言われた通り周りの土を巻き込み砂とするまで風で切り刻む。
そしてその砂は周りに吹き散らす。
すると"何か"に砂が当たるとドロドロとしたものが出現する。
もう霧状ではない。
ただの泥状と化している。
『スペイシャス・スパーク』
魅魔が片手をかざすとかなりの広範囲の閃光が炸裂した。




